
久方ぶりのカーオーディオの昔話です。
手元にあるカーオーディオのものとしては、最古となります。
カーコンポーネントの始祖である、パイオニアのKP-55GとGX-7が登場したのが1975年。このリーフレットは、1976年7月の発行となります。パイオニアのカーコンポーネントの代名詞となった、Lonesome Car-Boyが使われ始めるのが1977年からですから、それ以前となりますね。
このリーフレットは、当時、父が利用していた整備工場から雑多なクルマのカタログと一緒に貰ってきて、そのまま保存していたものですが、何気に今ではかなり貴重なものかもしれません。
それでは、以下紹介していきます。
カセットデッキのKP-55G。
アンプを独立させて、低音と高音を独立させたトーンコントロールを備える。これだけで当時としては十分画期的でした。
オートリバース機能ではなく、オートイジェクト機能というのが時代ですね。
高さは現在に続く1DINと同じ50mmですが、横幅は1DINの2/3程度の122mm。当時のクルマのインパネやコンソールに装着するには、このサイズが適当だったのです。
FMステレオ/TVチューナーのGX-7。
AMは純正で聞かせればいいという考え方から、FMとTVのみのチューナーであり、後継機種もその後しばらくは、AMを備えることはありませんでした。後継機種は、TVが省略されたため、このGX-7は比較的長期間生産されることとなります。
当時、東京で聞けるFMはNHK-FMとFM東京の2局だけであり、他都市も同様の状況でしたから、プリセット機能を持たないチューニングつまみでも実用に足りました。その上に重なるTVチューニングつまみが時代を感じさせますね。
サイズは、KP-55Gと同サイズとなります。
デッキから追い出されたパワーアンプは、15W × 2のGM-30と、5W × 2のGM-10の2種類。当時は、30Wでも十分ハイパワーでした。
この時点では、デッキ側でチューナーの音量や音質をコントロールしようという考え方ではないため、KP-55GとGX-7を両方装着する場合は、スイッチングユニット(AD303)を装着して、アンプの入力を切り替える必要がありました。同じ理由から、KP-55GだけでなくGX-7も、ボリュームとトーンコントロールを備えていました。
FM専用アンテナのAN-3は、かなり長くて、天井が低いところでは支障しそうに見えます。受信感度の良くなかった当時は長さ勝負であり、こういった長いアンテナを装着した車も、それなりに多かった記憶があります。
当時の高性能スピーカーです。
この後、急速に見た目の格好良さを追うようになった機種と比べると一時代前を感じさせる見栄えです。
ラインアップからして、4スピーカーの考えはあまりなくて、リヤトレイに2スピーカーを備えれば十分という考え方だったのが、判ります。
こちらは、パワーアンプを内蔵したレギュラータイプのカセットデッキと8トラックデッキとなります。
純正のテープデッキは、8トラックからカセットに主流を移していた頃ですが、まだまだ8トラックデッキも根強い人気があったことを窺わせます。
再生出力は4W × 2ですし、トーンコントロールは一つのみ。これらと比較すると、KP-55Gがいかに高性能で画期的だったのか、判りますね。
先に紹介した種類も含まれますが、スピーカーの全種類となります。
当時のトヨタ車は楕円スピーカーを採用していたこと、トレードインという考え方が当時からあったことが、判ります。
余談ですが、純正楕円スピーカーはあまり音が良くなかったため、父はこのカタログと同じ頃に購入した、2代目マークIIL(当時のカタログは
こちら)にカセットステレオ(調べたところ、KP212の後継モデルKP292と判明)を後付する際、16cmスピーカー(こちらはTS-167と判明)に交換しています。(クルマ好きの血は争えないのですw)
最後は取付キットの一覧です。
とは、いっても日産とトヨタ(と兄弟車のダイハツ)の一部最新車種のみ、設定されていました。
当時は、コンソールやダッシュボードに埋め込むだけではなく、ダッシュボードから吊り下げて装着する事例も多かったため、これでも販売の妨げとはならなかったのです。
といったところで、いかがだったでしょうか。
カーコンポーネントは、登場当初こそ、クルマの中で音を追及するなんて・・・などと冷たい視線を浴びることが多かったようですが、若い層を中心に次第に人気が盛り上がっていくことになります。ここに商機を見出した他社も次々参入したものの、先駆者であるパイオニアが業界の中心となる構図は、80年代末まで長く変わることはありませんでした。
それにしても、激しい開発競争&熱い商戦が繰り広げられた商品らしく、以前に紹介した1984年(リンクは
こちら)と比較すると、僅か(?)8年の間に、長足の進歩を遂げたことがご理解いただけると思います。
この時期は、クルマ本体が顕著ですが、カーコンポーネントも次々にニュースに溢れた新製品が登場する、クルマ好きには夢のような時代だったのです。
以下、私連絡
これを掲載した私は、本日から週末にかけて、遅めの夏休みで信州に旅立ちます。
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Posted at
2015/09/04 06:08:51