前回に続いて、「TOYOTA 80周年展示」を絡めつつの話となります。
前回のブログを起こすために
「MEGAWEB」のページを確認していたところ、80周年展示は60年代から70年代へと展示車を入れ替えたというお知らせがあり。
そこに映っていたのは3代目マークIIのHTという、MEGAWEBへの再訪を決断させるには十分な車種なのでありました(笑)。
トヨタ得意の後出しジャンケン再びという意図はないと思いますが、横浜の日産ギャラリーではこれより少し前より
ヘリテージ特別展示「NISSAN COLOR DESIGN STORIES」の第2弾として、3代目ローレルのHTが展示中。展示の意図こそ異なりますが、偶然にも(?)同時代のライバル車の展示が重なる形となりましたので、取り上げてみることにしました。この2台、共に書きたいことが次々浮かぶクルマ達でもあります。
前回、マークIIはこれまであまり展示されることはなかった、と記していますが、それはローレルも同様ですね。加えて、1970年代の後半は、車業界的には悪夢であったであろう排ガス規制にようやく光明が差し始めた頃ということで、あまり注目されなかったということも重なります。
この2台、個人的にはオーソドックスな4ドアセダンに一票を投じますが、前席優先を主張するパーソナル領域に振った2ドアハードトップについても各々提案があって、これはこれで好ましく思っています。両車共に次世代以降のハードトップは4ドアのみとなってしまったため、2ドアとしては最後の世代という観点もありますね。

展示順に尊重して、先ずはローレルを掲載。
3代目ローレルから、後期2ドアハードトップSGL-E(1979年)となります。
セドリックに続いてローレルに採用されたカッパーブラウンは、カタログの頁の多くを彩ったイメージカラーであり、後ろのボードには「エレガントでパーソナルなイメージを、オレンジ味のブラウンという色味に加え、陰影の強いメタリックで表現」と記されていました。
時代の趨勢にあわせて、先代の曲線基調から直線基調へと変わる過渡期のデザインと言えると思います。フロントセクションは直線が主ですが、リヤセクションは直線を主とするセダンに対してハードトップは曲線主体でデザインされています。
パッケージングとしては、それまでの数多いセダンベースのハードトップと同様に、セダンよりやや狭いくらいで、後席スペースをあまり犠牲にしないというもの。マークIIより一世代先んじて設定された4ドアハードトップとルーフやリヤガラスを共用するという前提も影響しているのでしょうね。その分、特徴は4ドアの方に表れている感はあって、実際4ドアの方が台数は遥かに勝っていました。デザインが大きく変わらないのであれば、リヤドアがあった方が便利となりますよね。
結果、先に記した通り、ローレルとしては最後の2ドアハードトップとなってしまいました。デザイン的には、2代目マジェスタや3代目シーマでオマージュされたCピラー以降のラインが最大の特徴と思っています。当時はジャガーXJSからの影響を指摘する評もあったようですが、さてそこまで似ているのかは些かの疑問。
もう一つ取り上げると、アルミホイールが今ほど普及していなかった時代において、カラードホイールキャップはかなりお洒落に感じられたものです(これもメルセデスからの影響を指摘する評あり)。実際好評だったようで、マークIIもモデル末期の部分改良において、グランデの一部カラーのみカラードキャップが設定されることとなります。お互い、影響されつつで切磋琢磨していた時代ですね。


続いては、3代目マークII。
後期のハードトップグランデ(1979年)となります。
当時、一世を風靡したエクストラカッパーに加えて、5速MTということで、カタログ掲載仕様にかなり近く。
こちらは、後席をセダンより約10cm前進させるという、従来のセダン派生ハードトップとは大幅に変えたパッケージングが大きな特徴となっています。そのパッケージングは、フロアパネルを共用するX60系のハードトップよりもソアラの方が近いくらいで、車両ポジション的にもその前史的存在だと思っています。
後席スペースを犠牲にした代わりに、4ドアの成立は困難という、パーソナルカー的プロポーションを得ることに成功しています。おそらくシボレーモンテカルロやマスタングIIに影響されているのでは、というのが個人的推測。ハードトップのみリヤシートの可倒機能が備わっている辺りも主張に沿うものです。セダンからの離れ方としては、歴代で見てもやや特異な存在と言えるかもしれません。
この代で最上級として新設定されたグランデは、その高級感が大いに受けて、ローレルはマイナーチェンジ時に新たなる最上級、メダリストが設定されることとなります。
こうして比べてみると、2000のストレート6、フロントストラット&リヤセミトレから構成される4輪独立懸架といったメカニズム構成は共通ながらも、デザインやパッケージングにはそれぞれの主張があるのです。当時は、よく似た2台という評論も多かったですけれどね。
シンプルな前期に対して、装飾を加えた後期というのも共通点ですが、共にマイナーチェンジとしては成功していると思います。特にバンパーの大型化が下半身の安定に寄与している感が強いですね。
マークIIのエクストラカッパーとローレルのカッパーブラウンは、共にイメージカラーとしてカタログの見開きを飾っていました。共に4ドアの方が多数派ながらも、実際に街中で見かける機会は多かったように思います。もっともユーザーが変わっていく過程においては、大流行となったホワイトブームに乗じて塗り替えられてしまった個体が多く、カラードキャップもまたワイドタイヤと組み合わせるアルミホイールに変えられてしまったのも事実。
その過程はともかく、新車で売られていた当時はこの種の有彩色が街中の景色を彩っていました。その景色や彩は、モノトーンカラーが大半となっている近年とは明確に違うと言えるのです。
今では設定されることのない領域のカラーやボディ形状であり、だからこそ懐かしく、かつ愛おしく思えるのでしょうね。この2台、主張が異なる分、好みも分かれるのかもしれませんが、どちらが優というのではなく、各々の個性を尊重したくなる存在でもあると思うのです。
約40年前という、やや目が遠くなりそうな年月の経過がありまして、最初に記した通り、排ガス規制の悪癖から完全に抜け出せてはいなかったものの、こうした個性が共存できた時代というのは、クルマ好きの一人からすると、ちょっと羨ましかったりしますね。
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お出かけ日記 | クルマ
Posted at
2018/03/07 21:26:34