
今回は前編に続く後編です。
メルセデスコネクションでのW213試乗の後は、湾岸線を使って一路横浜へ。
日産 グローバル本社ギャラリーにて、昨年8月以来のロングラン企画となる
「日産・プリンス合併50年」特別展示も今月末が最終ということで、見納めておこうと思いまして。
ところが、特別展示に加え、スカイライン60周年ということで、こちらも
ヘリテージ展示(2月4日まで)されているという嬉しい誤算がありました。
両方を合わせると、歴代スカイラインが3台揃う構図。
古い順に列挙します。
○1973年(昭和48年)スカイライン セダン 2000GT-X

全長:4,460mm
全幅:1,620mm
全高:1,395mm
ホイールベース:2,610mm
車両重量:1,140kg
最高出力:125PS/6,000rpm
最大トルク:17.0kg・m/4,400rpm
東京地区標準価格:998,500円
これヘリテージコレクションにあったかな?、と思ったら、販社での保存車両という記載がありました。
歴代最多の販売台数を誇る4代目、通称「ケンメリ」の初期型となります。4ドアGT-Xは最豪華仕様となりますので、シリーズの中では旦那仕様風味でもあります。
新車当時は大人気車の筆頭で、その人気はライバル車も羨む存在でした。
人気車らしく、親戚や父の知人関係で乗られている方も多かったクルマです。
父はちょうどライバル車にあたる2代目マークII(こちらは不人気車の筆頭・笑)に乗っていましたから、やや複雑な目でその人気を見ていた感もあります。
当時は結構大きな車に映っていましたが、今視点ではそのサイズに隔世の感を覚えたりです。それもそのはず、全長4,460mmは現在だとカローラ同等で、全幅1,620mmはコンパクトカーでも5枠いっぱいの多い中ではソリオぐらいでしょうか。
そこに6気筒の2000を積めば走りがいいのも自然。同時代では希少な4独の足回りもよかったですけれどね。
年数が経つにつれ、改造のベースとされることも多くて、こうしたフルノーマルの佇まいは希少に思います。
以前に簡易カタログを取り上げていますので、
リンクを貼っておきます。
○1983年(昭和58年)スカイライン ハードトップ 2000RSターボ

全長:4,595mm
全幅:1,665mm
全高:1,360mm
ホイールベース:2,615mm
車両重量:1,175kg
最高出力:190PS/6,400rpm
最大トルク:23.0kg・m/4,800rpm
東京地区標準価格:2,356,000円
GT-Rの生産中止以降、久方ぶりの4バルブDOHCを搭載したRSが大きな話題となった6代目。形式名はR30となります。そんなRSも、わずか1年余りでターボ版が追加されています。
当時は、排ガス対策も一段落した後に訪れたパワーウォーズの真っただ中。当然スカイラインもその渦中にあったというのが、そんな追加の理由です。
190馬力は、当時の日本車・歴代全てのどちらと比べても図抜けたハイパワーであり、「史上最強」という謳い文句も素直に肯けるものがありました。
赤黒ツートンは、先に910ブルーバードに設定があったものの、RS登場時点では設定がなく、西部警察の劇用車やシルエットフォーミュラの影響からか、後から設定された色と記憶しています。経緯はともかく、よく似合う色であり、R30、特にRSだと真っ先に思い浮かびます。
登場後、僅か半年でマイナーチェンジが行われているため、この(前期)RSターボの生産は、短期間に留まります。マイナーチェンジでは、通常の変更に加えて、豪華仕様のRS・Xが追加されているということで、GT-BやGT-Rを系譜とする、走りの機能に関する以外の装備は簡素というモデル展開は、ここが一つの終焉と見ることができそうです。
そのことは、ライバル車となるソアラやマークIIを意識しないわけにはいかない状況となっていたという言い方となるのかもしれません。
○1993年(平成5年)スカイライン 4ドア GTS25 Type X・G

全長:4,580mm
全幅:1,695mm
全高:1,340mm
ホイールベース:2,615mm
車両重量:1,340kg
最高出力:180PS/6,000rpm
最大トルク:23.0kg・m/5,200rpm
東京地区標準価格:2,418,000円
ついにGT-Rが復活ということが話題となった8代目です。形式名のR32の方が有名ですね。CMは「超感覚」で、私的には「伊藤さんのスカイライン」。
こちらは、後期で追加された2500の4ドア上級版となります。
登場以来続いてきたセダンを廃して、4ドアもスポーツを前面に出したR32でしたが、後期ではややマイルドな仕様も追加されて、その頂点となるグレードですね。
前にも書いていますが、明確なキャラクターが実に魅力的で、歴代スカイラインから一台挙げるなら、迷わずこれを選びます。新車で買えたはずなのですが、その時には後席の広さを考慮してマークIIを選んだというのが、親子の血統(笑)
こうしてスペックを拾って、調べるまでもなく数字が浮かぶ(笑)マークIIのスペックと比べるとコンパクトなのはもちろん、軽くもあったのですね。90が32に影響されたというのも納得。
当時は、選ぶならこのグレードと思っていました。色はガングレーが好きで、先輩がR32を買う際にもお勧めもしていたりですが、今視点だとカタログカラーとなるこのグレイッシュブルーもいい感じですね。
既にATを選ぶのが一般的となっていて、スカイラインも特に4ドアではATが当時の主流でしたが、展示車は5速MTでした。何気に希少な気がします。
この世代、排気量は先にオーバーしたものの、最後の5ナンバーサイズとなりまして、今視点ではきゅっと引き締まったデザインも魅力的なのです。
この型も以前にカタログを取り上げていますので、
リンクを貼っておきます。
○2016年(平成28年)スカイライン 60th Limited 350GT HYBRID Type SP

全長:4,800mm
全幅:1,820mm
全高:1,440mm
ホイールベース:2,850mm
車両重量:1,800kg
最高出力:306PS/6,800rpm
最大トルク:35.7kg・m/5,000rpm
(外68psのモーター付)
東京地区標準価格:5,810,400円
こうしてスペックを並べると、現行は横幅を中心に随分大きくなったなと改めて思います。展示は、ケンメリと並んでいましたから、その感一際でした。
登場時の想定ユーザーやメーカーの姿勢やらが絡んで、純粋なクルマの評価とは別の評価が独り歩きしている感もありまして、それもスカイラインという名車ならではなのかなとも。
それぐらい歴代で構築された名車の名は重いのです。
賛否両論あるのは承知の上で、私的にはこのセグメントのセダンとして意外に(?)評価している一台だったりしますが。
R世代からV世代に進む際に、マーケットを国内から世界規模に広げたこともあって、キャラクターを変えたことが賛否が分かれる最大の理由でしょうね。
想定するライバルもマークXではなく、レクサスISやジャーマン3のDセグメント級なのです。
こうした変わり方をするぐらいなら名前を消すべきだった、という主張にも一理はありますが、その一方で続いているからこそ、こうした企画展が成立するのも、もう一つの真実ではあります。
長年のライバルだったマークIIも商品企画としては大いに成功したクルマのはずですが、名前を消したことで、こうした企画展というのはなかなか成立しにくくなっているのとは対照的です。(この件、このままいくらでも書けそうですが、主題外なのは明確なのでここまでにて)
展示車だけでなく、展示物の方もやや大き目の画像でご紹介。
こちらは、「日産・プリンス合併50年」のボード。
1枚目と2枚目は掲載済でしたが、3枚目はこれが初だったりします。
合併後の作品として、チェリーとプレーリーが挙げられています。共に意欲的な作でしたが、やや早過ぎたのか販売・評価共に今一つでした。現在は再評価されてもいますね。
こちらはスカイラインのボード。
歴代が当時の出来事を添えて並べられています。
これだけの歴史となると、壮観でもあり、また伝統の重さも感じたりします。
スカイラインが日本を代表する名車の一台であることは間違いありません。
その歴史の長さを考慮しても、日本のセダンとしてはクラウンと双璧だと思っています。
両車共、そんな想いとは裏腹に、なかなか縁が繋がらないんですけれどね。