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2016年07月31日 イイね!

1983年の東西車種別中古車市況(スカイライン編)

1983年の東西車種別中古車市況(スカイライン編)今回は、少し趣向を変えて、今から33年ほど前の中古車情報を解説しつつで取り上げてみることにします。

普通の考え方なら、需要があるのか、かなり微妙なのですが、ここを読まれている方であれば、懐かしく思い返しつつで興味深く読んでいただけるかも、と考えた次第です。まぁ、お試し半分ですね。

当時の市況の引用元は、月刊自家用車誌で毎月、車種別に取り上げられた記事となる「東西車種別市況」からでして、掲載の順番も第一回だったスカイラインでやってみることにします。

連載自体は、当時の人気車種を中心に数回続きましたので、今回が好評であれば他車種でもやってみようかと思うところです。



それでは早速、当時の関東の概況から

引用ここから+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

○中心グレードはセダン、HTとも54~55年式のGT-EX。54年式だと2.5万~3万キロ近辺の走行距離で、セダンで110万円、HTで115万円くらい。55年式だとセダンで125万円、HTは130万円前後と約15万円の差になる。

○4気筒のTI系はGTに比べると極端にタマ数が少なくなる。それでも1800EXあたりが目につき54年セダンで80万円弱、55年だと95万円とGT同様15万円ほどの開きになる。

○ボディカラーはホワイトとシルバーが圧倒的でほかはレッド、ブラック、イエローといったところ。HTだとレッド系が多くなる。

○”スカG”というとヤングのクルマというイメージが強いがそうともいえない。120万円以上のGT-EXだと30代後半から40代にかけてのミドル層が愛用するケースも多いという。(中略)そのため、タマ数はスポーツタイプのイメージが強いのだが70%はセダンで占められ人気もこちらの方が高いくらい。

○AT比率も高く5速車と半々くらい。HTは5速車が主流、TIは4速が主流になる。

○54年式以降だと例外なくエアコン付き車がほとんどといってよい。

○走行距離は前所有者が走り好き、メカ好きの人が多いせいか他車にくらべ長めになる。特にセダンよりHTのほうが走り込んでいる。54年式あたりでも5万キロを超えるケースがよく目につくほど。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++引用ここまで


当時の中古車の中心は、3~4年落ちの”ジャパン”だったということが判ります。新車当時は、EXと同じくらいESも売れたように記憶しているのですが、EXが装備するパワーステとパワーウィンドーが、ESのリヤスタビライザーや4輪ディスクよりも、価値を重んじられるようになっていったことが背景としてあったのでしょう。また引用元にある、主要購買層も関係しているのでしょうね。

当時の新車も同じようにEXの比率が上がっていったように記憶しています。そんなことから、ESはこの年の後半に両装備を備えるポールニューマンバージョンに進化していますね。

ちなみに、55年式のセダンEXの新車価格は、エアコン付きで約180万円です。市場価格から査定価格を推測すると、約90万円となって、50%程度の残価率だった計算となります。耐用年数が今よりもはるかに短かった時代に、この残価の残り方は、さすが人気車と言えそうです。

新車当時のAT比率は、確実にここまで高くなかったですから、新車の販売比率上昇に合わせる形でATの在庫を残して、5速車は地方に回していた可能性が高いですね。



”ジャパン”は55年にターボを追加して以降、イメージリーダーはもちろん販売の主力もこちらに移るのですが、そのターボ、中古車としてはちょうど過渡期だったようです。

引用ここから+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

○ターボは長い間新車のベストセラーを続けていただけに最近めっきりタマ数が豊富になり当たり前の感じで展示されている。55年式の初期モノのセダンGT-EXで148~149万円とギリギリながら150万円割れが目につく。従来はバカ高く売れなくても良い飾り的な存在だったが最近は完全な売り物である。ここまで値がこなれてくると動きも活発になってくる。

○今後の展開としてはジャパンターボ車が58年中にどこまで値がこなれるかだ。その度合いによってはノンターボに代わり市場の中心勢力にのし上がるようになろう。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++引用ここまで


ターボは、様々な商品に波及するブームにもなったくらいで、中古車市場へのインパクトもスゴイものがありました。ターボを展示しておくだけで、お客が吸引できるぐらいな。そんな状況が一段落して、中古車の一部に移行する過程だったのでしょうね。

このターボ、予想通りに中心勢力にのし上がっていくこととなるのですが、市場人気の推移はそれ以上に激しくて、スカイライン全体が、予想もできなかった展開となっていきます。この辺りの詳細は後述。



さらに新しいニューマンは、当時マイナーチェンジ直前の現行モデルということもあり、まだまだ少なかったようです。

引用ここから+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

○現行モデルは56年8月のデビューであり、発売後すでに2年目に入っており、ぼつぼつ市場に出まわりつつある。ただホンモノの中古車は少なく、人気取りやデモカー上がりの新古車が主流になっている。したがってタマ数は少なく、ターボやRSといったハイパワー車が中心になっている。

○ターボはレッド、RSはガン&ブラックのイメージリーダーカラーで占められる。

○(RSは)大半が新古車であり客寄せ用の飾りモノ的存在。当初は、専業店が商売にしようとディーラーから直接購入するケースがほとんどだったが、最近はデモカー上がりの新古車も目立つ。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++引用ここまで


従前、ジャパンのターボが担っていた位置をRSが変わったことが伺える構図です。ちなみに、ターボRSはまだ登場前の時期でした。



ディーラー系中古車の主流は、既に”ジャパン”に移っていた時期ですが、その前の”ケンメリ”や”ハコスカ”もまだまだ中古車としての商品価値があったようです。


引用ここから+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

○新車はベストセラーカーではなくベスト5内に位置するが中古車になると強いのはブランドパワーが大きく影響して長い間市場に流通しているためだろう。したがってケンメリ、ハコスカなどの低年式も結構タマ数は多い。

○セダンのGT-EXを例にとると53年は90万円、52年78万円、51年(GTX-E)50万円などとなっており、この50万円台がよく動く。110万円近辺との二極化現象が顕著になっているともいえよう。とくに50万円台のGTは20代のヤングのあこがれの的になっているほどだ。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++引用ここまで


ケンメリが50万円ですから、今の中古車価格からすると隔世の感があります。この後、ケンメリは、平成初頭にかけて容赦なく潰される対象となっていきまして、おそらくこの時期が一番底値だった時期と言えるでしょうね。まぁ、どんな人気車でも底値の時期があるということなのです。

ちなみに、この当時の西部警察等の刑事ドラマでは、既にケンメリがカースタントの対象として登場しています。中古車価値があるのに、やや不思議ではあるのですが、おそらく人気車故にタマ数が沢山あったため、適正在庫を理由に、多走行や程度悪を淘汰していたのだろうと推測するところです。



人気車故に、日産系他系列はもちろん、他メーカーでも展示してあるという状況だったようで、スカイラインを扱う店というのは多かったようです。そんな中から、ディーラー系と専業店の違いに関して、次のように書かれています。

引用ここから++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

○スカイラインに関してだけはディーラーも専業店もかなりの優遇をされている。安定した評価はいつの時代も変わることがない。展示車の傾向で違いがあるのはディーラーが54~55年の中心年式にしぼったタマ揃えをしているのに対し、専業店は低年式から高年式さらにピッカピカの新古車までバラエティに富んだ展示の仕方をしていること。

○スポーツカー専門店へ行くとスカGターボがワンサとある。GTRやハコスカなども絶対的なタマ数は少ないとはいえ、それほど探すのに苦労することはない。GTRは47年式あたりでも150万円もする。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++引用ここまで


ケンメリの50万円以下が驚きであれば、GTRが150万円というのは、もっと驚きであります。しかも150万円”も”とか、書かれていますし。当然、今を知る由もなく、当時の10年落ちですから、こういう書かれ方になったのでしょうね。ちょうどジャパンのターボが同価格帯になるのですから、あえてのGTRというのは、当時としても既にマニアの領域だったとも言えます。



最後に、東西とあるとおり、関西の概況を引用してみることにします。
関東との微妙な違いをお楽しみいただければ、と思います。


引用ここから++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

○中心グレードはGT-EXの5速、年式は53年。EXの価格の目安は、53年式98万円、54年式112万円~118万円、55年式125万円~136万円というところ。

○白以外の色なら5万~10万円安くなるし、AT車は10万円安になる。

○売れ筋の条件として、54年10月以降の角目なら申し分ないが、平均すれば2割以下しか展示場にはない。従って、角目は少々高めのまま。

○EXより低グレードのELなどは売れ筋の条件からはずれるため、EXより15万~20万円は安く買える。もっとも展示場で見かける割合は”ジャパン”で2割くらいである。

○ターボ車ももちろん狙い目だ。展示場によっては半数ちかくを占めるまで増えている。

○56年以降の現型式は最も人気が高い。なかばターボが常識になっており、56年のEXで165万~170万円、57年式は189万円が目安となる。RSはめったにないが、56年式で200万円、57年で219万円。

○また48~52年の”ケンメリ”、ディーラー系ではまだまだ探せる。49~50年式は25万~38万円、50~51年式は20万円、52年は50万円前後でセダンが人気。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++引用ここまで


中心車種として挙げられている53年式は、ジャパン登場の翌年ということで、新車がよく売れた時期でもあります。関東よりも中心が1年くらい古い一方で、現行型の人気が既に盛り上がっている辺りが新しモノ好きを表している気がしますね。

また、ATに関する違いも興味深く。AT人気は東京から他地方へ飛び火した状況を表しているのかもしれません。



といったところで、いかがだったでしょうか。
文字ばかりとなりましたが、興味持ちつつで、読破されたのであれば、ブログ主としてもとてもうれしく思います<(_ _)>


スカイラインの人気は、ここまでずっと続いてはきたものの、この後ぐらいから、マークII3兄弟やソアラ等のトヨタ勢に押される展開となっていきますね。

人気車故のタマ数の多さが、価格の維持を難しくしたこともあって、この後の価格下落は相当なものがあったというのは、以前に掲載したブログカテゴリーから感じていただけるだろうと思います。

それにしても、何よりの衝撃はGTRの当時の価格ですね。検証する術は持たないのですが、物価比ではこの辺りが底値だった気がするのですが。
Posted at 2016/07/31 21:30:19 | コメント(6) | トラックバック(0) | 古の中古車情報 | クルマ
2016年07月30日 イイね!

車検前の確認ほか

自車は、あとは車検を待つばかりと思っていたのですが。

前回、もうすぐ30,000kmという話を書いたあとぐらいから、運転席のウィンドーを下す際に、異音と引っかかりが出るようになりました。数回上げ下ろしをすると、音は消えるのですが、引っかかりは残ったまま。

症状からして、ウィンドレギュレーターを疑うことになる訳で、部品交換なら車検と同時が良かろうなどと皮算用をしつつで、販売店に出かけてきました。

運良く(?)販売店でも症状は出たため、「グリスを塗ってみますか」となったのですが、診断結果は、水切りモールへの異物噛み込みだったとのこと。清掃後は、もちろんスムーズな操作も回復しました。

疑いは晴れた上、無故障記録継続となり、結果オーライではあるのですが、ワイヤー式である以上、他車での窓落ち事例を知ることもあって、どうにも完全な信頼には至りません。「ベンツは弱いですからね」などと耳にすると尚更(笑)。81は、パンタ式最後の世代ということで、最後まで窓落ちせずで過ごせましたが、こちらはどこまで記録が伸ばせるやら・・・




販売店には、こちらの展示車・試乗車の両方がありまして、ウィンドーの手当て中、展示車を眺めていました。

先代比で、前出しされたフロントアクスル、前傾姿勢が弱められ結果的に小さくなったフロントウィンドー、大径化されたタイヤ&ホイールといったあたりは、W204→W205での変更と同じですね。

サイズに余裕がある分、フォルムの流麗さはなかなかのものでありまして、パッケージングよりもプロポーションが重視されたと思わしきスタイリングは、もはや実用セダンの域にはないような気もします。

イイ感じで張り出している大径化されたタイヤ&ホイールは、特にリヤ側の存在感に圧倒されるものがありまして、そのサイズは何と275/35R19!。四半世紀前に驚かされた、初代アリストのリヤタイヤが、245/50R16ですから、この間のタイヤサイズのインフレには目を見張るものがあります。このまま大径化&幅広化が進む一方なのかな、というのも気になるところですが。


インテリアは、12.3インチのディスプレイを2枚並べたインパネが売りの一つでありまして、シフトレバーをステアリングコラムに追いやり(?)、その空いたスペースを生かして、かなりスラントさせたセンターコンソール共々、新世代であることを主張しています。こちらもCクラス以上にスペシャルティ感が強くなりましたね。

そんな内外装の意匠ながらも、リヤエンブレムは”E200”というのが一つの主張かと思います。国内のEクラスで200となると、まだミディアムクラスと謳われていた頃のW115まで遡ることとなりますし。
直6が収まっていても違和感がない長いノーズの下に収まるのは、Cクラスと同じ直4、2.0Lのターボとなって、もしかすると評価が分かれるポイントなのかもですが、C200に乗った印象からすれば、このサイズでも実用上は全く問題ないと推測するところです。


もっとも、ここまでの視点はきっと本筋ではなくて、何よりも注目すべきは、やはりインテリジェントドライブと銘打たれた運転支援装置なのでしょうね。先代にもあったレーダーセーフティの順当な進化なのですが、ここまでの強力なサポート&アシスト機能を市販車として市場に問うてこられると、やはり感嘆させられます。
今回導入された、アクティブエマージェンシーストップアシストの機能なんて、実際に発揮する機会こそ少ないのでしょうが、制御不能状態の抑止にはかなりの効果があるのではないでしょうか。
この種の機能は、運転の集中を欠くことになるという視点で否定的な見解も多いのですが、今のところその機能の根幹は、ちょっとした不注意やミスをカバーするところにあるということからすれば、私は必要な機能だと思うのです。

ただ、これって機能が高度化すればするほど、受け取り側の理解もそれに追いつく必要があるなとも。まだ過渡期ということもあって、センサー・機能・制御は各種あり、名称も不統一。その一方で売り手は、同じようなイメージを掲げて送り出しているのが現状なんですよね。


手の届かないクルマの話はこれぐらいで、自車に話を戻します。

車検前の状態確認ということで、リフトに上げた状態で下回りを見せてもらいました。
当然、打ち傷等もなく、ブッシュ類も状態は良好とのこと。気にしていたブレーキパッドは、現時点でまだまだ残っているそうで、残量からの推測では、60,000km程度は使えそうな気配。

こうなると、メンテナンスプラスの加入による損得勘定は微妙となってくるのですが、「ブレーキ系の交換なしでも4年目の交換部品込みのため、損はしないはず」というお勧めに従って、加入することとしました。車検自体は、代車の関係でお盆明けからの入庫となります。

その際の雑談話も少し。
走行距離からすると状態良好という診断だったのですが、パッド残量にはキャリパーの小ささが、ブッシュの状態にはタイヤサイズが寄与しているのでは、という話がありました。先方の印象としては、ビッグキャリパーモデルの方がパッドの減りが早い気がするそうでして、ワイドタイヤも同様とのこと。

乗り方が起因する部分も大きいですから、真偽は不確かなのですが、私の使い方では現状の仕様で性能に不足を感じていない以上、多少なりともロングライフに結び付いているのであれば嬉しい話ではあるのです。イザ交換の際の部品代もお安くなるのでしょうし。
Posted at 2016/07/30 21:14:38 | コメント(3) | トラックバック(0) | W204 | クルマ
2016年07月24日 イイね!

「美しいクルマ」を違う視点から

前回の「美しいクルマ」話において、営業部長さんから寄せられたコメントに、とても共感しましたので、ブログネタに取り上げてみることにします。

美しいとなると、どうしてもハードトップやクーペの流麗なスタイリングを思い浮かべるということで、私選5傑としてみたのですが、その一方でセダン、特にベーシックな方にもいいデザインはあると思っています。

セダンである以上、機能を犠牲にしてはならないですし、ある程度の量販も課せられる。ある種、スタイリングに特化したモデル以上に難しいのが、セダンのデザインだとも言えるわけです。

長い歴史であるとか、数多く売れたとかで、埋没しがちではあるのですが、そんな中にもきらりと光るデザインは、確実に存在します。同じ理由から、こういう切り口ではあまり取り上げられることもないのも事実でありまして、であれば、ここでやってみるのも意義があるかなと。

そんな観点から、私の好きなセダンのデザインを順不同で挙げてみます

○5代目コロナ



形式名の”100コロナ”よりも”安全コロナ”の方が有名かな。
営業部長さんは「ザ・セダン」、私は「小型セダンのお手本」という言葉で高く評価しているデザインです。

70年代初頭のデザイン傾向は、豊かになった時代を反映して、曲線主体となるのですが、だんだんと機能の犠牲や装飾過剰の部分も見受けられるようになっていきます。

そんなデザイン達に異議を唱えるかのようなこのデザインは、一種の清涼剤的に映ったものです。サイズ自体は、同級他車とほぼ横並びながらも、どこにも破たんのないバランスのとられ方は、ひとえにデザインの勝利だと言えます。

そのデザインに目を奪われがちですが、汚れ防止の観点からリヤテールの下側を奥に入れてみたり、エンブレムやホイールキャップから角を排除する等、ディテールも実は意欲的だったりします。

このデザインの意味合いについては、ひとりのデザイナーの手記として、登場時のカタログの最初の見開きに掲載されたものが、ほぼ言い表していますので引用してみます。

以下引用。
「新型コロナは、意味をもたない流行的なものは意識的に排除し、真のクルマの魅力とは何かを追求することによって、本質的な美しさに迫ることを試みたクルマである。それは、わざとらしさや、鬼面人をおどろかすといった作為をとりのぞき、クルマの魅力をほり下げること、および、デザイナーの造型的モラル、能力の高さで達成されるべきものだと思う。新型コロナのデザイン作業をほぼ完了した現在、このクルマが『カッコ良いとか悪いとか』いう皮相的な基準でなく、『なにが良いか、なにが悪いか』という、より本質的な基準とデザインをすすめたことに対する満足感と、さわやかさを感じている。このクルマが、良識ある多くの人びとに認められ、使命を全うすることを心から願っている。」

このデザインは、実際に多くの人びとに認められて、ベストセラーを長く続ける要因となりました。それにしても、この手記は、このデザインだけに留まらず、クルマのデザインとはというもっと大きく重い部分をも意味しているように感じてなりません。



○8代目コロナ



形式名を取って”150コロナ”と呼ばれる世代です。
FF化にあたって、先代より全長を150mm縮める等、思い切ったパッケージングの再構築がされています。

それを包むデザインも、決して大きく見せようとはしていないものの、ミドルサルーンらしい落ち着きが感じられます。この時代のセダンらしく、パッケージングを重要視しながらも、他車では見られがちだった不自然さを感じさせない点も高く評価したいところ。

豪華さが一気に進んだ時代の中では目立たなかったものの、このデザインも本質的なものだったと思います。

この世代の5ドアは、コロナ歴代で見ても珍しい、4ドアから離れたデザインがされています。他の世代は、どうしても販売の中心は4ドアということで、4ドアとの近似性を感じることが多かったのですが、この世代は5ドアが先に登場したということもあって、このような関係だったのだろうというのは、推測。

故徳大寺氏は、4ドアはアウディ80からの、5ドアは(リヤエンドコーナーに)ポルシェ928からの影響を指摘しつつも、このデザインを「最もアップトゥデイトでヨーロッパ的」と評されていましたね。



○9代目コロナ



またコロナかと言われそうですが(笑)
こちらは”170コロナ”となります。

先代の特徴的だった部分はやや戻されて、当時のトヨタ金太郎飴群に組み込まれた感もありますが、決して威張らないディテールはやはりコロナならでは。

空力とトランク容量のアップを狙ってリヤハイデッキも取り入れられていたりするのですが、あえてそうは見せないデザインというのも実に巧み。

この世代、過去からのオマージュが各所に見受けられまして、サイドストライプは4代目から、ホイールキャップは5代目からかなぁと。

この後世代からは、プリメーラからの影響もあってか、和風味は薄れましたので、準和風セダンとしては、最後の世代と言えると思います。



○2代目カリーナ




5代目コロナの成功で自信をもったのか、その方向性の後続となったのが、この2代目カリーナです。形式名だと”40カリーナ”となります。

初代はセミファストバック&縦型テールランプを採用していましたが、一転してノッチバック&ほぼスクエアのテールランプとされています。

「機能をつきつめて行くと、シンプルな世界にたどり着く」というのは、これもカタログからですが、この明確なスタイリングを見ていると、頷けるものがあります。

衒いのないという形容詞が似合いそうなデザインですが、フロントのコーナーを面取りして、取り回しに配慮する等、意欲的な部分も見受けられます。

登場以降、ウレタンバンパーの採用や、スラントノーズ&角目化等の手が入ることとなりますが、個人的評価では、この初期型に一票を投じます。(後期のスラントノーズは、ウレタンバンパー&セリカカムリでのリヤクウォーター大幅変更との組合せでは、ウエッジ基調が新たに強調されることとなって、これはこれでよいと思いますが)



○4代目カローラ




コロナ・カリーナと続いた、明確なノッチバックのデザインはこの”70カローラ”にも受け継がれます。
この前の130コロナまでは、サイドビュー等に緩やかな面が見受けられましたが、これ以降、直線&シャープな面構成がトヨタの主流となっていくことからすると、ここが転換点という見方もできますね。

量産車らしく、スプリンターを含めると、様々なボディ形状が存在しますが、一番出来がいいのはカローラセダンというのは、個人的主観。

大衆車として定義された枠内のサイズの割に、ウェッジを基調とするバランスの取れたデザインは、イタル作という噂がありまして、なるほどと頷けるものがあります。

初代から3代目までのデザインから飛躍したことで、ユーザー受けを危惧する声もあったようですが、このデザインはライバル車のFF化が進む中で、FRのままでの戦いを強いられたカローラの強力な武器ともなりました。

ここで提案型のデザインに自信を持った設計陣は、次世代でさらなる提案を行ったものの、こちらは飛び過ぎという評を受けることとなります。



○6代目ブルーバード




形式名の”910”で有名な世代です。

70カローラを大衆車クラスの傑作デザインとするなら、同時期の小型車クラスの傑作デザインは、これを迷わず挙げます。数少ないFRとなりながらも、そのデザインが販売の武器となったのもカローラ同様。

610・810と続いた曲線基調のデザインからの一大転換は、510の再来と評されましたが、510により近いA10バイオレット3兄弟と比較してみると、このデザインの新しさがより解り易いかと。

外国人デザイナーの起用はアナウンスされていないのですが、この前に出たプジョー604に通ずる部分がありまして、何となくピニンファリーナを連想させます。もっともリヤウィンドーを曲げてみせることで、キャビン大きさとピラーの細さによる軽快さを両立させてみたり、まだまだ少なかった異形角形ヘッドライトの採用等、新時代の息吹も積極的に取り入れられていたりします。




営業部長さんは、標準バンパーを推されていまして、引き締まったデザインの切れ味の点では共感するものの、こちらの大型バンパーもいいよなぁと思ったりします。

ここまで挙げてきたコロナ・カリーナ・カローラは、大なり小なり小型バンパー派なのですが、これは本当に悩みます。当時、このグレーツートンのセダンに惹かれまして、私的贔屓目が入っているのも大いに影響していますけれども(笑)




○8代目ブルーバード



ブルーバードでもう一世代挙げてみます。形式名の”U12”で呼ばれることが多いですね。

この先代となる”U11”は、長くベストセラーを続けた910の呪縛を感じずにいられませんでしたから、そこからの飛躍には、新時代の到来を感じたものです。

4ドアハードトップが一世を風靡していた時代でしたから、このブルーバードも4ドアハードトップの比率が高かったのですが、私的にはセダンの方を高く評価していました。

上で挙げた170コロナと僅か数ヶ月違いの登場。近似性が認められるスタイリングだけでなく、メルセデス190の影響を受けたインパネデザインというのも同じでしたが、やはりこちらも好きだったのです。

ブルーバードのセダンは、次世代で北米を志向することとなりますから、やはり和風様式はここで一旦終結と言えそうです。(U14も和風味が戻ってはいるのですが、それでもP11風味の方が強いように感じます)



といったところで、いかがだったでしょうか。
セダンは、上で書いたとおり、長い歴史の中で数多く登場しましたから、異論はあるでしょうし、それを否定もできません。まぁ、前回の実的感覚と合わせつつで、私の好みを感じ取っていただけると、とても嬉しいところです。

これらのデザインは、視界の良さや四隅の把握のし易さ、後席の開放感等、機能要件を積み重ねていくと、きっと帰結する形だと思うわけで、美の中でも機能美という言葉が相応なのでしょうね。

もう一つ、取り上げた車種は、そのデザインが寄与することでベストセラーカーとなったクルマが多くて、その多さ故にかえって突出した評価とはなりにくいと言えます。しかしながら、その多さが気にならなかったということは、やはりデザインの質が高かったのだろうと思うのです。

それにしても、今回の収穫は、安全コロナで引用した一文であります。
2代目ソアラを取り上げた時に引用した「質の高いデザインと質の悪いデザインがある」という言葉も印象深かったのですが、今回の引用文も、かなり強い印象として残りました。やはりデザイナーという専門家の発する言葉には、重みを感じずにはいられません。

安全コロナの登場から、40年以上の時間が過ぎましたが、今という時代だからこそ、むしろ考えさせられるものがあったというのが、心境に近いところでしょうか。
Posted at 2016/07/24 20:16:09 | コメント(9) | トラックバック(0) | みんカラ投稿企画 | クルマ
2016年07月19日 イイね!

あなたが選ぶ!「美しいクルマ」を教えて下さい!

また、みんカラ投稿企画に乗ってみることにします。

今回の企画は「美しいクルマ」だそうですが、どうも自分の美的感覚に自信はなかったりします(笑)

「実用車ではスタイリングは重要ではない」とか「セダンはパッケージングが大事」とかいう自動車評論に育てられていることが大きいかな。

名車は結構スラスラと出たのですが、こちらは「美しい=エレガント?」と「カッコイイとは別?」といろいろ混ざってしまい、結構悩ましかったです。

事前に言い訳しつつ、世界となると荷が重いので、日本車での5選としてみます。


○Z20ソアラ



半年ほど前に、開発の背景を記載していますが、スタイリスト出身の岡田主査が手練れを集めて練り上げたスタイリングは、ディテールに至るまで手が込んでいて、やはり秀逸だと思います。その中でも、デリケートなラインで構成されるキャビンのデザインですよね。ここは、ソアラを象徴するものでもありますし、かなり力が入っていたのだろうなと。

ワールドワイドな視点だと、線が細く映るのかもしれませんが、これこそが日本の繊細さだと言いたくなるのです。



○S13シルビア



これまた5ナンバーサイズで美しくまとまったクーペです。
こうして改めて見ると、当時こそエアロパーツ付が多かったですが、今では無がいいように映ります。全長に対して、ややホイールベースが短い感もありますが、フロントの絞り込みがそれを目立たせていませんね。
見どころは、フロントマスクとキャビンのデザインだと思います。Bピラーからドアのオープニングに至るラインなんかは、圧巻の一言なのです。



○Y31シーマ



もしかすると意見が分かれるかなと思いつつも、自分の感覚を信じて、これを挙げます。
セドリック/グロリアベースとは思えない、シンプルかつ量感あふれるデザインが良いなと。
これで幅1,770mmですからね。シンプルと言えば、フロントマスクとリヤビューも同様でありまして、とかくディテール部を飾りがちなクルマはこれを再考すべし、などと。



○HDセンティア/アンフィニMS-9



このクラスを研究し尽くした末に、パッケージから変えなきゃ差別化ができないという結論から生まれたスタイリングは、未だに空前絶後の出来だと言えます。
その飛びっぷりには、当時という時代では、その美しさが理解されなかったのも解る気がします。見所は、やはりリヤビューと思っていまして、リヤウィンドー、トランクリッド、リヤクォーターそのどれもが複雑な面構成に圧倒されます。それに加えて、リヤタイヤがグネグネ動くという秘技もあるのです。



○CB5インスパイア


これも、意見がわかれるかもですが、あえてのナロー版指定で挙げてみます。
ホンダ流のノーズの低さに、フロントミッドシップで実現したロングホイールベースの組合せは流麗の極致。このスタイリングが、5ナンバーサイズのFFだなんて、今のクルマしか知らない人には、信じられないだろうと、つい言いたくもなろうというもの。



挙げてみた5台はいかがでしょうか。
自分の好みは、半ば固定観念と化しているのかもしれませんが、やはりノッチバックかなぁと。ボンネット・キャビン・トランクの各長さとA・B・C各ピラーの傾斜角から編み出される形に、美しさの肝がある気がするのです。

この5台を並べてみると、シンプルなディテールや主張しないキャラクターライン等、共通項があるように思います。昨今ではなかなか見られなくなったデザインテイストなのですが、こういうデザインの方が時間の経過を超越できる気がするのですけれどね。
Posted at 2016/07/19 21:33:47 | コメント(8) | トラックバック(0) | みんカラ投稿企画 | クルマ
2016年07月17日 イイね!

150カリーナ マイロード他のカタログ

150カリーナ マイロード他のカタログブログカテゴリが増えてしまったこともあって、「久方ぶり」という言葉が枕詞になりつつあります(笑)

そんな今回の久方ぶりは、トヨタ自動車発行の特別仕様車パーツカタログとにらめっこしながらの特別仕様車編です。

どうにも、このカタログ、モデルの網羅性にしても、追加装備にしても、掲載されている内容が今一つ信憑性に欠けている感がありまして、悪戦苦闘を強いられます。

このため、150カリーナのパーツカタログを確認しつつの照合作業を行っています。それでもなお、今回はカタログが不足していることもあって、今一つ自信はなく。

そんな状態での掲載は、他の情報も疑われてしまうこととなりそうですが、そこは30年近く前ということでご容赦いただくこととします。

前段はこのくらいで、今回は150カリーナの後期編です。


【「40周年記念特別仕様車」SGエクストラ】
●生産時期 198608 - 198612
(ベースグレード)
 SGエクストラ

(特別装備)
 A1.カラードウレタンバンパー
 A2.カラード電動リモコンドアミラー
 A3.幅広サイドプロテクションモール
 A4.パワーステアリング
 A5.EXTRA刺繍入りフロントヘッドレスト

(外装色/内装色)
 a1.スーパーホワイトII(040)/ダークベージュ(FD42)
 a2.ウォームグレーM(165)/ミディアムグレー(FD12)
 a3.ベージュM(4G8)/ダークベージュ(FD42)

この年、トヨタ店は開設40周年記念ということで、カリーナの他にもカリーナED、クラウン、マスターエース等にも同様の40周年記念車がリリースされていました。

ちょうどトヨタが軽自動車を除いた乗用車のシェアで50%獲得を目指した「T50作戦」を発動した時期(1986年1011月に達成)でありまして、量販車のカリーナはその一環を担う役割がありました。

ベースとなったのは、この年の5月に行われたマイナーチェンジで追加されたばかりの1500SGエクストラ。SGエクストラ自体、ユーザーの好みを反映した最多量販グレードでしたし、そこから僅か3ヶ月での追加ということで、販売への意気込みを感じずにはいられない特別仕様車なのです。



【マイロード】
●生産時期 198612 - 198709
(ベースグレード)
 SG(1500・1800・2000ディーゼル)

(特別装備)
 B1.カラードウレタンバンパー
 B2.カラード電動リモコンドアミラー
 B3.幅広サイドプロテクションモール
 B4.パワーステアリング
 B5.フルホイールキャップ
 B6. ブロンズガラス
 B7.ハロゲンヘッドランプ
 B8.タコメーター&ツイントリップメーター
 B9.MY ROADエンブレム 
 B10.高級ファブリックシート
 B11.パワーウィンドー(オプション)
 B12.電磁ドアロック(オプション)

(外装色/内装色)
 b1.スーパーホワイトII(040)/ダークベージュ(F?42)
 b2.ベージュM(4G8)/ダークベージュ(F?42)
 b3.レッド(3E6)/ダークベージュ(F?42)

カリーナお馴染みのマイロードは、150前期型にもありましたが、後期型はここで初登場しています。

40周年記念車の後を受けての登場ですが、今回から1800と2000ディーゼルも対象となったこともあってか、ベースグレードはSGエクストラからSGに変更されています。そのため、1500には40周年記念車で設定のあった5速マニュアルと4速ATに加えて、4速マニュアルと3速ATも新たに追加されています。

サイドストライプやシートアンダートレイ等、一部外された装備がありますので、SGベースで正しいのですが、どちらかというとSGエクストラに近いため、追加装備が増えた形となります。



【Newマイロード】
●生産時期 198709 - 198712
(ベースグレード)
 SG(1500・1800・2000ディーゼル)

(特別装備)
 B1.~ B9.
 B10.高級ファブリックシート(マイロードとは別生地)
 B11.パワーウィンドー(標準装備)
 B12.電磁ドアロック(標準装備)
 B13.ウレタンステアリングホイール&ウレタンシフトノブ&ウレタンパーキングレバー

(外装色/内装色)
 b1.スーパーホワイトII(040)/ダークベージュ(FP42)
 b2.ベージュM(4G8)/ダークベージュ(FP42)
 b3.レッド(3E6)/ダークベージュ(FP42)


この年の5月には、クラスの枠を超えたと謳った90カローラ&スプリンターが新登場。一クラス上のカリーナとコロナは、その影響を受けずにはいられないわけで、ちょうどいいタイミングだったのでしょうね。

マイロードとの比較では、パワーウィンドーと電磁ドアロックの標準装備化が大きいですね。1500ccクラスでも、ファミリアのS-XEを皮切りに、サニースーパーサルーン、カローラSEリミテッド/スプリンターSEサルーンと両装備を標準装備にするグレードが増えつつありましたから、その流れに乗ったと言えそうです。



【エアコン付Newマイロード】
●生産時期 198712 - 198804
(ベースグレード)
 SG(1500・1800・2000ディーゼル)

(特別装備)
 B1.~ B13.
 ただし、パワーウィンドー&電磁ロックはアームレスト一体型に変更
 B14.エアコン&クールボックス

(外装色/内装色)
 b1.スーパーホワイトII(040)/ダークベージュ(FP42)
 b2.ベージュM(4G8)/ダークベージュ(FP42)
 b3.レッド(3E6)/ダークベージュ(FP42)

兄弟車のコロナが一足先に170型へモデルチェンジしたことを受けて、カリーナはエアコンを特別装備に含めることで、更なるお買い得感を強調します。

このエアコン、販売店装着オプションでしたが、確か別買いよりも、割安だったと記憶しています。


以下、1987年12月発行のカタログを掲載。







後で掲載するベースグレードとの比較が判りやすいのですが、カラード化、フルキャップ、ブロンズガラス等による豪華な印象が売りとなっていました。

ロッドアンテナ等、細かい仕様こそ違いがありましたが、一見最上級のSEエクストラ風の外観がお買い得価格で購入できるという構図です。

ここまでやるなら、エアコンはオートが欲しくなるところですが、ベースグレードには設定がなかったことが影響しているのでしょうね。



150後期では、マイロード以外の特別仕様車として、マイライフが2代目の前期以来、久方ぶりに復活しています。もっとも、これが最後ともなってしまうのですが。

2016/07/17 特別装備の内容に誤りがありましたので、修正を行いました。


【マイライフ】
●生産時期 198709 - 198712
(ベースグレード)
 DX(1500)

(特別装備)
 C1.ドアミラー(手動式)
 C2.ドアサッシュブラックアウト
 C3.サイドプロテクションモール
 C4.フルホイールキャップ
 C5. リヤ大型バンパー(PP)
 C6.MY LIFEエンブレム
 C7.クリアランスランプモニター
 C8.パワーステアリング
 C9.タコメーター
 C10.トランクオープナー 
 C11.2スピーカー(ベースグレードは1スピーカー)
 C12.フタ付リヤコンソールボックス
 C13.パワーウィンドー

 C14.SG用のシート&ドアトリム

(外装色/内装色)
 c1.スーパーホワイトII(040)/ミディアムグレー(FA12)
 c2.ウォームグレーM(165)/ミディアムグレー(FA12)

ベースが下から2番目のDXということもあって、SGに近づけようとするだけで、これだけの追加装備となってしまいます。SGで良かった気もするのですが、価格訴求力のあるグレードが必要とされていたのかなと思わせる特別仕様車です。マイロードが豪華になったことから、その隙間を狙ったのかもしれません。



【エアコン付マイライフ】
●生産時期 198712 - 198804
(ベースグレード)
 DX(1500)

(特別装備)
 C1.~ C4.
 ただし、サイドプロテクションモールは幅広タイプにアップグレード
 C6.~ C12.
 C14.SG用のシート&ドアトリム 
 C15.カラードウレタンバンパー
 C16.ラゲッジトリム
 C17.エアコン

(外装色/内装色)
 c1.スーパーホワイトII(040)/ミディアムグレー(FA12)
 c2.ウォームグレーM(165)/ミディアムグレー(FA12)

同じく1987年12月のカタログ画像です。



Newマイロードと比べても、マイライフへの追加は多くされています。
ここまでやると、一つ上のSGとは逆転となる仕様も散見されます。

しかも、元はDXですから、価格競争力はかなりのもの。競争相手はむしろ、一クラス下を想定していたと思われます。

カラードウレタンバンパーとフルキャップで見た目を整えつつも、ロッカーパネルはモールレスのボディ同色というあたりで、鋭い人にはベースを見抜かれそうな気はします。
また、この装いは、当時の中古車特別仕様っぽくもあり(笑)





左頁には、1500の標準グレードが掲載されています。
先述のとおり、特別仕様車とこれらで比較すると、外観の見栄え向上が実感できると思います。何せ、ビジネスグレード然としたDX(これはこれでファンがいそうですが)がマイライフに化けているのです(笑)


右頁は、メカニズムや主要装備一覧です。
既にカムリやカローラ等では、ハイメカツインカムが売りとなっていた時期ですが、一世代古いカリーナは、SOHCのままとされていました。
主要装備一覧で、ベースグレードとの軽い対比は可能です。実は掲載されていない仕様差があるのが、深みに嵌りたくなる理由でもあります(笑)





裏表紙には、諸元表と内外装色の設定一覧が掲載されています。
1800のATやディーゼルだと、車重1トンを超えてしまいますが、それ以外は1トン以下。1500は、自動車税がワンランク下がることもあって、維持費の面でもお買い得でした。

それをユーザー側が見抜いていたからこそ、1500を中心にして売れたのですけれどね。





当時の埼玉地区の価格表です。
全国統一価格が導入されるまで、埼玉は東京よりも5,000円程度高かったと記憶しています。

参考までに、ベースグレードの東京地区の価格を掲載すると、

 ・1500DX(4MT):1,050,000円
 ・1500SG(4MT):1,113,000円
 ・1800SG(5MT):1,261,000円
 ・2000D SG(5MT):1,366,000円

となります。
ベースグレードではオプションとなる、エアコン代184,000円とパワーステ代46,000円でしたから、追加装備を含めて勘案すれば、「まぁ、お買い得」となったわけです。


ちなみにカローラの価格は

 ・1500TX(4MT):1,006,000円
 ・1500XE(4MT):1,116,000円
 ・1500SE(5MT):1,230,000円
 ・1500SEリミテッド(5MT):1,299,000円
 ・1800D SE(5MT):1,342,000円

でした。

カリーナは、モデルライフ後半特有の大幅値引きも可能でしたから、1500はもちろん1800ですら、価格的にはカローラ/スプリンターと競合可能でした。この時期のトヨタセダンでは、最大の敵は身内にあるというのが、ここでも当てはまるのです。


余談ではありますが、父の知人から「ATで予算は150万円+。適当なクルマは?」と問われた時に、1800マイロードをお勧めしたことがあります。最初はカローラSEリミテッドをお勧めしたのですが、「ゴルフ場へ行くのに、人を乗せるには狭い」となりまして。
このカタログも、その商談の際に貰ったものですね。

実際の価格交渉では、1800マイロードにステレオと付属品を付けて、160万円ぐらいで収まっていたと、おぼろげ乍らに記憶しています。確かにモデル末期でしたが、1800の小型車が1500クラスと同等価格なら、悪い選択ではないと思ったものです。



といったところで、いかがだったでしょうか。

カリーナというと、特に3代目以前は、どうしてもGTのイメージとなってしまいますかね。
ところが、当時の最前線では、GTはあくまでもイメージリーダーであって、実際の最多量販は、2代目だと1600のDXやスーパーDX、3代目でも1500SGだったわけです。


このカリーナFFの設計陣は、当然この辺りを理解されていまして、

 ・「性格的には、コロナの豪華指向に対して、カリーナはシンプル指向。簡素ですっきりしており、ある意味ではスポーティ」
 ・「カリーナのユーザーはやはり調べてみますとコロナよりは少し若めです。が若い人ばかりではないわけで、結構お年の方も、ユーザーの方としております。」
 ・「女性が意外と多いのです。特に小型車として考えますと非常に多いのです。小型車は確か13%くらいだと思うんですけれども、カリーナは18%です。18%というのは大衆車の平均くらいです。」

(以上、月刊自家用車誌の車種別総合研究より、当時、製品企画室の主査だった和田明広氏の発言を引用)

といったあたりを、開発の際の位置づけやユーザー像として、話されています。

コロナとのデザインの違いについては、同じく車種別総合研究より、当時、デザイン室主担当員だった梅田晴郎氏の解説を引用してみます。

 ・「カリーナは国内だけしか売らないですが、コロナは世界の各国に輸出しているわけですね。そういう点でコロナは、どちらかというとまろやかな、今の欧州車のような形で作り、それに対してカリーナは、「日本人の感性というのは、もう少し違ったところにもあるんじゃないか」というところを狙ってみました。
 ・「それから広いユーザー層をもっているけれど、コロナよりはむしろ若い人にもっと売れるかもしれない、ということがありまして、軽やかに見せる、そういう意味でのおしとやかさ、健康さを持ったスポーティですね。」


FR時代は、カリーナ、コロナ共に輸出をされていたのですが、FF化にあたって、カリーナは国内専売セダンとされています。カリーナを日本人の感性に沿って作れるし、両車のイメージ構成もしやすいしというこの戦略、和田氏が整理をされたようですが、なかなか巧みなものでしたね。(そんな経緯を知る身としては、末裔にあたるアリオンとプレミオが、先日のマイナーチェンジであそこまで近付けられたのには、感慨深いものがあります。)


スポーティの解釈は、いろいろあると思うのですが、シンプル指向のユーザーに向けて、最適と思えるものとして、FFカリーナを作ったというところだと思います。スポーティ志向の強いカリーナと言えども、ファミリーカーの大勢がFFに移行する中では、決して無視ができる情勢にはありませんでしたし。

その分、GT特に2000級との相性は、決して良くはなくて、当時流行したホワイトのエアロパーツを纏うことも可能だった2000GT-Rも登場の翌年に追加されていますが、結局これが、カリーナの最後の2000GTとなってしまいました。

GTが持っていた上級指向の部分は、GT-Rと同時に登場したカリーナEDの方が受け持つことになったという点も大きいところではありますが。


この時の路線変更は、FF化以降のカリーナの性格付けを決定付けて、現在のアリオンに至ったことを思えば、決して間違いではなかったと思います。まぁ、それは突出した特徴の類ではありませんので、FR時代の旧車人気をFF化以降は受け継いでいない辺りも含めて、賛否は分かれるのかもしれませんね。

話を今回の特別仕様車に戻すと、そんなシンプル指向のユーザーに向けて、当時のちょっと豪華と思わせる装備を厳選して、お買い得価格で提供したグレードとなります。
非常に勘所は掴めていて、後期は殆どがこのグレードじゃないかと思えるくらい、売れましたね。今でも強い印象ではないものの、こうして掲載してみると、当時(近しい方も含めて)乗っていたなんて方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

・・・といったところで、今回のちょっと長い話を閉めることとします。

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何シテル?   07/31 22:03
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