持ち主の方はいろいろ諸事がある一方で、自車の方は相変わらず快調に走行距離を伸ばしています。
この時期は、クルマには適した季節ではありまして、イベント関係も多数。諸事の関係もあってほとんど見送っておりますが、そんな中で出かけたものを記録に残しておくことにします。
また取り上げるの?の感があるかもしれませんが、日産 グローバル本社ギャラリーでは、ロングラン企画として
「The Game Changers〜革新をもたらしたクルマたち〜」が展示車を更新しつつで開催中。
この企画、リンク先の説明にある通り、日産の中でも特にエポックメイキングなクルマを取り上げようというもの。多くのモデルが存在してきた日産車ですから、「これは・・・」とか「他にも・・・」といった意見が存在しそうですが、まぁそこは正解は一つではなく、色々な意見があってもいいよねということで。
話が脱線しそうなので、そろそろ11月3日から展示中のクルマをご紹介。
○1988年(昭和63年)セドリック シーマ タイプII Limited

全長:4,890mm
全幅:1,770mm
全高:1,380mm
ホイールベース:2,735mm
車両重量:1,640kg
最高出力:255PS/6,000rpm
最大トルク:35.0kg・m/3,200rpm
東京地区標準価格:5,100,000円
偶然にも(?)、ちょうど翌年春の発売に先駆けて30年前の東京モーターショーに参考出品されたのが最初だったりしますね。展示車は、この参考出品車にも使われたイメージカラーのグレイッシュブルーでした。左後ろに傾いているように映ったのですが、もしかするとエアサスの抜け?
有名車ではありますが、一応概要等から。
クラウンが新型(130系)の開発に際してワイドボディ仕様を新設するという情報を得た日産は、開発が進んでいたセドリック/グロリア(Y31)にも急遽ワイドボディ仕様の設定を決定します。こんな経緯のため、Y31の発売から約半年の遅れで発表されたのが、このシーマでした。シーマの前にセドリック/グロリア名が付くのも同じ理由。
その遅れが車格を上に見せる効果となったのですから、実に興味深い現象だと今でも思います。言い方を変えると、盤石に見えた周到なマーケティングが見事に粉砕された構図なのではないかとも。
クルマの作られ方の点でも、トヨタらしい徹底的な仕込み(この点は歴代最高峰の感もあり)で作られたクラウンに対して、このシーマはキャラクターで勝負する感強し。
スペックだけで見ると、当時の標準からは一頭地抜けた、「大きくて・パワフルで・高くて」という点が目立つのですが、実はその真価はこのサイズの、この価格帯のクルマでありながら、社会の中の一構成要素といえるフォーマルをあまり意識させない、極めてパーソナルな仕立てにあるというのが私感。
クラウンから明確に離れた世界観や個の尊重は、グランツーリスモに続いて再び謳われ、そしてまた大きな成功となったのです。
こうして書いてくると、既にお気付きかもしれませんが、このキャラクターに魅せられた私もとても好きなクルマだったりです。基本的に4ドアはドアサッシ付を好む私ですが、このクルマに関してはその看板を下ろしてもいいと思うぐらいであります。実は本当に買おうかなと思ったことがあったりもして。
前に書いた、
430セドリック→
Y30グロリアに代替された同級生の家は、これの(グロリア版)タイプIIに代替されまして、本当に羨ましく思ったというのも想い出。
当時はとても大きな車に映っていましたが、サイズのインフレが進んだ現在では、全長の割に細く・低くの印象が強いです。タイヤにしても、205/65R15サイズですしね。
好きという点は脇に置いたとして、今でも
とても高く評価しているのは、レンズ類等のディテールやキャラクターラインでの主張を行わない美しいスタイリングです。メッキ類も慎重に選びつつで効果的に配されていると感じます。日本らしい美って、本来はこうした造形にあると思うのですけれども。
セダンというと、近年はとかくスポーツ性に活路を見出されがちですが、こうした方向性も再び問うて欲しいと心底願わずにはいられないのです。
○1997年(平成9年)キャラバン エルグランド X 4WD

全長:4,740mm
全幅:1,775mm
全高:1,940mm
ホイールベース:2,900mm
車両重量:2,070kg
最高出力:170PS/4,800rpm
最大トルク:27.1kg・m/2,800rpm
東京地区標準価格:3,798,000円


初代シーマの隣には、こちらが並んでいました。シーマの30年経過も驚きならば、こちらの20年経過は更なる驚きなのです。あまり古い感じはしないんですよね。
そういえば、こちらも初期型は、エルグランド名の前に、キャラバン/ホーミー名が付けられていましたね。
クルマ単体で見ると、先行していたグランビアやスペースギアの日産版的イメージが強くて、シーマほどのエポックは個人的に感じなかったりですが、経営に苦しんでいた20世紀末の時代への貢献という視点からすると、大事な存在であることも間違いがなく。
また、このサイズで輸出をあまり考慮せずに、ファミリーやクロカン風情から離れた高級ミニバンを成立させた初めての存在でもありますね。
このクルマもまた、当時はとても大きく感じられて、それほど売れるとは思えなかったのですが、私の予想は見事に外れました。ボディサイズのスペックを改めて調べてみて、今ではセレナのハイウェイスターがかなり近付いているというのがちょっとした驚きでした。
ダッジキャラバンのイメージが重なるフロントマスクも、今では大人しく感じるのは、この点もインフレが進んだためということなのでしょうね。
2代目以降、この領域の市場はトヨタが年々陣地を制する形となっていますが、違う視点から新たな価値観を問うて欲しいと思っています。
今のアルファード/ヴェルファイアの商品力の強さには、30年前のクラウンの姿を重ねてしまうわけでして、そこからあえて離れたシーマの成功の再現はできないものなのかとつい期待してしまったりするんですよね。
※スペックの引用元(斜字&下線部):自動車ガイドブック(1988年版・1997年版)
Posted at 2017/11/07 22:10:04 | |
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