
皆様、こんにちは。
少し体力が回復してきたみんカラ担当者です。
流石に食欲がないです。
インフルエンザには気をつけましょう。
美味しいご飯が食べれません。。
さて、メルセデス・ベンツ 新型Sクラス!! 最強なベンツが入庫しましたね
今回の開発ストリー・・楽しみです。
メルセデス・ベンツ W222 AMG
新型SクラスW222 AMGが入庫し、フロントからリアまでフル交換のご依頼がありましたので開発ストーリーを書きたいと思います。
どうか最後まで読んでくだされば幸いです。
W222新型Sクラス。この車は今年初めからラインナップするつもりで車両を手配しておりました。AMGが入庫したため今後の開発にも参考になると思い渾身の力作を作ってみたいと思います。
まずは乗った感想ですが、さすが世界のトップに君臨する車で全ての部分に妥協がありません。旧型に比べ凄い進化で近い将来この車がロボットに一番近づいていくのだと感じました。走る、曲がる、止まる、のほぼすべてがコンピューター制御で人間が乗せられている感覚がします。しかしすべてが快適!そして速い!時代も進んだものですね。
AMGには標準でバルブ開閉システムが備わっており、コンフォートモードでは閉じていてスポーツモードで開くようになっています。開いて乗ってみると一回り排気音が大きくなりますが、そこは純正。全然物足りません。しかも室内の静けさが世界トップクラスですからかなり大きくしないとあまり体感できません。この辺を踏まえて作っていきたいと思います。
まずはノーマルマフラー。
AMGなのでSLと同じく70φを使っていると思いましたが、取り回しが厳しいうえにボディ剛性向上のために至る所にアンダーバーが付いており部分的に65φが使ってあります。これで限界でしたのでしょうね。しかも至る所がクリアランス確保のために潰されておりかなり酷い!これでは抜けが悪そうです。
まずはフロントパイプを残し中間以降を取り外します。このモデルから左右それぞれが別れており脱着が楽になりました。その分フロントパイプに左右を連結する同調パイプがあります。楽と思ったのもつかの間、なんと交換が大変でしょう!アンダーバーを外すにもアンダーパネルを外さないとダメで、更にステーも外すのがとても大変!やっと外れました。
見てください。このネジの多さ!整備士泣かせのマフラー交換です。
そしてアンダーバーを元に戻していよいよ制作に入ります。
アンダーバーを元に戻さないとマフラーを作った後に取り付けてから干渉する、なんて事になりかねませんからね。
フロント後ろ部分のジョイントはSL63AMGと同じでした。これなら型がありますのですぐに制作出来ます。
パイプレイアウトを決めていきますがやはりスペースが狭すぎて70φは通りません。65φが限界です。しかし純正の様にはパイプを潰すことなく頑張って作っていきます。狭いスペースに苦労しながらリアタイコまで完成しました。
リアタイコ右側出口にフランジがありますよね。これを解説します。
この後に純正のバルブがありまして、カプラーを外すと3本の配線が来ております。
調べてみると1本は電源、1本はアース。もう1本は信号線だと分かりました。そりゃそうですよね、純正コンピューターはバルブが開いてるのか閉じてるのか監視していますから。これを繋がずアフターのバルブを取り付けると(アフターのバルブには信号線はありませんから)走っているうちにエンジンチェックランプが付くかもしれません。私自身試乗してきました。少しの試乗では点灯しませんでしたが、後が怖いので(このお客様は埼玉県の人です)純正バルブを使用することを決断。切断して移植します。これが大変!後でノーマルバルブも復帰できるようにします。この辺が私のこだわりです!!
そして中間以降完成!純正を使用してバルブの開閉が行えます。
タイコの中身は、外側は2重管オリフィス構造で消音し、内側バルブ側は完全なパイプのみの直管となっており開閉により迫力の音量、パワーを発揮できるように設計してあります。中間にタイコがあるため音割れを起こすバリバリと爆音ではなく、M157エンジン特有の迫力の重低音が響きます。この辺り自分のSL63で熟知していますから気持ちよく乗っていただけると思います。
最後にフロントパイプの制作に入ります。
ここで最大の難関が・・・
ほとんどのベンツのフロントパイプはAFセンサー、O2センサーのカプラーがミッション下にありすぐに外れるのですが、この車はミッションの上にあります。全く手が入りません。仕方ないのでエンジンルーム側からトライしようとしましたがエンジン、補機類がぎちぎちに詰まっており全く手が入りません。仕方ないのでフランジ、ステーなどのネジを取り少し降ろしてスペースを確保しながら手探りで外します。配線が切れてしまわないように手が入るスペースを確保しながら、この状態ではカプラー部分を目で見て確認しながら出来ませんので手探りで外します。私自身数多くのメルセデスに携わっていたためカプラーのピンの向き、外し方を熟知していたため外すことが出来ました。本当に大変、手が血だらけになりました。慣れていないと強引に外したり、センサー類を傷つけたりしますのでメルセデスの整備に精通しているショップさんに依頼してください。
黄色とその隣の2か所がカプラーです。写真に撮るのも分かりづらいのでいかに厳しい位置にあるのか分かると思います。
そして遂にフロントパイプが取り外しできました。
フランジは私のSL63と同じでしたのでこれも型がありすぐに作れました。
後はスポーツ触媒をセットして作っていきます。
そしてここでまた問題が・・・
AFセンサーは良いのですが、後ろのO2センサーの配線の長さが足りません。純正は触媒の中にセットされていますがアフターでは触媒のすぐ後ろに持ってきます。この少しの距離が足りません。仕方ないのでセンサー配線延長加工します。熱処理を完全にしないと高温のため危険です。
そしてやっと完成!!バイパスパイプをフランジで結び整備性をよくしました。
今までのメルセデスのフロントパイプと違いステーが純正状態で3か所もあり、非の打ちどころの無い純正設計になっております。したがって追加ステーなどは全く必要ありません。
この状態で取り付けしようとしたら右側は完璧ですが、左側が取り付けできません。AFセンサー台座が邪魔でフランジボルトが取り付け出来ません。そんな事分かり切っていますので慎重にAFセンサーの位置、角度を決めたはずなのに、です。
仕方ないので一度溶接を外し角度をずらして再度確認しました。これで大丈夫、簡単に取り付け出来ます。この車は本当に難しく、1点のみの位置、角度で決めないとフランジボルトが締まりません。狭くて見えない上にスペースもギリギリ、フランジボルトも30cm位のソケット延長棒が必要です。
苦労しましたがこれでやっと完成しました。
価格はワンオフで中間以降フルピースが328,000円、純正バルブ移動、純正戻しが60,000円、スポーツ触媒付きフロントパイプが348,000円、O2センサー配線延長が20,000円、マフラー脱着工賃が30,000円です。
最後に試乗に出かけます。
コンフォートモードでは純正並に静かでスポーツモードではこのエンジン特有の迫力の重低音が響きます。しかしSLより静か目です。これはフロントからリアエンドまでの距離が長く音が消えてしまうのと、パイプ径がSLの76φではなく65φだからでしょう。しかしこれでもパワーアップは目覚ましく下手にアクセルを踏み込むと危険です。触媒を交換してのフロントからの交換がいかにパワーアップするかよく分かります。きっと80~100ps近くパワーアップしているかと思います。この車はすでにコンピューターチューンを行っておりますので大丈夫ですが、この仕様では必ずコンピューターチューンを行ってください。パワーアップした分の燃料を供給してやらないとエンジンを壊しかねません。
全てのチェックランプも点灯せず、安心して乗れる速い車になり大満足のマフラー制作となりました。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
乱筆お許しください。
株式会社 ジースプロジェクト
代表取締役 澤村淳
第四弾 いかがでしたでしょうか
さて次回は メルセデス・ベンツ W231
お楽しみに。。