
皆様、
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
社長開発ストーリー完成いたしました。
ホットな情報をお届けいたします。み担当
現行のポルシェ911が入っていきました。しかも一年間だけ生産された高出力のGTSです。3.8LNAエンジンにもかかわらず430PSを絞り出すマニアにはたまらない最後のNAエンジンです。今はもうポルシェでさえダウンサイジングTBエンジンになってしまったので気持ちよく高回転まで引っ張って乗る事が出来る最後の車です。
私自身俊敏なアクセルレスポンス、胸の好く様な高回転の伸び、そしてその時の高回転サウンドが大好きですので今の風潮は寂しい限りです。愛車のC63も新型に買い替えようか悩んだのですが、乗ってみて荒々しさが全くない今のエンジンに興味が湧かず購入を止めた次第です。この感覚、もう古いのかも知れませんが・・・
さて、大変高価で難しい車です。まずは試乗して色々試してみます。
この車は本当に乗り易い!乗車位置はスポーツカーであり低いのですがそれを全く感じさせない各部の作り、上から見下ろしているかのように全ての視界が開けています。普通のセダン顔負けの視界の良さです。エンジンレスポンスも良くさすがNAエンジンで、ハイチューンの高出力エンジンの面影は全くありません。低回転からグイグイと加速してPDAのシフトアップも素晴らしく、胸の好く様な高回転の加速を味わえます。こんなに完成度の高い車に乗るのは初めてで、流石はポルシェと納得しました。誰でも買える価格じゃなく限られた人しか味わう事が出来ないのが悔やまれます。
エンジンは最高なのですがやはり排気音が満足できません。全体に静かで音も濁っています。更に純正でバルブが付いていて運転モードと専用の開閉スイッチが付いていますが、切り替えても少し大きくなるくらいで全然物足りません。
この辺りをもっと改良してバルブを閉じているときは純正並みに静かで近所迷惑とは無縁の車で、開けたら完全に直管でレーシングサウンドを満喫出来る様に作りたいです。難しい課題ですがお客様もこれを望んでおり私に預けてくださいました。頑張って実現したいです。
それではまずはノーマルマフラーを取り外し調べていきます。
車体に完全にフィットするように各部が作られているため簡単には取外し出来ません。エキマニをずらして各センサーを外してからエキマニ、触媒など全て取り外してからマフラーを取り出します。
大変な苦労の上やっと外れました。
サブタイコ部分を調べてみると複雑なレイアウトがよく分かります。
4本テールのうち内側がバルブを開けた時の通路でこのサブタイコを通るだけでテールに排気がそのまま流れます。閉まると内側テールには排気せずUターンしてメインタイコに排気が流れて外側テールより排気します。何て複雑な排気でしょう!サブタイコだけで3本の排気通路があります。あまりにも距離が短いのに複雑なパイプの曲げを実現しなければならず、もはやパイプベンダーでパイプを曲げていません。エキマニ部分も水を使ったハイドロ工法で複雑に曲げられております。これは難しいマフラーです。バルブも遠く離れた位置にあるので全開タイプか全閉タイプか分かりません。最初の位置が分からなくては作りようがないので長い針金を使いバルブの状態を手探りで確認します。
分かりました。この車は全開タイプです。エンジンを切ったり、何もしてないときはバルブが開いています。私もこの方向に賛成で、何かあったときは開いて排気を解放した方がトラブルが少ないと思います。全閉タイプはスロットル全開時、エンジンの負圧が来ないためにバルブが開いてくれません。しかしメーカーにより考えが様々でフェラーリなどは全閉タイプが使われており、アウディは全開タイプとなっています。フェラーリは別に大きなバキュームタンクを備えていて、ここに負圧を溜めているので全開時でも問題なくバルブが動きます。
バルブの向きが分かったので製作に入っていきます。
まずは何もない状態で、色々とレイアウトを考えます。
負圧も後からではセットできなくなりますので最初に作っておきます。
中央のタイコ用にステーを新設します。
ここはエンジンが動いてマフラーも一緒に動きますのでゴムラバーを使いフレキシブルに動かないとなりません。
それではメインタイコを純正と同じ位置にセットして消音側の外側テールを作ります。エキマニを付けるとタイコが入らないのでエキマニを付ける前に製作しないといけません。しかも後でエキマニを付けた時に干渉してはいけないので何度も脱着しては位置を出しながら製作しないといけません。本当に大変なレイアウトです。
メインタイコのステーも純正と同じ位置に完璧に作ります。エンジンと一緒にマフラーが動かないといけませんのでここは重要です。
そしてエキマニを取り付けていよいよバルブ側を製作します。
スペースが狭いのでかなり苦労します。
見てお分かりと思いますがバルブ側は完全な直管でレーシングエンジンの音が出る予定です。閉じるとメインタイコに排気が流れて消音されます。
中央には左右の同調を取るためと消音のためにレゾネーターを設けます。
メインタイコは私の緻密な計算の下2重管オリフィス構造で製作してありますのでアクセルを踏んだ時は排圧が掛かります。その時に他の部分に消音気があると更に消音されますので、この部分のレゾネーターもかなりの消音効果を発揮します。左右の連結も兼ねていますので完璧なレイアウトですね!
溶接による歪が必ず起こりますので各部分を製作する度に溶接をしてから進みましたが、それでもやはり溶接歪が出て位置が綺麗に出ません。仕方ないので一度フランジを切断してやり直しました。私とした事が!!完全に分かっていたのにやり直しになり、すごく苦労しました。
そして遂に完成!
美しいレイアウトで綺麗にまとまっています。大満足です。
このお客様は見た目はノーマルと同等になる様ご希望されましたのでテール径も純正と同じ76φで、最後に黒に塗装して見た目はほとんど純正です。とても渋い、大人の改造ですね。私自身大賛成です。
さていよいよエンジンを始動して試乗して来ます。
まずは純正と殆ど変らない静かさ!これなら家に帰るときも朝始動するときも全く気になりません。大満足です。
そしてバルブを開いたら・・・
完全な直管のためにまさにレーシングエンジンです。このメリハリが素晴らしいです!
排圧を完全に管理しているために低速トルクも何も損なっておらず本当に乗り易いです。そして高回転では直管のために完璧な抜けでパワーアップしており楽しい車に仕上がりました。
大満足な試乗を終えて帰ってきました。
マフラーの価格はバルブなしが498,000円、バルブ式が638,000円、専用テールが1本10,000円×4で、工賃が50,000円となります。
なおこのお客様、後日にもっと音を大きくして欲しいと連絡がありました。
直管にしては少し静かだといいます。これは私も同じ意見で、今の環境エンジンは触媒がJC08でEU6をクリアーしており、その分セルも凄く細かいセルになっていて音を殺してしまっています。ここを当社スポーツ触媒にすると必ずエンジンチェックランプが点灯しますのでコンピューターチューニングを同時に施せば素晴らしい音とパワーを両立できるはずです。後日のメニューとしてお客様に進めてみようと思います。大満足なマフラー製作となりました。
最後まで読んで下さり有難うございました。
乱筆お許しください。
株式会社ジースプロジェクト
代表取締役 澤村淳
Posted at 2017/01/01 20:56:44 | |
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