三菱ランサーエボリューションのディスコンは何か月か前に新聞ネタになっていて、半ば「公然の秘密」という状態になっていたけど、先週正式な発表がありましたね。
ランサーエボリューションX TC-SST 生産終了のお知らせ
発表によると、競技ベース車の“RS”は今年9月末に、街乗りモデルの“GSR”の6速DCT搭載車は来年3月末に、それぞれ生産終了となり、GSRの5MT車のみ、とりあえず継続生産されるとのこと。(GSRの5速仕様って、そんなに需要あるのかな?)
現行のエボXは、IXまでと比較して大型化し、少しオッサンぽい車になってしまったという印象で、個人的にはそれほど関心なかったんだけど、それでもこのニュースはやっぱり感慨深い。
ランエボはスカイラインGT-RやインプレッサWRXと並び、「ファミリーカーをベースにハイテク四駆とターボエンジンで武装したエボリューションモデル」という、新しいジャンルを確立した車。その意味で、ランエボの生産終了には「一つの時代の終焉」ってやつを感じざるを得ない。
(もともと「スポーツ四駆」というジャンルはラリーマシンに端を発していて、アウディ・クワトロやランチア・デルタ・インテグラーレがその起源と言えるわけだけど、GT-Rやランエボの登場によって、このジャンルの車はいつしか日本車の独壇場となった感がある。)
私の記憶の中では、エボのいろんな意味での全盛期は、第2世代のエボIV~VIの時代だったように思う。年代で言うと、自分が中高生だった96~2000年頃になるのだが、この世代はドライバーズタイトル4連覇など、ランエボがWRCで最も活躍した時期と重なるし、当時のWRCはグループAの時代で、今と違い市販車からの改造幅が狭かったから、ラリーで勝つためには4WDの高性能モデルをラインナップすることが必須だった。ランエボやインプレッサの高性能は、いわば「ラリーで勝つための必然」だったわけである。
当時「CG誌」を読み漁る、輸入車かぶれの自動車少年だった私は、ランエボのド派手なエクステリアはどうしても好きになれなかったのだが、今思えば、あの時代ってホントいい時代だったように思う。あの時代のランエボは、WRC直系のオーラを纏っていて、今の私と同じぐらいかそれよりも下ぐらいの、20代後半から30代ぐらいの車好きの青年にとって憧れの的だった。あの時代は、そうやって若い世代がこういう車に熱くなる時代だったし、のみならず車にそれほど関心のない人でも「ランエボ」ぐらいは知っている、そういう市民権をこの車が持ち得ていた時代だったと思う。
今世紀に入って、ランエボはセディアベースのCT9A型になり、さらに現行のエボX(CZ4A型)へと進化を遂げていくんだけど、そのたびにエクステリアはスマートな印象になり、車体は大きく重くなり、値段も高くなっていった。言わば「大人の車」へと進化していったわけだけど(これはライバルのインプレッサにも同じことが言える)、同時にユーザー層も高年齢化していったように思う。
実際、峠や洗車場など、この手の車が集まる場所に自分の車で乗っていくと、今のランエボやインプレッサのユーザー層って自分より年上の人が多くて、若くても30代後半、40代以上の人が中心じゃないかなぁって思う。こと最新モデルに至っては、大抵そうだ。今や車両価格でも400万円以上、乗り出しで500万円近くする車だから、普通の若い人には頑張っても手が出ない車になってしまった。
これは商品のマーケティングが悪いとか、そういう単純な話ではなくて、きっと「この手の車で遊ぶ」ということ自体の位置づけが、「若者の趣味」から「大人の趣味」に変わっていった結果なのだと思う。そうやって上級移行・先鋭化していくマーケットに向け、商品はより高性能に、高級に、高価になり、それがまた裾野を狭めていく……今回のランエボの生産終了は、こうした流れの延長線上にある、半ば必然と言えるような気がする。
そして、先ほど挙げたインプレッサやGT-Rにも、これと似たような流れは確実に起きている(これらの車は、まだまだ続いてくれることを祈りたいけど)。
さようなら、ランエボ。いつか復活をのぞむ。
そして、スポーツカーよ永遠なれ!
…ってことで、ランエボの生産終了に思ったことを、特にランエボオーナーでも三菱ファンでもないクセに、一丁前に語ってみました。
ところで、最近の私はと言うと、ホントにアホなんだけど「セカンドカー欲しい病」に罹患しておりまして、中古のランエボって意外に候補のひとつかなーと思っています。
さっき言ったように、こういったハイパワー4WD車が今のような価格帯で買えることは、今後無くなっていくと思うので、このカテゴリを経験しておきたいなら、きっと今頃が最後のチャンスではないかと思うのです。
個人的な好みでは、エボVIII~IXがいいなぁーと思いつつ、お遊びで中古車サイトをチェックしているんだけど、さすが人気の限定モデルと言うべきか、もう10年選手のモデルなのに、程度が良さそうな車は目ん玉飛び出そうなお値段するのな!
タイヤや消耗品の維持費も高そうで、中長期的に見て原油価格も高騰していきそうな昨今、自分の甲斐性で維持できるのか、甚だ疑問である(笑) でもこういうのは、そういう妄想をしている時期が一番楽しいんだよね(笑)
それではまた。
Posted at 2014/07/17 00:28:43 | |
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