メイド　in　中野

去年のことである




とある通りを歩く男　（写真に写っている男性ではない）

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通りを歩く人の影も少し長くなってりる
男は仕事を終え、駅に向かって歩いていた・・
（左端に写っている男性ではない）


ここは



「早稲田通り」

しばらく歩き続け　ふと左に曲がる男

そこは



「昭和新道商店街」
細い路地にたくさんの店が並ぶ
１７時を過ぎていたが、まだ開店前のお店がほとんどだ




通りを進む男
すこしずつお店の看板にも「灯」がともる

男が目指したところ　そこは














「中華そば　青葉」　中野本店である

そう　知る人ぞ知る　「中華そば」の名店である

店内に入り食券販売機の前で迷う男
特に味に種類がある訳ではない
「中華そば」か「特製中華そば」しかないのだ

ただ、男にはその前年に苦い思い出が・・・
読者の方なら知っているであろう「　現場　監督　シリ　ーズ　」
その元凶となったのが「ラーメン」だったのだ

とはいえ　すでにお店に入っている
選択肢は「特製」か「そうでないか」だけだ

『え～い　いっちゃえ！』

男は券売機のボタンを押す

カウンターに座り　厨房を眺める



店員さんが忙しそうに動き回る
しかし手際よくラーメンを仕上げていく

しばらくして

「おまちどうさまでした」　と　同時に　男の前に



「特製中華そば」が鎮座する

麺を口に運ぶ
そしてスープを・・・

「うまい！！」

そう　男にとっては久しぶりのラーメンであった

とんこつ、鶏ガラといった「動物系スープ」からコクだけを取り出し、かつお節、さば節、煮干しなどの「魚介系スープ」のダブルスープ

北は青森、西は福岡のラーメンを食べ歩いてきた男でも十分に満足のいく味であった



『ごちそうさま♪』



以前の男ならまちがいなくスープも完飲である
その男がスープを残す

少しは成長したのだろうか・・・




あたりは薄暗くなっていた
シャッターが閉まっていたお店もその多くに暖簾が掛かっていた








「メイド　in 中野」

『ふっ』　かるく鼻でわらう男
そのわらいの意味は・・・



そ後の事は　誰も知らない
いや　男のみが知っているのであった


つづく