「お客様・・・」
男は不意に女性の声で起こされた
そうだった 羽田からJAL1281便に乗っていたのだった
離陸後、安定飛行に入ってからシートを倒し、寝ていたようだ・・・
それもそうだろう 今回の出張では、2日間で8時間しか寝ていないのだ
シートをお越し眠いまなこをこする男・・・
JAL1281便は無事に小松空港に着陸した
飛行機を降り、手荷物カウンターで荷物が出てくるを待つ
その間、携帯を取りだし電話をかける
向こう側から 「電源が入っていないか、電波の届かない・・・」
「ふぅー」っと溜息をつき、電話をきる
奥さんに到着の連絡だろう
ベルトコンベアから、いつものキャリーバックを取り上げる
「ゴロゴロゴロ」 キャリーバックを引きずりながら、愛車目指し、小雨の駐車場を歩く
歩きながら、携帯を取りだし、先ほどの電話番号へリダイヤルする男
「もしもし」 向こう側から女性の声がする
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『めし食って帰るからちょっと遅くなる』 送信ボタンを押す男
メールの送信先は、なんと奥さんである
じゃ 先ほどの電話の相手は?
「ピンポーン」
「通過できます 通過できます」
ETCの音声を聞きながら、ゲートを通過する
いつもなら80キロほどでしか走らない男であるが、今回はかなり飛ばしている
そんなに急いでいかなければならいのか
40分後、男の愛車はとあるマンションの前に停車していた
「ぴんポーン」
「はーい!」 中から女性の声が
「待たせたな、これお土産」
お土産まで準備している
「さぁ行くか」
男はその女性を助手席に乗せ、愛車を発進させた
10分ほど走っただろうか
とあるお店の駐車場に愛車を滑り込ませる男
その とあるお店とは・・・
「ラーメン屋 豚蔵」さんである
このお店はこってり豚骨が美味しい、男が好きなお店である。
がっ しかし このお店にはもう一つの「顔」があったのだ
それは・・・
なっ なんと
「日曜限定 味噌屋 味そ蔵」さんになるのである
店内に入る
壁のいつもにメニューに「定休日」の札がかかっている
メニューは味噌ラーメンのみだ
先ほどの女性と一緒に注文をする男
いきなりラーメン屋さんに連れてきても大丈夫なほどの仲なのか?
ラーメンがでてくるまでの時間、けっこう会話が弾んでいたようだ
「おまちどうさま」
男の目の前には「味噌ラーメン大盛りチャーシュー煮玉子トッピング」が
かなり器が大きい
普通の器と比べると
大きさの違いがよくわかる
しかし、隣の女性もこんな時間にこんなこってりしたラーメンを食べても大丈夫なのか?
いや この男も確かダイエット中である
でも とっても美味しそうなラーメンである
スープもかなりコッテリしており、サラサラの雰囲気ではない
まずはそのままのスープを飲む
やはりコッテリしており、濃厚な豚骨に味噌の風味が口の中に広がる
次に男は黒い「マー油」のところを飲んでみる
これもまた濃厚なスープに負けない「マー油」の香ばしさが口の中に広がる
そして・・・
真ん中の辛し味噌を少し溶いてスープを・・・
ピリっとした味が、濃厚なスープを引きしめる
「おっ!」
男の感性にピピピ!っときたようだ
麺は太麺で、もちもち と しこしこ と男の好みである
コッテリスープにもちしこ麺
男のど真ん中ストライク!ではないか
こんな大盛りであったが、あっさりたいらげてしまった。
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帰りのクルマの中、隣の女性はとんこつの味しか解らなかったと言う
無理もなかろう
彼女は、この店のオリジナルのとんこつラーメンを食べていないのだ
オリジナルのラーメンを食べれば、その違いも分かるというものだ
20分後
自宅まで90キロの道のりを、ラーメンの余韻に浸りながら、一人で愛車を走らせる男がいた
続く・・・
Posted at 2011/10/31 20:55:15 | |
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