「それじゃお先でぇ~す」
男は声をかけ、上司が残るオフィスを後にした
腕時計

の針は21時をまわっている…
「うー さぶいぃー」
男はその大きな体を、細かく震わせながら愛車の中に潜り込む…
エンジンの始動と同時にワイパーを動かす
フロントガラスにうっすらと積もった雪が払われていく
男はギアを「D」にセットし、静かに愛車を発進させた
家では奥さんが男の帰りを待っている・・・
はずである
しかし、7分後 男の愛車はとある駐車場に止まっていた
なにかあったのか?
そこは…
「ラーメン杉」(営業中)である
ここは今年6月にオープンしたお店である
初めて訪れた時は「イマイチ」であった・・・
しかし である ここのご主人の「ラーメン」に対する熱い思いを聴き、男は興味を持ったのである
そのご主人の熱意なのか、1回目より2回目、2回目より3回目と訪問の回数を重ねるごとにらーめんの味が男の好みに近づいていく・・・
そして 今日、4回目の訪問・・・
男の目の前には・・・

「チャーシュー麺」が鎮座していた
前回、前々回と今回を比較してみると、トッピングに「きくらげ」が追加されている
スープを一口飲んでみる
前回と同じ甘い感じでちょっとしたすっきり感がある
以前よりちょっとコクが増した感じである
しかし 注文したのは「チャーシュー麺」である。
チャーシューをトッピングすることで、オリジナルのスープの味が変わることかあるのだ
確かにチャーシューからの味も追加されているだろう
でもそれだけではない と 男は感じた
男・「スープの味変えました?」
主人はにやりと笑い、「わかります?」
「とんこつ煮込む時間を長くしました」
次に麺をすする
「おや?」
その前に男は気づいた
麺が違う
以前は丸断面の縮れ麺だった
しかし、今日の麺は角断面のストレート麺ではないか!
男・「麺も替えました?」
主人・「○○製麺にお願いした、うちだけの特注麺です!」
ご主人の顔に自信が浮かぶ
この麺、おいしいではないか!
ストレート麺なので、すすっても素直に口に運ばれる。
そしてなにより、食感がいいのだ
麺を噛むと、適度な弾力感を伴いながらスーッと歯がはいっていき、最後に「プチ」っと心地よい歯切れ感がのこる
らーめんを食べたあと、男はご主人と話し込んでいた。
「豚骨」の仕入れ、「豚骨」の処理のしかた、「豚骨」を煮込む時間などなど
ご主人の熱い思いが語られる。
試行錯誤でいろいろトライし、その中には失敗もあるそうだ
ご主人は「基本的に大きく変えるつもりはありませんけど、以前の味が良いと言ってくれるお客さんもいます。営業しながら味を変えていくのは、ちょっと気が引ける面もあるんですけど・・・」
男は「ご主人の目指す味があるのなら、それはそれでいいんじゃないですか? そういうお店もありますよ(笑」
「ご馳走様でした!」
お勘定を終え、お店をでる男・・・
50分後、自宅でキャベツの大盛りを食べる男の姿があった・・・

Posted at 2011/12/09 22:46:20 | |
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