
某飲食店の駐車場・・・
男は愛車に乗り、キーをONにする。
数秒間そのままの態勢で「グローランプ」が消えるのを待つ。
グローランプが消えたところで、さらにキーをひねる。
「きゅるるるるる」
「あれ?」
再度トライ 「きゅるるるるるるるるるるる」
「あれ? エンジンがかからない・・・」
「えっ」 っと男の妻が声を上げる
「クルマ壊れたん?」 っと男の娘が声を上げる
そう 今日、男の妻の実家を出発し、石川県の男の家に帰る予定であった。
ただ、出発間際にとんでもない雷雨となり、出発が遅れた
男の上の娘は、学校の実習で病院に行っていた
出発が遅れたので娘の実習も終わり、一緒に晩飯となったのだ
「どうすんの?」 男の妻が不安そうにつぶやく
前兆はあった。
先週からエンジンルーム内で時々異音がしていたのだ。
しかし、出張からそのまま連休に突入してしまい、Dラーで診てもらうことができなかったのである。
「どうしよう・・・」 男はいろいろと考えをめぐらす。
ここから娘のアパートまでは800m
妻の実家までは10キロほどである。
とりあえず、娘と妻を実家に戻すのか?
そして、プレサージュをここに置いていくのか?
いや ランちゃんを天井に積んでいる
翌朝まで残っている可能性は少ない。
とりあえず、娘はタクシーで帰すことに
「え~っと」
男は携帯を取り出し、電話をかける。
相手は男を担当している営業さんであった
男:「こんばんは~ こんな時間ごめんなさい」
営:「どうされましたか?」
男:「エンジンかかんない(苦笑」
営:「えー! それは大変! 今どこですか?」
男:「福井市」
営」「え??」
数分後、男はまた電話をしていた。
そう営業さんのアドバイスで電話をしていたのだ。
そこは・・・
日産ICカード会員の「レスキューコール」だった
女性が丁寧に対応してくれる。
症状を説明すると、とにかく業者を現地に派遣するという
男はお願いをした。
すると、市外局番045から始まる「レスキューコール」の実働部隊から電話が入る。
現地の場所を説明してほしいというので、食事をしたお店を伝えると、一発で場所を特定してくれた。
現地に一番近い業者がくるには30分ほどかかるとのこと。
そのまま 待つ
その間にも「レスキューコール」のお姉さんから、レンタカー、宿泊先の手配等、確認の電話がはいる。
時期的には最悪で、レンタカーの空きがない・・・
JRで帰っても補償はでる。
がっ しかし 大きな荷物がたくさんある。
とにかく、救援車の到着を待つことに・・・
しばらくすると

救援車到着である。
お兄さんに症状を説明し、実際にエンジンをかけてみる。
お:「わかりました バッテリーですねぇ」
男:「やはり・・・」

お兄さんは手際よくバッテリにチャージャーをセットする。
お:「すいません エンジンかけてみてもらえますか?」
男:「はい」
「きゅるる」
「ぶろーん」 「カラカラカラカラ」
一発で始動した
エンジンルームの異音・・・
男はオルターネータだと踏んでいたのだ
男:「ありがとうございます。 このまま石川県までいけますかね?」
お:「う~ん なんとも・・・」
お:「ちょっとアクセル踏んで、回転をあげてもらえますか?」
男:「はい」 「ぶおーーーーーーーーーーん」
お:「確かに弱いですねぇ~ でも、電圧は上がってます」
男:「石川は石川でも、能登までいけますかね」
お:「う~ん なんとも」
男:「このクルマ40万キロはしってるんですよ」
お:「え?」
まぁ むりもない
こんな状態の40万キロ走った車を保障できるはずもない
お:「バッテリーがなくなると、途中でエンジンはとまっちゃいますね」
お:「危なくなると、ヘッドライトが明るくなったり、暗くなったりしますよ」
男はお兄さんと話をした。
とりあえず、エンジンがかかったので、お兄さんの仕事はここまでだ。
最悪、レッカーを考えていたが、自走できそうだ。
ただ、どこまでいけるのか・・・
男は賭けにでる。
男の車はガソリン車ではない、Dゼルエンジンだ。
プラグがないのだ
なんとかなるのでは?
しかし、雨の夜・・・
シチュエーション的には最悪だ。
男:「よし行けるとこまで行ってみよう!」
男はプレサージュを走らせる。
途中、レスキューコールから電話がはいる。
順調に走っていることを伝えると、電話の向こうにも安堵の雰囲気が
男:「また止まる可能性もありますので、その時はよろしく!」
電話の向こうでオペレーターの女性が
「私も明日の朝まで勤務ですので、なにかありましたら遠慮なさらずにお電話ください」
「無事に帰宅できるといいですね。 お気をつけて!」
ありがたい言葉だ
しかし、男の戦いはここからだ
自宅までの約180キロを無事に走りきることができるのか?
北陸自動車道・・・
プレサージュは順調に走っている。
とうぜんエアコン どころか空調自体をとめる。
雨が降っているが、窓を少しあければ大丈夫である。
それと、これも大きい
そう撥水処理をしてあるので、ワイパーも動かさないでいいのだ
金沢森本インターで降りる。
一般道に入ったところで異変が・・・
バッテリー警告灯が点灯したのだ。
『やばい!』 男はつぶやいた。
助手席の妻が「なにか言った?」
男は「やばいかも?」
男の妻は「プレちゃんがんばれ!」っと激を飛ばしていた。
そのまま「能登有料道路」へ
バッテリー警告灯は点いたり消えたり
男の手に緊張の汗が伝わる。
エンジン停止となれば、一気にステアリングが重くなる。
いつきてもいいように緊張しているのだ。
「能登有料道路」も無事に乗り切り、自宅まであと10キロほどになったとき
男:「うわ! まじやべぇ~」
そう、ライトが一瞬明るくなり、そして暗くなったのだ
それはレスキューのお兄さんが言っていた症状だ。
男のクルマがいくらDゼルでも、電子制御の技術がある。
バッテリーがいかれると、それらも機能しなくなり、エンジンがとまるのだ。
男:「頼む!! 持ってくれ!!!」
妻:「プレちゃん 頑張れ!!!!」
クルマの中は運動会の応援状態だ。
残り2キロ
さらにヘッドライトが暗くなる。
バッテリ警告灯も点灯している時間が長くなる。
外では「カラカラカラ」の音とともに、盛大に「ギュルギュルギュル」と音がしている。
この音がしているあいだ、警告灯は消える、この音が止まると、警告灯が点灯する。
オルタネーターも必死で動いてくれている!
そして、自宅に到着
ギヤをバックに入れ、駐車場に入れようとしたとき
インパネのABS、エアーバック、バッテリー、シートベルトと警告灯が一斉に点灯
バックのときの警告音も「ピーピーピー」のはずが
「ピ・・ ピー プ・・ ピーピー プ」っと音がばらけたのだ。
なんとか駐車場に入れはしたが、プレちゃん満身創痍状態である。
荷物を下ろす間、20分ほどアイドリング
エンジンを止めたあと、再度キーをひねったが、プレちゃんのエンジンはかからなかった。
プレちゃん ありがとう!
最後の最後まで走ってくれてほんとうにありがとう!!
今日はこのままゆっくり休んでちょうだいね
あっ お休みの夜に電話対応してくださった営業さんにもおっきく感謝します(笑)