「ありがとう!」
お茶のお礼をいい、ハンコ屋さんをでる。
男はプリメーラのドアを開け、運転席に座る
キーをシリンダーに差し込み、「ON」の位置までひねる
「ぶぉ~ん!」
乾いた音には程遠いが、QR20DEは素早く目覚める・・・
いつもはカローラフィールダーであるが、今日は別の人間が乗っていってしまった
しかし、男に不満の色はない。
もともと カローラより、プリメーラのほうが好きなのである
シフトレバーを「D」にセットし、クリープのまま駐車場出口へ
ここはとある田舎の商店街である。
ヨーロッパの街並みを意識したつくりである
道路もカラー舗装である。
男はプリメーラをゆっくり進める
この先で道路が細くなる。
クルマは余裕ですれ違いができるが、歩道がなくなり、センターラインがなくなる。
すると、前方に3台の路上駐車が・・・
反対側にはスーパーがあり、よくここでクルマを止めて買い物をする人がいる
たいていご老人である
仕方なく男はプリメーラを右側に寄せ、3台のクルマをかわす
真ん中のクルマに並んだころ、「おっと!」 男が思わず声をだす
前方からパトカーがきたのである。
パトカーも男のクルマを確認したようで、手前で停止をし、男のクルマが過ぎるのを待ってくれた。
男はそのままプリメーラを進め、最後のクルマにならんだところで・・・
「うおわっ!」 「キキー!」
3台めの軽四が急に動きだし、男のクルマに併走しながら幅寄せをしてきたである。
男は心臓が飛び出るかと思った。
出ているのはおなかだけでいい、心臓なんかでてきた日にゃ・・・
想像しただけでエグイ
男がそのまま走り続けると、動き出した軽四に接触し、また、止まっていたパトカーに正面から突っ込んでいただろう。
行き場を失った男は、減速をし、しかたなく軽四の後ろにつく
急ブレーキの音を聞いた軽四の七十後半と思われる「じさま」が男に「ガン」をつけて走っていく
男は、肩をすくめ、パトカーのお巡りさんに視線を送る
お巡りさんも苦笑いするしかなかった・・・
男がもっと若ければ腹もたてたであろう
しかし、不思議と男は落ち着きを取り戻していた。
男の頭の中には「あんな 年寄ドライバーになりたくねぇ~」 で あった
男も四十の中を超えている。
やはり若いときと違い、自分の運転に納得がいかない事が時々ある
いずれはあの「じさま」と同じ年寄になるのだ
そう思うと、腹が立つより先に「人の振り見て我が振り直せ」が頭をよぎった
腹が立つより、ことわざが先にでてくるあたり・・・
やはり この男 おっさんである
Posted at 2011/04/25 22:37:47 | |
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