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イイね!
2012年08月02日

アノゴムじゃない、ゴムとグリップのバランスの話

ぱららさんが期待しているアノ ゴムの話じゃなくて申し訳ない。

前回、ゴムの劣化の事や硬度の話をしましたが、今日はもう少し突っ込んだ話をします。
今までの話を総括すると、タイヤのグリップは以下の3つから成ります。
①路面との真実接触面積をいかに増加させて、摩擦力を高めるか
②踏面とホイールの位置のズレに対して、弾性を発揮して回復しようとする力が強い
③踏面とホイールの位置ズレに寄与する応力を弱める為に、ゴムのエネルギー損失が大きいこと。

で、今日は特に3番目のゴムの損失エネルギーの大小について詳しくお話をしたいと思います。

まず図-1をご覧ください。


ゴムの粘弾性カーブの基本形と思ってください。縦軸は難しい言葉で言えば粘弾性比率ですが、まあ上に行くほどエネルギー損失が大きく、グリップが高いと思ってもらうと簡単です。
横軸はゴムが変形を受ける周波数で、右に行くほど周波数が高く、速い周期で変形させられている事を意味します。
補助的に書いてある横軸は温度で、実は低周波と高温、高周波と低温の粘弾性比率の測定値は良い相関を示し、周波数は温度に言い換える事が出来るとされています。

んで、ゴムが路面と擦れる事をイメージして下さい。μが低いWET路面とかでは、ゴムは横力を受けて僅かに撓んだだけで路面と滑ってしまい、少し滑るとまた撓みが回復してグリップし、また少し撓んで滑るという事を繰り返します。つまり滑りとグリップの周期が短い事になります。
対してドライではμが高く、大きく撓んで滑り、また大きく撓むを繰り返しますので、相対的にゆっくりした周期になります。この事を照らし合わせて粘弾性カーブに当てはめると、WETとドライとではグリップに寄与する周波数領域が異なる事が示唆されます。
さらに言うと、転がり抵抗のロスと言うのは、タイヤが回転して接地する部分の撓みがロスを生みますので、例えば時速60kmでタイヤ外周長2mだとすると、8.3Hzとかさらにゆっくりとした周期であり、グラフでは最も左の領域になります。

こんな基本特性ですので、実は粘弾性比率の周波数依存性を上手く制御、具体的には高周波領域を高めたまま、低周波領域を下げると、WETグリップを犠牲にせずに転がり抵抗を下げる事が出来ます。これがECOタイヤのゴムの基本的な考えです。勿論低転がりにするにはトレッドゴムだけでなく、構造強度を高くして接地面積を減らしたり、トレッドゴム以外のゴムのエネルギー損失を減じる事も効果が有りますが、トレッドゴムのエネルギー損失の寄与率が全体の50%前後を占めると言われる為、ここがやはりキーになります。

エコタイヤのゴムの粘弾性特性は例えばこのようになります。

じゃあこんな風に粘弾性カーブを変化させるにはどうするかですが、実はタイヤのゴムなどは一般的にゴムの元になるポリマーにカーボン(スス)や、炭酸カルシウム、シリカ(工業的に作られた砂)などを混ぜてゴムの強度を高めて使用しています。この粉ものを減らしていくと、低周波はよりエネルギー損失が少なく、高周波では多く出来ます。

しかしこのような純ゴム配合ではゴムの機械的強度が全く弱く、簡単にゴムが千切れたり、摩耗したりしてとてもタイヤには使えない代物になってしまいます。
近年エコタイヤが飛躍的に改善されたのは、実は旧来から有ったカーボンや炭酸カルシゥムのように、ポリマーとの機械的な絡み合いによって強度を発現させるのではなく、シリカとシランカップリング剤という、化学的な結合により強度を発現する補強材が発達した為に、ゴムポリマーがより純ゴムに近い周波数挙動をとる事が発見された為です。

しかし一見素晴らしいこの両立技術ですが、弱点が無いわけでは有りません。弱点と言うのはロバストネスに劣る点です。ロバストネストはあらゆる環境や路面でも安定しグリップを維持できるかと言う事です。つまり世の中には様々な摩擦係数や気候条件、路面凹凸の状態などの変化が有り、特定の周波数だけ網羅していると、大体は調子良いけれど、ある条件では非常にグリップが出ないなんて事が起きてくるわけです。
タイヤメーカーがテストしている条件に於いては素晴らしいWETグリップと低転がりを発揮していても、路面がハーフウエットになった瞬間にアレレ??となってしまったりするリスクが有るという事です。
まあ、燃費を取るか、より保険をかけるかと言うところですね。

で、皆さんが気になるドライグリップ重視のタイヤのゴムはこんな感じの粘弾性特性になります。

こんな系にするには発熱し易いポリマーにガンガン カーボンを入れてポリマーをカーボンがゴシゴシ動かして発熱させるような感じにします。しかしガンガン カーボンを入れるとゴムは硬くなってしまってグリップ要素①の真実接触面積が出なくなってしまいます。それじゃ困るのでカーボンを沢山入れても硬くならないようにゴムにオイルを混ぜます。これがハイグリップ系の基本形。しかしオイルは分子の鎖が短くてゴムが切れやすくなります。そして粘着力は高いので路面にくっついてブチブチ切れて減ってしまうので摩耗が早いと。

F1なんかのタイヤはもうこの極地なので発熱が凄過ぎて、路面状態とゴムが合わないとオーバーヒートしてブロー・チャクンアウトなど、破壊まで至ってしまうわけです。WET用はより小さな入力で高発熱するように設計されていますので、ドライになると摩耗もメタメタメ、耐久性も落ちてしまうわけです。

ところで何度も言いますが、私は配合屋でも化学屋でもないので嘘を述べている可能性が有ります。変な事を言っていたら、ご指摘大歓迎ですので修正・訂正のほどよろしくお願いいたします。

ああっ、今日も疲れたな。




ブログ一覧 | ミセガワ研究室 | 日記
Posted at 2012/08/02 23:01:38

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この記事へのコメント

2012年8月3日 0:15
オリンピックの選手村では15万個のアノ、ゴムが早くも品不足らしいです。だてにトップアスリートでは、ないようです!
コメントへの返答
2012年8月3日 0:20
えっ!15マンコですか??
そりゃビックリマンチョコ。

置いてあるのはやはりMichiko Londonのアレですかね。
2012年8月3日 0:53
あのゴムの接地面積も展開面積にすると
ハガキ1枚分くらいなのですよね。
やはりゴムを上手に使えるテクをお持ちの
方がお速いと言うか好タイムなワケですかね。


コメントへの返答
2012年8月3日 7:16
サーセン。お早い方なわけです。
2012年8月3日 23:51
初めまして。
興味深く拝見させていただきました。

市販タイヤの粘弾性特性が解れば、自分の走行に合わせたタイヤの選択に、幅が広がりますね。
原料として使用するポリマーの構造や無機物とポリマーとの親和性にも粘弾性特性は大きく依存するので、タイヤメーカー毎の特徴が出て面白そうです。
コメントへの返答
2012年8月5日 17:38
はじめまして。
エイト祭に参加の為、臨時休業していました。

おっしゃる通り、各ゴムの粘弾性特性とか調べられれれば良いのですが、上の内容は一般論です。
もっともあんまり細かい事書き過ぎたら刺されますので、調べる事が出来なくて丁度良いんです。


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