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2016年10月28日

解体新書 アジアンタイヤはどうよ?

解体新書 アジアンタイヤはどうよ? さてさて、多くの皆さんはRE-05Dの記事の方に関心があるとは思いますが、その陰に隠れてひっそりと恒例の解体新書をお届けします。

連続してRE-71Rのサイズ違いの解析結果をお送りしてきましたが、新商品も出て来ない事なので少し趣向を変えて「格安タイヤは何か違うのか?」にフォーカスしてみたいと思います。


営業妨害になるといけないので品名は伏せますが、大陸製で送料込実売価格7000円程度の225/40R18です。

たまに225/35R19でタイヤの価格2350円、だけど送料2480円とかの通販店を見かけますが、関心しませんねぇ。どう見ても利益を送料から得ていて、商品の価格の公正な判断を濁らせる意図を感じてしまいます。。。

さて脱線しましたが、まず大雑把に断面を観察してみましょう。



切ってみて驚いたのですが、一見結構普通で成形精度も極端に悪い印象は有りませんでした。

噂では大陸の工場は最近出来た工場ばかりで、製造設備の多くは新しいモデルを日本やオランダ、ドイツなどの一流設備メーカーから購入しているため、加工精度そのものはかなり良いレベルとの事です。

カット断面をみると納得の結果でした。



それで終わってしまうとちっとも面白くないので、今回はもう少し深掘りしようと思いまして、新兵器を投入しました。

こちらになります。


簡単なものではありますが、PCに接続できるマイクロスコープ。5500円ほどと実にお手頃です。
これを最低倍率の60倍に設定して、断面を撮りまくり。

まず気になったのはタイヤの形状を制御しているベルト層。ベルトはピアノ線を撚り合わせたコードを引き揃えてその周囲にゴムをトッピングして形成するのですが、その構成に差異がありました。

まずはアジアン。


横の目盛りは彫刻が汚くて恐縮ですが、一目盛り1mmのスケールです。
ベルト1層目と2層目の層間のゴム厚みは約1mmあります。そしてベルトに使われているピアノ線は3本撚り。

そして対比のRE-71R 205/50R16



明らかにベルト層間のゴム厚みは薄くなっています。そしてベルトコードは若干細い素線を5本撚り合わせたもの。

まず層間のゴム厚みについて。

薄い方が軽量化? コストダウン?

いえいえ違います。ベルト2層はそれぞれ違う方向に引き揃えられていて、2層が交互作用をしてベルト層の強度を実現していまして、コードは剛体に近いですから、その距離が近くて間のゴムが少ない方が剛性としては高くなります。モデルを図示しますので参照下さい。


上下の濃いグレーの部分が剛体、間の薄いグレーがゴムだと思って下さい。
同じ歪み率(平行四辺形の傾きの角度)であっても、薄い場合は変位が少なく、力が下層にズレなく伝わり易いのに対して、厚い場合には上層が動いても大きな変位を与えないと、下層に力が伝わりにくいのがイメージできると思います。

一方で、物凄く大きな変位や力が加わると、層間にあるゴムは過大な歪みを受け、薄い場合にはゴムの破断伸びを容易に超え易くなり、タイヤの破壊につながります。

で二つのタイヤを見比べると、圧倒的にRE-71Rの方が層間ゴムが薄くできています。

つまりより効率的に力を伝達し、かといってブリヂストンのタイヤが耐久性に劣るという事は無いですから、よりゴムの伸びも許容する、優れたゴム物性を持っていると推定できます。

裏を返すと、格安タイヤはこう言った耐久性面の性能を安価で確保する為に、ベルトの剛性を落とし、コーナリング特性を犠牲にしていると言えます。

ただ、ちゃんと耐久性を考慮しているという点は評価できると思います。

一方、ベルトコードに関しては考慮が足りないというか、技術不足の懸念が見られました。

写真のコードの周囲をみると、BSは5本ひと組の束の個々の素線の周囲にゴムがわずかな厚みですが付着しているのに対して、格安タイヤはほぼコード同士が接して撚り合わされています。
接していると、タイヤが変形した時に直接コード表面同士が擦れて、コード表面のメッキが剥がれ、それによりゴムとの接着も剥がれて最終的にはタイヤそのものの部材剥離トラブルに繋がる恐れがあります。

この辺もやはり技術の差を感じるところですね。

またコードそのものもBSの方がやや細い素線を使っています。細い方が専門用語でいうところの伸線回数が多い為、単位断面積で比較した場合に引っ張り強度が増します。一方で素線は細いので曲げ方向には弱く、しなやかに路面を捉え、強く伝える事が可能となり、ここも材料のレベルに差があると言えます。

個別の写真では何なので、国内他メーカーも含めて、3者横並びにしてみましたのでご堪能下さい。


左からBS アジアン 国内某社 の順です。

こうしてみるとBSは進んでいますね。某社のそれはアジアンとあまり差がないかも。


次にビード周りにに着目してみました。
まずはアジアン。


ワイヤーは13本。カーカスは1枚で巻き返し位置はサイド中腹です。
気になるのは、カーカスの巻き返し位置とトレッドの垂れ下がり端の距離が近い事です。この距離が近いと、サイド部剛性の変動が急激となり、応力集中して壊れやすくなるので要注意、特に扁平でサイド高さが低いものは、部材のレイアウトがタイトになりますので、頭が痛いのですが、これは少し心配です。

対するBS


ワイヤーは15本で実は素線も少し太いので、ビードの強度を高く保つ意図が感じられます。

BS素線Φ1.5くらい?





アジアン 素線 Φ1.2くらい?



そしてカーカスの巻き返し端はベルト層までもっていっているので、サイド部には存在しません。
サイド部がカーカスもゴムも分厚く、見た目も触った感じも遥かに丈夫です。

まあ、値段が違うので仕方ないと言えばそうかもしれませんが。。。。

最後に、ここは大きな差が無かったのですが、カーカスの糸の撚り数。
BS


アジアン



どちらも視野内で4.5回転しています。
回転数が少ないと撚り線の工数が減らせるのでコストダウン出来ますが、糸の張力が低下した時に座屈しやすくなり、耐久性に懸念が生じます。

その点はちゃんと考慮されているようではあります。

ただ、ブリヂストンの優れたタイヤ形状設計技術が有って、タイヤが様々な変形を受けても圧縮側の大きな歪みを受けにくくしたうえでこの撚り数を採用しているわけでして、格安タイヤが同等レベルの形状設計技術を持っているかどうかは定かではありません。

今回のまとめとしては、

アジアンは多少操縦性等を犠牲にしてでも、耐久性は確保する方向の設計がなされていて、思っていたよりも安全性上の配慮はされていそう。その上でコストを非常に重視した構造になっている。

しかし材料の仕様は単に模倣しているだけなのか、膨大なデータに基づいて選択されたものなのかは、今回の解析だけでは分からない。

今後彼らの経験データが増え、例えばカーカスの撚り数を増やしてきたとかを見出す事が有ったら、古参メーカーは本当の意味でライバルとして考えないといけないのではと思います。
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Posted at 2016/10/28 11:36:28

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