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ミセガワのブログ一覧

2024年05月05日 イイね!

タイヤパターン

タイヤパターン● WET性能の中でパターンの寄与が大きいのは耐ハイドロ性。
  つまり水たまりに落ちた時にタイヤが浮くかどうか。浮くかどうかは殆ど圧力で決まるので、溝が多いほど接地するところの面積は減少して、支える荷重は同じだから面圧が上がり、浮きにくくなります。
※圧力を高めることが一番重要ですので、パターン以外にも空気圧や荷重はとても重要な要素になります。

  ⇒タイヤ内圧が高くて荷重も大きなトラックとかはそうそうハイドロ起こしません。

  タイヤメーカー各社色々能書きたれますが、デザインのディテールの差で稼げる排水性は寄与としては小さいです。

  ただごく表面が濡れているだけの路面だとパターン(溝面積比率)の寄与は大きくなく、ほぼゴムの性能で決まります。ゴムの技術については長くなるので今回割愛w

● しかしいたずらに溝を増やすと、ゴムの面積当たり仕事量が増えるので
  摩耗やドライグリップは厳しくなります。そこがまずハイドロとの背反
  性能。

また面圧が高まると路面を叩く音が高まり、パターンノイズでは不利です。
  お相撲さんは摺り足なので重いのにあまり足音は聞こえませんが、超軽量
  の田中 希実選手の足音はまあまあ響きます。

● デザインで重要なのは偏摩耗の抑制と打音の減少です。
  タイヤの接地している部分は地面に倣うのでタイヤを側面から見たらほぼ
  平らになっていますが、接地していない部分は円形をしています。
  つまり接地することでパターンには変形する力が働きます。
  荷重がかかっていないところよりも接地しているところの方がタイヤ
  半径方向に縮んでいますので、簡単に言えば踏み込み時パターンは圧縮方向
  に変形し、地面から離れる時に伸長方向に再変形します。
  このためパターンゴムは特に踏み込み・剥離の瞬間に滑って
  変化に対応しますが、この滑りが大きいと摩耗にもパターンノイズにも
  悪影響を与えます。

  同じように接地幅方向でも圧縮・伸長の繰り返しによる滑りが起きます。

  これを如何に解析して、偏りなく小さくするかがパターン設計者の腕の
  見せどころです。

  トップメーカーは例えばブリヂストンのアルティメットアイの様に実際の 
  動的な接地形状や圧力分布を可視化して、設計レベルを高めています。
  これには大変な実験技術開発力と投資が必要ですので、中堅メーカーにとっ
  てはハードルが高く、仕方なく実際に騒音を測ったり、摩耗テストをした
  りして間接的にパターンの変形を想像してトライ・エラーを多用しながら
  改善したりするわけです。
  昨今、ポルシェやBMWなど高いドライ性能とWET性能、そして静かさを
  三立させているような車用のタイヤは結局リブ基調に太いストレート溝を
  持ち模様程度にラグ溝が入っているものが殆どですが、結局各社解析の
  結果、それが最もハイドロと滑り分散の良さ、圧力分布の均等さ(音・摩耗)、
パターンの前後剛性(ドライ性能)の最適解と行きついて、似たような
  デザインにならざるを得なかったのだと思います。
パイロットスポーツ、POTENZAS007.ADVAN V107など。
  一流とそれ以外の差は
  ●新品時の音の静かさ
  ●摩耗時の音の静かさ(偏摩耗するとうるさくなる)
 ●そしてグリップと摩耗ライフのバランス(上手く歪分散すれば長持ち)

三番目はゴムの性能に大きく左右されるので、パターン技術で一概には
 括れませんが、まあ良いパターンが作れる会社は良いゴムも作れるので。


 パターンでの差別化でトップメーカーの頭痛の種は、パターンは形で見えて
 しまうので、比較的マネしやすいという事です。
 新興メーカーは極端な話、他社のタイヤを3Dスキャナーでパターン読み取り
 、訴えられない程度に少し変化を加えて発売すると、そうそう失敗作にはな
 らないです。

 たまに「あーっ、なんでこのパターンパクっちゃったかな!?」
 っていうのも見かけますけどw

とはいえ似たようなパターンだけと、一流品より
 すこし音がうるさく、減るともっとうるさく、そしてグリップしない割に
 減りが早い。
 これを是とするかどうかです。まあ価格差が大きいし、殊、日本の道路事情
 では特にドライ路面に於いてタイヤのパフォーマンスで不満を感じることは
 殆どないと思いますので、私も街乗りタイヤなら転がり抵抗と摩耗最重視で
 すかね。 

 長くなりましたが今日はこの辺で。
Posted at 2024/05/05 08:14:37 | コメント(2) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記
2020年04月17日 イイね!

今だから書ける、良い中古タイヤの選び方

今だから書ける、良い中古タイヤの選び方こんにちは。

この度中古タイヤ店の店長を退職し、めでたく当事者を脱しましたので、中古タイヤの正しい選び方についての記事をかける運びとなりました。
今回は特にネット通販しているタイヤ、ヤフオクとかですがその販路の物を題材に述べたいと思います。
店頭販売している店は、まあ店頭で良く現物見て判断しましょう。

私が見て来た範囲では中古タイヤの業界って、正直あんまりピンの業者はないという印象でした。

キリは沢山(笑)。

酷いところはノーチェック・ノーリターンです。
まあそれを前提に安値販売しているところもあるので、宝探し的にそういう博打をしてみるのもまた醍醐味かもしれません。

さて、そうではなくてあんまり失敗したくない人に対してアドバイスをしたいと思います。

ネット通販において、

0.デジタルノギスは要注意
溝深さを表示してくれているところは良心的ですが、タイヤって走行すると多かれ少なかれ、必ず偏摩耗すると思ってもらって差し支えないので、溝深さ計測値もあくまでも参考値と言うことだし、そもそも新品の各タイヤや各溝深さは不明ですので、何割残っているかを定めるのも、金型図面持たない中古タイヤ業者には答えることはできません。
で、表題のデジタルノギスですが、もちろん正しく使ってくれれば良い道具なのですが、機械式のものと違って、デジタル式は任意の位置でゼロリセットできるという機能を持ちます。もし、プローブが基準面より引っ込んだ状態でリセットされたら。

・・・簡単にかさ増し出来てしまう仕組みなんです。

たとえ悪意はなかったとしても、そういう落とし穴がある道具での計測値には注意が必要です。

私の目で見て、画像を見る限りとてもデジタルノギスが表示している値の残溝はない、そしてその業者さんはいつもそう。。。なところもありました。笑ったのはヨコハマみたいに新品溝深さが公表されているタイヤで、明らかに使用感があるのに、新品より溝が深い値を示していたケースまで。

残溝深さは値を鵜呑みにせず、よく画像をみて判断してください。それに見合うだけの画像情報をアップしていなかった時点で避けるべきです。


1.年式を意識すべし
 タイヤには必ず製造シリアルが打刻されています。ですので中古タイヤといえどもできれば3年落ち、まあ古くても5年落ち程度を目安に購入しましょう。
 業者の中には「製造年についてはお答えできません」といったところや、不表示のところがありますが、なぜこれほど大切な情報を開示しないのか。その時点でアウトです。中古車で年式不明とか、あり得ないてすよね。タイヤだって同じです。

 なぜ5年なのか。タイヤにはゴムの物性低下を防ぐための様々なゴム薬剤が配合されています。このゴム薬はゴムの主材であるポリマーに比較して分子量の小さなものが殆どで、そしてタイヤは空気を入れてタイヤの内圧が大気圧より高い圧力勾配が存在する故、徐々にタイヤ表面側にゴム中を移動して、最終的にはある程度抜け落ちて、ゴム薬濃度が低下していきます。
ゴム薬濃度が低下すると、結果的にゴムの物性低下が進み、最終的には新品時のようなゴムの耐久性が失われて、破壊の恐れが出てきます。
 その最短ケースがおよそ5年ということなのです。
 それは一流メーカーがやんわりと警告しています。

 天下のブリヂストンでさえも、最悪に過酷環境で劣化の進行が速かった場合では5年程度で物性低下が起きうることを示唆しています。もちろんもっと長く使えるケースもあるのですが、特にネットで現物を見ることが出来ずに買う場合、劣化度合いなど調べようもありませんし、業者はよく「プロ」と名乗りますが、自称プロの場合が殆どです。別にゴム物性測定(硬度測るところもありますが、新品時のデータがあって、新品に対しての変化度合いが分からないと意味が薄いです)や成分分析して売っているわけではないでしょうから当てになりません。

 ですから安心してまだ2年程度使いたいのであれば、3年落ち程度のご購入をお勧めします。なにしろ中古の場合それ以前がどんな環境で使われていたかなど、まず知ることが出来ませんので、最悪ケースで考えていた方が安心と言うことで。

 ※但し、5年は一流メーカー品の場合です。一流メーカー同士は大体他社の寿命や配合をベンチマーキングしていますので、似たような耐用年数だといえますが、格安品はもっと短命である可能性があります。

2.石や異物が取り除かれ、洗浄されたものを選びましょう

 中古タイヤは使用されていたということで、状態をよくチェックされているかどうかも極めて重要です。石噛みを取り除かないと、石なのか、金属片が深く刺さっているのかの見分けはつきませんので、良品獲得のためには必須条件となります。また洗浄はサイド部やビード部の異常を発見する為に大いに役立つので同様に重要です。加えて空気漏れのチェックがされていれば申し分ないです。
 空気漏れもサイドをアイスピックで突かれている場合など、目視ではなかなか発見しにくいので、漏れテストをされていると一層安心感が高まります。

3.パンク修理していないもの。

 パンク修理とは所詮暫定策です。修理の方法や施工技術、元々の穴の大きさ等で、長年使用しても問題ない場合もあれば、修理しても生き返らないものまで様々です。また修理して一見問題なく使用できていたように見えても、実はパンク発生後に長く引き摺り走行してしまった場合など、ケーシングに損傷が発生している可能性もありますので、基本 パンク修理品はNGです。

4.タイヤワックス塗布品出来れば避ける。

 これは絶対悪というほどではありませんが、WAX塗布は商品を良く見せるだけであって、良くなるわけではありません。ババアの厚化粧と同じてす。
スッピンの美しさが大切なタイヤですから、七難隠すことをすることは、誠実ではないです。
 まして路面と接触して高い摩擦力を産むことが使命のトレッド面に塗るのは言語道断です。
 それに先ほど製造年のところで書きましたが、まともなメーカーのタイヤはそもそもタイヤを長持ちさせるためのゴム薬は最初から配合されています。変なケミカルメーカーが適当に作ったタイヤWAXよりはるかに最適化がされていますので、ご心配なく。

5.通販専門店は?

通販のみしか取り扱わないところがありますね。つまり売りっぱなし。店舗でも販売しているところは、不良品を売りつけたら直接クレームされるので、そんな酷いことはできませんが、無店舗営業で発送も委託倉庫とかだと、売り逃げ出来てしまいます。ご注意を。

6.オークションの写真点数が少ないのは×

 極力情報量の多い出品を選びましょう。サイド部やトレッドの拡大写真が無かったり、破損部位の詳細が開示されていない物は要注意です。
 ただ、購入者側に課題がある場合が見られるのも事実です。出品写真を見れば瑕疵が確認できるのに、よく見ずに購入して「こんな酷いものだとは思わなかった」等クレームしている落札者も目にしますが、ネットで購入するというリスクを考慮して、よく確認すべきです。


★こんなのは大丈夫なの?
A.サイドの傷 深くてカーカスが見えていたらアウトです。見えていなてもカーカス層が1層しかない比較的ロードインデックスの小さなタイヤや扁平タイヤは、表面上は小さな傷に見えても、実はカーカスコードが切れている場合があります。切れている場合、ホイールに取り付けて空気を充填した時点で傷の部分がコブの様に膨れます。こうなったら返品ですが、逆に膨らんでこなければ、それほど心配はりません。
 比較的ロードインデックスの大きいカーカス2層構造(SIDEWALL:2polyesterと打刻ある場合あり)の場合、そう簡単に2層が切れることはないので、カーカスが見えているほどでなければ心配いらないと思います。

B. ビードの破損は 
 ベロっと剥がれてカーカスが見えてしまっているのは、完全アウトですが、表面的で深さも1~2mm程度だと、ゴムのりで貼って、組み込みの時注意深くやれば、それほど心配は要りません。
 但し傷部から多少空気が漏れる可能性がありますので、装着してしばらくの間、他のタイヤに比較して空気圧の低下が速くないかなど、監視することをお勧めいたします。

ではまたなんか思い出したら、続編書きます。
Posted at 2020/04/17 10:41:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記
2020年04月14日 イイね!

解体新書休刊のお知らせ

解体新書休刊のお知らせこんにちは。

今まで好評(?)を頂いておりました解体新書のコーナーですが、

この度「大人の事情」

により休刊させていただくこととなりました。

再開は早ければ私が60歳になる5年半後です。

解体新書は休刊いたしますが、本ブログに関しましては引き続きよろしくお願いいたします。
Posted at 2020/04/14 15:13:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | クルマ
2018年12月25日 イイね!

解体新書 番外編 Michelin power endurance

解体新書 番外編 Michelin power endurance乙です。

今回の解体新書は番外編としてロードバイク用のミシュラン POWER ENDURANCEというタイヤ、息子が使用して用済みだということで切ってみました。

ちなみに2本で1諭吉ほどですので、格安アジアンの18インチ乗用車用タイヤより少し高いくらい(笑)

今はコンチネンタルと新しいカーボンホイールに変わっていますが、前後2本のホイールセットで11諭吉とVOLK Racingが買えそうな値段です。


しかし切ってみて改めてペラペラ。

いくら高い材料使用していても、これで沢山売れたらそりゃ儲かるわ。

薄すぎて上手く削れないので情報は少ないですが、それでも見どころはいくつかあります。


汚くて恐縮ですが、ビード部です。
素材はケブラーでしょう。家のニッパでは全然切れず、金属用回転刃で切断しました。

勿論表面にはごく薄くゴム層が被覆してあります。

続いてトレッド部


トレッドゴム下にはやはりケブラーのベルトというか、周方向に実質平行に巻かれた補強層があります。タイヤを切断して拘束力が無くなった状態でも丸いプロファイルが残留していることから、三次元成型されていると思いますが、どうかな?

ロードバイクのタイヤは軽さと高い内圧に耐える強靭さが求められるため、高強度の高機能材料を惜しげもなく使っているのはさすがです。

カーカス層は分りにくいので、縦に切ってみました。


周方向に対して40度くらいの角度の2層バイアスでしょうね。糸はとても細いですが、多分ナイロンかな。

こんなに薄いタイヤにカレンダーといわれる乗用車用タイヤで用いられるゴム被覆装置を用いてやるのはとても難しいし、内側はゴムがしっかり載っているのに、外側はかすれていますので、ゴムシートを内側に一層だけ貼って、加硫時の加圧で含侵させるのか、はたまた超低速の精密カレンダー装置で被覆するのか?

自転車のタイヤづくりは見たことないんで想像するしかありません。

トレッドゴムはきっとローラーダイという、片側が平らでも片側に欲しい断面形状が彫り込んである一対のローラーの間にゴムを通して形成しているのだと思います。

同じタイヤでもスケールが変わると、作り方が想像できなくて面白いですね。
Posted at 2018/12/25 13:06:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記
2018年07月10日 イイね!

解体新書 Vol.14 ヨコハマ ADVAN A052 255/40R17

解体新書 Vol.14 ヨコハマ ADVAN A052 255/40R17暑いですね。

サーキットアタッカーのU様より、A052の検体のご提供を頂いたので、花粉メガネを保護具代わりに切らせていただきました。



横浜ゴム 三島工場製

凄く安易な想像として、実はSタイヤのA050とケーシング共用で、頭の載せ替えじゃないかと思ってしまいがちですが、室長も予てから言っている通り、グリップに見合ったケーシング剛性にしないと、性能としてはまとまりません。まあ稀にケーシングそのままでもバランス取れてしまうことも有るとは思いますが。

よく「スペコン」だとか、「途中からコストダウン仕様のゴムになってグリップが落ちた」なんて事を大して証拠なく吹聴する人がいますが、製品の開発って仕様変えたら摩耗テストや耐久テストなど、手間暇かかる評価がやり直しになるわけだし、本命仕様と並行して走らせるほど、工数にも開発費用にも余裕がない場合が殆どですから、私から見たら「勝手な想像」と思えてしまいますね。


さて、本題に戻りますが、結果から言ってA050の255/40R17 Mコンと255/40R17のA052は一見似た構造ですが、その詳細仕様は明らかな差を持つものでした。

まずは並べた写真。



ぱっと見はよく似たカーカス2層、内から外へ巻き返し、さらにその外からスチール補強層を貼り付けたサイド構造。ビードワイヤーは6角ビードと基本は同じ。

しかし例えばカーカスの角度は明らかに異なります。ちなみにどちらも純粋なラジアルではない(笑)。


A050が交差角22度ですから、カーカス角度79度くらい、対してA052は交差角10度位なので、カーカス角度85度位と、大分ラジアルに近い構造で、やはりA050に比べると少しトレッドのグリップが低いことに対してチューニングを施された事が伺い知れます。

この仕様は統一感があり、カーカスの巻き返しも050が二層とも高く巻き上げているのに対して、052は1層だけ高く巻き返し、もう一層はビードフィラー近傍で止められています。


一方A052のトップトレッドゴムはオイルバリア層を持たないシングルトレッド構造に、0.1mm厚さほどの接着層のみが付与されているように見えます。

やはりストレート溝が1本入ることのトレッド剛性に対する影響は非常に大きく、Sタイヤ同様の攻めたトレッド構造を採用しないと、ライバルに負けないコーナリングパワーを確保しにくかったのではと想像します。



ベルトは普通。

そしてA050の時は表示もしていなかったので見落としていましたが、A052は材質表示があり、それを見て驚いたというか、納得したのですが、カーカスが他社のインチキラジアルや普通のラジアルで用いているポリエステルではなく、「ナイロンカーカス」だと判明いたしました。


タイヤに使う繊維は、ゴムと接着させるのに接着剤をディップというドブ漬け処理で含侵させ、その接着剤によってゴムと強固に結びついて、ちょっとやそっとの力では剥離してバラバラにならないようにしているんですが、実はポリエステルはナイロンに比べると、ちょっと接着が難しくて、剥離強度が劣るという欠点を持っています。

一方で利点としては安価で強度が高く、また熱的安定性にも優れています。



※引用文献 グランプリ出版 「タイヤ工学」


ナイロンは熱収縮が大きいので、製造時にタイヤが収縮変形しないように形状維持したまま加硫の熱を冷ましたり、また使用時も走ってきてタイヤが高温となり、停止してそのまま冷却してしまうと地面を踏んで撓んでいたところだけその形状が残留してしまい、フラットスポットができてしまい、再走行時振動が発生するなどの問題が生じます。
さらにナイロンは使用中に伸びやすく、知らず知らずのうちにタイヤの形状が微妙に変わってしまうなど、色々不具合な点もあります。

こんなナイロンをなぜカーカスに使用するかというと、A050やA052はカーカス層が厳密にはラジアルではなく、2層がそれぞれ交差角を持つため、各層の伸びやすい方向と伸びにくい方向が異なるわけです。(コード直交方向に伸びにくく、平行方向には伸びやすい)
そのためカーカス層間には層間剪断力という、互いが剥がれようとする力が生じます。

この剥がれようとする力に耐えて、タイヤが壊れてしまうのを防ぐ為に、接着性の良いナイロンを使っていると思われます。
実はもっと強い角度でカーカスが交差しているバイアスタイヤでは、ナイロンカーカスが普通です。


ブリヂストンはもっと強い角度がついていましたが、確かポリエステルカーカスだったと思います。
おそらく横浜ゴムよりも剥離強度に優れる接着技術を持っているのではないかと推定できます。

しかしナイロンバイアスは非常に歴史のある材料と構造の選択ですので、横浜ゴムは剥離して壊れてしまうと言うことの防止を最優先して設計したのだと思います。

一方で前述の通り、熱い状態から止まって急冷されると変形が残り、振動が出るリスクもあるわけです。(私自身A050では経験あり)
ただ、タイヤにとって、振動が出ることよりも致命的な破壊の方がより重大ですから、変なリスクを取るべきではない選択は賛同できるものですね。

接着性を改善して強度に優れるポリエステルのバイアス構造をものにしたブリヂストンも立派だし、材料の特性を理解して、安全性のポリシーを持って商品開発している横浜ゴム、どちらも立派だと思います。

こういう事は長い経験とたくさんのデータ、そして弛まぬ理論的な考察があってこそのものです。
安全でかつ飛び抜けた性能の両立は、そう簡単にまねできるものではなく、それがコストの差、ひいては売値の差だと思いますので、一流タイヤメーカーのタイヤが割高とは思いませんが、皆さんはどう思われますか?


Posted at 2018/07/10 15:02:57 | コメント(1) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記

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