
こんにちは。
この度中古タイヤ店の店長を退職し、めでたく当事者を脱しましたので、中古タイヤの正しい選び方についての記事をかける運びとなりました。
今回は特にネット通販しているタイヤ、ヤフオクとかですがその販路の物を題材に述べたいと思います。
店頭販売している店は、まあ店頭で良く現物見て判断しましょう。
私が見て来た範囲では中古タイヤの業界って、正直あんまりピンの業者はないという印象でした。
キリは沢山(笑)。
酷いところはノーチェック・ノーリターンです。
まあそれを前提に安値販売しているところもあるので、宝探し的にそういう博打をしてみるのもまた醍醐味かもしれません。
さて、そうではなくてあんまり失敗したくない人に対してアドバイスをしたいと思います。
ネット通販において、
0.デジタルノギスは要注意
溝深さを表示してくれているところは良心的ですが、タイヤって走行すると多かれ少なかれ、必ず偏摩耗すると思ってもらって差し支えないので、溝深さ計測値もあくまでも参考値と言うことだし、そもそも新品の各タイヤや各溝深さは不明ですので、何割残っているかを定めるのも、金型図面持たない中古タイヤ業者には答えることはできません。
で、表題のデジタルノギスですが、もちろん正しく使ってくれれば良い道具なのですが、機械式のものと違って、デジタル式は任意の位置でゼロリセットできるという機能を持ちます。もし、プローブが基準面より引っ込んだ状態でリセットされたら。
・・・簡単にかさ増し出来てしまう仕組みなんです。
たとえ悪意はなかったとしても、そういう落とし穴がある道具での計測値には注意が必要です。
私の目で見て、画像を見る限りとてもデジタルノギスが表示している値の残溝はない、そしてその業者さんはいつもそう。。。なところもありました。笑ったのはヨコハマみたいに新品溝深さが公表されているタイヤで、明らかに使用感があるのに、新品より溝が深い値を示していたケースまで。
残溝深さは値を鵜呑みにせず、よく画像をみて判断してください。それに見合うだけの画像情報をアップしていなかった時点で避けるべきです。
1.年式を意識すべし
タイヤには必ず製造シリアルが打刻されています。ですので中古タイヤといえどもできれば3年落ち、まあ古くても5年落ち程度を目安に購入しましょう。
業者の中には「製造年についてはお答えできません」といったところや、不表示のところがありますが、なぜこれほど大切な情報を開示しないのか。その時点でアウトです。中古車で年式不明とか、あり得ないてすよね。タイヤだって同じです。
なぜ5年なのか。タイヤにはゴムの物性低下を防ぐための様々なゴム薬剤が配合されています。このゴム薬はゴムの主材であるポリマーに比較して分子量の小さなものが殆どで、そしてタイヤは空気を入れてタイヤの内圧が大気圧より高い圧力勾配が存在する故、徐々にタイヤ表面側にゴム中を移動して、最終的にはある程度抜け落ちて、ゴム薬濃度が低下していきます。
ゴム薬濃度が低下すると、結果的にゴムの物性低下が進み、最終的には新品時のようなゴムの耐久性が失われて、破壊の恐れが出てきます。
その最短ケースがおよそ5年ということなのです。
それは
一流メーカーがやんわりと警告しています。
天下のブリヂストンでさえも、最悪に過酷環境で劣化の進行が速かった場合では5年程度で物性低下が起きうることを示唆しています。もちろんもっと長く使えるケースもあるのですが、特にネットで現物を見ることが出来ずに買う場合、劣化度合いなど調べようもありませんし、業者はよく「プロ」と名乗りますが、自称プロの場合が殆どです。別にゴム物性測定(硬度測るところもありますが、新品時のデータがあって、新品に対しての変化度合いが分からないと意味が薄いです)や成分分析して売っているわけではないでしょうから当てになりません。
ですから安心してまだ2年程度使いたいのであれば、3年落ち程度のご購入をお勧めします。なにしろ中古の場合それ以前がどんな環境で使われていたかなど、まず知ることが出来ませんので、最悪ケースで考えていた方が安心と言うことで。
※但し、5年は一流メーカー品の場合です。一流メーカー同士は大体他社の寿命や配合をベンチマーキングしていますので、似たような耐用年数だといえますが、格安品はもっと短命である可能性があります。
2.石や異物が取り除かれ、洗浄されたものを選びましょう
中古タイヤは使用されていたということで、状態をよくチェックされているかどうかも極めて重要です。石噛みを取り除かないと、石なのか、金属片が深く刺さっているのかの見分けはつきませんので、良品獲得のためには必須条件となります。また洗浄はサイド部やビード部の異常を発見する為に大いに役立つので同様に重要です。加えて空気漏れのチェックがされていれば申し分ないです。
空気漏れもサイドをアイスピックで突かれている場合など、目視ではなかなか発見しにくいので、漏れテストをされていると一層安心感が高まります。
3.パンク修理していないもの。
パンク修理とは所詮暫定策です。修理の方法や施工技術、元々の穴の大きさ等で、長年使用しても問題ない場合もあれば、修理しても生き返らないものまで様々です。また修理して一見問題なく使用できていたように見えても、実はパンク発生後に長く引き摺り走行してしまった場合など、ケーシングに損傷が発生している可能性もありますので、基本 パンク修理品はNGです。
4.タイヤワックス塗布品出来れば避ける。
これは絶対悪というほどではありませんが、WAX塗布は商品を良く見せるだけであって、良くなるわけではありません。ババアの厚化粧と同じてす。
スッピンの美しさが大切なタイヤですから、七難隠すことをすることは、誠実ではないです。
まして路面と接触して高い摩擦力を産むことが使命のトレッド面に塗るのは言語道断です。
それに先ほど製造年のところで書きましたが、まともなメーカーのタイヤはそもそもタイヤを長持ちさせるためのゴム薬は最初から配合されています。変なケミカルメーカーが適当に作ったタイヤWAXよりはるかに最適化がされていますので、ご心配なく。
5.通販専門店は?
通販のみしか取り扱わないところがありますね。つまり売りっぱなし。店舗でも販売しているところは、不良品を売りつけたら直接クレームされるので、そんな酷いことはできませんが、無店舗営業で発送も委託倉庫とかだと、売り逃げ出来てしまいます。ご注意を。
6.オークションの写真点数が少ないのは×
極力情報量の多い出品を選びましょう。サイド部やトレッドの拡大写真が無かったり、破損部位の詳細が開示されていない物は要注意です。
ただ、購入者側に課題がある場合が見られるのも事実です。出品写真を見れば瑕疵が確認できるのに、よく見ずに購入して「こんな酷いものだとは思わなかった」等クレームしている落札者も目にしますが、ネットで購入するというリスクを考慮して、よく確認すべきです。
★こんなのは大丈夫なの?
A.サイドの傷 深くてカーカスが見えていたらアウトです。見えていなてもカーカス層が1層しかない比較的ロードインデックスの小さなタイヤや扁平タイヤは、表面上は小さな傷に見えても、実はカーカスコードが切れている場合があります。切れている場合、ホイールに取り付けて空気を充填した時点で傷の部分がコブの様に膨れます。こうなったら返品ですが、逆に膨らんでこなければ、それほど心配はりません。
比較的ロードインデックスの大きいカーカス2層構造(SIDEWALL:2polyesterと打刻ある場合あり)の場合、そう簡単に2層が切れることはないので、カーカスが見えているほどでなければ心配いらないと思います。
B. ビードの破損は
ベロっと剥がれてカーカスが見えてしまっているのは、完全アウトですが、表面的で深さも1~2mm程度だと、ゴムのりで貼って、組み込みの時注意深くやれば、それほど心配は要りません。
但し傷部から多少空気が漏れる可能性がありますので、装着してしばらくの間、他のタイヤに比較して空気圧の低下が速くないかなど、監視することをお勧めいたします。
ではまたなんか思い出したら、続編書きます。