
さて、多くの皆さんにとって興味深いのはFSWでは無くて、むしろTC2000、所謂筑波サーキットへのチャレンジの方ではないかと思います。
ぶっちゃけ、インチキしたSタイヤでのタイムこそ1分2秒890を記録しているものの、ラジアルでの記録はチャレンジしている回数自体も少なく、実力的にもタイム的にも今日のレベルで考えるとそれ程見るべきものは無いというのが本当のところではないかと思います。
とはいえ、筑波は外せないサーキットですので挑戦の歴史をひも解いて行こうと思います。
既報の通り、初チャレンジは2005年12月4日 この日は曇天、今にも泣き出しそうな空模様で、確か1走は2℃位、最終的にベストタイムである1分06秒309を記録した3セッションも5℃とかなりキンキンに寒いコンディションでした。1セッションはコースを覚える目的でユーズドの235/45R17で走行。2走目も少しアタックをするものの、ユーズドをキャリーオーバー、3セッション目で持参した245/40R18+9Jの虎の子Sタイヤパックを投入して首尾よくベストタイムを記録しました。
それ程深い考えが有った訳では有りませんが、偶然にも結構しっかりした戦略の組み立てになっていたんですね。
今思えば、どんなに走り慣れているコースで有っても、その日その日で微妙にコンディションも異なるだろうし、人間のウォームアップも必要だから、1セッション目にフルアタックと言うのは果たして本当に効果的なんだろうかと疑問に思います。
最近プロアイズの走行会で富士を走ると、例え多少気温が上がっても、走りが修正出来た2本目にベストを記録する位ですから、走り込みが十分とは言えない筑波ではなおさらだと感じます。
あっ、少し脱線しましたが、そんな訳で初の筑波アタックは大勝利に終わり、エイトリアンカップ終了後は雨に見舞われると言う、何とも強い引きを持っていたこの時期でした。
さて、次の筑波アタックは1年後の2006年12月16日。
当時RTE入会条件としては、ラジアルで筑波10秒切りとJAFライセンス所持が必須でしたので、Sタイヤでの記録しか無い私は大丈夫だとは思いますが、一応タイム出しておこうと思い、TSRの走行会に参加しました。
この日は気温15℃と冬としては暖かくて、決して有利な条件では有りませんでしたが、記録は1分9秒395と、気温を差し引いても寂しいタイムでした。それが証拠にさわじぃさんは確か7秒台記録していたし。
ただ、この低記録の理由は今思えば原因が有ります。それは245/40R18サイズのAD07をとりあえず転がっていた純正8Jに組んで使った事です。
単純に太いタイヤを持ってきてもダメで、適正なリム幅に組んではじめて適正な接地形状が出て、横剛性が出て、その横剛性のお陰で低めの空気圧で接地面積を大きくしても腰砕けしない。そして更にインセットの見直しでトレッド幅を広げて旋回性能を上げる。
ストレート比率が高くて、コーナリングパフォーマンスのタイムへの寄与が小さい富士では中々気付きにくいタイヤの使いこなしの重要性を筑波は教えてくれたんです。
この反省を元に、翌月に迫ったエイトリアンカップに備え、9Jホイールを買い増し。245/40R18のMコンを1セット、G/Sを1セットとタイヤに頼った、でも凄く正しい準備をして1月13日のエイトリアンカップに臨みました。
しかし結果は惨敗。1セッション目は教科書通りMコンで臨んだものの、十分にクリアが取れず、6秒95。ここで焦らずそのまま2セッションもMで行けば良かったのに、焦ってG/Sのフレッシュを投入。それも気温10℃も有って、G/Sはもう合わないと分かっていたにも関わらずです。やはり焦りは禁物。
追い打ちをかけるように2セッションのアウトラップの最終コーナーでまだ温めが不十分だったらしく、コースアウト。新品G/Sは砂だらけになってしまいました。。。。
この日、1分6秒729と前年の記録に及ばず終了。
せっかくタイヤを整えてきたのに、焦りや戦略が未熟で結果につなげる事ができませんでした。
やはりどんなに強力な武器も、使いこなしを間違うと威力を発揮しないという事です。戦艦大和じゃ飛行機には勝てないみたいな…。
まあそんな事で思ったように4秒台とか出す事は出来ませんでしたが、この頃の筑波と言えば
MSCTやJRSCCといったJAF公認 サーキットトライアルがちょっとしたブームで、私も3月にBライを取り、そのままJRSCCのイベントに参加してめでたく完走、晴れてAライドライバーとなり、筑波ファミリーライセンスも取得して筑波の練習をするようになりました。
走り込み最初はやはりどんどんタイムアップして楽しいものです。
そんな中、ラジアル限定イベントであるMSCTに焦点を絞り、タイヤの選定や車両のセットアップをレベルアップしていったのが2008年シーズンでした。まず人と同じタイヤではアドバンテージを得られないと考え、当時主流だったR1RやRE01R、AD07といった市販リプレイスタイヤでは無く、インプレッサSTi純正装着されている235/45R17の
RE070に目を付けました。この頃は既に転職していましたが、前職時に調べたRE070は「マジか!?」と言いたくなるほど手間暇かかったタイヤで有る事を知っていたので、こいつはきっと武器になると信じて投入しました。
それと空力もアンダーフロアーの物では無く、ロールする事が前提の箱車は安定的に効果を得る為にはやはり上もののパーツが有効と考え、当時合法な範囲では最も高くて後ろに付けるられる(高くて遠いが効果的だから)R魔のGTウイングを投入。
R魔に行って大原さんに「
GTウイングください」と言ったら、大原さんが目を丸くして、かつ嬉しそうな顔をしていたのを今でも覚えています。
この二つ、正直凄くGOODでした。
まだそれ程走り込み出来ていない2007年11月のMSCT、このイベントはファシリティーが充実していたので家族全員で参加していましたが、このトライアルで見事4位、速いお父さんをインプットする事に成功しました。タイム的にも当時としてはかなり上出来な1分7秒941を記録。難しい筑波で1年で1.5秒の進歩は大きいと思いましたね。
ちなみにその年のエイトリアンカップでも好調、Sタイヤのタイムも1分5秒8台に突入しました。
RE070の性能はいつでも期待を裏切ることなく、摩耗していってもタイムが降下することなく、最終的に2008年3月に1分07秒37と、あとちょっとで夢の6秒台と言うところまで到達して寿命を終えました。
ところが2009年シーズン、やっぱR1Rじゃないと勝てないと思い、中古を譲ってもらいました。ところがどっこい、こいつが迷子の元凶に。RE070と違い凄く摩耗姿も汚く、性能が不安定で本当に手を焼きました。特にリアに中古、フロント2本のみ新品とかやった時はバランスが崩れてメタメタ。この時、R1Rへの印象を非常に悪くしました。
不調の原因がR1Rなのは明らかで、Sタイヤで走るエイトリアンカップでは着実にタイムアップ、5秒3と夢の4秒台まであと少しと言うところまでタイムは改善していました。
R1Rで迷子になり、諦めてAD08を投入した最後のMSCT 2009は5位と、最後までポディウムに立つことはかなわなかったのは心残りでした。
MSCTやJRSCCがリーマンショック以降無くなってしまい、私の筑波熱もやや冷めて行きましたが、そんな中で2010年3月にみつさんとレボの青木社長の御好意でHANKOOKの新商品であるVENTUS R-S3のお試しを企画していただき、ここでまんまと1分6秒77と夢の6秒台、そしてベスト更新を達成しました。このタイヤは好き嫌い分かれるし、真冬は全然温まらず、WETでは死にそうですが、春から夏にかけではかなり強力で、フィーリング的にRE070に似ていた事も有り、お試しだけでなく、実際に購入して使用しました。現在の
筑波のラジアルベストタイムは1分6秒391ですが、このタイムはこのタイヤで出したものです。
あっ、このお試し会の後、ミッションブローして中古ミッションに乗せ換えになったのはご愛敬。自走で帰れたけれど大変だったよ。
ミッションもブローしましたが、その夏ご存知の通りサイドポートエンジンへの乗せ換えを実行、筑波のタイムアタックもPhaseⅡに移行していきます。
RE雨宮の青木さんと二人三脚、とにかくSタイヤで記録を出そうと頑張りました。当初リア5キロだったバネは、リアが弱すぎるとの理由から7キロにアップしたり、ガス圧調整したり、アライメントもトーインとか色々試しました。
そして最後は。。。

こんな事や、

こんなことまでやって、
1分2秒890を達成。2012年2月5日の事。
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エイトリアン氏は1秒台まで出していて、それに挑むのも一つの選択肢ですが、普通に快適に乗れて、過給もせず、2秒台が出た事に対しては私自身は満足してしまっています。
1秒台前半とか追い求め出すと、もう車じゃなくなってしまい、それは私自身はあまり好きなやり方では無い。。。まあ負け惜しみみたいな気もしますけど。
今はギア比も富士を狙ったものにしてしまったので、今後筑波でベスト更新する事は難しいかもしれません。
一方、ラジアルのタイムは大分古いものだし、タイヤもその後かなり進歩しているので今冬は出来れば新しいラジアル投入して少しはタイム改善しておきたいなと思っています。最近みんな速いからね。。。
後、私をさんざん惑わせてくれたR1Rですが、2012年に新品を安く入手出来た為、使用してみたところ今までの事がなんだったんだ???
と言う位、グリップするんです。つまりR1Rは新品をパチッと4本投入しないとダメと言う事が分かりました。どんなタイヤでもその傾向は多かれ少なかれ有るんですが、R1Rはチト極端でしたね。
しかし富士も筑波も結局振り返ってみると、
どれだけ上手くタイヤを使えたかがキーでした。
やはり路面と接触しているのはタイヤだけ。こいつをいかに上手く使うかが総てと言っても良いですね。
さあ、今冬何のタイヤ買おうかな。楽しみだ。