• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ミセガワのブログ一覧

2016年09月13日 イイね!

解体新書Vol.5 RE-71R 205/50R16

解体新書Vol.5 RE-71R 205/50R16お疲れ様です。

今回もロードスターパーティーレース車両からのサンプル提供ですが、ロードスターと言ってもNCでご活躍の黒蜂71号車様からのタイヤ提供を受けました。

なんでも殆ど使用していないのにパンクしてしまったとのことで、バリ山の提供品でした。


「NDロードスターのタイムが想定以上速い!  何か秘密があるんじゃなかろうか」

と思って205/50R16を切ってみました。



工場コードは変わらずEJ (鳥栖)

セリアルは0516です。都市伝説でいうところの「冬コン」ですね。

で、気になるビード廻りのお写真がこちら。


変わらずケプラーフリッパーの2-0HF構造、ハーフラジアルです。

つまり断面構造から見て、195/50R16との間に有意な差はなし。

冬コンとか夏コンとか言う話をたまに聞きますが、別に性能差をつけようとして故意にやる事はあまり無いと思いますよ。
ただタイヤのゴムは加硫という熱処理工程を経て形が維持されるゴム弾性を得ますから、その熱処理工程で受けるエネルギー量が寒くて生タイヤがどうしても冷えてしまう冬と、投入前から熱くなっている夏とでは調整する必要があり、熱処理条件や場合によっては硬化剤の配合を調整する場合があるんです。

作り手としては基本的には性能差が出ないよう調整しているわけですが、全く同一の条件ではない事はあり得る事で、それが微妙な性能差を生む事が無いとは言い切れません。

ただ、故意的に性能を変えようとしてやっているわけではない事はご理解いただきたい。

さて、脱線しましたが今のところ255/40R17以外は基本同じ構造を踏襲しています。

こうなると17インチか15インチ辺りのサイズを更に多く見てみたいですね。

それと265/35R18の最近のロットとか。

ただ2016年製造の今回のタイヤも手の込んだ構造を継承していたことから、265が今はコストダウン仕様になっているとは考えにくいですね。




「異常なし」

の報告だけではつまらないので、今日はおまけの情報を。

一つ目はRE-71Rユニークなお話です。
それはカーカス層の巻き返しがベルトの下まで来ていて、サイド分は実質的にカーカスが三層構造になっていると言う事。


まあ写真だと解りにくいですね。

では達筆の図解にて。


タイヤはその受け止める荷重・内圧等によってカースの糸の強度や枚数が決まりますが、RE-71Rは荷重には関係なく、ケーシングの剛性向上の観点からサイド部のカーカス層が実質三層になっていて、カーカスの端部がベルト層の下で系止されています。

カーカス層は以前から言っている通り、相互に角度を持つハーフラジアル構造ですので3層とする事、並びにケプラーフリッパーを付与する事で飛躍的に剛性が高まります。

この構造は更に副次的にカーカスの端末が良く撓むサイド部から無くなるため、端末の応力集中による破壊を免れたり(コードの座屈による破壊には寄与しない)、三層有る事でちょっとやそっと縁石にこすったくらいではサイドが切れてパンクしたりもしにくくなります。

一方で軽量化やコスト面では不利。

ただしRE-71Rは溝が浅くてトレッドゴムが少ないですから、トータルで見れば重くなってはいないし、転がり抵抗もそこそこでしょう。

全くコスト以外は実に巧みな設計です。


ちなみに格安アジアンの多くは、エクストラロードとか打って有りますが、多くが1-0構造ですね。さすが(笑)。きっとカーカスの糸が凄く強いんでしょう。


2つ目はフィニッシングという部材について


日本のメーカーの多くが写真の様にビードワイヤーの外周に一層の布の層を巻いています。

これはタイヤのホイールへの組み込み・分解の時にビード部の破損を防ぐ目的で配置されています。

タイヤはビードワイヤーの締め付け力でホイールとの摩擦力を生み出す訳で、ここが緩いとグリップ力は車に伝わらないのでとても重要です。

従ってワイヤーはヤワでは困るわけで、そうすると組み込む時とかにワイヤーとチェンジャーヘッドやホイールとの間に板ばさみになったゴムには凄い歪みが掛かるわけです。

私みたいなヘボイ作業者が組むと、ゴムだけでは持ちこたえられない危険性があるので、ゴムより強い布で補強して破損を防いでいるわけです。
※コストは上がります。


んで、海外メーカーのタイヤではこのフィニッシングを配置していないものもあります。この場合、ビードの周囲のゴムの物性を改良するか(ミシュランなど)、ワイヤーの剛性を落とすか、ビード破損上等でしらを切るかになります。

ただビードの剛性を落とすと、本来のホイールとの締結に影響が出る可能性がありますので、ハイパフォーマンスタイヤには向かないですね。

ブリヂストンのタイヤは71Rは勿論ですが、写真の様にビードのホイールと接触する部分の幅も凄く広く取られていて、力の伝達に注意が払われているのが分かります。

タイヤって高級品と安いものでは10倍も値段が違う場合があります。

でも高い値段を付けているものは、それだけ色々な観点でリスクを調査して、解決の為の施策を施し、多大な手間暇を掛けて安全性の確認をしているのです。

勿論利益を大分載せているものがあるのも事実ですが、タイヤの値段の差の殆どは今のタイヤに至るまでに掛けた手間の差だと思って下さい。



さて、大分脱線しましたが205/50R16も11Aとかに比べて空気圧低めで良さそうと言うのが今日の結論です。

215/45R17とかの71Rのご提供をお待ちしております。
Posted at 2016/09/13 11:26:28 | コメント(2) | トラックバック(1) | ミセガワ研究室 | 日記
2016年09月06日 イイね!

解体新書Vol.4 RE-71R 195/50R16

解体新書Vol.4 RE-71R 195/50R16いよいよこのシリーズも3サイズ目となり、迫力が出てきましたね。

今回は195/50R16という、最近追加されたサイズですかね。NDロードスターサイズ、実際にパーティーレーサーノイナトミさんが使用され、さすがにズルムケになり過ぎたので廃棄して行かれたものを切ってみました。

イナトミさん、ありがとうございました。





製造は2016年の14週 工場コードEJですので265/35R18とかと同じ鳥栖工場製です。

3サイズ目ともなると個別に語る事は無く、単純に言いますとこのサイズはホンキ仕様の265/35R18と同じ構造、すなわちケプラーフリッパーのビード周りとハーフラジアルのカーカス構造を持つ、Sタイヤやレーシングスリックに類似した構造を持っているという結果でした。



ケプラーフリッパーのご様子。



ハーフラジアルのご様子。


195/50R16サイズは軽いクルマ、具体的にはほぼNDロードスター専用サイズになりますので、簡略化した構造かなと思いましたが、そうでは無かったです。

これだと普通のラジアルタイヤよりも少し低めの空気圧がベストパフォーマンスかもしれません。


しかし同じシリーズの中で今のところ255/40R17だけがフルラジアル構造とはまた不思議です。

今後更にサイズやロットを拡大して調査を続けていきたいと思いますので、乞うご期待。

あと、廃タイヤの提供についてもよろしくお願いいたします。
Posted at 2016/09/06 10:30:56 | コメント(2) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記
2016年09月02日 イイね!

タレないタイヤとは2

タレないタイヤとは2とっ様のブログを読んで、剃っても剃っても生えてくる髭の永久脱毛にあこがれるミセガワです。

頭のおテンコの方はすっかりフェリッペ・マッサ状態なのに。


さて、以前もタレないタイヤについて軽くふれた事が有りましたが、最近気付いた事が有ったのでテーマに取り上げようと思いました。

まだタイヤに関して仙人クラスに至っていないので、見落としている事も多々ありまして、あしからず。

さて、今日のキーワードは放熱です。

以前も説明していますが、タイヤのグリップ力の発生の主要因はゴムが持つ「ヒステリシスロス」という現象で、これは簡単に言うと運動エネルギーを熱エネルギーに置換して旋回力や制動力という運動エネルギーをタイヤの発熱に置き換えて吸収し、最終的に接触面に伝えないから横にズレないという力学的均衡状態です。

丁度ブレーキを掛けると、クルマが運動エネルギーを減らし、その分ブレーキが発熱しているのをイメージすると解り易いですね。

タイヤの仕様面からこのグリップ容量を簡易的に式にすると、


グリップ容量=ヒステリシス比率(tanδ)*ゴム体積∝温度

となります。

ここであえてグリップ容量と言ったのは、熱伝導が極めて遅いゴムという物質においては、瞬間的なグリップ力はまさに接地している部分だけの限定的な現象であって、マクロ的な体積はあまり大きな影響を持たないと考えられたので、そのような言い方としました。

では容量は何に効くか。

ズバリ タレの進行だと思います。


グリップはヒステリシス比率で概ね決まりますが、そのヒステリシス比率は温度と関連性があり、高温になると低下、つまりグリップダウンの方向に行くわけです。

その進行度合いを制御する因子がゴムの体積・熱伝導率  そして 放熱性だと考えられます。

つまりタレを抑制したければ、発熱しやすいトレッドゴムは少なめで、タイヤの表面積が大きく(外径・幅が大きい)のが良い事になりますね。

あるトレッドゴムに関して発熱するエネルギー量は大体一定なので、あるいは放熱面積が大きければある点で均衡するかもしれませんが、それも外的要因である気温や路温で変化するので、安定的なものではないですね。

判り易い例で行くと、レース用のウエットタイヤって、ドライ路面になるとオーバーヒートしてブローしてしまいますよね?
これを水が残っているところを走って冷やす。

水は数ある物質の中でも熱容量が最大級に高いですから、素晴らしく冷却効果が高いので、ウエットタイヤは水の上を走っている間は水冷されてオーバーヒートしない訳です。


結論

タレを抑えるためには 大きなタイヤ、同じ呼び幅ならハイトが高い方。そしてトレッドが薄い方が有利。空気圧は高め。

勿論タレない分、温まりも遅い方向ですのでその点は注意が必要です。またタレない事が目的であるので、スプリントタイムが犠牲になる場合も多々ありうる事は理解下さい。

その季節・季節でレース等をやる場合、スプリントのタイムとのバランスを見ながらまあ、少し検討要素に加えると良い事があるかも。

Posted at 2016/09/02 10:17:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記

プロフィール

「開成町 あじさいまつりと地元イタリアン堪能 http://cvw.jp/b/247321/48475545/
何シテル?   06/08 17:44
昔は一生懸命タイムを出そうと走っていました。@RX-8 主要サーキットのベストタイム FSW(富士スピードウエイ)レーシングコース Sタイヤ:2′00...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2016/9 >>

    1 23
45 678910
1112 1314151617
18192021222324
252627282930 

リンク・クリップ

KYB謹製 純正ダンパー交換😃 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/01/03 09:12:59
純正シートをリスニングチェアーに改造 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/07/24 10:05:24
DIYでオイル交換 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/07/12 05:35:30

愛車一覧

ルノー メガーヌ ルノー・スポール ルノー メガーヌ ルノー・スポール
悩んだ挙句ルノーの沼に嵌ってみました。GRヤリス8ATと競合しましたが、どうも私はトヨタ ...
ダイハツ ムーヴ ダイハツ ムーヴ
ミラカスタムに代わって我が家のタウンユースを担当。
ルノー ルーテシア ルノー・スポール ルノー ルーテシア ルノー・スポール
フランス車だけど日産混血、乗ってみれば国産と変わらない信頼性で良きかな。 吊るしでミニサ ...
ダイハツ ミラカスタム ダイハツ ミラカスタム
2008年2月納車。これから朽ちるまで我が家のファーストカーとして活躍してもらう。ターボ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation