初代A5デザイナーの和田智と最新アウディ

和田智というとご存じ、初代アウディA5（B8、８T)を担当したデザイナーです。シングルフレームグリルをA6で復活させたり、ここ15年のアウディの躍進には欠かせない人物といえますね。


この初代A5では、ファンの間での通称「和田ライン」といわれるリアフェンダーの上を走るラインが美しい！


今はアウディを退社しておりますが、度々アウディや車全般について発言しているので彼の発言を追ってみたいと思います♪まずは、こちらの2017年7月の記事から。
「インハウスのデザイナーは上司から「お前のデザインは普通だな」と言われるのが最も怖いわけですが、VWやアウディのデザインはきわめて普通なんですよ。変わったことは一切やっていない。厳格にプロポーションを決め、肉付けをし、タイヤとのバランスを考える。素晴らしい普通を生みだす作業をしています。そうした仕事では、日本車が一生懸命やっているようなスキンデザインの工夫はさほど重要視していないんです。とはいえ、VWやアウディでも、新しい世代のデザイナーはむしろ日本的な作業法に引っ張られているようにも見えますけどね。」

日本的な作業法に引っぱられているように見える、と批判的です。

「僕はクルマは鏡面だと思っているんです。ガレージから出てきたクルマがパブリックな場所に出ていって、社会を映す鏡になる。実際に景色がボディに映り込むという意味でも鏡だし、いまの社会の時代的な美意識を可視化している。トヨタ車や日産車のボディサイドにはたくさんのラインがあって、面をねじりまくってます。そうなると、映し出される風景も歪む。なんか、社会を反映しているデザインなのかな、と思ったりします。」

ゆがんでいる、社会を反映していると、更に批判的になってきます。ヒートアップして本音が出てきた感があります。2017年頃ですから我がA4（B9)も含めて考えていると思うとちょっと複雑・・・。


2019年10月23日のツイートでは

「メルセデスの中で一番かっこよかった4ドア。シンプルで面質がきれい。」
これはAMG　GT-６３？まだ見たことがないのですが、センシャルピュアリティといわれる面構成。つまり、ラインを消す方向のデザインを和田さんは高く評価しているようですね。

他のツイートでは
「ご近所さんのガレージに新型アウディA１がやってきた。ライムのようなイエローが綺麗。エッジイではあるが面質が優しくなった。最近のアウディの中ではベストかな。がんばれAUDI！」




新型A4で私が気になっていると指摘したボンネットとグリルの境目の穴。


A4では「グリル上部のボンネットとの境目が変なんになっちゃった！新型A1も同じですが、これは嫌です(笑）美しいボンネットが台無しになった感が」なんて言ってしまっていますが、これはクワトロの先祖であるアウディスポーツクワトロのオマージュなのだそうです。


たしかに三分割スリットがありますね。私はこの車が生まれた頃には生まれてもいませんので全く愛着がないのですが、こういう遺産を大事にすることは重要だと認識はしています。ただ、実車を見ても未だ見慣れないのです。どうでしょう、このスリットは。


音楽付きで見るとちょっと良いかも！(笑）日本版CMより海外版CMのほうが台詞が少なくて好きですね。

ということで、和田さんの好み・哲学はなんとなく分かってきました。世の中には流行っていればそれが正解だとする風潮を、知らず知らずのうちに使用している方が多いのですが、やはりデザイナーの話は重みがあります。
デザイナー同士のフランクな対談とかあれば嬉しいですよね～。和田・マークリヒテの対談とか、哲学が違っていそうで面白そうじゃないですか？同じデザイナー同士、何に同意できて何に同意できないのか・・・。

ちなみにこれは新型A4！ヘッドライトの動きがやばい！テクノロジーは間違いなく進化してます！