MINI原人蝶道具 Die chirurgischen Instrumente für Schmetterlinge

MINi原人のクマ道具、雪道具など道具シリーズが好評のようであるので、今回は原人の蝶道具を披露する。といっても、蝶を採集するための道具ではなくて、採集した蝶と蛾を標本にするための道具である。



この木のトランクのようなものを開くと、



こうなる。中には展翅すなわち翅を広げ触覚を整えられパラフィン紙とマチ針で固定された蝶と蛾が並んでいる。大部分は原人が採集した蛾である。原人はこの頃は蝶に飽きて、蛾に生命力を感じ収集するようになった。　この板を展翅板という。真ん中に胴体が入る溝があり、下にコルクが敷いてある。



これが待ち針と昆虫針である。昆虫針は一番細い00号から一番太5号まで7種類あり、蝶・蛾の胴体の太さで選ぶ。　待ち針は普通のお裁縫用のものである。



これが各種ピンセット（攝子（せっし））類。　中にはゼロピンといって細い血管を吻合するための外科手術用も含んでいる。　こうしたものは１本数万円もする。　でも先日、原人は百均でほぼ同じようなものが100円で売られているのを見てアゴがはずれるほど愕然とした。
シャープペンシルにとりつけてあるのは曲げて整形した針である。触覚はピンセットで持つとポリと折れてしまうので微妙な角度をつけた針でなぞるように正しい位置に導く。
右にあるのは注射器だが、チョウに注射していじめるためのものではなく、乾燥してしまった標本に蛋白分解酵素を注入して軟化するためのものだ。



原人は石器時代から刃物が好きなので、いろいろ持っている。　通常の外科用剪刃（せんとう）、眼科用剪刃、そしてマイクロサージェリー用剪刃、ディスポのメスなどを含む。　なお一番右端は原人の鼻毛切りバサミだ。これが一番役に立つ。

こうしたお道具（多少おおげさだが）を駆使し、帳と蛾は展翅板の上にハリツケにされ、数か月以上乾燥され、最後には原人の標本箱に収まることになる。　なにしろ１匹数万円もするチョウを展翅するときにはこのような精密なお道具を使わなければパリッと翅を破ってしまい大変後悔し、じだんだ踏むことになるからだ。