
起伏に富むワインディングロードに持ち込んだ新型アクセラ・20Sの試乗車は、私の予想に反して、先代SKYACTIVアクセラを思い起こさせるような雰囲気を醸し出しながら、軽快にコーナーを駆け抜けていきました。
そこには、私が過去にこの試乗コースでドライブしたRX-8やデミオ、そして最新のCX-5やアテンザとも違う、あくまでアクセラ独自の楽しさが貫かれていたのです。
誤解のないようにいえば、新旧アクセラで挙動が全く同じだったというわけでは決してありません。
冷静に振り返ってみれば、同じコーナーを通過するにも、新型アクセラの方が明らかに切り始めの反応はマイルドだったし、姿勢の変化量もやや大きめでした。
また一方で、先代SKYACTIVアクセラでは短時間の試乗中に頻繁に露見していた大径タイヤのバタバタ感は、新型ではほとんど気にならず、極めて良好な乗り心地でした。しかもこれ、タイヤサイズが先代の「205/50R17」から、さらに偏平率の低い「215/45R18」に替わっているにもかかわらず、です。
細かな違いの記憶を思い出しながら頭の中を整理していて、私にはふとある推論が浮かびました。
「ん?ひょっとするとこれは・・・」
それは・・・2年前、当時のマツダ車の方向性からすると私にはやや異端と感じられた先代SKYACTIVアクセラのハンドリングも、実は目指したものは同じ”統一感”だったのではないかということ。
・・・なのに、三代目プレマシーやSKYACTIVデミオのように、明快に従来型”Zoom-Zoom”路線と決別する方向にアクセラが踏み出さなかったのは、代々受け継いできた”コンパクトスポーツ”というコンセプト、つまりは”アクセラらしさ”を残すことを優先した結果ではないかと思えてきたのです。
元々は違う思想で生まれたはずの先代アクセラのシャシー(&ボディー)ですから、ほぼ宗旨替えにも匹敵するような別のハンドリング特性を強引に与えたところで、走りと燃費を両立する絶妙な味わいを出すのはSKYACTIVデミオほど簡単ではなく、かえってアクセラの個性・存在感を希薄にするリスクが高いと判断したのではないでしょうか。
よって、”統一感”という目指す方向性は十分に意識しつつも、先代SKYACTIVアクセラは、あくまでも従前の快活なハンドリングをベースに置いた上で、タイヤやサスペンションのチューニングによって、尖った反応をより「マイルドに」緩和させる方向のアプローチをしたのではないかと思うのです。
そこへくると、フルモデルチェンジで全てを一新した新型アクセラは、当然ながら先代とは設計思想も異なり、ボディやシャシーも“統一感”のハンドリング特性を実現することを前提に最適化されたであろうことは、CX-5やアテンザの良好なパフォーマンスからもたぶん間違いのないところ。
よって、同じ「アクセラらしさ」を演出するにしても、新型アクセラはストローク感のあるリニアなハンドリング特性をベースに置いた上で、タイヤやサスペンションのチュー二ングで、穏やかでしっとりした反応の要所要所に「キビキビ感」を付与していったのではないかと思うのです。
つまり、出発点やアプローチは違えど、新旧アクセラのハンドリングが目指した姿は同じだったと結論付けると、結果として、新旧アクセラの2.0L車が(素人の)私に与えたハンドリングの雰囲気がそう違わなかったのも自分で納得できるし、それぞれのアクセラが生まれてきた時代や、課された使命との整合性についても、うまく説明が付くような気がします(^_^;)。
・・・あ、もしかすると、SKYACTIVアクセラのオーナーさんに「それは違う」と指摘されたり、マツダの開発陣に「全く判ってないな」と一蹴されたりしてしまうかもしれませんが、少なくとも私はこの我流の解釈ですっきり納得できたので、まぁ許してください(爆)。
(いつになく弱気だなぁ・・・苦笑)
ということで、フルSKYACTIV車らしく、パワートレイン系も含めたクルマ全体での動的な統一感をきっちり実現しながら、しなやかな中にもアクセラらしい軽快な動きを散りばめ、先代よりも上質な気持ち良さを感じさせてくれた「20S」のハンドリングを、あらためて「イイ感じ」と表現したいと思います(^o^)。
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隠れ家のテストドライブ | 日記
Posted at
2013/10/30 21:34:30