父が腰を痛めたと、母から緊急連絡を受けたのは土曜の朝。
そのため、代わりに買い物に連れて行けというのが直接の用件だったのですが、いやいやその前に、動けなくて苦しんでいる本人の手立てを考えなければなりません(+_+)。
部屋でドスンと尻餅を付いた際に腰を捻ってしまったらしく、二階の和室に横たわったままの父。
起き上がるのは勿論、満足に寝返りさえ打てないほどの惨状は、腰痛持ちの私には痛いほど理解できるもの。つい一年前にも自宅でそんな目に遭ったばかりですからね・・・。
さて一体どうしたものか・・・
と、枕元に集結した母と私がいみじくも思い出したのは、中学二年の私が同じような激痛に襲われたシーン。
実に今から30年以上も前・・・あの時の私も自力では到底動けなく思えたのですが、「もう救急車を呼ぶしかないね・・・」と母に言われた途端に奮起。20分くらいかけて階段を這って下り、歯を食いしばってタクシーの後席に転がり込んだのです。
そして、二人の記憶が鮮明に蘇ったのはそのシーンにだけに止まらず、
「激痛と闘っている本人には一大事なのに、診察の結果は呆気なく、湿布を出されて御仕舞いだった」
という、腰痛にはとてもありがちな、あまりに切ない診察結果までも(苦笑)。
そんな昔話も思い出しつつ、私が父を背負って降りるか、救急隊員に任せるかの二者択一・・・と話しかけたところで、父が突然動き始めたのです。
慌てて介添えをしようとする私を制し、歯を食いしばって自力で起き上がろうとする父に、なんだかDNAめいたものを感じましたが、いやいや、感心している場合ではありません。
とりあえずエレベーターまでは這って行けそうな様子だったので、私は慌てて道路向かいの駐車場へ走り、ビアンテを玄関の門扉ギリギリに横付け。(ここはスライドドアが物を言うシーンですね・・・)
シートアレンジにはやや悩みましたが、安全上の理由でフルフラットはできないので、左右の2列目シートを合体させて適度にリクライニング。
なんとも中途半端な思い付きアレンジですが、まぁ、こればっかりは経験値に乏しいので仕方ありません。
僅か5分程で到着した市内の整形外科では、大胆にも道端の段差に乗り上げながらも、玄関スロープの真正面にビアンテを横付けし、やっとのことで搬送完了。
受付で手短に用件を伝えた私は、ひとまずその場を母に任せ、救急車でもないのに病院入口を占拠している迷惑なビアンテを回収に(^_^;)。
ほんの5メートル先に地下駐車場の入口があったので、これ幸いと、急なスロープを降りて行こうとしたものの、「1.8m」の高さ制限表示が目に入って進攻中止(ビアンテは1.83m)。
慌てて周囲を見渡すと、出口のスロープには同様の高さ制限表示がなく、かつ、スロープの傾斜や天地高さにも若干余裕があるように見えたので、逆走して狭い地下駐車場に進入。
無事に事なきを得ましたが、今思えば、
単に出口だから表示がなかっただけかも(大汗)。
そんなわけで、私が診察室に駆け付けた頃にはレントゲン撮影も終わっていて、仮のコルセットを装着してもらった父が、つい10分前の苦悩の表情が嘘のように立ち上がっている姿にビックリ。
(元の惨状が惨状だけに、少しでも痛みが和らぐとつい気が大きくなってしまうんですよね・・・笑)
痛み止めの薬と湿布薬を処方してもらい、帰途に着きました。
と、当日の午前中の奔走で、ひとまずできる限りの処置は施せたと安堵する一方で、こうしていざマイカーを本格的な介護用途に供してみると、案の定、数々の問題点が浮き彫りに。
今回、最大の功労者となったビアンテにしても、カタログでは低床フロアを謳ってはいるものの、Bピラー部のグリップをしっかり握りしめて「ヨイショ」とよじ登らなければならないのは、足腰の弱ったご老人には決して楽ではない動作だと言わざるを得ません。だからといって、数センチ分の段差を解消しようとローダウンなんか施した日には、バリアフリーとは程遠い田舎の旧型施設では、スロープや段差が乗り越えられないという本末転倒に陥ってしまうのが目に見えています。
では、ビアンテよりもフロアや座面との高低差が少なく、乗降アプローチでは相対的に有利と思われるデミオはどうかというと、スタイリッシュな外観と引替えにドア開口部は決して大きくないし、何より、スイングドアゆえに閉所での乗降性の悪さが痛いところ。肝心の座面高さだって、小柄な母にはちょうど良くても、腰痛の父にはちょいと低すぎたりと、どこまでも悩みは尽きません^_^;。
無論、何れも「NG」ではなく、「欲を言えば」というレベルの不満ではあるものの、普段から”用途に応じたクルマの使い分け”を自ら提案したいと思っている私としては、このどこか煮え切らない結果はクリーンヒットとは言い難く、むしろポテンヒットの類。
いつかは来ると覚悟していた日がそう遠くない現実を知ると、途端に悩ましく感じてしまいます。
今後、「スイングドアで開口部が広い」とか、「スライドドアでも座面が近い」とか、かつての「使えるクルマ、楽しいクルマ」がマツダから登場してくれたらファンとしても一安心ですが、現在のデザイン重視・走り重視のクルマづくりにどこまで期待をしてよいものか・・・。
これは、これまで対象としてこなかった軽自動車のラインナップを手始めに、マツダ以外のメーカーのクルマまで視野に入れ、幅広く次期介護車を検討をしてみる必要があるかもしれません。
Posted at 2014/06/30 20:21:52 | |
トラックバック(0) |
隠れ家の乗り物 | 日記