• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

Nuk-P@RailStarのブログ一覧

2014年11月20日 イイね!

言われないと、気付けないこと

言われないと、気付けないことマツダ独創の運転評価システムである、「i-DM」(インテリジェント・ドライブ・マスター)。

このi-DM、世に蔓延るECOランプのように、ただひたすら燃料を節約するために穏やかなアクセル操作を促すことを目的とした支援機能とは一線を画しています。
穏やかで優しい運転操作のみならず、ドライバーが積極的にクルマの運動性能を引き出せるような、適度にメリハリの効いた運転操作(アクセル・ブレーキ・ステアリング)を評価の中心としていることは、運転支援の切り口としては極めて斬新。
しかも、そんな画期的な運転支援システムが、常々「走る歓び」を標榜し、昨今では「人馬一体」の合言葉を掲げてドライバーの意志に忠実に反応するレスポンスの作り込みに心血を注ぐマツダ車に搭載されていることは極めて合理的で、素直に納得できる話でもあります。

仮にi-DMを別メーカーのクルマに搭載しても、そのクルマのレスポンス特性がリニアでなく、鈍かったり唐突すぎたりすると、ドライバーは意図通りのクルマの動きを導き出すのに苦労したり、クルマ側のクセのある反応を見越した特殊な操作を強いられたりで、ただただストレスを溜めることにもなり兼ねないでしょう。

ではそのi-DMが、ECOランプが誘う省エネ運転の世界と対極に位置するかというと、決してそうではありません。不必要なまでに長い時間をかけてダラダラと加速をするくらいなら、一気にサッと加速を終わらせた方が、結果的に燃料を節約でき、省エネにも繋がったりするものだから、なかなか欲張りというか、奥の深いシステムなのです(^o^)。

そんなi-DMと私は、DEデミオ、アクセラXD、DJデミオと3台連続で親密なお付き合いをしてきました。
もっとも、記念すべきi-DM初搭載のマツダ車となったSKYACTIVデミオで、私が本格的にi-DM機能を活用し始めたのは昨年の12月なので、活用歴としてはたかだか1年程度ですが、なんとその間にCVT、6MT、6ATと三種三様のトランスミッションでこのi-DMを体験できたことは、かなり珍しいケースかもしれませんね^_^;。

一時期、怖いもの見たさの心境から、アクセラXDで「5thステージでアベレージ5.0」の維持に走ったことはあるものの、ただただ緊張を強いるだけの分不相応なチャレンジには早々と終止符を打ち、現在はアクセラもデミオも3rdステージに止まり、いかに気持ち良く、そしていかに自然に、アベレージ5.0キープができるか、秘かに闘志を燃やし続けています(^_^.)。

そんなわけで、まだまだi-DMを極めたとは口が裂けても言えない私ですが、この1年間のi-DM経験を振り返って、ぜひとも声を大にして伝えたいと思うのは、タイトルの通り・・・

「言われないと、気付けないこと」(もある)ということ。

その意味するところは?
もしも、i-DMで自らの運転に客観的評価を下される機会がなかったら、おそらく私は一生、そこに運転スキルの改善の余地があることに気付かず、「自分は運転が上手」と慢心し続けていたと思われる領域が、幾つもあったということなんです。
もちろん、私自身が認識できていない至らなさを厳しく指摘してくれるような良き理解者が同乗してくれれば、最初の気付きくらいは与えられたかもしれませんが、現実になかなかそんな機会は巡ってこないし、仮にあったとして、それ以降もi-DMのように常に傍らで同乗し続けてくれるわけではないので、折角の苦言も一過性の強い「その場限りの指摘」となってしまうことでしょう。

そんなi-DMの評価の中で、とりわけ強烈に私の印象に残っている指摘が、

「アクセルペダルの戻し」なんです。

あの忘れもしない出来事は・・・実家にアクセラXDが納車されて数週間たった頃。
帰り道で少し遠回しをし、隣町の駅を跨ぐ高架に差し掛かったところで、それまでずっと封印していたSKYACTIV-D 2.2のトルクフルな加速感を味わってみようと、私は思い立ったのです。
ローギアで少し長めに引っ張り、セカンドギアに入れるためにサッとクラッチを切り、同時にスパッとアクセルOFF。その瞬間、タコメーターの中央付近で何かがピカッと光ったのです。
そう、それは小さな2個の白ドット(-_-;)。

その瞬間の私の心境たるや、「目からウロコ」・・・なんかじゃありません、まさに「目がテン」

シフトアップの際のアクセルオフでいちいち目くじらを立てるだと!?
MT車の醍醐味を奪う気か?
 
冗談じゃない!!

初めてアクセラXDの豪快な加速感を味わおうとしたその瞬間、高揚する気分に冷や水を浴びせるかのような白判定・・・それはもう、驚きやショックを通り越して、沸々と怒りがこみ上げてくるほどでしたね。

でも・・・
私がアクセルOFF時の白判定にカチンときて頭に血を昇らせたのは、後にも先にもこれ1回きりでした。

何故って、私は運転免許歴26年にして、初めて気付かされたからです。
これまでの自分の何気ないアクセルオフ操作がいかにラフなものだったかということ、そして、迂闊にもそのことに微塵も気付かず今日まで過ごしてしまっていたことを。

まぁ、考えてもみてください。
当のドライバー本人は、両足と左手を小気味良くシンクロさせながらマニュアルトランスミッションのシフト操作を楽しんでいる最中。自らの身体を積極的に動かしながら、その一方でラフなアクセルオフが引き起こした車両の挙動の乱れを感じ取るなんて、余程意識をしない限りは、簡単にできる芸当ではありません。
いやむしろ、軽い衝撃を伴って威勢よくアクセルペダルが戻る音を、程良い"リズム"と感じてしまうのが関の山。
さらに、仮に同乗者のいるドライブだったとしても、ノリノリでシフトアップしているご機嫌なドライバーに対し、反感を買ってしまうことも承知の上で、「おまえ、もう少し丁寧にアクセルを戻せよ」なんて、わざわざ苦言を呈する輩なんて、まずいませんからね。

そこでi-DMの出番です。
同乗者がいようがいまいが、ドライバーの機嫌が良かろうが悪かろうが、常に客観的かつ正確に、(ときには冷徹に)、過ぎた運転操作にしっかりダメ出しをしてくれるわけです。
まさにこのi-DMがあったからこそ、私自身の運転操作の欠点、具体的にはラフなアクセルOFFという悪癖が初めて浮き彫りになったわけです。
これはほんの一例に過ぎません・・・。

たしかに、自分の運転にダメ出しをされるのは誰しも快いものではないし、自らの腕前に自信のある人なら尚更、気分を害することになっても不思議ではありません。
でも、i-DMの判定は決して恣意的なものではなく、いつ何時も統一された絶対評価基準をもって、私たちの運転操作の良し悪しを常にあぶり出してくれるのです。だから・・・
「何だこの野郎、イチイチうるせえな!」
なんて毛嫌いせずに、ぜひぜひ、自分の運転をもっと高いレベルへ引き上げてくれるごく身近なツールとして捉え、i-DMと真摯に向き合ってみることで、一皮剥けるための何らかのヒントを感じ取ってもらいたいと思うのです。

私もまだまだ道半ば。それに・・・クルマの運転を極めるなんて、ある意味エンドレスともいえる取り組みですから、どうせやるなら楽しくチャレンジできた方がイイに決まっています。
何かひとつ簡単な課題を見つけて、まずは意識してそれができるように、次には無意識でもそれができるように、と少しずつステップを踏みながら取り組んでみるだけでも、運転スキルの上達や、問題意識を持つことの大切さが実感できると思います。

さ、早いとこDJデミオでのアベレージを5.0にしなきゃ!(実は現在「4.9」 爆)
Posted at 2014/11/20 22:24:29 | コメント(6) | トラックバック(0) | 隠れ家の走り | 日記
2013年10月15日 イイね!

ついに選択肢がっ・・・

ついに選択肢がっ・・・先週、予約受注開始が発表されたばかりの新型アクセラ

広島駅コンコースの常設展示スペースの様子を、今回は背後から紹介してみました(^_^;)。
魂動デザインの顔付きが「アテンザそっくり」と揶揄されがちな新型アクセラも、このスポーツの個性あふれるリアビューなら、そんな風評の心配もないでしょうね(^^)。

さて、三代目となった新型アクセラは、先代のようなエンジン&トランスミッションに限定したSKYACTIV化ではなく、ボディやシャシーも含めたクルマ全体にマツダの最新技術が織り込まれた”フルSKYACTIV仕様“に、”魂動デザイン”が合体した、第三弾の作品にあたります。
昨年、その第一弾として登場したCX-5や、第二弾のアテンザ以上に、私がこの第三弾のアクセラに注目しているその訳は、9年目を迎えた実家の初代アテンザスポーツワゴンの代替候補の「本命」だから。

その理由としては・・・許容ギリギリの「ボディサイズ」「MT車の設定」の2つが支配的です(^^)。

先代から車幅が40mm拡大し、ついに全幅1795mmにまで達した新型アクセラ。
初代アテンザ(1780mm)よりもプラス15mmで、二代目アテンザと同値という堂々とした横幅を最初に知った時は、正直なところ驚きを隠せませんでした。

ただ、実家のケースのように「初代アテンザ目線」で見てみると、プラス15mmの全幅が致命的な影響を及ぼすとは思えず、むしろ、「ワゴン→5HB」のボディタイプ変更によって230mm短縮される全長が、取り回しという面において全幅の不利を帳消しにしてくれるという期待感も芽生えてきます。
そういう意味では、短縮された全長に伴って目減りする”ラゲッジ容量”が父の許容範囲内に留まるかどうかが、当落の大きなポイントになりそうです。
・・・ま、こんなことを書きながら、最新のマツダ車しか眼中にない”偏った”クルマ選びゆえに、このような袋小路にハマり、こんな強引な好意的解釈を持ち出してしまっていることは傍目にも明らかですが(苦笑)、まぁこれも、大のマツダ党の息子を持ってしまった父には、受け入れざるを得ない”運命”ですかね(^_^;)。

もう一方の「MT車の設定」は、父の「MT車限定免許(笑)」という事情からも、避けて通れない重要な要素。

フルSKYACTIV第一弾のCX-5では、レスポンスの”統一感”を徹底追求し、新次元の気持ち良さを実現していながら、その歓びを大いに倍化してくれたであろうMT車が日本向けに設定されず、一部のファンを落胆させてしまいましたが、第二弾のアテンザでは、ディーゼル車限定ながらも、CDクラスとしては異例ともいえる6MT車の設定を”復活”させてきたマツダ。これは即ち、”新世代高効率マニュアルトランスミッション”「SKYACTIV-MT」の日本初導入でもありました。

そして第三弾のアクセラではなんと、1500ccのガソリン車にも6MT車を拡大設定!
この結果、昨今すっかり稀有な存在となってしまった「MT車」選びにおいて、新型アクセラというモデルの中で、2200ディーゼル(スポーツ)と1500ガソリン(スポーツ/セダン)という複数の「選択肢」が生まれたのです!
しかも、来春には2000ガソリンにもMT車を追加予定とまでアナウンスがされています。
(純粋にMT機種を増やすのか、既存のMT機種と整理・統合するのかは不明ですが)

このなんとも贅沢なMTラインナップ。
先代アクセラではマツダスピードアクセラを除く通常モデルに一切MT車設定がなかったことを思えば、隔世の感さえも。
新型アテンザのように、MT車の設定があるだけでも有難いのでグレードやエンジンは黙って受け入れるべし、と半ば覚悟を決めていたところに、なんとエンジンの選択に迷ってしまうという贅沢な悩みを抱えることになろうとは・・・これは間違いなく、嬉しい誤算です。
もっとも、父にとっては未知の世界となる6MT。長年慣れ親しんだ5MTパターンから頭を切り替えなければならない課題があるので、それさえクリアできれば・・・なんですけどね^_^;。

思えばつい一年半前、他のどの自動車メーカーよりも”走る歓び”を標榜するマツダだからこそ、積極的にMT車を設定すべきだし、仮に設定するにしても、TOPグレードonlyや廉価グレードonlyではなく、きちんと選択肢を設けて欲しい・・・と、花屋の例に喩え、「数字の裏にあるもの」というタイトルのブログで訴えてみた私。

別にそれが直接奏功したというわけではありませんが、今回の拡大設定は、MT支持派にとって悲観的な展望しか描けなかった現状に一石を投じる、注目すべきアクションではないでしょうかね。
他でもない"Zoom-Zoom"のマツダが、その動きの中心的役割を果たしていくことになれば、いちファンとしてこの上なく嬉しいところです(^o^)。
Posted at 2013/10/15 21:37:04 | コメント(2) | トラックバック(0) | 隠れ家の走り | 日記
2012年04月08日 イイね!

数字の裏にあるもの(4)

数字の裏にあるもの(4)日本の乗用車販売におけるMT車比率は、僅か1~2%に過ぎません。
この数字を見る限り、MT車の購入者はほんの一握りの人たちということになりますが、そこを大切にすべきという「特段の理由」とは・・・。

まずは私なりに、MT車の支持理由をこう考えてみました。

「自らの100%の意志でシフトやクラッチを自在に操作でき、発進や加速・減速、定速巡航などのあらゆる場面で、意図した通りの反応を味わえるから」

もちろん、今時のATはなかなか出来が素晴らしくて、反応の素早さやダイレクト感、MTっぽくアップダウンできる操作性など、昔のような節度感がなくてスイッチ感覚の強いATとは大違い。
最近では性能面からフィーリング面に至るまで、MTとATの実力が思いのほか拮抗しているのかもしれませんが、最終的にはたとえ首の皮一枚の差であっても、MTの方が意図通りの反応を素早く得られる気持ち良さでATを上回るものと思います。

さて、MTの支持理由をそのように定義してみると、そこには

「自らの意志で自在な操作を行い、意図した通りのクルマの反応とそのプロセスに喜びを感じながら、気持ちよく走りたい」

という、運転好きの人に共通する根源的な要求がまず存在していて、その中のトランスミッションの領域を切り出すと先のMTの話になるという、単純明快な構図が浮かび上がってきます。

ん?その根源的要求って・・・要するに「走る歓び」ってことですよね?
この「走る歓び(喜び)」というフレーズ自体、クルマ好きにはわりと耳障りの良い言葉で、クルマの楽しさを訴求する際にこれでもかと使い倒しているのは、何も特定の自動車メーカーに限ったことではありません(笑)。

ここで考えてみたいのが、その「走る歓び」に対するユーザーの感度。
おそらく、ATのイージードライブな面だけを歓迎している普通の人よりも、同じATでも操作性やレスポンスにこだわる人の方が感度は高く、こだわりも強いでしょう。そしてさらに、MT車を積極的に望むような人になると、さらに高い感度と強いこだわりを持っているのではないか・・・。
そう考えると、少なくともMT車を積極的に志向する人は、「走る歓び」の素晴らしさや大切さがわかる人であり、そのことを重要視している。だからこそ、あたかもクルマが体の一部になったかのようなトランスミッションの操作感覚にこだわるのではないかと思うのです。
(もちろん、「走る歓び」が理解できるのはその人たちだけ、という意味ではないですよ)

そんな「走る歓び」を人一倍大切にするユーザーが、極めて不自由なMT車の選択肢に翻弄され、満足なクルマ選びができない現状を、「走り」を標榜する自動車メーカーが傍観していて良いのでしょうか。
とりわけ、エコ全盛の現在においても、果敢に「走る歓び」の追求を掲げ、クルマの基本性能をイチから磨き直そうと覚悟を決めたマツダこそが、他社の先陣を切って今そこに手を差し伸べないでどうする!
・・・と、マツダファンの私はつい語気を強めてしまうのでした(笑)。
「走る歓び」がわかる人に「走る歓び」を感じられる商品で応えていくことこそが、「小さくても存在感のあるメーカーを目指す」と公言するマツダが、自らの技術戦略と合致した方向で、余所との違いを鮮明にしていける唯一の道ではないかと私は思うのです。

MT車を購入しようにも、設定モデルが限られ、かつ、グレード選びも限定的となる現状は、あまりに酷です。
誰よりも強いMT購入意志のある人、つまり、MTのためなら装備や価格の妥協も厭わない人たちでさえ、満足なMT車選びができない現状では、まだMTの魅力に気付いていない人にまでその輪を広げることは困難と言わざるを得ません。

そこでまずは、MT支持派を弾圧するような(笑)不当に狭められた選択肢を見直してほしい。
全てのクルマに「松・竹・梅」を揃えろとはいいません。一部のモデルで十分なので、「走る歓び」に共感できるユーザーのために、せめて「松」と「梅」のMT車が選べる自由度があったら・・・と切に思います。
なにも、AT専用車に後からMT仕様を追加せよと言っているわけではありません。マツダは輸出比率が高いので、欧州向けのMT車をベースにして日本の法規に適合させることはそう難しくはないはずですよね・・・。

残念ながら、MT車の設定が顕著な販売台数の増加に結び付く可能性は低いと言わざるを得ませんが、それはマツダが大切にする「走る歓び」に対する感度の高いユーザーの共感を得るために(極論すれば、マツダがマツダであるために)必要な施策であると捉え、腹をくくってチャレンジしてもらいたいと思うのです。
管理コストが嵩むという理由で販売台数の少ない機種を無条件に悪者扱いするのではなく、MT車のようにマツダの生命線となり得るものは必要経費と割り切って、知恵と工夫でマツダらしい上手な管理方法を編み出してほしいものです。

冒頭に述べた数%は、あるメーカーにとっては「無視してよい」数%でしょう。
でも、「走る歓び」を追求するマツダにとっては、決して無視できない「虎の子の」数%であるはず。
いやむしろ、不当に選択肢が狭められた上での結果であることを考慮すれば、そこには数字以上の価値や可能性が隠れていると私は思うのです。

「赤い花を買うんだったら、絶対あそこのお店だぜ!」
そんな定評が確立し、存在価値のあるお店になれたとしたら、きっとその傍らに並べている「白い花」にも自然と付加価値が加わっていくのではないでしょうか(^^)。
 
Posted at 2012/04/08 03:46:49 | コメント(4) | トラックバック(0) | 隠れ家の走り | 日記
2012年04月07日 イイね!

数字の裏にあるもの(3)

数字の裏にあるもの(3)父のアテンザワゴンが2度目の車検を控えた2010年のこと。

アテンザはすでに2代目にモデルチェンジしていて、本来であればそのワゴンが本命となるべきところでした。
ところが、直前のマイナーチェンジを機に機種体系が整理され、MT車はハッチバックの一部に設定が残されただけで、ワゴンからは消滅してしまっていたのです。

さらに追い打ちをかけたのが、前回の対抗馬・アクセラの状況。
こちらはなんと、2009年のフルモデルチェンジで主要モデルからMT車が完全消滅し、唯一、264psのホットモデル・マツダスピードアクセラに設定が残るのみ・・・。
MT限定免許(笑)の父がやむなくダウンサイジングを図ろうにも、アクセラに実質的な受け皿はなく、コンパクトカーのデミオまで急降下する必要があったのです(残念ながら、デミオは野良仕事の道具が収まらずNG)。
これは一体どうしたことか・・・。
5年前にMT車の地位向上と受け取ったのは完全なるぬか喜びで、ついには選択肢そのものを奪われる事態になったのです。

・・・こういう見方もあるかもしれません。
日本市場のミドルクラスセダンでMT車が存在すること自体が異例なのに、ごく限定的とはいえアテンザにMT車の設定を残したことは、マツダならではの「良心」ではないかと。

でも、いざMT車を求めるユーザーの立場に立ったらどうでしょう。
「MTにこだわる方には、スポーツ・25Zを用意しています。今時アクセラにも設定がないので、これ以上の贅沢は言わないでくださいね」と宣告されたようなもの。
「赤い花をお求めのお客さんのことを思って、ごく少量ですが稀少で高価なバラを特別にご用意しております」ってことです。
これは「赤い花」を買いたいお客さんにとって心底ウェルカムと思える対応なのでしょうか?
そんな限定的なサービスで、そのお店本来の存在価値を高めていけるのでしょうか?
・・・疑念は募っていきます。

さてさて、ここで避けて通れないのが日本におけるMT車ニーズの話でしょう。

今から24年前、我が家で最初のマイカー「エチュード」を購入した1988年。
この当時のマツダ車は、ほぼ全ての車種・グレードにMT車/AT車の双方が設定されていて、自由に選択が可能でした。たぶん、他のメーカーの設定も概ね似た状況だったはずですが、全体の情勢として留意すべきは、AT車の急速な普及。
’70年代のように、AT車が一部グレードだけの「特別な存在」だった時代はとっくに過ぎ去り、最早AT車はどのグレードでも選択できる「当たり前の存在」となっていたのです。
これは‘80年代にAT車があっという間に市民権を得たことを物語っており、実際に、この頃の乗用車のAT車比率は70%前後。この数字はやがて1990年代中盤に80%に達し、2000年には90%を突破。そして現在ではなんと98%超に・・・(^_^.)。
少なくとも数字の上では、四半世紀前にすでにMT車を凌駕していたAT車が、ここ最近はCVT車も陣営に加え、さらにその勢力を圧倒的なものとしているわけです。

では、日本にはMT車を求めるユーザーが1~2%しか存在しないのか?

いやいや、たとえMT車が欲しくても、ごく一部のスポーティーモデルにしか設定がないという絶望的な現実に直面し、不本意ながらAT車で我慢したり、購入タイミングを逃している人も少なからずいるはず・・・。
現に、私の父が該当者の一人ですから、まず間違いではないでしょう(笑)。

でも私は「今からMT車の設定を増やせば、隠れたニーズが相当発掘される!」と主張するつもりはありません。
なぜなら、ほぼイコールの条件下でMT/ATが自由に選択できた’80年代の後半、AT車よりも価格的なアドバンテージを持っていたにもかかわらず、MT車比率は30%程度まで落ち込んでいたわけですから、今更選択肢を増やしたところで大勢に影響はなく、形勢逆転などあり得ません。
MT車を買いたくても買えないケースがいくらか解消されるとしても、AT車比率が「限りなく100%に近付いている」今の流れを部分的に押し戻すのが精一杯でしょう・・・。

重要なのはその数字の微々たる変動ではなくて、その数%のニーズのためにMT車を用意する十分な意義を、自動車メーカーが見い出すか否か。
ただ単にクルマを多く販売したいだけなら、より多くの人が支持する商品のラインナップをきめ細かく拡充していけばよいわけで、対費用効果の低いMT車は営業効率も悪く、邪魔な存在となるだけでしょう。
でも、その一握りの支持者こそが大切だと考える特段の理由があれば、話はちょっと変わってきます。

では今時、そんな特段の理由なんてあるのでしょうか?
・・・私はあると考えます。

(つづく)
Posted at 2012/04/07 11:03:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | 隠れ家の走り | 日記
2012年04月06日 イイね!

数字の裏にあるもの(2)

数字の裏にあるもの(2)花屋の話は前回で終わりにして、今回は私の身内の話(^^)。
私の父は、60歳にして初めて所有した「AT車」に全く馴染めなかったことから、その後、今日に至るまで、「MT車であること」がクルマ選びにおける絶対条件となりました。

そして最初の購入機会となったのは、ATに馴染めないユーノス800に見切りをつけた2000年。

日々の用途のひとつが野良仕事であることを考慮すれば、大きなラゲッジを持つワゴンタイプが第一候補で、マイナーチェンジされたばかりのカペラワゴンに早速、白羽の矢が当たりました。
ころが、MT車の設定はなんと、最廉価グレードの「SV」(1800cc)のFF車のみ。
カペラワゴンのウリのひとつであったガラスハッチゲートもなければ、余裕の動力性能を持つ2000ccエンジンも、走破性に優れる4WDもありません。

マツダ派の孝行息子(自称)としては、父が違和感なく運転できるマイカーをついに手にするにあたり、高級セダンからの代替だったことも考慮し、できるだけ「フル装備」に近い上級モデルを薦めたいと思っていました(資金は一切出しませんが 笑)。
しかし、MTというトランスミッション指定が唯一かつ最大のネックとなり、「根拠なき」選択上の制約を受け、上級グレード購入の意向があったにもかかわらず、松竹梅の「梅」の装備で妥協させられたわけです。
ま、メーカーオプションで「頭部保護機能付きSRSサイドエアバッグ」や「アルミホイール」が選択可能だったのはせめてもの救いでしたし、日々畑で土にまみれる父に、フルエアロ装備のトップグレードが似合ったかといえば、大いに疑問を感じたわけですけど(苦笑)。

ただ、このとき私が感じたのは・・・「マツダは、(カペラワゴンにおける)MT車のユーザーは低価格志向のお客さんや法人であり、相応の装備で十分だと判断した」という、落胆した思いでした。

次の購入機会は、そのカペラワゴンが2度目の車検を控えた2005年。
すでに伝統ある「カペラ」の名はマツダのラインナップから消え去り、実質的な後継車は、”Zoom-Zoom”の旗頭となった初代アテンザ。そして当然ながら、同等のユーティリティーを持つスポーツワゴンが最有力候補となったわけです。

――実は私、カペラから二回りくらい大きくなったサイズがちょっと心配で、同じ3ナンバー車ながらコンパクトな初代アクセラスポーツを有力な対抗馬とし、わざわざ試乗車を実家に横付けして父に確認させたのですが、横幅の狭いラゲッジスペースを見るなり却下されてしまったのでした――

かくして、本命の初代アテンザに舞い戻ってきたわけですが、今度はどうしたことか、MT車が上級グレードの「23Z」・「23S」にしかありません。
そう、カペラワゴンとは全く逆の設定状況だったのです。
たしかに今回は松竹梅の「松」であり、欲しいものが選べない悔しさから解放され、かつ、18インチと17インチの選択までできたことは、前回のリベンジに燃える私たちにとっては決して悪くない結果だったわけですが、一方で今度は、エンジンは2000cc版で十分だとか、バリバリのエアロ仕様はちょっとね・・・と思う人や、低価格志向のユーザーが、ばっさり切り捨てられたのです。

ここで私が感じたことは・・・マツダが「(アテンザワゴンにおける)MT車のユーザーはクルマの運転を積極的に楽しみたいお客さんで、プレミアムな位置付けにすべきと判断した」ということ。
180度の方針転換ぶりには驚きつつも、この方向性は大いに期待を抱かせてくれるものでした。

ところが、時はまた流れ、そのアテンザワゴンが2度目の車検を控えた2010年、私は再び落胆を、しかも前回とは比べ物にならないレベルで味わうことになりました・・・。

(つづく)
Posted at 2012/04/06 00:21:07 | コメント(1) | トラックバック(0) | 隠れ家の走り | 日記

プロフィール

小学生の時代に到来したスーパーカーブームがほぼ終わりかけた頃、極めて身近な存在だった国産車、とりわけ強烈な個性が滲み出る'50s~'60sの旧車に強い興味を持っ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/9 >>

  1 23 456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

ブログカテゴリー

リンク・クリップ

MAZDA VIRTUAL MUSEUM 
カテゴリ:My Favorite Site
2020/02/16 08:57:15
 
Jacobins Square  
カテゴリ:My Personal Homepage
2011/09/15 18:08:17
 
WW2 
カテゴリ:Our Enthusiastic Project
2011/09/15 18:06:58
 

愛車一覧

マツダ RX-7 マツダ RX-7
独身時代の2000年にⅣ型から買い換えたⅤ型。 以降5年間で計29回のサーキット走行に供 ...
マツダ MX-30 EVモデル マツダ MX-30 EVモデル
5代目となる嫁さん専用車は、我が家で初の電気モーター駆動車に。SKYACTIV-G→D→ ...
マツダ MAZDA3 ファストバックハイブリッド マツダ MAZDA3 ファストバックハイブリッド
見る者をハッとさせる造形、個性とセンスが光る色合い、世界の最先端を窺う新世代エンジン、操 ...
マツダ ビアンテ マツダ ビアンテ
我が家の遠出&多人数移動用の三列シート車として、V6フレンディのショートリリーフの跡を受 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation