
新型デミオの正式発売から約1ヶ月。
先行した「SKYACTIV-G 1.3」ガソリンエンジン搭載車に続いて、最大の目玉である新開発クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」搭載車のXDシリーズがついに登場。
つい2週間前、店舗一番乗りでガソリンの13S L-Package車を納車してもらった私としても、"Bカーの常識を超えた"と評価されている新型デミオの看板車種であるディーゼル車にはかねてから興味津々。
ディーラーに試乗車が配備されたとの連絡があったので、早速試乗に行ってきました。
おいおい・・・平日の昼間からディーラー通いだなんて、あんたもイイご身分だな!
なぁんて言われてしまうと、たしかに返すコトバがありませんねぇ(-_-)。
でも、今日は会社を休んで、朝から母を2箇所の病院へ連れて行き、その帰りに買い物や用事の御供をしてやっと昼過ぎに解放された身なので、これくらいのご褒美は認めてやってくださいな^_^;。
さて、私を待ち受けていた試乗車は、メテオグレーマイカの「XDツーリング」(6AT車)。
フロントグリルガーニッシュの赤い差し色が鮮やかですね。
早速、担当セールス氏とクルマに乗り込み、いつもの試乗コースへと繰り出します。
が、このエリアは、各自動車メーカーのディーラーや郊外型レストランなどが立ち並ぶ商業地帯。
そこを東西に貫く幹線道はもちろん、線路を跨いで海側の埋立地を走る産業道路も、金曜の夕方近くとあって、どこもかしこも混雑気味。ワインディングともアップダウンとも無縁の平坦な道を、ごく控え目なスピードでただ右回りに一周してくるだけ。
いつものことではありますが、クルマのポテンシャルを十分味わうには全く不向きなコース、さぞつまらない初試乗に終わったと思われるでしょう・・・しかし、
それでも私には十分でした。
なぜって・・・私が期待していた通り、このクルマには
トルクフルなディーゼルエンジンとコンパクトなボディとが織り成す、
素晴らしい別世界があったから。
そのことを確信したのは、折返し地点を過ぎ、店舗まであと数百メートルとなった試乗コースの後半地点。
それまで30km/h程度でゆっくり進んでいたクルマの流れが少しだけ速まり、私がアクセルをそっと踏み足した時でした。
ガソリン車では味わえない豊かなトルクがモリモリ湧き上がるのを感じながらも、決してそれがオーバーシュートすることなく、予めイメージしていた通りの加速感でスッと車速が伸びていく。
その余裕に満ちた挙動が、走り始めた瞬間から感じていた重厚感あふれるハンドリングのイメージと見事にマッチしていて、その気持ち良いほどの一体感に、心底驚かされてしまったのです。
そして・・・こうした何気ない緩加速のシーンですら、こんなにも一体感のある挙動や味が仕込まれているわけですから、ワインディングロードや高速道路の合流レーンなど、ここ一発のシーンでピントがズレているはずなどない・・・私は素直にそう感じたのです。
これは、新型デミオのガソリン車を所有する私だからこそ、瞬時にピンと来たのかもしれません。
何れのクルマも、フルSKYACTIV車らしい爽快なレスポンスで「クルマを意のままに操る感覚」を常に満喫できるところは共通の素地。その上で、ガソリン車ではエンジンの吹け上がりの良さを生かした快活な走り、ディーゼル車ではターボの豊かなトルクを生かした重厚感あふれる走りと、それぞれの長所・強みを生かしたクルマの性格付けがなされているのです。
考えてみれば、デミオのガソリン車とディーゼル車は車重差がざっと100kg。しかもその大半がフロント部分に集中しているわけですから、車重1トンそこそこのBカーの運動性能に与える影響は決して小さくありません。
しかしそこで、無理やり両車の走りの味を近付けようと、軽量なガソリン車で重厚感を出そうとしたり、フロントヘビーなディーゼル車で軽快感を出そうとはせずに、むしろそれとは逆に、両車の車重差や、その差を生んだ両エンジンの特性をより生かす方向でクルマを仕上げ、それぞれが明確な個性と高い完成度を有していることは、素晴らしいの一言ですね。
もちろん、トルクフルなディーゼルターボがもたらす余裕たっぷりな走り・・・という観点でいうと、デミオXDよりもハイスペックな2.2Lエンジンを搭載したアクセラXDの方に、絶対値としては軍配が上がるでしょう。
しかしながら、全く同質なゆとりある走りをBカーのコンパクトボディで実現したことが、新型デミオの最大の成果であり、最高の存在価値。そうした”クラス概念を超える”種々のアプローチが、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考でも高く評価されているのですからね(^^)。
たかだか10分程度の市街地走行で多くを語るのは難しいところですが、今回のデミオXDツーリング、懸念すべき点が皆無だったかというと、決してそうではありません。
おそらくワインディングに持ち込めば、ノーズの入りはガソリン車ほどクイックではないかもしれませんし、急加速でグッとアクセルを踏み込めば、分厚いトルクが炸裂するまで一瞬のターボラグを感じるかもしれません。
しかし、そんな特性すらも、落ち着きと重厚感に満ちたクルマ全体のイメージを構成する一要素としてしっかり組み込まれていて、さほど違和感を感じないのでは・・・と私は想像しています。
もとより、抜群に安定したハンドリングとトルクフルなエンジンで、郊外バイパスや高速道路での定速巡航は得意中の得意と思われるところ。その上で、いざ必要となれば異次元のディーゼルターボの加速が炸裂するわけですから、新型デミオのXDは長距離ツアラーとして十分な素質を有していると確信しました。
おまけにこのディーゼル車、我が家の13Sの方がかえって煩いのでは?と思えるくらい静粛性が高かったので、この面でもロングツーリング向きといえそうです。
というわけで、待ちに待ったデミオのディーゼル車を一言で表現するならば、期待通りの
「良いクルマ」でした。試乗もせずに判子を押し、期待と不安が半々な納車待ちの方も沢山おられるのではと思いますが、このクルマならきっと後悔することはないでしょう(^O^)。
え?
あなた、ガソリン車を購入したことを後悔しているのではないかって?
いえいえ。
ガソリン車とディーゼル車で走りの性格はハッキリと分かれましたが、それはいわば実現手段の違いであって、結果として得られるドライビングの気持ち良さだとか、それに至るまでのプロセスの楽しさについては、両車で何ら変わらないですから!(^o^)
(正直、静粛性で負けたのは悔しいけど、これはいつかリベンジしよっと 笑)