
北米USCCシリーズの第2戦・セブリング12時間レースが、いよいよ今週末に迫ってきました。
開幕戦・デイトナ24時間レースでは最後尾付近に沈んだマツダLMP2 SKYACTIV-D Racingも、先日のテストデーでは全体の中団付近までポジションを挽回。プロトタイプクラス本来の位置に少しずつ近付いている、USCC唯一のディーゼルマシン。未知へのチャレンジで次戦どこまで順位を上げてくるか、大いに注目したいところです。
ところで、私がこのUSCCに注目している大きな理由のひとつが、デイトナ24時間レースという歴史あるビッグイベントがこの新シリーズに含まれていることです。
ル・マン24時間、スパ24時間と並び、世界三大24時間耐久レースのひとつに挙げられるデイトナ24時間。
そして、1981年にスパをサバンナRX-7で、1991年にル・マンをマツダ787Bでそれぞれ制したマツダは、残るデイトナで総合優勝を果たせば、三大24時間レースを制覇できる・・・つまり、未だ日本のどのメーカーも達成していない偉業に、ニッサンとともに大手をかけているわけです。(※ニッサンはル・マンが未勝利)
マツダがデイトナ24時間レースに本格的なチャレンジを開始したのは、
1979年でした。
その前年、マツダオート東京チームがRX-3でテスト参戦し、デイトナの戦い方を十分リサーチした上で、2台の真新しいサバンナRX-7(SA22C)でIMSA-GTUクラスにエントリー。
結果は#7と#77の2台のRX-7が初陣で見事にGTUクラスの1-2フィニッシュを達成。華々しいデビューWINを飾るとともに、総合でも5位/6位に食い込む大健闘を見せ、その後IMSAシリーズにおけるRX-7の大ブームに火を付けることになったのは有名な話です。
マツダのデイトナでの次の大きなステップは
1982年。
すでに2年連続のメーカータイトルを獲得するなど、GTUクラスで圧倒的な強さを見せていたサバンナRX-7に、よりハイパワーな13Bエンジンを搭載。
片山/従野/寺田というワークストリオの手で1クラス上のGTOクラスにチャレンジした#77のRX-7がここでも見事なデビューWINを飾り、3年前の総合5位を上回る総合4位に喰い込んでみせたのです。
激戦のGTUクラスを制したミューラー/ルード/モファット組の#98・RX-7も総合6位に入る大健闘で、この年、RX-7はデイトナのGTO/GTU両クラスを同時制覇しました。
デイトナのバンクを駆け抜ける#77のRX-7。そのボンネットからルーフにかけて描かれた「mazda」の青文字が輝くシーンは、しっかりと記憶に残っています(^o^)。
その後、ロータリーエンジンを核としたマツダのファクトリー活動はル・マンやWRCなどの欧州レースに移行したため、IMSAシリーズでの活躍は13Bエンジンを搭載したプライベーター勢のGTP/GTO/GTUマシンたちに委ねられていきました。
そんな経緯もあって、少なくとも記録上は1982年の
「総合4位」が、デイトナ24時間レースにおけるマツダの過去最上位。
しかし、マツダのロータリーマシンがデイトナ24時間で総合2位を快走した年があったことをご存知でしょうか。
それは、初のGTO/GTU制覇から2年後の
1984年。
IMSA最高峰のGTPクラスに挑んだ、BFグッドリッチチームのローラT616がその主役でした。
インジェクション仕様の13Bエンジン(300PS+α)を搭載するローラ製ニューマシンは、2倍近いパワーを有する他のGTPモンスターマシンたちに伍して大活躍。ハルスマー/ケスター/グレーブル組の68号車がスルスルと順位を上げていき、なんと13時間半過ぎに総合2位まで浮上。TOPを走るマーチ・ポルシェ83Gとの8LAP差を詰めるべく、猛チャージを開始したところで、無念のエンジントラブルに見舞われてしまったのです。
結局、旋風を巻き起こした#68はリタイヤ(順位は総合31位)、僚友のバスビー/ハイエ/クヌープ組の#67が総合17位フィニッシュというリザルトに。
夜明け前、ロータリーマシンが初めてデイトナの総合優勝を意識しながら快走した夢の2時間は、こうして幕を閉じたのです。
その5年後、1989年のデイトナ24時間では、4ローターREを搭載するGTPマシン・マツダ767B(#77)が、片山/従野/ロビンソン組のドライブにより、再び総合5位に入賞。
ただしそのレース内容は、レース序盤のドライブシャフト交換をはじめ、相次ぐトラブルやアクシデントに見舞われ続けた苦しいもので、優勝したアンドレッティ/ベル/ウォレック組(←スゴイ布陣だ・・・)のポルシェ962Cからは実に62LAP遅れという不本意な結果。
そのリザルトの寂しさは・・・3年後の1992年、星野/長谷見/鈴木組の日本人トリオでデイトナを完全制圧してみせたニッサン(R91CP)の活躍ぶりを見るにつけ、余計に強調されてしまうのです・・・。
そんなわけで、マツダのマシンはデイトナ24時間レースで過去23回ものクラス優勝を挙げていながら、念願の総合優勝には未だ手が届いていません。
そして今、栄光のレーシングREに代わって、SKYACTIV-Dクリーンディーゼルという新たなパワーユニットを得て、再び孤高のチャレンジを開始したのが、北米マツダとSpeedSourceチームというわけです。
そう遠くない将来、再びデイトナのリーダーボードの上位にマツダのマシンのゼッケンが躍り、夢の三大レース制覇に向けて手に汗握る・・・そんな瞬間がやってくることを願わずにはいられません!
Posted at 2014/03/10 22:18:46 | |
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