「あぁ、この乗り味・・・このレスポンス・・・」
転がして僅か数秒で、その懐しい感覚が鮮明に蘇りました。
結婚の翌年に義父へ譲渡した96年式のユーノス800。
新車で購入した当時は最新鋭機種だった後付けのパイオニア製CDナビ(苦笑)の調子が悪いとの相談を受け、約6年ぶりに25Gのモケットシートへ腰を下ろしました。
原因の方は、最近バッテリーを交換してもらった際にナビシステムのリセット操作をしていなくて、GPSの機能が一時的に死んでいたという単純なもの。13年前の取説書とにらめっこしながらリセット方法を突き止め、やや大振りな専用リモコンで操作してやると、無事に自分の居場所を認識できるようになりました。
その一連の原因究明の過程の中で、車庫内だけでは検証が難しいために、実際にクルマを動かして試運転に出たのが冒頭のシーンだったわけです。
実は乗り込んだ瞬間は違和感だらけで、ヒップポイントに始まってステアリングやATシフターや各ペダルの位置、そして前方/後方の視界の開け方・・・どれひとつ取っても今時のアップライトなクルマとは基本的なドラポジの違いを意識させられる結果となり、操作感覚を取り戻すのにやや時間を要しました。
しかし、近所を一回りしただけの僅かなドライブの中で完璧なまでに感覚を取り戻せたのが、前述した通り、ユーノス800独自の世界ともいえるしっとりした乗り味とレスポンスでした。
NVHが適度に遮断されている快適な乗り心地は、運転している私自身が、大型タクシーの後席でリラックスしているシーンを思い浮かべてしまうほど。
但し、そのステアリングにはしっかりとしたロードインフォメーションが伝わっていて、ドライバーが不安感を感じることはありません。
このユーノス800は、その後ミレーニアとしてマイナーチェンジを受けハンドリング性能がグンと引き上げられる前の時代のモデルなので、いわばショーファードリブンの境地を突き詰めた形ともいえます。
昨今のマツダの新型車の方向性からすると、ハンドリング性能が最優先なので暫くは近付くことができない領域かもしれませんが、例えば最新のアテンザが持つ硬質な乗り心地が程良く和らいでくれるとしたら、過去の800とは違ったアプローチで、しかも一段と高い次元で、こうした境地を開拓できるかもしれませんね。
Posted at 2009/08/15 20:42:59 | |
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