
開幕戦・デイトナ24時間に第2戦・セブリング12時間と、アメリカでも屈指の長距離耐久レースが続いた新生USCCシリーズ。
4週間のインターバルを経て迎えた第3戦は、一転して1時間40分のスプリントレース。舞台となるカリフォルニア州のロングビーチは、かつてF1も開催された有名なストリートコースです。
序盤2戦では激しいクラッシュやアクシデントが目立っただけに、エスケープゾーンのないコンクリートジャングルで、群雄割拠のプロトタイプ勢とGTマシン勢がどのようなレースを見せるのか、期待と不安が交錯する注目のレース!・・・と思っていたところ、今回のエントリーリストを見てビックリ。
そこにはPクラス勢の11台とLM-GTクラス勢の10台の計21台のマシン名しか記されておらず、PCクラス勢とGTDクラス勢は出番なし。どうやら、同時開催となったインディーカーレースとの兼ね合いで、USCCはこの2クラスによる1レースのみ、となっていたようです。
裕に60台を超えるマシンが勢揃いしたデイトナやセブリングと比べると、参加台数が一気に3分の1へ激減した格好ですが、各クラス内の勢力が非常に拮抗していることや、市街地コースの特性などを考慮しても、2クラスのみの混走に留めたのは賢明な判断だと思いますね。
さて、USCC最高峰のPクラスに、シリーズ唯一のディーゼルエンジンで挑戦しているSpeed Sourceチームと2台の
マツダLMP2 SKYACTIV-D Racing。
前戦・セブリングでは、#70のマツダLMP2が12時間のレースを最後まで走り切ってチェッカー。
僅か2戦目でのシリーズ初完走に、チームもファンも意気上がるところですが、なんとこの第3戦からは、#70のSKYACTIV-Dエンジンをパワーアップ。いよいよ、スプリントレースを意識して、「速さ」を追求するセットアップへと舵を切ってきたのです!
前戦までは長時間レースが続いたため、何よりも耐久性の確保が最優先。
速さを度外視した手堅い戦いを強いられ、ライバルのプロトタイプ勢はおろか、GT勢の後塵をも拝するコース上のパフォーマンスに、ファンは散々ストレスを溜めてきたので、これは待ちに待った明るいニュース(^_^;)。
実際、金曜日のプラクティスでは、早くも期待を抱かせる明るい兆候が見られました。
1回目のセッションでは、Pクラスの上位勢が1分16秒台の中盤、LM-GTクラスの上位が1分19秒台後半のベストタイムをマークしていたのに対し、#70が1分21秒台のベストタイムで追従(ちなみに、僚友の#07は1分23秒台)。
依然、全参加車中で最後方という残念なポジションに変わりはありませんが、タイム差の中身を見ていけば、総合TOPのライリー・フォードから「+5.274秒」(=106.9%)という#70のベストタイムは、開幕戦・デイトナの予選タイムの「+11.464秒」(=111.7%)や、第2戦・セブリングの決勝ベストタイムの「+8.681秒」(=107.7%)と比べても、着実な進化の跡が窺えるものでした。
ただし、この良い流れも2回目のプラクティスを終えたところまで、でした。
予選を目前にして、スプリント仕様エンジンの#70は突如、燃料漏れのトラブルに見舞われてしまい、期待された予選はノータイム。こうなると、従来型エンジンを搭載する#07が、予選PPから10秒落ちとなる1分25秒台のタイムで総合20位(Pクラス10位)につけるのが精一杯という展開に。
迎えた決勝レース、なんとかトラブルの修復を終えてグリッドに付いたかに見えた#70は、スタート後僅か3周を走っただけで、見せ場もなくリタイヤ。
残された#07が淡々と周回を重ね、優勝したライリー・フォードから6周遅れで2戦連続のフィニッシュ。
#70を含むPクラス勢の3台とLM-GTの1台がPITでリタイヤしたため、#07の順位は総合17位(Pクラス8位)となりました。
しかしながら、今回のレースの最大のポイントは、Speed SourceチームとマツダのLMP2マシンに、これまでずっと後回しにされてきた「速さ」を追求する積極的な姿勢がハッキリ見えたこと。
思い起こせば昨年のGRAND-AMシリーズでも、常に#70のMazda6 GXが先行してマシンアップデートを受け、僚友の#00・Visit Florida号を速さで凌駕するシーンがしばしば見られましたが、今回、スプリント化のモディファイを受けた#70のLMP2マシンが垣間見せた速さのアドバンテージは、昨年のMazda6 GXのそれとは全くレベルが違いました。
2年目を迎えたSKYACTIV-Dクリーンディーゼルエンジンでのマツダのチャレンジも、いよいよこれからが本番だ!との印象を強くしました。
次戦のモントレーも今回と同じくPクラスとLM-GTクラスの混走レースとなる模様ですが、舞台はマツダのホームコースのラグナ・セカ。
ぜひ、スプリント仕様のSKYACTIV-D Racingエンジンが本領を発揮し、まずは"目の上のたんこぶ"のLM-GT勢を追いかけ回してもらいたいものです!
Posted at 2014/04/13 23:46:18 | |
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