
(
第五話からの続きです)
サラリーマン生活もとっくに折り返し地点を通過した私。
そろそろ最終の第4コーナーが遠くに見え始めた頃になって、突如、自宅の新築を思い立ち、バタバタと動き始めることに^^;。
これまでマイホーム計画とは無縁だった半生。
人並みの知識や経験もない上に、具体的な建物のイメージもない状態で、百戦錬磨の営業さんや建築士さんと話を具体化していく姿を想像するのはちょっと・・・いや、相当に無理があったのは正直なところ。
どこか捉え処のない雲を掴むような感覚が渦巻く中で、こちら側の頼みの綱といえば、自分たちがここで実現したい事柄とそれらの重要性が明確になっていたこと。
そこで私は、新築の目的や主たる機能要件をコンセプトシートに書き連ね、企画ステージにおける主導権を掴むことにしたのです。
ただ、私の期待値が最も高いと同時に、実現のハードルも負けずに高かったのが、車庫に関する”絶対に譲れない”要件たち。なにせ、間口の狭い縦長の敷地にもかかわらず、4台のマイカーが各車単独で出入り可能で、うち最低2台を完全密閉エリア、残りのクルマも軒下エリアに収め切る・・・なんて無理難題が、いきなりド~ンと立ちはだかっていたのですから。
だから、今ひとつ気乗りせずに訪れた住宅展示場で、初対面の営業さんと交わす会話といったら・・・
「いかがですか? 私たちのモデルハウス」
「えぇ、でも実は少し変わった家を考えているので・・・」
「大丈夫です。幅広いご要望にお応えできますから!」
「では、1階部分にクルマを4台収めたいと言っても?」
「ええっ?・・・・」
(苦笑)
こんな空回りのジャブを何度繰り出したことか。
でも、矛盾だらけに思えるこの車庫要件に関し、私が妥協をする可能性は”万に一つも”なかったのです。
なぜって、第一話からグダグダと述べてきた通り(苦笑)、縦置き車庫の機動性の低さに辟易している現状から脱却し、カーライフの抜本的な環境改善が果たせるかどうかは、まさにこの要件の決着次第なのですから。
「1階の車庫周りが成立しなければ、申し訳ないですがその時点で終わりです」
つまり、いくらその先に素晴らしいテイストの外観だとか、良く練られた間取りのアイデアが控えていようとも、最初の関門通過は絶対条件であり、暫定通過とか敗者復活戦はあり得なかったのです。
無論、車庫の成立性など全体から見ればごく一部の話であり、一般的には妥協の余地を大いに含む些細なこだわりに過ぎないことは重々承知の上。
しかし、カーライフの改善を最大の目的に据えた私にしてみれば、車庫周りの満足度が家全体の満足度を大きく左右することは避けられず、ここに異例なほど固執するのは、ごく当然の成り行きだったのです。
果たして・・・この無理難題は、なかなかに効果的なフィルターとして機能することに(^_^;)。
結局、スタートラインに付いて具体的な話を進めることになった業者さんは、個人の建築士と注文住宅系のメーカーに早々と絞り込まれることになったのですから。
実際、数多あるメーカーをひとつひとつ候補に挙げていくのは時間や手間の面で回避したかったので、これは極めて好都合な展開でした。
終始、具体的な要件を伝えるだけで、実現手法や様式・レイアウトは一切指定しなかった私たち。
難題のクリアも含め、プロらしい発想力や創造力に全てを委ねたわけですが、実際の心境は半信半疑。
しかし、どうもこの賭けは当たったようで、其々のメーカーや設計士の意地とプライドをかけた個性豊かな解決提案が、私たちの目の前に次々に現れることになったのです。
まさに
「そうこなくっちゃ!」って感じの展開でしたねー(^^)
あ、それはそうと・・・
最初の難関って、そもそも解決策はあったの?
アハハ、そこはとても気になりますよね。
間口8メートル足らずの縦長の敷地で、4台が独立して自由に出入りできるだなんて、普通に考えたら実現は困難だと言わざるを得ません。
実はこの難題には、たったひとつの・・・しかしながら途轍もなく大きな"救済条件"がありまして。
(
第七話に続く)
Posted at 2016/09/02 00:00:22 | |
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