
義母のクルマ選びに端を発したDJデミオの交代劇。
実は今から1年前、代替車種として最も有力だった候補は「エターナルブルーのデミオ・XD」でした(^^;)。
これが如何にして「セラミックのCX-3・20S」に姿を変えていったのか・・・じっくり紐解いていきます。
今回は
エンジン編ですね。
私達夫婦がDJデミオの13Sに感じていた数少ない不満点。
そのうち、高速巡航時や多積載時に露見してしまう”エンジンの非力さ”の解決策として、私はデミオやCX-3に搭載される1.5LのSKYACTIV-Dエンジンへの換装、を本命視していました。
なんたって、同じDJデミオ同士の比較でも、カタログの最大トルク値は
「121N・m(デミオ13S)」 vs 「250N・m(デミオXD)」
と、ダブルスコア以上の違いがあります。
ここから両車の重量差「100㎏」(1030kg vs 1130kg)を差し引いても、十分お釣りがくるほどXDが力強いのは明白だし、実際にこの2台を走らせてみると、両車の走りのキャラクターは同じDJデミオの仲間と括るのが無理なくらい「別モノ」という印象を受けます。
(あ・・・どっちが良い悪いの話ではなくてね)
そんなわけで、次の嫁さん専用車はその姿形よりも先に、心臓部のパワーユニットが確定・・・そう思われたのですが、半年後、我が家のマイカー選びを取り巻く環境に2つの変化が起こります。
まずは
我が家の方。
2017年の夏、数年の闘病生活を続けていた父が他界し、思い出多き父の愛車を私が引き取ることに。
これで、栄えある?“マイカー初のディーゼルエンジン車”の称号は、私が3年間メンテナンスを請け負っていたソウルレッドのアクセラXDがあっけなく獲得(笑)。
この瞬間、1.5LのSKYACTIV-Dエンジンの導入意義が、私の中で
トーンダウン。
すると、現在の嫁さんデミオと外内装がほぼ同じで、今ひとつ新鮮味に欠けるというデミオXDの唯一かつ最大の弱点が余計にクローズアップされ、予想以上に影が薄くなってしまったのです。
いやぁ、正直に白状すると・・・
この私も、4台のマイカーのうち2台をSKYACTIV-Dにするほど、ディーゼルエンジンに肩入れする気はなかったんですよ。
・・・アハハ(^^;)。
ここ5年くらいのマツダの快進撃を支えた立役者は、言うまでもなく"SKYACTIV技術"と"魂動デザイン"。
中でも、ほぼ絶滅状態にあった日本市場で確固たるポジションを確立したクリーンディーゼルのインパクトが格段に大きかったのは事実ですが、マツダが過去の常識にとらわれず極限まで可能性を追求したエンジンは、なにもSKYACTIV-Dだけではありません。そもそも「リッター30キロ」で衝撃的なデビューを果たし、最初にSKYACTIV技術を世に知らしめた先鋒役は圧縮比14のガソリンエンジンだったし、現時点で最もワールドワイドに展開されているエンジンはSKYACTIV-Gの方ですしね。
おまけに、こうしたマツダのチャレンジ精神を象徴する”飽くなき挑戦”のコトバで真っ先に思い浮かぶエンジンって、これまた別のものだったりしますし(笑)
その意味で、私には「SKYACTIV-D 2.2」と「SKYACTIV-D 1.5」の二枚看板ではなく、「13B-REW」と「13B-RENESIS」を揃えてニタニタしている絵の方がよっぽどお似合いだと思うのです、きっとね(笑)。
ついでに白状すると、REとは真逆とも思える、超低回転域からトルクフルなDEならではの走りには未だに感動し続けているこの私ではありますが、ことDE特有の「音」と「匂い」に関しては、どちらかというと苦手^^;。
我が家は「アクセラ1台で十分間に合ってます~」って感じなのでした。
というわけで、
事実上の本命だったはずのデミオXDがあえなく後退。
(もし外観が少しでもリフレッシュされていたら、また展開は違ったでしょうけど)
ならば自動的にCX-3が浮上してくるはずですが、基本的にはこのSUVもディーゼルエンジン車・・・。
そんな私の心のモヤモヤを察したかのように、ここで
マツダの方にも動きが。
同じく2017年の夏、父のアクセラXDのマイカー加入と前後して、当初からCX-3の輸出仕様には存在した2.0Lのガソリン車が国内向けにも追加され、"エンジンの非力さ"の解決手段の選択肢が増えたのです。つまり、ディーゼルもガソリンもあるでよ、とね。
実は、ここでふと私の頭を過ぎったのが、かつて我が家にもいた「ベリーサ」にまつわる昔話でした。

それは、今から十数年前のこと。
職場の大先輩がベリーサを所有していて、私は隣の席で事あるごとに愛車の自慢話を聞かされていたのですが、奥様とのロングドライブが趣味だっその先輩の唯一ともいえる不満点が、エンジン(1.5L)の余力の無さでした。
曰く、「
ベリーサに1.8Lエンジンが載ったら百点満点」なんだと。
私は当初、もっと全開パワーが欲しいといった類の単純な不満かと思ったのですが、何度も何度も同じコメントを聞いているうちに、少しばかり違う解釈をするに至りました。
つまり、コンパクトカーの水準を超える上質感を謳うベリーサだからこそ、快活に回る1.5Lエンジンよりも、低中速のトルクで静かに回る1.8Lエンジンの方が、よりクルマのキャラクターにマッチするはず、という主張だと。これは後年、我が家にベリーサ(1.5L)を迎え入れた際に、その解釈の正しさを自分自身で確信することになります。
「スポーティーで若々しいDYデミオじゃなく、上質感を訴求するベリーサだからこそ、等身大の性能のエンジンではなく、プラスαの余力あるエンジンがより好ましい・・・」
そして、なぜか私にはこの図式が不思議なほど「CX-3 + 2.0Lガソリン」の組み合わせのイメージと重なったのですね。
無論、同じCX-3同士で最大トルク値を比較してしまうと
「192N・m(CX-3・20S)」 vs 「270N・m(CX-3・XD)」
で、ガソリンの方が見劣りしてしまうのも事実。
しかし、20Sの最大トルクは現行のデミオ13S比では「6割増し」に相当するわけで、車両重量の「2割増し」(1030kg→1240kg)分を補って余りあると思われるし、実際にCX-3・20Sの試乗車をドライブしてみて、その予想を裏付けるような好感触も得ています。
そして何よりも、相対的に静粛性の高いガソリンエンジンの基本マナーが、CX-3のお洒落で上質なキャラクターを”動質”という面からもより一層引き立ててくれるはず・・・そんな期待まで一気に膨んできたのです。
さらにいえば、20SがXDよりも凡そ30万円プライスタグが低いことが、費用の工面上、大いに有利に働いたことも決して否定できません(笑)。
ということで、独断と偏見がかなり見え隠れしますが、1年前の検討時には存在すらしていなかったCX-3の新機種、2000ccのSKYACTIV-G搭載車を指名することに相成ったわけです。
では、幻の大本命となったデミオXDに敬意を払って、せめてボディ色は「エターナルブルーで決まり!」
・・・かと思いきや、ここでもまた予想外の展開が待ち受けていたのです。
(つづく)