
いきなり古いカタログの一頁から始まりますが・・・
ディーラーで新型デミオ「13-SKYACTIV」の爽やかな
アクアティックブルーを眺めながら、ふと私の脳裏に浮かんだ懐かしいボディー色がありました。
時は私が社会人になった1993年のこと。
この年の夏、大分・オートポリスでのサーキット走行会で、私は愛車エチュードのエンジンに深刻なダメージを与えてしまい、急遽、次のクルマ(戦闘マシン)を探す必要に迫られました。
そんな折り、まるで私を待ち受けていたかのようにズバリのタイミングでマツダから発表されたクルマが、ランティスという5ナンバーサイズのFF車でした。
このランティス、マツダの基幹車種・ファミリアと多くのメカニズムを共用する一方で、外観デザインは全くの別物でした。
加えて、「タイプR」というトップグレードでは2000ccのV6エンジンを搭載し、16インチ・50偏平タイヤを標準装着するなど、当時のクラス概念を覆すほどの強い個性を持ったクルマでした。
当然ながら、目一杯の走り志向だった私はこのクルマの登場に激しく共感。
順次サーキット走行用のモディファイを加えていく前提で、まるっきりメーカーオプションの無い”素の”クーペ・タイプRを、現車もろくに確かめずに注文したのでした。
こうして、機種はすんなり決まったものの、最後まで悩んだのがボディーカラー。
クーペのイメージカラーは
スパークルグリーンという鮮やかな緑色。
のちにNAロードスター最後の限定車(SRリミテッド)や、果てはファミリア、初代デミオといった量販車種にまで広く展開される運命となるのですが、当時はランティスクーペだけの専用色だったのです。
しかも驚くなかれ、このスパークルグリーンを選んだ瞬間に、インテリアカラーも自動的に”ターコイズ”と呼ばれるグリーン調の色へ。シートの生地はいうまでもなく、ドアトリムやインパネ上面までもグリーン調で統一されるという、徹底したカラーコーディネーションでした。
私はこの鮮やかなメタリックグリーンのボディーカラーと、個性的でお洒落なインテリアカラーが大変気に入っていたのです・・・・が、なんと、換装予定だった手持ちのRECAROシートの色がブラックだったという(今から思えば)些細な理由によって、まるで’70年代のマツダ車を思わせるような、大胆でユニークな色使いのインテリアを候補から外してしまったのです。
これは今振り返っても大いに悔やまれる選択で、もしスパークルグリーンのクーペを手にしていたなら、大人5名がきっちり座れる抜群のパッケージ、上質な回転フィールのV6エンジン、塊り感みなぎる超個性的なデザインなど、数多あるランティスの美点と相俟って、この移り気な私をして、ひょっとすると未だに手放さず大切に乗っていたかも・・・とさえ思わせるのです。
ま、絶対に所有し続けていた自信はありませんが、もしタイムマシンで当時に戻れるなら、迷うことなく色コードを変更してオーダーし直すに違いありません(笑)。
ただ、こうして次点候補から繰り上がった「クラシックレッド」のボディーカラーは、私に生涯忘れ得ない貴重な原体験をもたらすことになります。それは、クルマに乗り込むときの
「気持ちの昂ぶり」。
真紅のボディーカラーと対峙するたびに、心拍数が上昇するのを感じ、思わず「よぉし、行くぞ!」とテンションが上がるのです。
ランティスクーペとの3年半ですっかりこの感覚が染み付き、どこか快感にすら思うようになった私は、3年間のブランクを経た後、ヴィンテージレッドのRX-7、そしてチリオレンジのビアンテと続く、程良く(?)スパイスが効いたカラー路線を歩むことになったのでした。
そんな私のカーライフの重要な局面を思い起こさせたのが、今回のデミオのアクアティックブルーでした。
もちろん色の好みは人それぞれで、私にとって印象深いカラーも、他の人には全く響かなかったりもするわけですが、私がマツダに強く言いたいのは、
クルマのイメージカラーは大切にして欲しいということ。
新車のデビュー時、CMや紹介記事で主役を占めるイメージカラーは、いわば商品の顔の重要な一要素。
実際の販売比率がああだこうだ言う以前に、一旦そのカラーに新商品のイメージを背負わせたわけですから、作り手の都合でさっさとカタログから落としてしまうのはあまりに無責任に思います。
たとえ、ユーザーの最終選考まで残る確率が低いカラーであっても、その存在やインパクトがユーザーの関心を惹き、購入検討の間口を広げたとすれば、一定の役割を果たしたことにはなるわけですし。
目に見える範囲の効率をあまりに優先した結果、無個性なカラーラインナップを招き、商品の魅力を損ねてしまうことのないよう、しっかりとポリシーをもってイメージカラーを選び、そして、育ててもらいたいですね。
アクアティックブルーの今後に思いをはせながら、とりとめも無くつぶやいてみました。
Posted at 2011/06/29 23:19:34 | |
トラックバック(0) |
隠れ家のマツダ | 日記