
フルSKYACTIVとクリーンディーゼルが話題の「CX-5」。
幸か不幸か、私はまだ試乗の機会を得ていないので、現在のところ巷で数少ないネガとして捉えられている
「全幅1840mm」の影響を考察してみることにしました。
もっとも、CX-5が日本市場をメインに企画されたクルマであったならば、いくら思い切ったデザインを採用するマツダでも、数字だけで即敬遠され兼ねない1.8m超の全幅を安易に設定しないと思うので、グローバル市場を睨んだサイズをやむなく日本に導入していると理解した上でのお話。
実は私も彼是15年ほど全幅「1.75m超」の愛車たちと付き合っているのですが、その実体験から想像を交えて1840mmを語る前に、まずは純粋に他車比較でその数値を検証してみましょう。
まずは、マツダが開発してきた歴代SUVたち。
'90年の「プロシードマービー」(1810mm)にはじまり、フォードとの合作「トリビュート」(1790~1825mm)ときて、記憶に新しいところでは「CX-7」(1870mm)が。
ううむ・・・CX-5の「1840mm」は、横綱とは言わないまでも、がっちり大関クラスですねぇ(笑)。
次に、現在の日本のSUVに目を転じると、実に面白い構図が。
日産が「ジューク」、「デュアリス」、「エクストレイル」と主力を軒並み1.7m台に留めているのに対し、トヨタは「RAV4」、「バンガード」、「ハリアー」、「レクサスRX」と、意外なまでに1.8m台のオンパレード。
三菱「RVR」や「アウトランダー」、スバル「フォレスター」、ホンダ「CR-V」は、その間に入り込む感じ。
これらを2011年の国内販売台数の順にならべたのがコレ。
① ジューク(1765mm) 34,224台
② エクストレイル(1790mm) 25,114台
③
ヴァンガード(1815~1855mm)19,036台
④ フォレスター(1780mm) 14,515台
⑤
ハリアー(1845mm) 8,970台
⑥
レクサスRX(1885mm) 7,219台
⑦ デュアリス(1780mm) 6,374台
⑧ RVR(1770mm) 5,254台
⑨ アウトランダー(1800mm) 4,591台
⑩
RAV4(1815~1855mm) 4,051台
そう、台数を見る限りは日産勢の圧勝です。
決してユーザーは全幅だけを基準にしてクルマを買うわけではありませんが、ひとつの傾向として、あのトヨタの強い販売力をもってしても、1.8m超軍団はこの中では劣勢を強いられている印象がアリアリ。
参考までに、CX-5の年間販売台数は・・・12,000台の計画です^^;。
さて、それでは私の実体験から推測する「1840mm」のインパクトについて。
私の歴代の愛車を全幅の大きい順に並べると、「初代アテンザ」(1780mm)>「ビアンテ」&「ユーノス800」(1770mm)>「RX-7」(1760mm)となります。
ここで、過去の経験から確実にいえることは、通常の市街地走行において1.75m超の車幅がネックとなるケースは殆ど無いものの、狭路での離合や立体駐車場内の移動、隣接車両がある場合の乗り降りなどでは確実に不都合に感じるケースがあり、それは、着座位置が低ければ低いほど大きな障害に感じてしまうこと。
とりわけ、車高が低くてドアが長いRX-7は最悪の部類で、なんとか駐車スペースを見つけて滑り込んだものの、降りるに降りられないというケースも・・・^^;。
そういう意味では、車幅サイズが拮抗しているこの4車中では、最も着座位置が高く、ドアもそれほど長くないビアンテが、心理的な負担も実害を被るケースも少ないといえるのです。
その観点でCX-5を眺めてみると、初代アテンザをさらに60mmも上回る全幅は大きな脅威ですが、たしかに着座位置は高めで、ドア長も普通。
それに加え、良好な視界の確保や車両感覚の掴みやすさを入念に開発したという部分が、どこまで「1840mm」が本来持つネガを軽減させているかが、ひとつのポイントにはなりそうですね・・・。
とはいえ、さすがに完全払拭できているとは思えないので、ネガはやっぱりネガと言わざるを得ません。
折角、日本へのクリーンディーゼル導入に技術的や社会的な「正当性」を見出し、一大ブームを巻き起こす可能性も秘めているというのに、その図体の大きさにイチイチ言い訳をしながらライバルと戦っていく必要があるとしたら、なんて大きな機会損失なのでしょう・・・。
冒頭で前置きした「グローバルサイズ」の事情に戻ってしまいますが、マツダにとっては宿命ともいえる、何とももどかしいジレンマですねぇ・・・(-_-;)。
Posted at 2012/02/23 23:42:51 | |
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隠れ家のマツダ | 日記