
物事の順番として、新型アクセラハイブリッドを試乗する前に、ハイブリッドの基幹システムを共用するトヨタのプリウスで、"人生初の"ハイブリッド体験を済ませておかなくてはと、先週意を決してアウェーのトヨタディーラーに乗り込んだ私。
しかし案の定、相性の悪さが足を引っ張り、最初のトヨペット店にプリウスの試乗車はなく(苦笑)、2店舗目のカローラ店で私を待ち受けていたのは、メーカー側でボディやサスペンションを強化した「G's」という特別仕様車(-_-;)。
このクルマは専用チューンなどの効果で、予想外にキビキビしたハンドリングを示してくれたものの、残念ながら、この特別な「G’s」の限定的パフォーマンスからでは、つい最近まで不動のベストセラーとして君臨し、全国津々浦々まで驚くほどに普及している王者プリウスの「全体像」を正しく掴むことはできない、という結論に達しました。
そんなわけで、今日はあらためて「ごくフツーの」プリウスを求めて、通算3店舗目となる「ネッツ店」に突撃。
しかも今回は・・・
赤CHARGE号で(爆)。
駐車場に進入(侵入?)したその瞬間、店先でスタンバイしていた営業スタッフから、奥の整備エリアにいたサービススタッフの方々まで、訝しげな視線が一斉に向けられたのは・・・昨年、86を試乗しようと足を踏み入れた時と全く同じ光景(苦笑)。
警戒心を抱きながら果敢に応対してくれたセールス氏も、まさか私の口から
「普通のプリウスに試乗したいのですが・・・」
なんてコトバが出てくるとは想像しなかったでしょうね(^_^;)。
・・・余談ですが、店内での待機を促されてから、試乗車が用意されるまでの僅かな間に、受付で「焼き芋」、店内で記名をしたらすぐクジ引きで「キッチンペーパー」、席に着いたら即「ポップコーン」と「飲み物」が、矢継ぎ早に目の前に・・・。初来店でこれだけの「おもてなし」攻勢に遭えば、あっという間に本人や家族の心を掴んでしまいそうです(さ、さすがだ・・・)
さて、そんなこんなで私の目の前に現れた黒いプリウスは、地味な15インチタイヤを履く「G」グレード。
シート生地もファブリックで、これぞまさに、望み通り「ごくフツー」の香りをプンプン匂わせるもの(^^)v。
我が町内だけでも確実に5台以上いるのでは?と思うくらい見慣れた仕様であり、これならば、日本で最も市民権を得ている典型的な「最新プリウス」と見做して全く問題ないでしょう。
"極めて静かな"発進までの儀式は先週の試乗でしっかり頭に入っていたので、さっさと試乗をスタート。
ところが、ここで予期せぬ事態が起こります。
敷地内を走り出して僅か数秒後・・・ブルルンと微かな音と振動を伴ってエンジンがかかってしまったのです。
ありゃりゃ。先週とは打って変わったような陽気に、ついエアコンをONしてしまったのが影響したのか・・・。
今回こそ、走行中のエンジンのON/OFFを積極的に判別してみたかったのに、早くもシナリオは崩れ気味。
ただ、ごく微低速域で起こった出来事とはいえ、初心者の私がハッキリとエンジン始動の瞬間を感じ取れたのは、先週の「G's」が履いていた215/40R18タイヤ(+強化サス)よりも、今回の195/65R15タイヤ(+標準サス)の方が、静粛性では一枚も二枚も上だという何よりの証拠でしょう。
さて、ひとたび一般的な市街地走行モードに移ってしまえば、基本はモーター走行で、時折りアクセルの踏込みに応じて一瞬エンジンがかかるというパターンは、先週の試乗時と全く同じであり、その判別がインパネのシステムインジケータ頼りだったということも、これまた先週と同じでした(苦笑)。
今回は2号線バイパスまで足を延ばし、70km/h程度の巡航まで体験してみましたが、結局のところ、15インチの65タイヤをもってしても、ロードノイズが高まる粗い路面ではエンジン始動の瞬間は全く感じ取れず、パワーソースの切替えは極めてスムーズにさり気なく行われることをあらためて実感。
逆に言えば、エンジンが始動するたびに、透過音や振動、そして加速の段付き感などでドライバーが違和感を感じることが決してないよう、アクセルの応答性やエンジン出力の分配など緻密な制御を行っていることが十分に窺えるもの。こればっかりは、下手にアラ探しをしようとしていた私が間違いだったようです(^_^;)。
ただ、パワーソースの切替え自体はスムーズで全く違和感はないものの、一連の加減速パフォーマンスに違和感がないかといえば、それは全く違います。ECOモードにすると全く加速指示を受け付けてくれないところや、ブレーキを軽く踏み込んだ瞬間から急激に立ち上がる減速Gなど、従来の感覚とは相容れない部分は多く、良くも悪くも「新しい種類の乗り物」との印象を強くするものでした^m^。
そして、最大の注目ポイントだったノーマルプリウスの「ハンドリング」についても、今回の試乗で一定の感触を得ることに成功。
先週試乗した「G's」が専用チューニングでカバーしていたと思われる部分をあっさり取り去った「素の」プリウスのハンドリングとは・・・普段ほぼ100%マツダ車のステアリングを握っている私からすると、全く異質なものに映りました。
なによりもまず、ステアリング操作に対するクルマの反応が、普段マツダ車で培っているリニアな感覚とは程遠く、どれだけ切ればどれだけ曲がっていくか、最後の最後まで非常に読み辛く感じたのです。
それは一番最初の左折時に、もっとも象徴的な瞬間として訪れました。
過去幾度となく通行し、十分に慣れているはずの地元交差点。私は曲がった先の2車線のうちの「左」に入りたくて、マイカーを運転する時よりも数倍慎重を期してゆっくりと曲がったつもりなのに、あろうことかクルマは堂々と2車線を跨いだど真ん中の位置へフラフラと・・・(大汗)。
仕方がないので、左に切ったハンドルをそのまま維持して「より左へ」軌道修正したら、今度はその直後、ハンドルの戻しに対する反応が私のイメージよりも遅れ、歩道方向に一直線。慌てて右へ急ハンドルを切り返すハメに・・・。まるで、クルマの運転に不慣れな教習生のような失態じゃありませんか(-_-)。
音を立てて崩れてゆくプライドと引き換えに、積もっていく違和感と不信感・・・。結局、今回の20分弱の試乗中、この操舵に対する疑念は、最後の右左折時まで払拭できませんでした。
もっとも、これはある意味、ステアリングのギア比や初期応答特性の違いが現れた結果でもあり、慣れの問題だといってしまえばそれまでの話。
ただ、そこに介在する、私の習熟を阻むかのように思えたステアリングインフォメーションの希薄さは、個人的にはちょっと受け入れにくいと感じてしまいました(^_^;)。
その影響か、今回のプリウスは先週の「G’s」よりもクルマの四隅の位置が掴み辛く、何だか二回りくらい大きいクルマに感じたんですよねぇ・・・。
この心理状態で、裏山のワインディングに行こう!と誘われたら、「ち、ちょっと勘弁してください・・・」と、珍しく弱音を吐いてしまいそうです。
(あ、そういうクルマじゃないからいいのか)
というわけで、今回の試乗は感動ポイントこそ少なかったものの、やっとプリウスというクルマの全体像をおぼろげながらも掴むことができたし、だからこそ「G's」のような特別仕様車の存在意義も再認識できたわけで、先週・今週と2回にわたる30分ほどのプリウス試乗、初のハイブリッド車体験として大変意義あるものになったと思っています。
あっ、もちろん、ハイブリッド車の最大の提供価値である「圧倒的な燃費」については、実際に所有して初めて実感できる類のものであり、試乗時の評価対象からそもそも外してしまっているので、走行時の動的なフィーリングに少々違和感や不満を感じたところで、即それがハイブリッド車自体の評価を左右するものには成り得ないし、むしろ、そんな異次元の燃費を実現するために、英知を結集して生み出されたハイブリッドシステムは素直に「スゴイ」と思いますし、畏敬の念さえ抱いています。(未だに機構を完璧には理解できてませんが)
だからこそ、同じ提供価値を持つクルマ同士として、新型アクセラハイブリッドの試乗がますます楽しみになってきたんですよね~^m^(へへへ)