
先週の日曜、予定外のタイミングで実現した、アクセラハイブリッドの初試乗。
普段と違って、同乗の子供たちや担当セールス氏と絶えず会話しながらの短い試乗でしたが、比較用に試乗しておいたプリウスとの「違い」は、ハッキリと感じ取ることができました。
ひとつは、シャシーの基本的なパフォーマンスの違いであり、もうひとつは、基幹ハイブリッドシステムを共用しながらも、加減速時に見せた驚くほどの演出の違いでした。
言うまでもなくその違いは単に”優劣”に置き換えられるものではなく、ひとえに両車のコンセプトや思想の違いから生じたもの。
簡単にいえばプリウスは”未来感”を基軸に、そしてアクセラハイブリッドは“爽快感”を基軸にして、クルマ全体として高次元のまとまりを見せており、その一貫性はどちらも好印象でした(^^)。
では、今回のアクセラハイブリッド、純粋に1台のマツダのNewカーとして見た場合、私にはどう映ったか。
そのことを正確に検証するために、私は翌週に旧アンフィニ店を訪れ、ソウルレッドのハイブリッド試乗車を海沿いのワインディングコースに持ち込んでみたのです。
二週にわたってハイブリッド車の試乗を繰り返したのは・・・プリウスの時と一緒ですね(^_^;)。
CX-5、アテンザに続いて、 “フルSKYACTIV+魂動デザイン“の第三弾となった新型アクセラ。
そのアクセラにトヨタのハイブリッドシステムを搭載して誕生したマツダ初の量産ハイブリッド車は、結論からいえば、紛れもなく新型アクセラシリーズの一員であり、特別扱いやエクスキューズの必要な”異端児”ではありませんでした。
・・・というのも、実は私、マツダ初のハイブリッド車は、新型アクセラとは全く別の車種(ネーミング)にすべきと考えていたのです。仮にその姿カタチが新型アクセラと共通性の高いものであったとしても、トヨタにおけるプリウス、ホンダにおけるインサイトのような、ハイブリッド専用車と位置付けが相応しいと。
そう私が強く思った理由は、”Zoom-Zoom”で走る歓びを追求するマツダの方向性と、世の中のハイブリッド車の方向性は、絶対に相容れないものだと想像していたから。
ところが蓋を開けてみると、マツダは初のハイブリッドシステムを搭載した「アクセラ」に、マツダのDNA、走りの気持ち良さを生み出す要素をしっかり織り込んでみせたのです。
この執念にも似た徹底的なこだわりには正直驚かされましたが、よくよく考えてみれば、結果的にはこの道しか選択肢はなかったのかもしれません。
もし仮に独立したハイブリッド専用車種として登場させたところで、他社から基幹システムの供与を受けるという構図から、ハイブリッド専用車同士の燃費競争の中で優位性が保てるとは思えないし、そうした効率最優先の土俵に上がってしまったら最後、そのクルマの中でマツダらしい走りやデザインを心ゆくまで表現することは至難の業・・・。と同時に、専用車種としての開発要素が増えば増えるほど、投資回収のハードルは上がっていく一方です。
そう考えると、この「アクセラハイブリッド」は、現在マツダが送り出せるハイブリッド車として、ブランドの方向性とも相反しない最善の商品、言い換えれば最も順当な落とし何処ではないかと思えてきたのです。
私の専用車種論、あまりに浅はかな考えだったようですね(^_^;)。
ただ・・・
だからといって、私が諸手を挙げてこのアクセラハイブリッドを賞賛するかといえば・・・残念ながらそんな気にはなれませんでした。
その理由は、新型アクセラ・・・いや、今や全てのマツダ車の美点ともいえる肝心のハンドリング性能が
「今ひとつ」に感じたから。
前回のような渋滞気味の市街地コースでなく、アップダウンのあるご機嫌なワインディングコースに持ち込んでみた結果、10月に走らせた新型アクセラスポーツ(20S)ほどの気持ち良さが感じられなかったのです。
同じ新型アクセラとして、シャシーの基本形式やスペックはもちろん、何よりも“気持ち良さ”を大切にするサスチューニングの方向性にもブレはないはずなのに、一体アクセラハイブリッドの印象がどう冴えなかったかというのか。
一言でいえば「挙動が粗っぽい」感じで、歴代のフルSKYACTIV車が見せてきた「洗練された動き」に欠けたのです(-_-;)。
同じコーナーをアクセラスポーツやアテンザで駆け抜けた時とは、明らかに違うイメージ。
段差通過後の収束の様子にしても、横G・前後Gの変化を受け止める際の過渡的な動きにしても、フルSKYACTIV車として期待するほどのしなやかさがなく、全体的に大雑把で大味な挙動に終始したのです。
実は私、スポーツ(ハッチバック)よりも剛性面で有利と思われるセダンタイプのボディや、ハイブリッドシステム搭載による重量増(約80kg)の影響などで、仮にレスポンスの快活さは多少影を潜めたとしても、その分、格上のアテンザセダンにも通じる落ち着きと厚みのある上質な乗り味を期待していたので、このイメージのGapには軽いショックさえ覚えました(-_-;)。
このGapがボディ形状に起因するのか、ハイブリッド特有の重量配分に起因するのか、はたまた、タイヤ空気圧など試乗車固有のコンディションに起因するのかは、私がハイブリッド以外のセダンを試乗するまで明確な答えは出せそうにありませんが、少なくとも今回のアクセラハイブリッドのハンドリングに関しては、私の「期待値」には届かず・・・。そう、ブログタイトルとは真逆の結果でしたね^_^;。
CX-5以降、フルSKYACTIVのマツダ車は、統一感のあるリニアで爽快な走りを徹底的に追求し、高い次元で実現をしてきました。そして、少なくとも私が過去に試乗した新型アクセラスポーツにもそれはきちんと受け継がれ、クルマの車格や重さに合わせ、自由自在に”統一感”溢れる気持ち良い走りが均等に作り込まれていることを実感したばかり。
そんなハイレベルなSKYACTIV-G/SKYACTIV-D搭載車の走りと比べた場合の、SKYACTIV-HYBRID搭載車の走り。
他のマツダ車と同様の「らしさ」を持たせるために、懸命な協調制御で加速時のリニアさを”演出”したり、回生ブレーキの不自然さを”解消”したりと、ハイブリッド特有のハンデ克服に大変な労力と遠回りを強いられているのは事実ですが、そのことと大雑把なハンドリングの印象とに因果関係があるとは思えず、謎は深まるばかり・・・。
そもそも、アクセラハイブリッドを、マツダの自社技術で100%成り立っている他のフルSKYACTIV車と全く同列で語るのは少し酷な面もありますが、逆に言えば、もし今回私が感じたハンドリングのネガな部分が解消されれば(あるいは、単なる思い違いだと判れば)、持ち前の圧倒的な燃費性能を武器にして、最新フルSKYACTIV車の中にあっても際立つ個性の持ち主として、とびきり魅力的なマツダ車の1台として映るはず、と確信しました。
だって、初のSKYACTIV技術搭載車『デミオ』を所有する私をして、このアクセラハイブリッドは、(予算の話は別として) 我が家のガレージに迎え入れるだけの十分な技術的・歴史的価値はあると感じていますからね(^o^)。