
早朝からアクセラXD(6MT)でプチドライブ、昼からはバッテリー上がりを喫したRX-7(5MT)の回復ドライブ、そして夕方にはデミオXD(6MT)試乗車との初対面・・・と、図らずもマニュアルトランスミッション三昧となった土曜日。
しかし、二週間も前に、今週末限定で6MTの試乗車が配備されることを知らせてくれた担当セールス氏はあいにく不在。
しかも、ピンチヒッターとして店長さんが助手席に乗り込む展開となり、私が秘かに描いていた試乗シナリオは脆くも崩れていくのです・・・。
本音をいえば、1ヶ月前に僅か10分しかドライブできなかった6AT車を先に再試乗してから、この6MT車をじっくり試してみたい・・・そんな我儘を、気心知れた担当セールス氏にぶつける算段だったのに(^_^;)。
ま、それでもお店が閑散としていれば相談の余地もあったのですが、幸か不幸か(笑)店内が数組の商談客で活況を呈している状況とくれば、試乗希望のお客さんに迷惑をかけてはいけないし、何より、責任者の店長さんを長時間にわたって連れ出すわけにはいきません。・・・というわけで、やむなく今回も最短コースの試乗に止めることにしたのでした。
さて、ごく短時間の試乗となると、予め確認するポイントを絞り込んでおかないと、つい同乗者との会話に気を取られ、何もクルマの印象が残らなかった・・・そんな失敗経験を何度もしているこの私(苦笑)。
そこで、ネットの試乗記事で散見された「発進加速の鈍さ」と「ディーゼル特有の騒音」をとくに意識して乗り込むことにしたのですが・・・
結論からいうと、いずれも私には大きな問題とは映りませんでした(^^)。
・・・にもかかわらず、明らかにネガティブな印象を持たれるケースがあるのは、やはり人によって期待値や比較対象が異なるからで、致し方ないところでしょう。
まずは発進加速。
たしかに、アクセルの踏み始めからリニアなレスポンスを見せるガソリン車と比べると、ディーゼル車はごく初期の反応が鈍く、少しだけ”間”を感じてしまうところがあります。それは私が早朝にドライブしたアクセラXDも全く同様ですが、ひとたび慣れてしまえば、よほど全開加速でも繰り返さない限り、大きな違和感を感じることはなくなります。
ただ、同じSKYACTIV-Dエンジンでも、アクセラの2.2Lが2ステージターボを採用し、低回転域から高回転域まで、全域にわたる良好なレスポンスを目指しているのに対し、デミオの1.5Lはシングルターボ。
無論、可変ジオメトリーターボ等の新技術で懸命にリカバリーを図っているとはいえ、どこかに不得意な領域が残ってしまうのも仕方ないところ。そういう意味では、極低回転域で加速がもたつく印象は、アクセラXDよりも強い傾向にありますが、クルマ自体の軽さ(アクセラ比で-350kg!)でその大半を相殺した感じで、私には十分許容範囲に映りましたね。
そして、もうひとつのディーゼル特有の騒音。
これに関しては、私には許容範囲どころか、むしろ「アクセラよりも格段にイイ!」とさえ思えてしまいました。
定速(今回は「低速」でもある)巡航に入ってエンジン回転数がグンと落ちた時に、何故かアクセラではカラカラカラ・・・というディーゼルの音がサイドから回り込んでくることがあるのですが、今回はその音も聞こえず、思わず助手席の店長さんに「ディーゼルかガソリンか区別がつかないですね!?」と同意を求めてしまったくらい。
このデミオ、「クラス概念を超える」ため、遮音性能にも十分に力を入れたのでしょうけど、そもそも小排気量ディーゼルエンジンは、発生する音自体が相対的に小さいのかもしれませんね。
あとは・・・加速時のディーゼルサウンドが2.2Lの音色とは明らかに違うことに気付いた程度で、今回の渋滞路でのミニマム試乗(w/店長さん)というシチュエーションでは、そこまでで精一杯でしたね(苦笑)。
でも、私がつくづくこの6MT車で残念に感じるのは、JC08モード燃費値「30km/L」を死守したことの弊害と思われる部分。
中でも、自らの体験談を交えて強く主張したいのは、重量ランク維持のために特別に容量を減らした燃料タンク(44L→35L)のことです。
普通、燃費性能に優れるマイカーを買ったなら、オーナーが期待するのは、「今までよりも遠くまで行ける」こととか、「以前よりも給油回数が減る」ことであるはず。間違えても「小さい燃料タンクで済む」ことをユーザー視点で思い浮かべる人は、まずいないでしょう。
実際に、10・15モード燃費値「30km/L」達成のために燃料タンク容量を減らされた先代SKYACTIVデミオを迎え入れた我が家では、前車のベリーサよりも実用燃費が4割程度も向上したにもかかわらず、燃料タンク容量が2割以上減っていたため、結果的には航続距離も給油インターバルも大して変わらず・・・。
結局、「第3のエコカー」とも評された、記念すべきSKYACTIV技術初搭載モデルを所有したはいいものの、その恩恵をオーナーが実感できたシーンといえば、毎回の満タン給油のたびに示される燃費の数字を知ったその瞬間だけ。おまけにその数値が、我が家のように12km/L前後という低レベルで推移していたら・・・感動もへったくれもありません(自爆)。
そして、そんな忌わしき小型燃料タンクの再登板よりもさらに私が残念に思うのは・・・
「今回のデミオは実用燃費で勝負します」
とばかり、ガソリン車のカタログ燃費値が先代モデルより悪化しても気に留めない潔さを見せておきながら、その裏ではこっそり、看板のディーゼル車で明らかにカタログ燃費値ありきの姿勢を見せてしまっているという、この甚だしい矛盾。
実際、我が家のガソリン車(13S)は、カタログ燃費値の微々たる低下など、まさに「どこ吹く風」の勢い。
実用燃費はSKYACTIVデミオよりも確実に1割以上は向上しているし、44Lという常識的な容量に復帰した燃料タンクとの相乗効果で、未踏のロングドライブ(もしくは未踏の給油インターバル 笑)に大いに期待を寄せている今日この頃。
これぞまさに”有言実行”。「よくぞ言ってくれた、マツダ!」と声を大にしてアピールしたい(あ、もうすでに言ってたっけ 苦笑)ところなのに・・・です。
いやホント、カタログ燃費値くらいしかアピールポイントのないクルマならともかく、クラス概念を超えた質感や、小型クリーンディーゼルの走りが高く評価されている新型デミオで、種々のデメリットに目を瞑ってまで、また、ポリシーを揺るがすような二枚舌を披露してまで、「30km/L」を死守しに行く必要があったのかは甚だ疑問が残るし、唯一スカッとしない部分です。
うーん・・・
今更こんなことを言うのは後出しジャンケンのようで恐縮ですが、デミオXDにおける6MT車/6AT車の違いは、文字通り「トランスミッションだけ」に留めておき、現在のXD-6MT車に相当するモデルを、例えば「XD-E」(EはEco? Extra?)等の別グレード名にしておけば、もっと判りやすいというか、遥かに釈然としたかもしれませんね。(あ、だからといって二枚舌の重罪が消えるわけではないですが・・・)