
(
第十二話からの続きです)
真新しいホビールームに置かれた、唯一の家具らしい家具。
その実態は相当に年季の入ったソファーセットでして、無数の小傷や色褪せ箇所は言うに及ばず、肝心のスプリングはとうにヘタリ切って、どこか黴臭い感じさえする古臭い一品。
でも、これが今回の第十三話の主役なんです。
私が年男だった2016年にぶち上げた申年プロジェクト。
カーライフ環境の刷新を主たる目的とした異例のコンセプトを掲げ、某ハウスメーカーと昨夏に契約。晩秋の地鎮祭を経て、年明けから本格工事に突入した我が家。
それまで何もなかった更地に見る見るうちに構造物が出現していく様子は、見ていても興味の尽きない新鮮な光景でした。
そして、前回の第十二話を書いた頃にはほぼ、新居の基本構造は形作られていたのですが、その後の1ヶ月余りで内外装工事の追い込み作業が急加速。
当初の引渡しタイミングだった3月末には、竣工確認から引越しまでを短期集中型で一気に消化するタイトな運びとなりました。
4月中旬の現在、こと居住空間に関しては、完全に新生活への移行を終えた状態。
しかしながら、建物本体とは対照的に、ガレージを含む外構工事は計画に対して大幅に遅延中で、竣工から1ヶ月近く経っても未だ完成に至らず。
申年プロジェクトの中核を成すカーライフ目線でいえば、つい数日前にやっとマイカー全車を敷地内に集結させたばかりで、一世一代のプロジェクトがいよいよ大団円を迎えるという実感にはまだまだ乏しいというのが本音(+_+)。
・・・ハイ、傍目には決してそう見えないとは思いますけどね(^^;)。
さて
そんな最中にあって、私たちは引越しを敢行したその週末、まだ荷物が片付いていないのは承知の上で、向かいに住む両親を初めて新居に招き、全員でささやかな食事会を設けたのです。
その際、私が両親に用意していたサプライズが、冒頭のソファーセットでした。
というのも、今から半世紀以上も前、若かりし頃の両親が懸命に働いて溜めたお金で買い求めたのが他ならぬこのソファーセットで、なんでもその当時、地元の家具屋さんで最もプライスタグが高かった一品なんだとか。
ただ、20年前に実家を建て替えて以降は完全にお役御免となり、私たちが先月まで住んでいた古家にずっと置き去りにされていました。
おそらく、当の両親もその存在を忘れかけていたであろうこの家具を私はこっそり復活させ、両親を真っ先に案内した1階の私のホビールームに配置していたのです。
果たして、両親は私が勧めるよりも先にヘタり切ったソファーに深々と腰掛け、懐かしそうに昔話を披露。その2人の笑顔がとても印象的で、仕掛け人の私としても十分満足のいく会心の展開となったわけです(^^)v。
でもこれ、父の病状が急変して再度の入院を強いられ、同時に母も体調を崩してしまうという、目の回るようなドタバタ劇が始まるほんの数日前の出来事だったんですよね・・・。
もし仮に新居の引き渡しが一週間延びていたら、もし仮に引越しが予定通りのタイミングで完了していなかったら、ややもすると一生実現できなかった可能性さえあったわけですよ。
ホント、ギリギリのところで間に合って良かった・・・。
私が心底、ホッと胸を撫で下ろしたのは言うまでもありません。
だからこそ、新カーライフ拠点の完成が未だお預け状態でも、また、心労と疲労が重なって体重が6キロ以上落ちてしまっていても、さらには、巨額のローン生活に不安一杯で漕ぎ出していても、こうして現在の私がなんとか健康と平静を保ち、病院と実家と職場を忙しく行き来し続けてられているのでしょう。
古びたソファーセットが与えてくれた、ささやかな達成感。
申年プロジェクトの偉大なる裏の使命はしっかり果たせた・・・そう表現できるのかもしれません。
(
第十四話につづく)
Posted at 2017/04/20 00:09:08 | |
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隠れ家の新プロジェクト | 日記