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aquablauのブログ一覧

2018年12月13日 イイね!

多段AT信仰

■多段AT信仰

世の中には根強い多段AT信仰があるらしい。
またの名を "ギヤ比さえ上げれば後はメーカーが魔法でも使って燃費を良くしてくれるに違いない"教。
(本当にそう言っている人がいて驚いた)

北関東には昔から竹槍出っ歯にハの字に決めて、マフラーは最低6本という種族が棲んでいると噂されるが(北関東の皆様ごめんなさい)、変速機は6速では満足できないという人達もいるらしい。

トヨタのヤンジー向け某車種は、"高級車なのにダブルウイッュボーンではないのが許せない" という人達がターゲットユーザーであったが故に、狭いリヤサススペースに、本来ある程度のアーム長を取り付けるスペースが必要なはずのマルチリンクサスを無理やり押し込み、"ダブルウイッシュボーン" としてカタログを飾った。
こういう "売るための大人の事情" を "商品性の向上" とも呼んだりするが、これは竹槍出っ歯や長いリーゼントこそカッコいいというのと同じ、ユーザーの趣味性を満足させるためだけもの。
これは必要性とは言い難いし、個人的には、ユーザーにメリットのない(≒技術的に無意味なこと)はマツダにはして欲しくない。そういう車は買いたくない。

■多段ATの必要性

確かにその昔、3速AT から 4速AT になり 5速AT に進化していくことで、変速ショックは小さくなり、ロックアップ領域も広がり、燃費も向上したのは間違いない。

もちろん、8速AT は 6速AT を機能的には内包する。しかし性能的に勝るとは言えない。

勘違いしてはいけないのは、性能向上を図るための手段のうちの "1つ" として多段化という解決策が採用されてきたということ。

ATに要求される性能とは、多段化だけではなく、変速ショックの少なさや変速速度、そしてロックアップ領域の広さ、大きさや重さ、そしてコストも要求される性能の1つだ。

同じトルク容量なら重くなるし、大きくもなる。
簡単に軽量化と言い出す人もいるが、もし 8速AT を 6速AT と同等に軽量化できる技術があるなら(ラビニヨ式プラネタリギヤだって、ラージサンギヤとロングピニオンと、その制御機構が追加になる)、構成部品が少なくなる 6速AT なら、同じ技術でもっと軽量化できる。
もしくは軽量化できる重量やスペース、そしてコストを、変速ショックの減少や変速速度の向上、そしてロックアップ領域を広くするために使うこともできる。


(上はアイシンAW製のコンパクトタイプの8速AT、下は同クラスの6速AT)

現代では時速 300km/h を超える F1 ですら8速、SUPER GTやスーパーフォーミュラでも6速、では、せいぜい百数十km/hを上限とする乗用車で6速ATでは足りない理由は何だろうか。

■8速ATは、6速ATよりも高性能なのか

SKYACTIV-DRIVE の評価が高いのも、5速から6速になったことよりも、そのロックアップ領域の広さがもたらすダイレクト感をだろう。
実際、SKYACTIV-DRIVE では、従来の5速ATからの性能向上を図る手段として、トルクコンバータを低容量化(スペックダウン)を行なって、その空いたスペースに、耐久性を向上させるために大型化したダンパーや、大型化したロックアップクラッチなどを押し込み、変速ショックや変速速度の向上、そして広いロックアップ領域を実現している。


運動性能と環境性能を両立する新型自動変速機「SKYACTIV-Drive」の開発 より引用)

SKYACTIV-DRIVE の解説はこちらが詳しくわかりやすいので、紹介したい。

 分かりやすい? SKYACTIV-DRIVE 技術解説
 http://www.mazdafan.com/技術/20110325-1560

従来の5速ATは 30km/h を超えなければロックアップしなかったが、SKYACTIV-DRIVE(Midium)では、加速時は 10km/h 付近でほぼロックアップされ、減速時にはロックアップが 20km/h 未満まで維持される。



SKYACTIV-DRIVE(small)に至っては、ほぼ 0km/h からロックアップされる。



では、トヨタの最新の Direct Shift 8AT(FF車用)と比較してみよう。


(トヨタ 新型パワートレーンの特長 より)

ロックアップ領域の拡大を目指しているのは、SKYACTIV-DRIVE と同じ。
それを実現するために、高減衰ダンパーや、多板式ロックアップクラッチ、小型(扁平)トーラスなどを採用しているのも同じ。


同上、この米国試験モードとは FTP-75 と同じであるため、縦軸1目盛は 20km/h)

しかし実際のロックアップ領域を比較すると、SKYACTIV-DRIVE(medium)とくらべても、Direct Shift 8AT は明らかに劣っている。加速時には 20km/h 近くまでロックアップされないことがあり、減速時に至っては 20km/h 以下までロックアップが維持されることはない。

では、ロックアップ領域が狭いとどうなるのか、図らずもトヨタ自身が説明してくれている。



ロックアップ領域の広さもトランスミッションの性能の1つ。
そして SKYACTIV-DRIVE のダイレクト感を生み出しているのは、このロックアップ領域の広さ。
トランスミッションでは、段数が多い=性能が高い、ではないのだ。

■燃費向上

「トルクに余裕があるならギヤを上げて回転数を下げたら燃費はさらに良くなるはずだ」
しかしながら、これはダウンサイジングエンジンや、自然吸気のガソリンエンジンだから言えることで、燃費率(BSFC)が大きく異なる SKYACTIV-X や SKYACTIV-D では必ずしもそうとは言えない。



このグラフは縦軸が燃費率(BSFC)、横軸がエンジン負荷(BMEP)で、SKYACTIV-G やその前の世代の 旧MZR、そして SKYACTIV-X や SKYACTIV-D の燃費率の違いがわかる。(ただし縦軸に目盛りも何もないので、エンジンの傾向の差はわかっても、絶対値は全くわからない)

エンジン負荷が大きい状況とは、言い方を変えれば回転数が低い状態を指す。回転数が低いと、1回転あたりの爆発力、すなわちエンジン負荷が大きくなるからだ。
つまり、一定速走行時に回転数を下げても、低負荷から燃費率の良い SKYACTIV-X や SKYACTIV-D の燃費は、一般的な自然吸気のガソリンエンジンほどの改善は見込めないということがわかる。(グラフを見ての通り、状況によっては悪くなる)

■他社のエンジンと多段AT

先ほどの「トルクに余裕があるならギヤを上げて回転数を下げたら燃費はさらに良くなるはずだ」は、現在も他社のエンジン、例えば欧州で流行したダウンサイジングエンジンや、トヨタの「最大熱効率」を重視したエンジンには有効だ。


(トヨタ 新型パワートレーン より抜粋)

見ての通り、トヨタのエンジンは最大熱効率を求めて開発されている。マツダのエンジンが中負荷域の燃費向上を目指しているのとは、ある意味、開発の方向性としては正反対だ。
最大熱効率を求めた結果、燃費の良い領域は、従来よりも高負荷側に寄っている。
つまり、エンジンを高負荷=低回転で使った方が燃費が良いため、常にシフトアップして低い回転数で使う必要があり、そのためには多段ATが適しているということになる。

■まとめ

以上の通り、少なくとも「6速ATは安物で性能が低く、8速ATは高性能」という見方は完全に間違っていると言える。
あえて言えば、「トーションビームは安物で性能が低く、マルチリンクは高性能」と言っているのと同じだ。

現時点でも最新型のトヨタ Direct Shift 8速/10速ATは、SKYACTIV-DRIVE ほどのダイレクト感は得られないというのは、私の多段ATへの印象とも一致するし、紹介した通り、公表されている資料からも明確だ。
では、 Direct Shift 8速は SKYACTIV-DRIVE に劣るのかと言えばそうではない。
トランスミッションに対して求める方向性が違うのだ。

では、マツダは将来的にも多段ATを出さないのか。
それは何とも言えない。多段ATは機能的には6速ATの機能も内包する。
だから、大きさや重さの増加も許容され、変速ショックも少なく、変速速度も早く、そしてロックアップ領域も広ければ、技術的・性能的には 8速AT でも 10速AT でも 100速AT でも何も困らない。あとはコストと必要性の問題。
ただ、FF車用トランスミッションはスペースの制約は大きく、現在の技術的制約の中では SKYACTIV-DRIVE のダイレクト感を維持したまま多段化するのは難しいのだろう。

逆に言えば、現時点で発売されている車とは構成が大きく異なり、大きさや重さの増加も許容され、コストもかけることができ、エンジンの出力も十分に大きく、他社とカタログスペックで負ける訳にはいかない状況、つまり縦置き直6FR が搭載されるかもしれないラージモデルならあり得るかもしれない。

もし仮に8速ATが導入されるならば、次期アクセラや CX-3 などの横置き直4FFのスモールモデルでは6速AT、次期アテンザや CX-5 などの縦置き直6FR のラージモデルでは 8速AT と住み分けることになるだろうか。
Posted at 2019/03/09 05:05:59 | コメント(1) | トラックバック(0) | | クルマ
2018年09月18日 イイね!

ヴィッツとデミオと SKYACTIV-X と多段AT

前回はヴィッツに乗って不満タラタラだったことを記事にしました。

 ヴィッツに乗りました
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41955904/

実は以前にも、アクアに乗って不満タラタラだったんです。

 アクアに乗りました
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39353767/

さらに言えば、この記事で紹介した「プリウスのSUVモデル トヨタ「C-HR」ターボに感じる疑問 | THE PAGE」にある、

先代30型プリウスで、速度制御能力に問題があったトヨタのハイブリッドシステムは、一年前に発売された50型において、大進歩を遂げ、運転することが罰ゲームのようだったプリウスが、普通の範疇に入るようになった。積極的におすすめするかどうかはともかく、少なくとも知り合いが買った時に、口をつぐむ必要はなくなり、燃費のメリットや、リセールバリューまで含めれば、その選択も理解できるところまで来た。

という記述は、私のプリウスの評価そのまんまだったりします。

何を言いたいかというと、燃費を極限まで追い求めて、

 - 燃費は非常に良いが、燃費が良い領域は狭いエンジン
 - エンジンの燃費の良い領域を常に使い続けようとするATプログラム

を組み合わせると、運転のしやすさ、具体的にはリニアなアクセルの反応といったものが失われる恐れがある、ということです。

あまりに有名なので記事を引用しませんが、アクセラにトヨタのハイブリッドを搭載してお披露目した時に、その運転性の良さに驚いたのは他ならぬトヨタのエンジニアで、豊田社長もアクセラに試乗して驚き、その後のトヨタとマツダの対等な資本提携に繋がったというのも、マツダの藤原大明神が認めていたはずです。

さて、前回の記事では、燃費の良い領域が広いエンジンは、燃費の良さを維持したまま、リニアなアクセル操作を実現する、という話までしました。(どこまで説明できているかは不安ですが)

それでは SKYACTIV-X ではどうなるか、です。
(以下、マツダ、技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を公表より引用)

 - エンジン単体の燃費率は現行の「SKYACTIV-G」と比べて最大で20~30%程度改善
 - 2008年時点の同一排気量の当社ガソリンエンジンから、35~45%の改善
 - 最新の「SKYACTIV-D」と同等以上の燃費率

そういう数字を並べないと記事にならないのはわかりますが、これでは SKYACTIV-X の魅力というか、従来エンジンとの違い、あえて言えば「異常さ」を表現できないのではないかと思ったりします。



SKYACTIV-X では、燃費の良い領域(黄色)が、従来の SKYACTIV-G よりもずっと広くなるとのこと。
もちろん、その中でも更に燃費の良い領域(オレンジ色)がありますが、そこまで燃費を追い求めるのではなく、燃費の良い領域(黄色)を幅広く使う考えのようです。

そうなるとどうなるのか、1つ目は走行条件による差が少なくなります。

前述の発表会では、この様な一節があります。

「ハイブリッド専用エンジンで論じられる様な、最高効率点だけではなく、私たちは燃費率を更に向上させた黄色の範囲を拡大させる様な、燃費率に差がない特性を持つことで、市街地走行から高速長距離走行まで、様々な運転シーン、つまり様々なエンジンの回転と負荷の範囲で、低燃費運転が提供できます。」

「新型エンジンではこの様に、実用域まで広がる燃費特性を持つことで、各モード共通の冷間時で比較してみますと、WLTCモードでも、JC08モードでも、NEDCモードでも、ほとんど数値の差はありません

例えば、アクセラ 15XD の燃費は、低負荷主体の欧州 NEDC では 26.3km/L、しかし日本の渋滞や短距離低速走行の繰り返しを再現した JC08 では 21.8km/L まで落ちます。

この大幅な落ち方こそ、アクセラ 15XD はマツダのダウンサイジングターボだという私の主張をも裏付けているのですが、これに対して、SKYACTIV-X では NEDC でも JC08 でも燃費の差がほとんどないとのこと。

つまり、少し元気に走っても、頑張ってエコランしても、高速を走っても、市街地を走っても、大して燃費は変わらない、ということです。
そんな車が実現するなんて、信じられますか?

更にもう1つ、



ローギヤで巡航させても燃費が落ちないということになります。
従来であれば、6速 100km/h で 2300回転前後、それでも黄緑の領域だったのに対して、SKYACTIV-X では 6速 100km/h で 3000回転でも、黄色の燃費の良い領域が使えるということになります。
2300回転で巡航する従来エンジンよりも、3000回転で巡航する SKYACTIV-X の方が燃費が良いということ。

これを簡単に言えば、スポーツモードで運転しても燃費はほとんど低下しないということです。。
もしかしたら次世代 SKYACTIV-X は、常時スポーツモードの様なギヤ比になるのかもしれません。

これは発表資料でも裏付けられていて、



他社ダウンサイジングターボと比べても、加速時のレスポンスが優れているとのこと。
発表では、ディーゼルと同様のスロットルレスを要因として挙げていますが、私はギヤ比を落としているのも大きな要因ではないかと想像しています。

 - WLTC でも NEDC でも JC08 でも燃費が変わらない
 - 常時スポーツモードで走っても燃費が落ちない

そうなるかもしれないと聞いたら、 SKYACTIV-X の異常さがよくわかりますよね。

そして、もしそういう車が実現するとなると、AT 多段化の意味は?ということになります。
6速よりも8速、8速よりも10速ATの方が偉い、なんて思っている人もいる様ですが、欧州のダウンサイジングターボでATの多段化が進んだのは、ヴィッツと同じく燃費の良い領域をどの速度域でも使うため。

本来は CVT の方がいいのですが、CVT は高価ですし大トルクは伝達できませんし、欧州でよく使われる高速域の伝達効率はあまり良くない。

そういったCVTのデメリットから、燃費の良い領域をどの速度域でも使うため(いわゆる燃費の目玉を使うため)に、ATの多段化が進みました。

しかし SKYACTIV-X は燃費が良い領域がとても広く、6速 3000回転で巡航しても燃費は落ちないどころか、従来よりも良くなるかもしれないとのこと。

それでも8速AT、10速ATは必要ですか?
Posted at 2018/09/18 02:04:50 | コメント(1) | トラックバック(0) | | クルマ
2018年07月01日 イイね!

SKYACTIV-D 1.5 は、なぜ 1.8 になったのか

□ VWディーゼルゲート事件

2015年9月18日、アメリカの環境保護局(EPA)が記者会見を行い、VWが排ガス検査時に不正を行っていたと発表しました。
これがのちにVWディーゼルゲートと呼ばれる事件の始まりでした。

不正が発覚したのは、米国の環境問題NPOの調査が切っ掛けでした。彼らが実走行時の排ガスを計測すると、走行時に基準値の最大40倍もの窒素酸化物(NOx)が排出されていることが判明したのです。
台上試験にくらべて実走行時(RDE)は、加速度や速度の違いで NOx の排出量は多くなるものですが、それにしても多すぎたのです。
VWは当初、ソフトウエアの誤作動だとして2014年12月にリコールを行ったのですが、当然のことながら改善は見られず、最終的に VWは検査時に不正を行っていたことを認めざるを得なくなりました。

 第318回:VWのディーゼル不正はなぜ起きたのか――
 エンジン開発のプロフェッショナルが事件の背景を語る
 http://www.webcg.net/articles/-/33361

□ 実走行時の排ガス規制(RDE)への影響

当時、欧州では排ガス規制を台上試験だけではなく実走行時(RDE)でも行う方針は決まっていました。
しかし RDE をめぐっては欧州委員会と欧州自動車工業会(ACEA)などの間で綱引きがあり、自動車メーカーとしては、できるだけ規制をゆるくしてほしい、そうでないと技術的に規制を実現できないと主張していたのです。

ところがこの VWディーゼルゲート事件で欧州自動車工業会(ACEA)は欧州委員会に一気に押し切られ、次のように規制を実施することとなりました。



 欧州における検査方法見直しの動向について
 http://www.mlit.go.jp/common/001121839.pdf

つまり、台上試験の NOx 基準値である 80mg/km に対して、新型車は2017年9月1日から、継続生産車も2019年9月1日からは 2.1倍の 168mg/km(EURO6d-TEMP)の規制を守らなければならなくなりました。
更には新型車は2020年1月1日から、継続生産車も2021年1月1日からは、120mg/km となるのです。(Euro6d)

□ マツダの SKYACTIV-D 1.5 はどうなのか

まずはVWディーゼルゲート事件直後に行われた、国交省の調査です。



 排出ガス路上走行試験等結果取りまとめ (国産自動車)
 http://www.mlit.go.jp/common/001121838.pdf

この時の走行コースは、調布の交通安全環境研究所から都内を走行して練馬ICから関越道を通り、鶴ヶ島ICで降りてバイパスを通って熊谷運動公園に至るというルートです。

 排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会 中間とりまとめ
 https://www.env.go.jp/air/car/conf_diesel/ref01.pdf

この結果、SKYACTIV-D 1.5 のデミオおよび 2.2 の CX-5 は、実走行時でもほぼ台上試験(JC08モード)と同等の排出量となる、非常に優秀な成績を納めました。

では SKYACTIV-D 1.5 は、そのまま欧州の新しい排ガス規制をクリアできるのでしょうか。

欧州でもドイツの automotor und sport誌が、独自に実走行時の排ガス試験(RDE)を行なっています。

 日経Automotive 2016年3月号 公道排ガス試験 どのディーゼル車がクリーンか
 http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/mag/15/318380/201603/

これはシュトゥットガルトからケンゲン、アイヒェルブルクを経由してショルンドルフに至る約 100km を走行し、排出された NOx を測定するもので、前述の Euro6d(-TEMP)の測定方法とは異なりますから、この測定結果をもって Euro6d(-TEMP)に適合しているかどうかは語れません。

しかし、競合他車と比べることはできます。

結論から言えば、VWディーゼルゲート事件が発覚した直後、2015年末時点で試験が行われた、Euro6 (Euro6d-TEMPではありません) に適合したディーゼル車、6車種と比較して、SKYACTIV-D 1.5 を搭載した CX-3 は3番目に位置していました。

他車が NOx 吸着還元触媒や、SCR(選択還元触媒)のどちらか、または両方を搭載しているのに対して、そのどちらもない SKYACTIV-D 1.5 が7車種中3位とは、大変良く健闘しています。
とは言え NOx 排出量は 284mg/km、台上試験での基準値 80mg/km の 3.6倍ですから、余裕で Euro6d に適合しそうだとは思えません。

国交省の測定値に比べて排出量が多くなっている理由は、やはり日本国内より格段に負荷が高いという面があるように思います。
シュトゥットガルト市内こそ最高時速 50km/h ですが高低差はあり、そこからケンゲンまでは最高時速 80km/h、ケンゲンからアイヘェルベルクはアウトバーンで最高時速 130km/h、そしてショルンドルフまでは高低差と速度変化が伴っての最高時速 100km/h です。
実際、ケンゲンからアイヘェルベルクのアウトバーンでは、基準値の7.3倍もの NOx を排出しています。

今後の実走行時の排ガス試験(RDE)、つまり Euro6d(-TEMP)への対応については、CX-3 の開発者が次のように答えています。

 マツダCX-3 開発者インタビュー これが集大成
 http://www.webcg.net/articles/-/38791

「NOx(窒素酸化物)の排出量は、排気量の小さいエンジンほど早く立ち上がってきます(=より低負荷の状態からNOxの排出量が増える)。マツダではこのモデルから燃費表示をJC08からWLTCモードに変更しています。さらにRDEまで見たときに、NOxの立ち上がりを遅らせて高負荷まで使える状態でモードテストを走りきるためには、このくらいの排気量が必要でした。もちろん1.5リッターでも後処理装置を付ければクリアできると思いますが、マツダとしてはそれは“なし”でやりたかった。」(冨山主査)

エンジン出力(排気量)に比べて負荷が軽いほど、NOx の排出量は減る、だから排気量を増やして負荷を減らし NOx の排出量を減らす必要がある。D1.5 だと前出のNOx 吸着還元触媒や、SCR(選択還元触媒)が必要になるが、それを避けるために排気量を増やした、ということになります。

□ 日本への影響

日本でもこの VWディーゼルゲート事件の影響は少なくありません。
国交省は「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」を立ち上げ、日本では予定されていなかった実走行時の排ガス規制(RDE)を提言しています。

 排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会
 https://www.env.go.jp/air/car/conf_diesel/post_9.html

『このため、路上走行検査については、欧州の路上走行試験法を参考とし、同試験法 における評価手法である Moving Averaging Window 法を採用しつつ、日本と欧州の 走行環境(走行速度、気温等)、WLTC(乗用車等世界統一試験サイクル)の適用フェ イズの違いを考慮して、別紙2の路上走行検査方法とするとともに、路上走行検査に おける NOx 排出量は台上規制値の 2.0 倍までとして導入することが適当である。』

□ 排気量増加のメリットとデメリット

人は古来から、車の車格を排気量で判断してきました。
デミオに 1.3L は適正、1.5L は大きめ、1.8L は過大、と言う人は少なくありません。
車の車格を排気量で判断する人は、排気量が大きくなるほどエンジンのトルクと出力が上がり、その分重くなり、燃費も悪くなるという意識があるのだと思います。

しかし、SKYACTIV-D 1.8 は 1.5 と同等の最大トルク、ほぼ同等の最大出力、ほぼ同等の重さです。
違うのは税金と燃費と排ガスだけで、燃費と排ガスは向上します。

となると、SKYACTIV-D 1.5 が 1.8 に全面的に置き換わるのは私は当然だと思いますが、それでも抵抗がある人はいるのでしょうね。

□追記

やはりこの記事の通り、マツダは新開発の排気量1.8Lのディーゼルで、尿素SCR(選択型還元触媒)を使わずに、2020年から欧州で始まる厳しい排ガス規制を達成する見通しなのだそうです。

 ディーゼル再興にのろし 常識を覆すマツダ、20年規制達成へ
 https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/00795/

□実は・・・

2015年の一般財団法人日中経済協会、日中省エネルギー・環境総合フォーラムで人見光男常務(当時)が発表した中に、「大排気量はコストフリーのエミッションデバイス」だとする発表がすでにありました。



ここに書かれている通り、小排気量の SKYACTIV-D1.5 は、D2.2 に比べて比較的低トルクのうちから NOx の排出量が増えています。

つまり、低負荷領域しか使わない燃費測定である欧州規格 NEDC から、現実の負荷に近い WLTC や、実際に走行して測定する RDE に移行すると、低トルクのうちから NOx の排出量が増える D1.5 は不利だということです。

2015年の時点で、ちゃんとそういったことも発表していたとは。

□追記の追記

モーターファン誌が私のブログよりずっとわかりやすい記事を公開していますね。

 排気量258ccアップ。マツダCX-3が積むSKYACTIV-D1.8はなぜ排気量を大きくしたのか?
 https://motor-fan.jp/tech/10005758
Posted at 2018/07/02 12:26:41 | コメント(2) | トラックバック(0) | | クルマ
2018年06月30日 イイね!

VISON COUPE の長いノーズは何?

マツダの次世代商品コンセプト「マツダ 魁 CONCEPT(マツダカイコンセプト)」の記事は良く見かけるのですが、次世代デザインとして発表した、

 MAZDA VISON COUPE (ビジョン クーペ)
 http://www2.mazda.com/ja/next-generation/design/

は、イマイチ地味というか、注目されていないんじゃないかと感じます。

魁コンセプトが次世代アクセラのコンセプトであるのに対して、VISION COUPE は発売前提のものではないですし、何よりもクーペとか日本じゃ人気ないし、グレーとかが地味だったり、そういった点で魁コンセプトよりも注目が集まらないのかもしれません。

とは言え、パリで開催された「第33回Festival Automobile International(国際自動車フェスティバル)」では、「Most Beautiful Concept Car of the Year賞」を受賞するなど、世界的な評価は非常に高いのは間違いありません。

 「マツダ VISION COUPE」がフランスにて「最も美しいコンセプトカー」に選出
 http://www2.mazda.com/ja/publicity/release/2018/201802/180201a.html

で、この評価の高いデザインで目につくのは、非常に長いノーズ(フロントガラスより前のボンネット部分)。
また元日産GT-R開発者、現ラクスジェンU6開発責任者の水野和敏氏には、無駄なデザインとお叱りを受けてしまうかもしれませんが、魂動デザインの長いノーズも実は無駄ではなく、エンジニアリング要求をデザインに生かした結果だというのは前回記事にも書きました。

となると VISON COUPE も無駄なデザインでノーズが長いのではなく、ノーズを長くする必要があると勘ぐるべきでしょう。

そう、直列6気筒エンジンです。

昔は高級車=直列6気筒でした。
直列6気筒は原理的に振動が少なく、2Lを超える排気量には適切なシリンダーサイズとなるため、エンジニアリング的にも優れたエンジンでしたが、衝突安全性を確保するためにエンジン全長を抑える必要があり、6気筒エンジンは左右3気筒ずつに分けた V6 エンジンに淘汰されてしまいました。

 メルセデス・ベンツが新開発した直6エンジン+48Vハイブリッドシステム、いったいどこが凄いのか!?
 https://autoc-one.jp/mercedes-benz/s-class/newmodel-5001552/

あの国沢光宏氏の記事なので信頼性に欠けますが、多分オートテックワン編集部とメルセデスベンツの監修を受けてるでしょうから、そう間違ったことは書いていないでしょう。

そして、注目すべきは次期アテンザにも直列6気筒エンジンが載るのではないかという噂です。

 直6エンジンが今、見直されている本当の理由 - ベンツが復活、マツダ次期「アテンザ」搭載か -
 https://toyokeizai.net/articles/-/213620

長い記事だし、読んで理解しづらいところがあるかもしれないので要約すると、

 ハイブリッドが登場し、燃費競争が始まる
             ↓
 欧米の燃費計測 NEDC は低負荷・低加速中心なのでダウンサイジングが有利
             ↓
 燃費計測が実走行に近い世界統一のWLTPになってダウンサイジングが不利に
             ↓
 適正な排気量(ライトサイジング)が見直され、高級車種は6気筒が必要に
             ↓
 V6 だと吸気系も排気系も2つ必要
             ↓
 直6 だと吸排気系が1系統で済む

吸排気系が2系統だと、EGRもターボもクーラーも2系統になりますし、特にディーゼルの排気系統は、DPFやNOx浄化触媒が必要なので高額になります。
V6 だとこれを2系統、左右に搭載する必要があるため、衝突安全性技術が進化した今、直列6気筒が見直されているという訳です。
ライトサイジングの方が有利だということは、ダウンサイジング全盛の頃から、マツダの少し太った方のおっさん、人見光夫 マツダ株式会社常務執行役員・シニア技術開発フェロー が口を酸っぱくして言ってたんですけどね。

さらに、マツダの今後の方針とも合致します。
マツダは2012年に発売されたフルスカイアクティブのCX-5 以降、コモンアーキテクチャ(一括企画)という手法で車開発を進めてきました。

 トヨタを震撼させたマツダの戦略 「コモンアーキテクチャー」
 http://news.livedoor.com/article/detail/13082504/

簡単に言えば、上位車種から下位車種まで、共通に開発された技術を搭載するというものです。
部品を共通化するのではなく、技術を共通化し、開発コストを低減し、多くの車種にその恩恵を与えるという方針です。

例えば、他社では、エンジンの「部品コスト」を削減するために、1.5L と 2L のエンジンブロックとピストンを共通にし、ストロークだけ変えて排気量を変えるということをやります。
しかし 1.5L と 2L のスカイアクティブエンジンは、ほぼ共通部品はありません。エンジンブロックもピストンもクランクも別です。
その代わり、ボアストローク比を共通化し、燃焼室の形状もほぼ同じにし、同じ燃焼するエンジンとすることで、排気量の異なるエンジンを個別に開発するというエンジンの「開発コスト」を大幅に削減しているのです。

マツダは、このコモンアーキテクチャ(一括企画)を、次世代車種では変更し、「スモール商品群(普及車)」と「ラージ商品群(高級車)」の2つに分ける手法へと転換すると言いだしました。

 【池原照雄の単眼複眼】マツダ、200万台体制へ脱・「一括企画」の商品開発とは?
 https://response.jp/article/2018/05/09/309445.html

スモール商品群(普及車)は、直列4気筒横置きFF(AWD)というのは変わらないでしょう。
となると、ラージ商品群(高級車)が同じでは、差別化ができません。
よって、直列6気筒縦置きFR(AWD)という流れになるだろうと、私だけではなく、多くの記者が予測しています。

あの地味なグレー(失礼)も、高級車志向と考えると納得できます。

その経営方針の大きな変更が、VISON COUPE (ビジョン クーペ)にも表れていると思うのですが、元日産GT-R開発者、現ラクスジェンU6開発責任者の水野和敏氏の目にはデザイン偏重としか映らないんだろうなぁ。
Posted at 2018/06/30 21:01:44 | コメント(3) | トラックバック(0) | | クルマ
2018年06月23日 イイね!

魂動デザインの長いノーズは無駄?

魂動デザインの長いノーズは無駄?普段は車雑誌はあまり読まないのですが、たまたまコンビニで見かけたベストカーにこんな記事が。

フェルディナント・ヤマグチのザ・インタビュー
第5回 元日産GT-R開発者、現ラクスジェンU6開発責任者 水野和敏氏

【フェル】 ところで、マツダはどうでしょう?

【水野】 (略)商品としての車のバラツキが大きい。誰かの思い込みで突っ走っちゃったクルマ、パッケージングから何から何まで実物検証しながら皆で知恵を出し合いながら作ったクルマまで極端に差が出ているのがマツダの特徴だね。


この人、第6世代群と呼ばれる 2012年発売の CX-5 以降のマツダ車にはほとんど乗っていないんだろうと思う。

確かに、昔のマツダ車は、車ごとに性格が全然違っていた。例えば先代の DE デミオと、同じく先代の BL アクセラでは、エンジンも少し違うが乗り味が全く違った。

1.3L の DE デミオは少し踏んだだけで飛び出していく様な車だった。印象としては、軽くて元気な車。
ただ元々馬力がある車ではないから、そこから踏み込んでも加速しない。極端に言えばアクセルのオンオフだけで車を動かしているような、そんな印象の車でした。

対して、同じ CVT の 1.5L BL アクセラは軽くて元気な車という感じはなく、アクセルの踏み込みと加速が比較的リニアな車でした。(ただし、両車ともアイシン精機の CVT の出来がイマイチで…)

とはいえ、トヨタなど他社もプリウスとヴィッツは全然違うし、アコードとフィットも全く違うし、同じメーカーでも違う車だから乗り味が違うのは当然だろうと、当時は自分も全く疑問に思っていなかったのも事実です。

BM アクセラに乗り慣れた頃、1.3L DJ デミオに乗ると感じたのが、「トルクも馬力も全然違うけど、乗り味はとても似ている」という点。発進時に少し踏み込んだ時の車の加速の仕方、そこから踏み込んだ時のリニアな感じがとても似ている。

で、それは CX-5 や CX-8 の試乗車を借りても同じ印象なんです。
トルクも馬力も着座高さも違うけど、乗ってみると同じ車を運転しているかの様な統一感がある。

特段に優れた機能もなく、重さもエンジンやサスペンション全く違うのに、どうしてこんなに統一感があるのかと疑問に思っていたら、こんな記事を見つけました。

 マツダ「目標を追わず理想をめざす」理由
 藤原清志専務インタビュー(前編)
 http://president.jp/articles/-/22346?page=2

【藤原】まずは日本の自動車会社の中で、優れた――それは乗り味や機能やデザインなどが優れたクルマを、小さいクルマから上のクルマまで格差のない状況にしたいんです。例えばデミオに乗っても「小さいクルマだから」と卑下することなく、お客さまが満足して「良いクルマに乗っている」と思える状態を作ることで、(ユーザーの)クルマを見る目を上げたい。品質やクルマの善しあしを感じるレベルを上げれば、それが結局クルマ文化を作るベースになると思うんですね。


つまり、第6世代群以降のマツダ車は、同クラスの競合他車と比べて近付こう、超えようとしているのではなく、マツダとしての理想があって、そこに近づけようと製品開発をしているということらしいです。

なるほど、そうであれば、デミオから CX-8 まで、とてもよく似た乗り味を持つのは当然ということになります。

それに気づいた後、「ではマツダの理想とする運転とは?」と興味を持つことになり、これまで長い間続けてきた運転姿勢や運転の仕方を見直すきっかけにもなったのですが、その話はまたの機会に。

さて、実はこちらが本題ですが、前述のベストカーの記事には、こんな下りもありました。

【フェル】 マツダ一連の「魂動デザイン」はいかがですか?
【水野】 あれはね・・・(苦笑)。確かに他社と同じいいものを作ってもダメ!だから独自にしますという企画の意図はわかる。しかし、私がインダストリーデザインで一番嫌いなのは「無駄なスペースを使って、いいデザイン」という言葉。これはエンジニアとして認められない。
【フェル】 といいますと?
【水野】 ベンツは限られた少ないスペースで空力と車格と存在感を放つのよ。(中略)意味のないスペースで作るデザイン、個人的には「恥ずかしさは?」と思えるくらい。
【フェル】 げげげ。これは手厳しい・・・。
【水野】 そりゃそうだよ。デザインをやっている人はアーティストぶっているかもしれないけど、エンジニアからしてみれば恥ではと言いたい。家でいえば「六畳一間づすばらしい部屋を作り、だけど六畳に一畳を足して部屋を大きくしていいデザインにしました」なんて言ったって誰も誉めないし、当たり前。
【フェル】 う〜む・・・。
【水野】 マツダのデザイナーには一度、マツダ車とベンツを並べて直接見てもらいたい。(略)ベンツはノーズがあんなに短くてもいびつじゃないワケ。マツダ車のデザインは、デミオを筆頭にフロントグリルの格好よさを優先して後席やトランクが狭い。エンジニアとしての良識から見て欲しい。前を伸ばしている分、タイヤに人が食い込んでいる。だから乗り降りもしにくい。要するにお客様を犠牲にして"いいデザイン"というのは、インダストリーデザインとしてはどうなんだろうと?(以下略)


つまり、この元日産GT-R開発者と称する水野和敏氏は、「マツダ車はデザイン優先でノーズを長くしている、エンジニアとしての良識に反している、恥ずかしい」と言っているのです。

実際に、アクセラでも先代 BL アクセラと比べると、現行 BM アクセラはノーズが伸びています。



ただし、前を伸ばしてタイヤも前に出して座席を後ろに下げているので、後席やトランクが狭いのは事実ですが、タイヤに人は食い込んでいません。タイヤに食い込むほど座席を前に出したら、折角のオルガンペダルも採用できません。

では、本当にマツダは「デザインのためにノーズを伸ばしたのか」ですが、それデザインのためだけではないということは様々な形として情報として出ています。

 なぜ SKYACTIV-G は低速トルクが向上したのか
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39271243/

ここでも記事しましたが、



このクソ馬鹿デカイ排気管(4-2-1排気管)をエンジンルームに納めるためなワケです。
新型アクセラにはフルSKYACTIV を載せるのは必須、SKYACTIV-G は長い排気管が必須、よってそのスペースを確保しなければならないのも当然、というエンジニアリング的要件でノーズが長いのです。


デミオの SKYACTIV-G 1.3 はこのクソ馬鹿デカイ排気管は載せていませんが、同じ車体にクソ馬鹿デカイ排気管を持つ SKYACTIV-G 1.5 や、ターボなどの補機類を持つ SKYACTIV-D 1.5 を乗せられたのも、ノーズを長くしたからです。
この他にも、

 マツダ「デミオ」、伸ばした80mmを3分野に生かす
 http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/article/NEWS/20140912/376320/

にある通り、

 - 全長の短い右ハンドルのクルマはどうしても運転姿勢が左向きになる。デミオは前輪と座席の距離が80mm伸びたため、ペダルの位置はホイールハウスの都合でなく運転姿勢の都合だけで決められるようになった。

 - ホイールハウスとペダルの場所の取り合いが解消したためにホイールハウスの幅を広くでき、前輪の切れ角を大きくした。このためホイールベ―スを伸ばし、ホイールを大きくしたにもかかわらず、最小回転半径を15インチ車で4.7m、16インチ車で4.9mと先代並みとした。

というメリットがあります。
また、他の記事では、

 小さなデミオの大きな変身
 http://www.webcg.net/articles/-/31060

 「新型ではキャスター角を寝かせて(3.3度→5.0度)、直進性を向上させたという。」

 衝撃の事実。デミオはGTカーだった!
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20141002/272027/?P=4

 「デミオの大きさでキャスター角をより大きく取ろうとすると、8センチ前へ出す必要がどうしても有った訳です。今回のデミオは、高速を使ってより遠くまで快適にドライブできる価値を提供しようとしています。高速の安定性を重視しているのです。」

というエンジニアリング的な要求もあります。

この方が賛美しているベンツですが、日本国内やイギリスで売られている右ハンドル仕様車は、ハンドルがオフセットしていて気持ち悪いんですよね。私が乗ったことがある BMW も同じでしたが、こういう犠牲を無視するのはエンジニアとしてどうかと思いますよ。

 「メルセデス・ベンツ Cクラス セダン」海外自動車レビューサイトによる評価は?(海外の反応)
 https://kaikore.blogspot.com/2017/04/mercedes-c-class-saloon-2017-review.html

 「イギリスの右ハンドル仕様ではステアリングホイールが少しドライビングポジションの中心からずれている。」

元日産GT-R開発者、現ラクスジェンU6開発責任者の水野和敏さん、ベンツやBMWの右ハンドル車のアクセルペダルやハンドルのオフセットを無視して賛美した挙句、自分がよく知らないだけなのに、マツダ車がデザイン優先でノーズを長くしたとか、乗り降りしにくくなったとか言い出すのは、エンジニアとして非常に恥ずかしいことですよ。
Posted at 2018/06/24 17:07:28 | コメント(5) | トラックバック(0) | | クルマ

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「@おとぅさん 軽油ってレギュラーガソリンと比べて、店舗によって値段のばらつきが大きいと思います。」
何シテル?   08/23 08:20
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