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2017年03月31日 イイね!

VW Golf 1.4 TSI vs マツダアクセラ SKYACTIV-G 2.0

前回の記事「SKYACTIV の将来」の続きです。

前回は、マツダの人見光夫常務取締役のプレゼンテーション資料から資料を抜粋して、

①3気筒1L や 4気筒1.4L 過給ダウンサイジングは、軽負荷のみ 2L SKYACTIV に勝る
②4気筒1.4L でも採用されている気筒休止を採用すれば、軽負荷も中高負荷も SKYACTIV が勝てる

というマツダの意気込みを紹介しました。

しかし現実に 4気筒1.4L過給ダウンサイジング、はっきり言えば VW(フォルクスワーゲン) Golf 1.4 TSI BMT DSG と Mazda 3 (日本名アクセラ) SKYACTIV-G 2.0 の燃費はどの程度違うのか、比較してみたいと思います。

VW Golf 1.4 TSM BMT DSG (7AT) の欧州NEDC での燃費は 19.2km/L〜20.0km/L(欧州複合モード)となっています。
対する Mazda 3 SKYACTIV-G 2.0 6AT は 17.9km/L ですから、VW Golf 1.4 の方がカタログ燃費がいいというのはわかります。

では、日本の JC08モードではどうでしょうか。

VW Golf 1.4 TSM Highline(Connect)(7AT DSG) の JC08 は 19.9km/L ですから、欧州NEDC とほぼ同等です。
対して アクセラスポーツ SKYACTIV-G 2.0 6AT の JC08 は 19.0km/L ですから、欧州NEDC と比較すると 1.1km/L も良くなっています。
日本の JC08モードでは、1.4L 過給ダウンサイジングと SKYACTIV-G 2.0 に大きな違いはなく、少しVW Golf 1.4 の方が良い程度というのがわかります。

それでは実燃費はどうなのか、人見氏のプレゼンテーション資料では ドイツの ACAD eco test の結果を実燃費としていましたが、日本なので e燃費で比較してみましょう。

まずは VW Golf 1.4L TSI BMT DSG (7AT)ですが、



実燃費は 13.99km/L です。
対して アクセラスポーツ SKYACTIV-G 2.0 AT ですが、



実燃費は 13.59km/L ですから、JC08 よりも更に差は詰まって、1.4L 過給ダウンサイジングとほぼ同等の実燃費が、2.0L NA エンジンで得られているということになります。

結論としては、欧州NEDCでは過給ダウンサイジングの方が燃費がいいが、実燃費は同等ということ。

このように燃費が同等ならば、

 ○ ターボの過給圧に合わせた強化ピストン、コンロッド、クランクシャフト、ブロック、ヘッド
 ○ ターボチャージャー本体
 ○ インタークーラーおよび配管

が必要な過給ダウンサイジングよりも、

 ○ 電動VCT
 ○ 4-2-1 排気管

しか必要としない(=コストが安い) SKYACTIV-G の方が有利だという人見氏の主張もある程度、理解できます。

フォルクスワーゲンは「Volkswagen Eco Drive Handbook」という小雑誌で

『 JC08モードと比較すると、NEDCの走行パターンは速度が高く、市街地モードでの停止回数も多いなどより現実に近い内容で、測定はエンジンが冷えた状態から行います。 ドイツ生まれのフォルクスワーゲン車は、このNEDCを念頭に置いて設計されているため、実際の走行でもすぐれた燃費性能が発揮できるのです。』

としています。

しかし、この通り、欧州NEDCでは燃費のいい VW Golf 1.4 TSI BMT DSG も、実燃費となると SKYACTIV-G 2.0 と同等です。

欧州NEDC の走行モードは最高速約 50km/h の市街地走行を4回繰り返し、最高速約120km/h(低出力車は約90km/h) の高速走行を1回行うものです。
対して JC08 は単なる返し走行ではなく、最初は最高速度 60km で信号に止まりながら走り、その後スムースに流れた郊外路、次に最高速度 30km/h の渋滞があり、最後に最高速度約80km/h で高速を走るというものです。

欧州NEDC は平均速度は高いですが、渋滞も想定していませんし、速度も低いJC08 の方が、燃費には厳しいとも言えます。(実際に日本の道路事情は平均速度は低い)
そもそも不正を行ったフォルクスワーゲンが何を言うかというのもありますが、現実に JC08 や実燃費では同等であるという現状を見る限り、必ずしも過給ダウンサイジングが SKYACTIV-G よりも燃費に良い技術とは言えませんし、SKYACTIV-G に気筒停止(=低負荷時の燃費対策)が装備されれば、SKYACTIV-G が実燃費で勝てる、とする人見氏の主張にも説得力があります。

人見氏に言わせれば、「排気量はコストフリーの過給器」であり、(ガソリンエンジンに)過給器を付けるなら、NA で排気量を増やすべき、それが合理的な解決策なのに、旧態依然の税制がそれを妨げている、ということになります。

知っている方もいると思いますが、欧州では車の出力(馬力)によって年間の保険料が変わります。
Mazda3 も、120馬力のグレードと、165馬力のグレードの2グレードが用意されていますが、聞くところによると、120馬力のグレードに比べて、165馬力のグレードは、4倍以上の保険料の開きがあるそうです。
VW Golf 1.4TSI BMT も同様に、110馬力、125馬力、150馬力の3つのグレードが用意されています。
その上、税金も 200cc ごとに細かく区分されているので、2.0L NA(自然吸気)よりも 1.4L ターボの方が年間維持費が安くなります。

欧州で馬力は無いが低速トルクがある、ディーゼル(ターボ)車や小排気量ガソリンターボ車が好まれるのは、単に環境意識が高いからではなく、長距離の走りやすさ(トルク)を確保した上で、年間維持費(保険料+税金+燃費)も低く抑えたいという経済的要求も大きいためだと思います。

日本は排気量も 500cc という荒い区分で、馬力による保険料の違いはありませんが、いっそのこと、排気量別の税金徴収は廃止し、重量+燃費+出力の組み合わせで区分するというのもいいのではないかと思ったりしますが、どうでしょうか。

もしそうなったら、アクセラも SKYACTIV-G 2.5 と SKYACTIV-D 2.2 の2本立てのみ、あとは電子的に出力が制限されたいくつかのグレードが用意される感じになるかもしれませんね。(重量増が気になりますが)

さて、以前に「アクセラ15XDを選ぶ理由(1)」で書いたのですが、アクセラ 15XD に関しては、この過給ダウンサイジングをディーゼルエンジンで実現した感があります。
人見氏の発表は、排気量の大きなガソリンエンジンを気筒休止によって低負荷時の燃料消費率を改善するというアイディアでしたが、小排気量ディーゼルエンジンは、

 ◎低負荷時は小排気量エンジンのメリットを生かせる
 ◎コスト以前にディーゼルエンジンには過給器(ターボ)は必須
 ◎ディーゼルエンジンは過給器(ターボ)付きでも圧縮比を高くできる

つまり、意図したものかどうかは分かりませんが、ガソリンエンジン車における過給ダウンサイジングのデメリットを、ディーゼルエンジン(SKYACTIV-D)の採用によって解消したものに見えるところがとても面白いですね。
Posted at 2017/04/01 01:15:32 | コメント(2) | トラックバック(0) | | クルマ
2017年03月26日 イイね!

SKYACTIV の将来

少し前に、次世代 SKYACTIV-G では HCCI(予混合圧縮着火:Homogeneous Charge Compression Ignition)が採用されると新聞でも記事になりました。
(日本経済新聞 17年1月9日:マツダの新エンジン 3割省燃費

マツダの SKYACTIV エンジンの生みの親、人見光夫氏は、その記事よりずっと以前から HCCI について言及していて、研究開発をしていることは明言していました。問題はいつ製品化するか、という点なのですが、2015年の段階で「明確には言えないが2020年の欧州の燃費規制強化に役立たなければ会社としてやる意味がない」(日刊工業新聞:次世代エンジン開発に賭けるマツダの意気込みとは)とまで言っていましたから、できれば2018年、遅くても2019年というのは予想通りですし、このタイミングでリークしたのは、開発が順調なのか、それとも開発部隊にハッパをかける意味でぶち上げたのか、期待と不安を感じます。

でも、私が注目しているのは、こんな実用化が難しい技術の実現ではなかったりします。

以前の記事「インジェクターの燃料噴射量補正について」では、将来のSKYACTIV-Dで使われるであろう、デンソーの第4世代インジェクターについて簡単に解説しましたが、次世代 SKYACTIV で新たに採用されるであろう技術はまだあります。

まずは、人見光夫氏のプレゼンテーション SKYACTIV 開発と今後の展望 から抜粋します。



人見氏が「世界の主流」というダウンサイジング(エンジン)と、SKYACTIV-G 2.0 を比較したのが次のページです。



縦軸が BSFC(出力あたりの燃料消費量)、横軸がトルクですが、「3気筒1Lや4気筒1.4Lダウンサイジングは、軽負荷のみ 2L SKYACTIV に勝る」ということがわかります。
「軽負荷での燃費」というのは、実燃費においても一定速の走行など負荷の軽い状況で燃費の向上となりますが、欧州ではカタログ上の燃費に大きく影響するので、非常に重要です。



この2つのグラフの左側は NEDC(欧州)、右側は FTP(米国)の燃費計測用の走行モードです。日本でいう JC08 と同様の、カタログ燃費を計測する時に使う、予め定められた「走り方」になります。
右側のFTP(米国の走行モード)は 1500回転を中心に、低負荷から高負荷までまんべんなく使われるのに対して、左側の NEDC(欧州の走行モード)は、2000-2500回転を中心に、ほとんどが低負荷での走行に偏っているのがわかるかと思います。

ですから、欧州で「カタログ燃費」を良くしたいなら、低負荷での燃費を向上させるのが手っ取り早いのです。

しかし、現実の燃費はどうかというと、



このグラフは縦軸が ADAC ECO test と呼ばれる、ADAC(全ドイツ自動車クラブ:ドイツのJAFみたいな組織)が、実際に走行して計測した燃費、つまり実燃費です。そして横軸は NEDC、つまり欧州のカタログ燃費です。
グラフを見れば、過給ダウンサイジング(エンジン)の多くは、カタログ燃費は良いが、実燃費は悪いという傾向が見て取れます。それに対してマツダ車は、カタログ燃費と実燃費に大きな乖離がないということもわかります。(赤い実線に近い)

さらに「軽負荷時は過給ダウンサイジングよりも燃費が悪い」という点の改善策として、マツダは気筒休止を導入する様です。



気筒休止とは、軽負荷時に一部もしくは全部の気筒の吸気バルブや排気バルブを開いたままにして、エンジンを空回りさせようというものです。詳細はホンダのホームページにわかりやすい説明があるので紹介します(ゆとりある走りと低燃費を両立する Honda の VCM
このホンダの資料が 2003年6月発表ということですから、気筒休止という技術自体は、大昔からあったというのがわかるかと思います。

赤い実線の SKYACTIV-G 2.0 に対して、赤い点線が気筒休止 w/ cyl. Deac. (with cylinder deactivation) です。
軽負荷時の燃料消費率が大幅に改善され、1.0L や 1.4L の過給ダウンサイジングと比較しても同等以上になっているのがわかるかと思います。

つまり「2L SKYACTIV で3気筒1Lや4気筒1.4L過給ダウンサイジングに全運転領域で勝てる」ということです。

さらに 2.5L SKYACTIV でもほぼ同様の効果を期待できるとのこと。



そしてマツダが過給器ではなく、排気量にこだわるのかには理由があります。



結局、小排気量エンジンに過給器(ターボ)を使うよりも、大排気量NAエンジンに気筒休止とリーンバーン(希薄燃焼)を組み合わせて使った方が燃費が良くなるということなんです。
希薄燃焼を使う低中負荷時の燃料消費率が、理論空燃比時よりも良くなるというのは、「SKYACTIV-G は高負荷時に燃費が悪化するのか」という記事でも説明していますが、同じ馬力を得るにしても、小排気量エンジン(+過給器)を理論空燃比で動かすより、大排気量エンジン(+気筒休止)の希薄燃焼領域を使った方が燃費が良いということなのです。

それがなかなか普及しないのは、もはや時代にそぐわない「排気量別の税金」だということは、日本も欧州も同じです。

そして人見光夫氏の意気込みが次の2ページ。





実現できるかは未知数ですが、気筒休止自体は昔からある技術ですので、それほど難しいとは思いませんし、私としては「その意気込みはよし!」という感じです。

私が紹介した、この人見光夫氏のプレゼンですが、これ以外にも下記の事柄について言及しています。

 ①なぜ他社が高圧縮エンジンを開発しなかったのか
 ②なぜ規模の小さいマツダが高圧縮エンジンを開発できたのか
 ③電気自動車やハイブリッドが本当に環境に優しいのか



PHEVはどんなに電費(燃費)の悪いEV走行をしても、どんなに燃費の悪いハイブリッド走行をしても、カタログ値は電池をたくさん載せたもの勝ち

特に私が賛同するのは、次に挙げる3ページです。



これはカルフォルニアのZEV規制も同様で、「現実にはどんなに環境に悪くても、電池とモーターを積めば、環境に良いということにしてくれる」という法律が大問題です。
上記の欧州の例で言えば、ハイブリッドモードで CO2 排出量が 150g/km という車でも、モーターで 51km 走れるようにすれば、デミオ(100g/km)の2倍以上燃費の良い車ということにしてくれる、という悪法です。
フォルクスワーゲンの不正を、法律にして欧州全体で合法的に行うようなもの。



なぜそんな「フォルクスワーゲンの不正を法律化するようなことをやるのか」が明快に書かれています。

「モーターショーでもものすごいハイパワーの車をPHEVにして環境にも優しいと宣伝
でも本当に訴えているのは、モード運転のようなおとなしい走りなんかやめてぶっ飛ばせばエンジンも最初からかかってものすごい走りが体感できますよ。実はそのためにモーターとバッテリーを載せました。面倒?充電なんかしなくてもものすごく走りますよ。
環境問題? どんなにCO2を出してもモータとバッテリーを載せれば、例え充電なんか面倒くさいからしなくても、この車は環境にいいのだと政府のお墨付きです。どうせドイツでは充電しても大して節約にもならないし。。。。。」

つまりドイツ自動車メーカー保護のための非関税障壁なんです。

そして最後に。



役員とはいえ日本の弱小自動車メーカーではなく、トヨタの早川茂日本経団連副会長あたりが、これぐらいのことを言ってくれませんかね。
Posted at 2017/03/26 20:42:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | | クルマ
2017年03月25日 イイね!

カメラ交換その後

以前記事にした「カメラ交換と燃料噴射量補正」の、カメラ交換後の追記です。

まず交換後の状況ですが、この約1ヶ月、夜の雨の日も走行しましたが、ALH 警告灯はもちろん、カメラ視界不良も出ていません。
それだけでもカメラを交換した意味はあったと思っていたのですが・・・

前回の記事で、「ALH警告灯の点灯だけで、SCBS/SBS警告灯や、LAS/LDWS警告灯が点灯していないのに、カメラ交換で直るのだろうか」と疑問を呈しましたが、実はカメラ視界不良が発生したのち、視界不良が回復すると、ALH 警告灯のみが点灯するようになっている様です。

①ガラス曇りや雨粒などでカメラが視界不良になった時

 メーター内警告灯表示:ALH警告灯、SCBS/SBS警告灯、LAS/LDWS警告灯、マスタ警告灯
 ウォーニング表示:SCBSガラス曇り、ALH/LASガラス曇り
 (注:現在はカメラ視界不良と表示される様です)

②その後視界が晴れた時

 メーター内警告灯表示:ALH警告灯
 ウォーニング表示:ALHシステム異常

つまり、私の前回の記事にある不具合は、カメラ視界不良になったのちに、視界が回復し、ALH警告灯およびALHシステム異常の表示のみが残ったという状況ではないかと推測されます。
逆に言えば、一旦カメラ視界不良となっても、その後、視界が回復すれば、走行中でも SCBS(アクセラの場合はASCBS)/SBS や、 LAS/LDWS は勝手に復帰するということ。
ALH はエンジン始動時に上下方向の角度を調整している様なので、走行中に復帰することはできないのかもしれません。

この説明は、カメラ関連の警告灯が最初に点灯した時に(「警告灯が点灯、ALHがハイビームのままに」を参照)、ディーラーの整備マネージャーから A4 の紙半分をもらって説明を受けたのですが、すっかり忘れていました。説明をしてくれたのに申し訳ない気持ちです。

それはともかく、カメラ交換後はカメラ視界不良自体が起きなくなった(起きにくくなった)様なので、結果オーライとしておきましょう。
Posted at 2017/03/25 21:41:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | アクセラ | クルマ
2017年03月22日 イイね!

インジェクターの燃料噴射量補正について

以前記事に少し書きましたが、インジェクターの燃料噴射量補正は、ディーラーで行われる燃料噴射量補正のほか、走行中には自動学習もされています。
エンジンも十分に温まっていて、エアコンもつけておらず、もちろんDPF再生中でもないのに、なぜか i-stop が効かないことがありますが、その時にも噴射量の補正をしているようです。



SKYACTIV-D 2.2 のインジェクターはデンソーの第3世代 G3P(ピエゾインジェクター)が採用されています。
これらの第3世代のインジェクターは、第2世代からどの様に進化しているか、自動車技術会の資料から抜粋します。


(注:SKYACTIV-D 2.2 用の G3P は 0.1msec です)

この中で、燃料噴射量補正に関する記述もありました。



(公益社団法人自動車技術会 ディーゼルコモンレールシステム より抜粋)

なぜこんなに複雑なことをしているかというと、インジェクターが高圧になればなるほど、インジェクターの個体差や経年変化による、ほんの少しのタイミングのズレが燃料噴射量に大きく影響することになり、理想の燃焼が得られなくなるからです。

第2世代インジェクターと比較して、第3世代インジェクターは、燃費、出力、排ガス性能が向上していることが前述の資料にも記載されていますが、その中から、低中速時におけるNOx排出量を示すグラフを抜粋します。



第2世代インジェクターに対し,第3世代インジェクターは NOx を約30%低減することを確認したとのこと。(グラフだけではわかりませんが)

ですが、このグラフをよく見ると、第3世代インジェクター自体は、Euro5 をターゲットに開発されているのがわかります。
このインジェクターを使って、燃焼の改善だけで Euro6 をクリアした SKYACTIV-D は、マツダの技術力の賜物と言っていいでしょう。(もし興味があれば「SKYACTIV-D はどうやって煤(スス)を減らしたのか」もどうぞ)

そして現在、デンソーからは第4世代のインジェクターが出荷されています。デンソーはこれが Euro6 をターゲットにしたインジェクターだとしています。


(デンソー: ディーゼルエンジン制御システム より抜粋)

この第4世代インジェクターは、次世代の SKYACTIV-D にも採用されるのではないかと思っていますが、第3世代から何が進化したのでしょうか。

こちらには 2012年にデンソーが第4世代インジェクターを発表した際の記事があります。

 人とくるまのテクノロジー展2012:「世界最高圧」のコモンレール、デンソーが2013年発売のディーゼル車に納入へ

これらによると、第4世代インジェクターの大きな特徴は、

 ◯燃料噴射圧を 200MPa(2000気圧)から 250MPa(2500気圧)に高圧化
 ◯圧力センサをインジェクタに内蔵し、 高精度に噴射量を制御

となります。
燃料噴射圧は高ければ高いほど、燃料の粒子が細かくなり、酸素と燃料がよく混ぜ合わさるために、NOx や煤の発生が低減され、燃費もよくなります。そのため、第1世代から、世代を重ねるごとに高圧化され、第4世代では 250MPa にもなりました。
しかし、デンソーとして高圧化競争にも限界があると考えている様で、燃料噴射量の高精度化にも踏み込んだ様です。

残念ながら、上記の資料では「従来は1つだった圧力センサーを、それぞれのインジェクタに内蔵することで何がどう良くなったか」がわかりません。
その点が少し詳しく説明されているのが「愛知発明対象:株式会社デンソー 高精度燃料噴射フィードバック制御装置」です。

これによると、従来の第3世代インジェクターでは

 ◯補償できる精度は最も良い条件で±0.5mm3 程度
 ◯マルチ噴射時に各段の噴射量を補償することは困難

であったとのこと。
最も良い条件というのがよくわかりませんが、仮に燃料噴射量 1mm3 (0.001cc)を指示しても 0.00075cc 〜 0.00125cc 以上にばらつく可能性があるということですね。(誤差25%)
しかも燃料噴射量補正も、エンジン回転数の変動や、O2センサーという「おおざっぱな」補正のため、1回の燃焼で複数回噴射した時の、1回あたりの噴射量までは補正できないということ。

これに対して、第4世代では、

 ①インジェクタの内部に圧力センサを搭載し、燃料噴射中の燃料圧力変化を高速検出する
 ②上記圧力波形から実際の噴射量、噴射開始時期等を常時検出する
 ③上記結果から、実際の噴射量、タイミングが、所望の値となるよう、噴射指令を修正する

とすることによって、

 ◯本噴射装置の噴射精度は大幅に向上し、±0.2 mm 3(32MPa、単段時)という従来にない高精度噴射装置が実現
 ◯マルチ噴射時も各段の噴射量を補正することが可能

という点が大きな改善点になります。
つまり、燃料噴射量 1mm3 (0.001cc)を指示してた場合でも 0.00096cc 〜 0.00104cc 程度しかばらつかないということです。(誤差4%)



上の図は、1mm3(0.001cc)の噴射量をターゲットにしても、第3世代インジェクターでは、水色の領域(Conventional)の噴射量のばらつきが生じることで騒音や煤の発生が増加するのに対して、第4世代インジェクターでは赤色の領域(i-ART)程度のばらつきに抑えられるというものです。

その結果、



 ◯ NOx、スモークの排出ばらつきを半減
 ◯ 燃費 2%〜5% 向上
 ◯ エンジンの騒音を 4dB 低減

とのこと。
HCCI を採用するといわれる次世代の SKYACTIV-G も楽しみですが、これらの最新技術を採用するであろう、次世代の SKYACTIV-D も楽しみですね。
Posted at 2017/03/24 20:36:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | | クルマ
2017年03月21日 イイね!

アクセラ 15XD PROACTIVE を選んだ訳

友人からこんなメッセージが。



そうなんです。

アクセラ15XD の L Package と PROACTIVE ですが、PROACTIVE に安全装備と電動シートや自動格納ドアミラーなどのオプションを付けると、確か10万円程度の価格差しかないんです。
私は付けませんでしたが、LEDフォグまで付けたら価格差は数万円。
L Package はそれだけお得なグレードなんです。

革シートは高級感漂うし、18インチの高輝度ホイールは人気です。電動シートも、MRCC もリアパーキングセンサーも、LEDフォグも自動格納電動ドアミラーも全部標準ですから、PROACTIVE にオプションを全部付けるぐらいなら、L Package を選ぶのが正しい選択です。

私は変わり者なので、18インチの薄いタイヤと(赤い車に)黒っぽいアルミホイールはあまり好きではありません。
ヨーロッパ仕様のシルバーのホイールならよかったのですが。



それでも L Package にしようかなーどうしようかなーと悩んでディーラーの担当者に相談したら「(あなたの性格からすると)革シートは絶対にやめた方がいい」とのこと。

ディーラーの担当者も変わり者。
普段はデミオに乗っているとのことですが、ロードスターとの二台持ち。
元々は RX-7 乗りで、前車はアテンザ。

アテンザが革シートだったらしく、閉口したとのこと。RX-7 もグレードが選べず?妥協して革シートにしたものの、やはり我慢できずにRECAROの布シートに換装したらしい。

私は以前の車でアルカンターラというスエードの様な人工革シートにも乗っていたこともあるので、担当者に革シートの何が嫌だったのかを聞いてみました。

すると、9月の残暑の日差しに照らされたアクセラ22XDと、隣のアクセラ15S PROACTIVE の試乗車に連れていかれて「シートを触ってみて下さい」と。

22XDの白い革シートを触ると、思わず手を引っ込めるほど熱い。夏に短ズボンで座ったら、火傷するんじゃないかと思えるほど。

15Sの布シートも当然暑くなってはいますが、触った感じとしてはそれほどではない。

担当者によると「温度は変わらないのかもしれませんが、触った時に感じる熱さは違います。それに座ってしばらくすると汗をかきますが、やはりどうしても布シートの方が通気性はいい。冬もシートヒーターはあるものの、それでも革シートは座った瞬間がとても冷たい」とのこと。

その上、デミオの中古車に連れていかれて、3年落ち?の白い革シートを見せてもらいました。
やはり清掃しても落ちない汚れやヨレが見受けられます。

担当者いわく「革シートは高級感を求める人、車庫があって野ざらしにしない人、手入れをきちんとする人には向いていますが、実利を優先する人には向いていません」と。

つまり私が「高級感が分からず、野ざらし駐車で、ズボラだからシートの手入れなんかしそうもない」と見抜かれている訳です。しかも私が理詰めに弱いところまで。

LEDフォグ付けようかなーと言ったら「関東平野ではあんなのは飾りです」と一刀両断。
いやいや、そこまでじゃないと思うけど、やっぱり欲しいと思ったら、いつでも付けられるからいいやと。

BOSEは、私自身がヘッドホンもイヤホンもスピーカーもBOSEというほどBOSE好きなので、試聴させてもらった上で、純正標準スピーカーより好みだという判断で付けました。

電動シートは友人からの勧めで付けましたが、今では本当に付けてよかったと思っています。
以前の記事にも書きましたが、複数人で共用する場合はとても便利ですし、何より標準シートよりも細かい調整ができます。
シート位置がビシッと決まると、何時間でも運転できそうなほど、腰への負担が減ります。

構成が決まっていよいよ契約という段階で担当者が一言。

「自分が買おうかと思ってた構成と全く一緒だ」

そりゃあなたの主張もだいぶ入ってますからね〜(笑

L Package が前期型の様にスエード革シートで、シルバーのホイールだったら選んだかもしれないんですけどね。
実はデザインも前期型の方が好きなんです。



愛車には申し訳ないけど、今でも前期型を見かけると、惚れ惚れして眺めてしまいます。
デミオ顔と呼ばれる後期型は、すこし厳つい感じになってるんですよね。

ディーラーの事情で PROACTIVE を売りたいというなら分かりますが、この担当者は昔からこんな感じで、言いたいこと言うし、値引きも最初から引けるところまで引いて、あとは交渉できませんという感じなので楽なんです。

ということで、私はこの変わり者の担当者と付き合ってなかったら、アクセラ15XDはもちろん、マツダ車自体にも乗ってなかったかもしれないという話でした。
Posted at 2017/03/21 13:01:49 | コメント(1) | トラックバック(0) | アクセラ | クルマ

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