
今日の日経デジタルに「東大に"裏口入学"する方法」というタイトルで記事が投稿されていました。
これは「聞き捨て」なりません。
そもそも東大に限らず「裏口」の存在を認めるわけには行きません。
子供を教育する現場で「正直者がバカを見る」ことがあってはならないためです。
社会人になると分かりますが、人の上に立てば立つほど「学閥」という壁が見えてきます。
三流大学出身の私は新入社員の「配属」という時点でふるいに掛かってしまいます。
最初は会社の「研究所」に行きたかったんですが「その他」扱いでしたからね。
しかし、実際は「その他」でワンオフ物(専用品といます)の開発をしていた方が資金を贅沢に使えるので研究所より遥かに出世しやすいことを知ります。
研究所は「博士」になりたい人が行くところです。
話を元に戻します。
大学受験で「裏口」と言われるとマイナスイメージしかないのですが、センター試験から学部試験に移行するルートを「正規」とするとそれ以外の方法の正規の入学方法を「裏口」と呼ぶそうです。
それを聞いて安心しました・・・
ところが、東大を例にすると正規の入学ルートよりも「科目が少ない」試験で入学するルートがあるとのこと。
やっぱり「裏口」でしたw
高等専門学校という5年生の高校からの編入学という制度を利用します。
2018年の東京大学工学部編入学募集要項によると、試験科目は学科によって「英語・数学」の2科目か「英語・数学・物理」の3科目とのこと。
センター試験の様に「全方位で優秀」である必要がありません。
高専卒業生からも「数学、物理は専門的に習得済み。あとは英語が出来れば合格できる」と陰口言われるほどのハードル。
一般の大学受験より大幅にハードルが低い模様です。
東大以外に長岡技術科学大学(長岡技科大)の例も紹介されていました。
長岡技科大は通常の高校から入学する生徒数が1学年約80人なのに対して、3年生として編入してくる高専出身の学生が約310人いるとのことで、もう裏口でもなんでもありませんw
こう聞くと「これは良い情報」と思う方も多いでしょう。
ところがですよ。
私は高専卒の実力を知っています。
確かに入学するときは「いわゆる進学校」よりは受験ハードルは低いんですが、結構、授業について来れなくて留年、退学する人が多いです。
(各高専の定員と在籍者数を見れば一目瞭然)
しかも、私の会社も大学院卒しか採らないようになっていますが高専卒は別。
実際、高専卒新入社員の即戦力は半端じゃないです。
彼らより優秀な学生が東大などへ進学するので狭き門ですよ。
高専ってあの「高専ロボコン」が有名ですよね。
普通にロボットの設計とか加工とか出来ますしね。
やってることが会社と変わりがありません。
むしろ規定概念に囚われずフットワークが軽いところなんか目から鱗です。
本当に「物作り」が好きな学生が集まる場所です。
好きじゃないとついていけないしね。
全く仕事上の「製品」とは違うんですがこんなエピソードがありました。
あるプロジェクトの開発室が広くて電話が遠くにしかなかったんですよ。
ベル鳴っても聞こえないし。
(出るのも面倒なので、イイやって感じで放置されてました)
高専卒のやつが電話機開けて回転ランプ追加してましたわ。
しかもね、制御回路を取り付けるケースを3Dプリンタで作ってw
電話機を3Dスキャンして形をCAD化。そこからピッタリに合う形状の箱を造形。
勝手に会社の設備を使っているのは何ですけど、その行動力に脱帽。
3Dスキャンも3DプリンタもCADソフトも使い方を知ってるし制御回路も設計して組める。
こんな新人見たことないって話題になりましたよ。
この1件で彼は比較的リスクの小さいサブユニットの設計を任せられました。
最低でも3年は「見習い」扱いなのに、異例の大抜擢ですよ。
ちなみにこれには後日談があって、私の部下ではなかったので後日に本人に以下の話をしました。
この開発室でのニーズは「広すぎて電話が使い辛いために改善したい」ことであった。
システムエンジニア的発想だと、本機を改造するのではなく「コードレス電話」の導入を検討する。
その方がリスクが小さく、導入コストが安い。
プロジェクトリーダ的発想だと、コードレス電話と電話機改造の比較表を作って関係者にプレゼン。
その必要性を説いて資金の捻出方法、設置までを計画する。
特に導入までの間の過渡期の扱い、調達で失敗した時のコンテンジェンシーも併せて計画する。
必要な人員がSIerだけなので部門費の節約も期待できる。
少しこじ付けだが、立場的な発想の違いと言うのがあって「安くていいもの」には幾つもの手段があることを学ぶといい。
と偉そうに説教たれましたわw
実際は「コードレス電話を使うと開発室という特性から秘匿性が失われるリスクがあり採用できない」と結論付けられるでしょうけどw
(その時はそこまで頭が回らなかったw)
いや、彼は分かっていて「忖度(そんたく)」したのかもしれません。
先輩の「威張りたい」という自尊心を傷つけないためにねw
だとしたら末恐ろしいですわ。
彼は順調に成長しています。
(あとがき)
子供を持つ親の方。
この話を聞いて「おおっ」と思われたかも。
ところが将来技術職なら高等専門学校という選択肢もアリなんですが注意点があります。
編入学しないで5年生で就職すると、会社によっては高校卒扱いになります。
うちの会社では短大卒と同じ扱い。
技術力で評価は貰えるものの、冒頭の「学閥」からは「その他」扱い。
出だしの賃金も大卒より安い。
実力主義と言ってもこの差は5年くらいは埋まりません。
生涯獲得賃金は、高卒と大卒とで大きな差があります。
すでに高専でも「大卒扱いにならない」意識が高く「編入学」前提で入学する学生が多いそうです。
中学卒業した年齢で余程の片鱗を見ない限り「技術」に方向を決めてしまうのは良くないです。
子供の進路は難しいですね。
ちなみにウチは子供居ませんけどww