(尾花沢市出身、琴ノ若関)
6:55 山形県米沢市:上杉城史苑 走行距離:2812km
起床。冷蔵庫の中で目が覚めたような、そんな寒さ。友人から借りたこのモンベル製の寝袋は、友人が真冬のスキー場で車中泊するくらいの物であり、この程度の寒さは平気なはずである。しかし元来の冷え性プラス低血圧の私にはどうやら南極探検のとき使われるようなやつが必要かも知れない。
車のエンジンをかけ、暖房を最大にしても冷えはなかなか抜けきらず、凍えていた。しばらくボーっとし、おもむろに着替えを済ませ朝食。
7:44 上杉家廟所 走行距離:2814km
上杉家の歴代の墓が並ぶ廟所へ向かった。しかし朝早すぎるせいか、まだ開いていなかった。
7:50 春日山林泉寺 走行距離:2818km
駐車場に停めてみたものの、こちらもまだやっていない。出直す。
8:00~8:40 コンビニ 走行距離:2818km
近所のサンクスとファミリーマートで時間つぶしのための立ち読みのはしご。
8:47~9:55 上杉神社 走行距離:2818km
再び上杉城史苑に戻り付近を散策。すぐそばに上杉鷹山を祀った松岬神社があった。名君を偲び柏手を打つ。
続いて上杉神社へ。正面参道、舞鶴橋に立てられた「龍」と「毘」の旗が上杉家の歴史の中の重みをを感じさせる。
境内には「伊達政宗生誕之地」の標柱、上杉鷹山のブロンズ像などがあった。ひととおり散策したあと、神社の本殿へ参拝し続いて稽照殿へ。
ここには上杉謙信、景勝、鷹山、直江兼継の遺品などが陳列されている。以前から見たかった直江の「愛」の兜も展示されていた。狭いながらも見ごたえのある宝物殿だった。
10:05~11:27 春日山林泉寺 走行距離:2820km
境内に簡易テントが張られており、その中で民芸品「笹野彫」の販売をしていた。一本の木を巧みに彫り、鷹、鶏などを拵えるのである。
覗いてみると、製作兼販売の御仁が話し好きで、世間話を延々するハメになった。ん~、立ち去るきっかけがつかめない。しょうがないので「お鷹ぽっぽ」(上杉鷹山の象徴で、禄高を増やす意)を買うことにした(600円)。御仁は「話長くなってゴメンねー」と、小さな亀の笹野彫をプレゼントしてくれた。
次に墓所へ。
歴代藩主の妻や側室の墓、上杉氏の重臣の墓、そしてひときわ目につく直江兼続夫妻の墓を見る。これらの墓には格子状に穴が開いていて、もしも敵に攻め込まれた際、川に投げ入れ、その上に乗って戦うということだ。また、銃眼としても使うといった、直江公の創意工夫だそうな。墓ひとつとっても考え抜かれており、戦いにも抜かりなし。
そして本堂へ。品のいい老婦人が堂内を案内してくれ、宝物・墨蹟などの解説を丁寧にしてくださった。ひととおり見たあと、囲炉裏端でお茶とお菓子を頂ながら世間話。至福のひとときを過ごした。
11:33~11:47 上杉家廟所 走行距離:2822km
上杉家の歴代藩主の御廟が建ち並んでいる。中央に上杉謙信、その左に景勝、謙信の右に三代目、景勝の左に四代目…と、謙信を中心に外側に行くに従って新しい藩主の御廟となっている。その配置は、王将が中央にある将棋の駒の並び方のようである。初代謙信と十代治憲(鷹山)の墓のみに手を合わせた。
こうして憧れだった米沢の主要な史跡を巡り満足満足。米沢牛は口にできなかったが、それはどうでもいいことである。
12:59~13:23 上山市:春雨庵 走行距離:2864km
上山市といえば、秋田の県央から一番近い遊園地「リナ・ワールド」と、かみのやま競馬場があることで知られているが、歴史好きにとっては、江戸時代の名僧沢庵(たくあん)和尚が配流された地として、見過ごせない場所である。
この庵は蔵王連峰を一望できる高台に建っていた。とても流刑の者が住んだとは思えない、風流な茶室と庭があった。沢庵は四年の歳月をこの地で過ごし、その後許され江戸に帰ったが、この庵を忘れられず、品川東海寺に移築したということである。それほどまでの、素人が見ても風雅さを感じさせる趣深い建物である。
ちなみに、第ニ次世界大戦の東京大空襲のとき、幸いにも焼失を免れ、昭和30年に再びこの地に原形のまま復元されたとのこと。
江戸の空気そのままの閑静な佇まい、実に良かった。敷地の目の前には古いアパートがあり、汲取便所のパイプが立ち並んでいたことは内緒にしておこう。
こうして、この旅の最後の目的地を見終えた。あとは国道13号線をひたすら北上し自宅を目指すだけ。
14:12 天童市:電撃倉庫 走行距離:2890km
通過。
15:26 新庄市:デンコードー 走行距離:2944km
通過。
16:38 秋田県雄勝町:道の駅_おがち 走行距離:2991km
市女笠のデザインのハイカラな建物。ここで小休止。腰が痛い。
ちなみにこの町は、平成の歌人小野花子、
もとい平安の歌人小野小町の出身地として知られる。
「花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに」…百人一首より。
17:28 横手市:ブックオフ 走行距離:3023km
欲しい本はなくてもつい立ち寄ってしまうこの店。店内をうろうろブラブラ。
18:45 神岡町:道の駅_かみおか 走行距離:3057km
通過。
19:31 秋田市仁井田:ブックオフ 走行距離:3094km
欲しい本はなくてもつい立ち寄ってしまうこの店。店内をうろうろブラブラぐるぐるキョロキョロ。
21:15 自宅 走行距離:3130km
事故・怪我・その他トラブルがなくて良かった。緊張から解き放たれ全身から力が抜けた。
車から荷物を下ろし居間に行くと、家人がカレーライスを用意してくれていた。出発の時と同じメニューである。まるで11日間の旅が、瞬きのうちに終わってしまったような、そんな不思議な気分になったのであった。
かかった旅の費用:10泊11日
宿代…0円
食費その他雑費…28,477円
拝観・入場・駐車料金…34,200円
ガソリン・有料道路…29,494円
合計…92,171円
使用車両:
マツダ・ファミリア
「完」