こんな格言があります。
山椒は小粒でもぴりりと辛い
一寸の虫にも五分の魂
小さいからと言って侮るなという意味で使いますが、往年の名車たちの中には所謂
ボーイズレーサーと呼ばれる、小さい車体にハイパワーエンジンを搭載したモデルが群雄割拠した時代がありました。
トヨタ・スターレットGTターボ
トヨタ・カローラレビン&トレノ
日産・マーチR&スーパーターボ
ホンダ・シビック
ホンダ・CR-X
三菱・ミラージュサイボーグZR
などが代表例です。逆に大きいものに対しては侮辱的な言葉の方が多いです。
ウドの大木、
木偶の坊など。図体が大きいとそれに見合った中身を詰めるのは難しいのです。
日本のあらゆるもの本来の強味は「小さいくせにめっぽう強い」ところにありました。
そもそも領土自体も小さいのに、古代より大国相手に戦争してきました。唯一本当の意味で負けたのはアメリカだけです。そのアメリカですら、多くの場合においてまともにやりあえば体の小さな日本人相手に苦戦し、数の暴力と飢餓作戦でようやく勝てたようなものだったようです。アメリカ劣勢でアメリカが勝てたのは
ミッドウェー海戦位でしょうか。
大日本帝国海軍艦は、
吹雪型駆逐艦が代表するように、大きさの割に重武装というのが特徴でした。
特に
妙高型重巡洋艦足柄は、「飢えた狼のようだ」とまで言われています。
日本の重巡洋艦設計の基礎となった、排水量若干3000tちょっとと大型駆逐艦に毛が生えた程度の大きさでありながら5500tクラス軽巡洋艦と互角の戦闘力を備えた、名設計士
平賀譲の傑作の1つがあります。
軽巡洋艦 夕張

(艦隊これくしょんより)
です。メロンではありません。むしろメロンのような甘さなど皆無です。
名前は夕張ですが、魔改造バリバリです。
1920年代の巡洋艦として特筆すべきは、主兵装を船体の中心に配置し、片舷で最大火力を引き出せたことにあります。これが小さいくせに重武装を達成できた鍵です。例えば5500t級軽巡洋艦としては最終型の
川内型軽巡洋艦でも、主砲が7門あるが片舷6門までしか使えず、魚雷発射管は全部で8門あるが片舷は半分の4門しか使えないため、戦闘においてカタログスペック通りの戦闘力は物理的に発揮できていません。これは日本艦に限ったことではありません。
また、2本の煙突を1つにまとめた誘導煙突も夕張が初めで、後の帝国海軍重巡と
秋月型駆逐艦は夕張に倣い、後続の巡洋艦設計のための兵装実験艦という立ち位置でした。
実戦でもその能力をいかんなく発揮し、支那事変では中国艦隊相手に圧倒し(格が違い過ぎ)、
軽巡肇和(チャオホー)を撃破しています。大東亜戦争でも各地で活躍し、第2次ソロモン海戦では重巡
鳥海率いる第六戦隊に加わって、重巡
クインシーたちの撃沈に貢献しています(オマエもか)。夕張と似たような性格の軽巡洋艦は、イタリアの
カピターニ・ロマーニ級軽巡洋艦や英国の
アリシューザ級軽巡洋艦などがありますね。「戦艦少女R]でカピターニ・ロマーニ級の1隻である
ポンペオ・マーニョは、大型駆逐艦呼ばわりされて怒る描写があります。
キットはタミヤから出ていますが、正直コスパ最悪だと思いました。これで定価税込み2376円は高いなと。
2枚ある大型艦兵装セット(Xパーツ)のランナーですが、1枚は完全に不要です。1枚だけにして税抜1500円くらいにできなかったのかと思いました。
部品点数が少なく、難易度は駆逐艦レベルだったので5時間かかったかな?ってところです。
兵装実験艦という用途上、正直史実通りに作る必要はなく、組む人の個性を出してもいいんじゃないかと思って、アレンジしました。
艦首側から

説明書では指示していませんでしたが、あるはずの錨を追加しました。
大きい連装砲は口径14cmで5500t級軽巡洋艦の主砲と同じ口径です。小さい単装砲は、艦これでは対空砲としては有用な「8cm高角砲」です。佐世保生まれなので、佐世保海軍工廠色としました。
艦尾側から

割と防空性能は高いので、付いてない方がおかしいと思って、説明書にも史実にもない13号電探を後部マストに設置してみました。
同様に、61cm連装魚雷発射管は、事情許さば更新されていてもおかしくないことから
陽炎型駆逐艦などに装備されていた61cm4連装魚雷発射管を2基用意したら難なく付きました。これで片舷8射線です。
大きさ比較①

手前から、
駆逐艦秋月、
練習巡洋艦鹿島、夕張、
軽巡洋艦那珂です。
帝国海軍の大型駆逐艦である秋月や鹿島よりやや長く、那珂よりは一回りも小さいです。
大きさ比較②

帝国海軍軽巡洋艦としては最大サイズの
大淀との比較です。小さい方が夕張で大きい方が大淀です。
最早大人と子供ですね。実は軽巡時代の
最上型はさらに大きかったのですが、重巡化されたために除外です。世界を見れば英国の
タウン級軽巡洋艦や
カレイジャス級軽巡洋艦(後に空母化)、アメリカのアラスカ級大型軽巡洋艦など、より大きなものも存在しました。
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2018/11/29 21:11:15