某艦隊アプリゲームで、1940年代既に艦齢20年を超え時代遅れとなっていた英国の
重巡洋艦ホーキンスを米国出身の作戦参謀が「ずいぶんとくたびれた艦」と言ったことに対し、英国出身の艦隊参謀が「齢を重ねてもなお魅力的な淑女に向かってくたびれたとは失礼な言い草だな」と反論するシーンがあります。「最新の兵器は最強の兵器」が古今東西の常識なので、合理主義の米国的な作戦参謀の発言は一理あります。しかし、クルマにそれはむしろ艦隊参謀の発言にこそ理があります。
私の愛車もとっくの昔に旧型化してはいますが、齢を重ねてもなお魅力的な淑女と言えましょう。むしろ現行型は若返りどころかお転婆が過ぎるくらいですね。
今回制作したクルマ模型も齢を重ねてもなお魅力的な淑女と言える1台です。
昭和が終わりを告げようとしていた1988年、時代はバブル経済の盛りで丁度昨今とは真逆の高級車が飛ぶように売れ、銀座から六本木までタクシーを使えば1万円札を出してお釣りをもらわないのが普通のイカれた時代でした。
E30型BMW3シリーズなんて、「六本木カローラ」などと揶揄されていました。
その空前絶後の高級車ブームに火をつけ、「シーマ現象」なる言葉の由来となった高級車こそがまさにその名を持つ
Y31型日産シーマ
でした。一時期その母体である
Y31型セドリックが仕事の相棒だったことがありました。
セドリック&
グロリアの上級車種として登場したため、当初はセドリック・シーマもしくはグロリア・シーマと言う名前でしたが、2代目にフルモデルチェンジした際にシーマと言う独立した車名になりました。
「
おぎやはぎの愛車遍歴」に登場し、女優の伊藤かずえさんが新車で購入して以来ずっと所有されているモデルでもあり、初期モデルですでに車齢30年になりますが、未だに色褪せず魅力を放ち続けている姿に、
古くなれば重税で冷遇し、クルマを使い捨てにする今の日本の在り方はクソだな!!
と、つい言葉を荒げてしまいます。世界的に見ても史上例を見ない悪制度です。それこそ欧米の先進諸国ではモノを大事にするのが常識であり、古いクルマに長く乗っていれば逆にリスペクトを受けます。古くても良いものは良い、新しいからって良いとは限らないのです。
旧車への重課税、断固反対!!むしろ減税しろ!!!これからの選挙、みんな投票に行ってこんなクソ税制定めた連中への票は絶対入れないようにしましょう!!!!
旧型ですって?バカね、クルマの実力はスペックじゃないのよ!!
燃費だけが取り柄の産廃に用はねぇ!!!エコエコ言うなら自動車に乗らず自転車に乗ってればどうよ?
エンジンは255馬力V6ツインカムターボのVG30DETで、車重は1600kg台と、当時としては十分高性能であり、お尻を沈めながら加速していく姿は迫力がありました。そして内装も当時の贅を尽くしたものとなっており、今でも十分走る応接間たりえるでしょう。
さて、今回結構念を入れました。製作期間こそ4日ほどですが、「使えるものは何でも使え」を地で行きました。
模型店では売っていないものもちらほらと。今回使用したのは、
ゼブラのマッキー極細は小学校時代からお世話になっています。ガンプラの墨入れなどで今でこそ墨入れペンなるものが売られてますが、マッキーの方がおなじみって方も少なくないのでは?
瞬間接着剤はタミヤセメントではくっつけづらい部品や部分でバチっとくっつけたい場合に。
ゴムボンドはタミヤセメントではくっつけづらい部品や部分で仮固定したい場合またはゴムボンドで事足りる場合や、接着後も多少可動状態にしたい場合などに。特に艦船模型の主砲や空中線の接着に使ってます。
そして表面仕上げに使ったのが青色容器のプロスタッフの「磨き塾」シリーズの「擦り傷コンパウンド」です。これでばっちりつやつやボディに。
そしていつもは露出調整してますが、まったく無調整状態で撮ってみました。
ばっちり鏡面仕上げができたかと。ちゃんと左手指が映ってますよね。ってことで、ここまでの手間暇を考えると今回結構急ぎ足で制作したのがお分かりかと。
前面側から
ベースは
インパル731Sですが、ノーマルにリップスポイラーとリアアンダースカートを履かせただけにしました。伊藤かずえさんのもそうですがやっぱり白のシーマってなんかいいですね。
この優しそうな顔がまたギスギスヒスを起こしたような面構えが多い今時のクルマにはないもので魅力的です。中途半端に塗り残しができてしまったエアインテークのフィンですが、塗り残しが八重歯っぽくなって可愛い面構えになってしまいました。
ホイールも当時物のインチアップしていないBBSというのがいいですね。正直普通に乗る分にはこのサイズで十分ですよ。
後ろ側から
流石に古さは否めませんが、この横長のテールも間延びしたリア回りもたくましさとゆとりを感じます。
右正横から
VIPカーブームの時は脳の涼しい連中にゴテゴテして汚らしい下品なドレスアップを施された個体が多く存在しましたが、これ以上何を求めるの?って疑問を抱くくらいまとまった美しい車体だと思います。フロントバンパーのコーナリングランプに時代を感じますね。
内装色は、タミヤのダークシーグレイとロイヤルライトグレイの英独軍艦コンボとしました。
Y33型シーマなら過去に制作したことがありますが、初代シーマは今回が初めてです。当時日産が本気で作った1台に変わりはなく、今でも十分一級を保っているクルマだと思います。そしていいものは長持ちするってはっきりわかるんですよね。
次回は何から作りましょうかね。いいものができた時の達成感はえも言えぬものがあります。
Posted at 2019/03/26 15:26:24 | |
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