この記事は俗世でご都合主義に生きる人には不快な内容です。
戦艦ビスマルクが好きな人にとっても不快な内容を含みます。
ご注意の上で高覧されたし。
今日はクリスマス・イヴ。正直なところクリスチャンでもない限り日本人にはまったく関係のない日です。
人の皮をかぶったしゃべる猿共が発情し、タクシーをはじめとするサービス業にとって端迷惑な日です。
なので、別に自分へのクリスマスプレゼントってものじゃないのですが、今日完成模型が1隻完成しました。予定では日曜日に仕上がるつもりだったのですが、疲れのせいで思うように進まず、今日ちょうど非番だったので仕上げました。
今回制作したのは、先月発売されたばかりの新製品です。
駿河屋さんで予約して発売日当日に届きました。ちなみに、昨日発売予定だったハセガワの
U12型ブルーバードと、
重巡ノーフォークも昨日届いてます。今回制作したのはノーフォークの妹艦である、大英帝国王立海軍の代表的な条約型重巡洋艦群カウンティ級の第3グループ、
ノーフォーク級重巡洋艦2番艦で末っ子である、
HMS ドーセットシャー

(アズールレーンより。実装されているのはアズールレーンのみ)
です。知らない子ですねって?
ビスマルク追撃戦や
セイロン沖海戦を知らないとまず知ることがない名前です。初の英国重巡の制作です。
カウンティ級重巡洋艦とはワシントン海軍軍縮条約の制限下で設計された、排水量1万tを超える8インチ砲を備えた大型の巡洋艦です。第1群の
ケント級、第2群の
ロンドン級、第3群のノーフォーク級に分かれ、大日本帝国海軍では
高雄型と
妙高型、
最上型が比較対象になります。
エディンバラ級軽巡洋艦と並んで私が好きな巡洋艦級の一つです。
主砲は8インチ砲連装4基8門、533mm4連装魚雷発射管2基8門と、スペック上の火力はドイツの
アドミラルヒッパー級と同等であり、大英帝国史上最強の攻撃力を誇る重巡洋艦級ですが、世界的に見れば標準クラスです。また、舷側装甲厚が25mmしかない脆弱な防御力もカウンティ級の欠点としてよく挙げられますが、欧州戦線では逆にドイツ重巡の徹甲弾が過貫通を起こして炸裂せず、貫通した分の浸水程度のダメージしか受けず撃沈されにくいと言う特徴を持っていました。重巡が強い国は日米なのです。特にケント級はスペイン海軍向けにも
カナリアス級として建造されています。

(戦艦少女Rより 西班牙海軍重巡洋艦カナリアス)
カウンティとはアメリカの州、日本の県に該当します。ドーセットシャーとはイングランド南西部のドーセット州のことです。なんかシャレじみてますが気にしたら負けです。Dorsetshireが綴りなので、個人的意見ですがドーセットシアーと当てるのが正解だと思います。ギリシアとギリシャの違いみたいなもんですが。
ドーセットシャーは1929年1月29日進水のみずがめ座。
第二次世界大戦勃発後、デンマーク海峡海戦で巡洋戦艦フッドを撃沈されて激高した王立海軍は50隻もの大艦隊を動員して仇敵戦艦ビスマルクを追撃。
戦艦ビスマルク死すべし、慈悲はない!!
世に言うビスマルク追撃戦です。ドーセットシャーは、準姉妹艦であるケント級重巡
サフォークや戦艦
ロドネイ、戦艦
キングジョージ5世と共にビスマルクと激しい砲撃戦を繰り広げ、空からは空母
アークロイヤルなどの艦載機攻撃隊の集中攻撃を加えて舵を破壊し、ビスマルクはたちまち沈黙しますが、それでも沈む気配はありませんでした。
これでは埒が明かないとばかりに、ドーセットシャーは魚雷3発を命中させ、これが致命打となってビスマルクは遂に息絶え、フッドの仇を討ち遂げました(ドイツ発表では負け惜しみとばかりに自沈)。一応ドーセットシャーには多少の慈悲はあったようで、ビスマルクの乗組員110人を救助しています。
その後、1941年12月8日、真珠湾攻撃により日米開戦。
ドーセットシャーは東洋艦隊の一角を担っており、準姉妹艦の
コーンウォールなどと行動を共にしていました。
1945年4月5日、セイロン沖海戦勃発。王立海軍は戦艦はウォースパイト、ロイヤル・サブリン、ラミリーズ、レゾリューション、リヴェンジ、空母ハーミーズ、インドミタブル、フォーミダブル、重巡はドーセットシャーとコーンウォール、軽巡はエンタープライズ、エメラルド、ダナイー、ドラゴン他2隻駆逐艦15隻などを配備して盤石の態勢で大日本帝国海軍を迎え撃ったはずでした。
しかし、あまりにも相手が悪すぎました。大日本帝国海軍は、空母は赤城、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴、戦艦は金剛、榛名、比叡、霧島、重巡は利根、筑摩、最上、三隈、鈴谷、熊野、鳥海、軽巡は由良、阿武隈、川内、駆逐艦19隻に潜水艦5隻と無慈悲の主力艦隊。
ドーセットシャーは、空母蒼龍艦爆隊である江草隊の集中攻撃により撃沈され、今度は逆にビスマルクの仇を討たれてしまったのです。
艦隊の戦闘力の差もさることながら、英国空母艦載機である艦爆スクア、艦攻ソードフィッシュ、艦戦シーハリケーンでは、九七艦攻、九九艦爆、零戦の敵ではなく、帝国海軍艦に一撃も与えることなくバッタバタと墜とされていきました。
しかし、空母赤城はこの海戦で犯した致命的なミスをミッドウェー海戦でもやらかしてしまい、この海戦での慢心によって身を滅ぼすことになりました。
制作期間は1週間、制作時間は意外と戦艦並にかかり、約20時間。
かなり精密な仕上がりとなりました。
やけに定価が高いと思ったら、改装前や後はさることながら、姉妹艦に改造できる部品も豊富にあり、半数近くが余りました。そんなの要らないから最低限の部品で定価を安くしてほしかったです。
艦首側から

恐らくビスマルク追撃戦時の仕様です。そのため対空火器が少ないです。
色は竣工時のロイヤルライトグレイ一色です。ノーフォーク級独特の艦橋を備え、何にも似ていない外観です。
純粋な戦闘民族の日本の重巡とは用途が違うので、攻撃力は控えめですが妙高型と違い乗り心地重視のゆったりとした設計となっています。
ちょっと古臭い艦首形状ですね。
艦尾側から

帝国海軍戦艦にも通じる、装甲巡洋艦にも似た古臭い先の尖った艦尾です。
味があると言えばありますね。また、このゆとりのある甲板周りを見れば、妙高型を「飢えた狼のようだ」と揶揄するのも無理もないですね。
右舷横から

ちょっと古臭い直線形状の3本煙突が特徴的です。世界最古の重巡の
古鷹型でさえ、誘導煙突で2本なのにです。しかし、全体で見れば風格のある艦影ですね。流石はHMSの冠詞が付くだけのことはあります。
日独の同世代重巡と並べてみました。

左から、熊野、アドミラルヒッパー、ドーセットシャー。
いづれも1万tを超える大型重巡です。
3隻とも美しいけど、熊野が頭一つ抜けた美しさです。
それぞれに特徴がありますね。スペックでも史実でも熊野が走攻守共に最強ですが、それぞれの用途や設計思想が違うので単純比較はできません。
最上型はあくまで準戦艦ですからね。そしてドーセットシャーは読んで字のごとくの巡洋艦なのです。
王立海軍は素晴らしく、その思想などからは学ぶべきものがたくさんあります。
英国政府は未だに愚かなところがあるのが非常に残念です。立憲君主制をこれからも堅持し、もう少し国王陛下の権力を強めればいいのにと思います。
絶対王政でなくなったためにある意味外交が下手で先見の明に乏しい国になりましたね。戦車の名前にもなった飲んだくれ首相とか、鉄のパンツを穿く女とか。敵にしてはいけない相手を敵に回し、碌でもないものを庇護する癖があるという点では。反面教師にすべき黒歴史が多い国でもあります。失敗から学んでいく姿勢は逆に好きですけどね。
紳士道や騎士道、そして人の失敗に寛容かつチャレンジ精神旺盛な国民性(そのせいで失敗作駄作連発の英国面に堕ちるのだが)は、特に保身的で刹那的、ご都合主義の利己主義でかつての大和魂を失い、生まれてきた価値すら見いだせない現代日本国民の多くは見習うべきです。私は見習いました。
日本とアメリカと英国は、永久に仲良くせねばなりません。
同時期にコーンウォールとケントも発売されましたが、こちらの制作予定はなし。ひょっとしたらケントは作るかもしれません。
すでに発売されている英国最後の重巡エクセターもようやく単品発売されたので制作予定です。
次回は今年最後の制作になるでしょうから、クルマ模型で締めくくりたいと思います。