今の時代、新車が売れないからと古いクルマに重税をかける愚策を行っているガラパゴス政府こそ日本ですが、自動車を日本に伝えた英国ではむしろ表彰され優遇されるそうです。アメリカでは古いクルマに乗っているのは当たり前のことで、日本はクルマを使い捨て、ないがしろにする文化、米英はクルマを大事にする文化という偏見を持たれても仕方ありません。
新車が売れない大きな理由としては、1980年代、1990年代のクルマが廃車を判断するほど致命的な故障が少ない高い耐久性を誇り、スタイルに至っては今時のクルマに比べて質朴としていて流麗であるため、わざわざ高い金を出してまで買う必要がないことにあるでしょう。
例えば今乗っているクルマが20年落ちによる経年劣化で故障して、その修理に20万かかるとしましょう。殆どの人が廃車にして新しいクルマにしますよね?20年も経っていればそんな修理代出すくらいなら同等の中古車が買えるし、買ったところで同じ故障してまた同じ修理代がかかるからそう判断するわけです。これがそもそも頭が悪い、不経済だと言います。同じ車種を新車で買ったらいくらしますか?またローン地獄にわざわざ身を堕とすんですよ。
そして私は気づきました。そもそもいつでも手元に50万くらいは置いておかないからそうなるのであって、無駄遣いせず、質素倹約に努めないとだめだと。そのお金がないために悔しい思いをしながら廃車にしたことあります。
その20万を出せば、またそのクルマにさらに20年乗り続けられるのですから。勿論他の箇所も故障することは承知の上ですが、新車を20年ごとに買い替えるより結果的に安く済むのです。
そして何より、今乗っているクルマって、好きだったり気に入ったりして買ったわけでしょ。それに、最早クルマの価格や新旧でマウント取るような時代じゃないでしょう。
クルマ好きかそうでないかを抜きにして、少なくとも新車で軽自動車買うくらいなら、私なら2012年式のマークX(57.8万円~)を買いますよ。N-BOXの新車が200万くらいするので、その価格差は約140万円。その維持費差が140万円になるのに何年維持しないといけないのか考えると、乗り心地良し、走り良し、スタイル良し、荷物もそこそこ積めるマークXの方が断然QOLも上がる!と考えます。しかもマークXだったらあと10年はちゃんと点検整備していればまず致命的な故障はしません。
ようやく本題です・・・・。
そして今でもたまに見かける、日本車は高品質、高耐久、頑丈のイメージリーダーとも言える存在で、後年にはタクシーのクラウンセダンのベースモデルとなったのが1987年に登場した、
X81系 マークⅡ3姉妹
です。雑誌では3兄弟と銘打たれることが多いですが、何度も述べますが兄弟車は英語のsister carが語源ですから、姉妹車の呼び方を堅持します。それはさておき、X81系は最初期型ですでに35年前です。そして設計ともなれば最早40年前で、それをベースとしたタクシーのクラウンセダンがつい最近まで新車として売られていたのですから、日本自動車史有数の名車と言っていいでしょう。
今回はこだわって末妹の
クレスタを選択しました。
姉2台に比べるとコンサバで大人しい性格とスタイルが逆に硬派な印象を与えるのがクレスタです。
特に昭和のヤン車と言えば
マークⅡや
チェイサーよりクレスタの方が人気があったりします。
そして何より、その下級グレードである
GX81型クレスタ スーパールーセント(最高出力135馬力 車両重量1350kgでスポーティとは程遠い凡庸なスペック)は、私のクルマ人生を大きく変え、FR車使いとして、「クルマの実力は、スペックじゃないのよ!」理論の礎となったクルマでした。
初めての愛車は、本当は
R32型スカイラインか
Z32型フェアレディZが欲しかったのですが、当時大阪府在住の大学生でお金もなく、ガソリンスタンドのバイトで月数万のはした金を細々と稼ぐ身分でしかなく、高嶺の花でした。同じガソリンスタンドで働いていた西本先輩(仮称)が乗っていたのが前述のクレスタでした。
そこで偶然車屋で見つけたのが
P10型プリメーラのMT車で、とりあえずとして買いましたが、購入して3カ月でクラッシュにより廃車。それを知った西本先輩からは慰められるどころか叱咤されました。
「生半可な気持ちでクルマを持つからそうなるんや!お前の欲しかったクルマはプリメーラなんかとちゃうやろ!そもそもお前、本当はFR使いやろうが。」
実は当時、ただの1度もFR車を運転したことがないので、この言葉は意味が解りませんでした。ただ、私がスカイラインやZを欲しがっていたのは知っていました。
あるバイトが終わった夜、西本先輩から呼び出され、愛車のクレスタのキーを渡されました。「???」な顔してると、
「ええから俺のクレスタ運転してみ。お前の人生絶対変わるで!!」
周りの友達は、R32型スカイライン、S14型シルビア、FD3S型RX-7、BG9型レガシィツーリングワゴンなどなど、軒並み比較的ハイスペック車なのに、私だけたった125馬力しかないしかも10代の少年が持つにはオヤジ臭いP10型プリメーラで、出身自動車学校を卒業した時には「免許は履歴書に書く資格として持ってろ、なるべくお前は運転するな。」と言われたほど壊滅的にドライブセンスがないクソザコナメクジだったのが当時の私でした。
そしてシートやステアリングも純正のままのオヤジ臭いそのクレスタに座った時が私のクルマ人生の大きな分岐点になりました。そのクレスタは足回りはノーマル、ブレーキパッドのみの交換でタイヤはそれなりのスポーツタイヤ(今のはるかのATRみたいなもの)、エンジン回りは点火系と電装系を弄って効率化を図った仕様でマフラーすら替えてないにも拘らず、1G-FEなのにやたらと吹け上がるものに仕上がっていました。
それが、峠のダウンヒルじゃ並のツアラーVやR32スカイライン タイプM相手ならまず負けないと豪語していました。
はい、西本先輩、完全に今の私ですねwwww
クレスタを運転して数分、西本先輩に声をかけられました。
「どや、このクレスタ?お前の求めてたクルマちゃうんか?」
全く反論の余地はありませんでした。
このクルマでウデがついてくれば、1個2個格上くらいのクルマを食うくらい訳ない、しかし特別なことは一切していない。そして6気筒エンジンのスムーズさ、FRならではの素直な操舵フィールと後ろから背中を押してくれるような加速フィール、心地よい振動がもたらす乗り心地、ドリフトがしたいわけじゃないけどFRにこだわる理由がこれ!
そういえばかつての実家のクルマの
C33型ローレル、そして当時の実家のクルマの
JZS141型クラウンに通じ、一度も運転したことはないのに全く同じものをこのクレスタが持っていたのです。
クレスタは、プロフの通り好きなクルマベスト10に入ります。
その5年後、私はめでたくクラウンオーナーの仲間入りに。
先輩が私に伝えた最後の言葉、
「狭い井戸の中で悩んでないで、広い世界を自由に走れや!お前の友達は磨き抜かれた安い宝石やけど、今のお前はダイヤの原石。人が見たらただの石っころにしか見えへんだけや」
キャッチフレーズは、
NO PRIDE
NO DRIVE
クルマの実力は、スペックじゃないのよ!
今回は、青島文化教材社の1/24モデルを1週間ほどで制作しました。
西本先輩のクレスタではなく、自分がクレスタオーナーだったらこうすると言った仕様にしています。
前側から

車体色は当時の定番、スーパーホワイトです。
それに付属のエアロパーツを巻きました。
正面から

ヘッドライトの周囲は純正の銀色ではなく、敢えて黒にして精悍な顔つきにしました。
1999年当時はカッコ悪いと思っていましたが、今はこのタレ目が逆に渋カッコイイと思います。本当の美男美女はタレ目が基本ですから。
後ろ側から

バブリーながらもシブい後ろ姿です。クレスタと言えばこの後ろ姿ってくらい、クレスタの個性です。2本煙突の出口はメタリックブルー塗装にして焼付風を再現しました。
右側から

ホイールは、RAYSの57エクストリームを選択。めちゃめちゃシブいでしょ?
西本先輩も似たようなデザインのホイールを履かせてました。
これとエアロとの組み合わせなら、口が裂けてもオヤジセダンとは言えまい?
作ってみて改めて思ったこと、81クレスタってガチで渋カッコイイ!!
今でもたまに見かけますね。オヤジセダンの言葉通り、オジサンばかりが運転してますがナンバーを見ると高確率で2桁ナンバー、つまり生涯の伴侶としての役割もしっかり担えるクルマなんですよ。