今年2台目の英国車です。
エリザベス女王陛下ご逝去に合わせて着手しました。
ブリカスなどと蔑称を受けるように、世界統一という野望のもとで覇道を歩み、帝国主義の象徴的存在として黒歴史の多い英国(正式名称はグレートブリテンおよび北アイルランド諸国連合)ですが、永らく鎖国により先進国から立ち遅れていた我が国を急速に近代化させ、先進国の仲間入りを手伝ってくれたという恩を忘れることは、武士道精神に反するでしょう。
更には、我が国に自動車産業をもたらし、モータリゼーションを普及させてくれたのも英国。もちろん戦後はアメリカも大きく関与してくれました。
日本車が右ハンドステアリングドライブであり、日本の道路において車両が左側通行のルールなのは、英国が原点です。ほかにも、オーストラリア、ニュージーランド、タイなども同じです。
スーパーカーと言えば、たいていの人は
フェラーリを挙げるでしょう。私もかつてはそうでした。しかし、これはある種のプロパガンダがもたらしたものと言え、我が国にも
レクサス・LFAや
ホンダ・NSXと言ったスーパーカーがいますし、
日産・GT-Rもスーパーカーの仲間に加えて全く差し支えありません。そして紳士の国英国にも存在します。
アストンマーティンには
One-77、ベントレーには
コンチネンタルGT、希少どころで言えば
リスター・ストームがありますが、今日の日本においては安い金持ち(金持ち、高収入であるだけで品位や知性を伴わない人々)が乗っている印象が強いジャガーにも、他のジャガー車とは一線を画すスーパーカーが存在します。
それが今回制作した、1990年代初頭にルマン参戦前提に開発された、
XJ220
です。数字は最高速度を意味し、時速220マイル(約354km)を目指して開発されました。実際には惜しくも届かないまでも、四捨五入して220マイルである、347km/hを記録し、1991年代当時の市販車としては世界最高速でした。
当時新車だったBNR32型スカイラインGT-Rが、2.6L直6DOHCツインターボのRB26DETTを搭載して一応の公称最高出力280馬力、最大トルク36.0kg-m、600馬力でハイチューンだと言われていましたが、XJ220は市販状態で3.5LV6DOHCツインターボを搭載することで、最高出力550馬力、最大トルク65.6kg-mという、その15年以上先に登場するレクサス・LFAに並ぶ高出力を誇りました。全長4860mm、全幅2000mmという大きな車体である上、ゴージャスな印象の強いジャガーだけに、コノリーレザーの内装に豪華装備はしっかりされているにもかかわらず、車両重量はたったの1350kgと、一回り小さいホンダNSXのノーマルグレードとほぼ同じという軽さで、常識破りのスペックだったのです。世間一般がどれほど無知でクルマに無関心、名ばかりで実を取らない盆暗なのかがわかる1台です。むしろこのクルマを知らずしてエンスージアストを名乗るなんざナンセンス、そういうクルマです。
キットはタミヤでは絶版で入手困難なので、イタリアのメーカーであるイタレリのものを入手しました。こちらはメーカー小売り希望価格がタミヤの倍以上する(5500円)高級模型です。
そしてこのキットを組んで思ったこと、日本メーカーってやっぱりすごい、世界一!です。
制作期間は約1カ月もかかりました。組みづらく、部品の合いが悪く、プラスチックの材質も今一つで、高いだけのものという印象です。タミヤの再販を強く希望したいです。ぶっちゃけ昭和のフジミやアリイ並でおススメしません。
それでもXJ220はこれしかないので頑張ってここまで仕上げました。
流石に足元を見たプレミア価格で売っている転売屋のタミヤのキットは手を出したくなかったので。
前側から

車体色は、メッキ調で塗装が難しいシャインシルバーを選択。
実車の全幅が2000mmあるのに全高が1150mmしかない超ワイド&ローでかなり迫力がありますね。
しかし、こんなに高いのに前輪は舵取りができないんですよ。半額以下のタミヤはちゃんとできるのに。やはり品質世界一の日本ですね。
正面から

綺麗な顔立ちです。
リトラクタブルヘッドライトですが、パカッと開くのではなく、固定ライトにカバーがされていて、そのカバーがリトラクタブルという変種です。
リスター・ストームのヘッドライトもこのタイプです。英国面ですな。
しかし三菱のFTOの前期型はこの顔を意識してデザインしたんでしょうかね?

めっちゃ似てませんか?
そして、よく思い出したら、
ジャガー・Eタイプに通じる顔です。
そりゃ綺麗な顔だわって話ですよ。
後ろ側から

美しくも上品な後ろ姿です。まさに紳士のための高級クーペって感じですね。
上から

エンジンもしっかり再現されてますが、やはりタミヤには負けます。
内装色はコノリーレザーなのでタンを指示していましたが、車体色に合わせてブラック1色にしました。ちなみにルーフは筆塗りです。
そしてちょっと面白い英国面が見られるのが、右がフェンダーミラーで、左がドアミラーなんですよ。なんで?それだったら右がドアミラーで、左がフェンダーミラーの方が良いと思うんですけどね。ん~謎ですがどこか英国らしさを感じます。ちなみにかつて日本車がフェンダーミラーで、今でもタクシーなどで乗用車でフェンダーミラーが使われているのも英国車由来です。
右正横から

美しいの一言ですね。英国車らしく上品で優雅でありながら嫌味や雑味が全くありません。まさに紅茶を飲んでそうって感じですね。
実車は何度か見たことがありますが、このルックスが最高ですね。
そして、車高は低いが正義!ですよ。地上高の低さを言っているのではありません。クルマは地べたを這うように走るからクルマなんです。
紅茶をすすりながら作るとおつなもんですが、普通にブラックコーヒーを飲みながら作りました。
今までこの英国淑女を知らなかった方、これを機会にぜひ覚えておきましょう。

Posted at 2022/10/16 10:07:29 | |
トラックバック(0) |
模型 | クルマ