
排気温度計センサーをエキゾーストマニホールドに取り付けてから、心なしかドライバーズシートの背中からの音が大きくなったような気がしていました。エンジン音の中にバリバリ言う成分が含まれているような印象です。
エキゾーストマニホールドに穴を開けてセンサーを取り付けている以上、取付に不備があれば排気漏れを起こすのは当然ということで、さっそくメンテナンスハッチを開けてエキゾーストマニホールドまでアクセス。エンジンを稼働させながらマニホールドに水を掛けてみると、刻印部分から泡が出るのを確認できました。

車検も近いということで、ソフト99の99工房マフラーパテ(耐熱温度:1000℃/硬化時間:24時間)を買ってきて、塗布する部分をワイヤブラシで錆を落とし、パーツクリーナーで表面を軽く清掃後、泡の出ていた刻印部分はもちろんのこと、その周辺のクラックらしき部分と取り付けたセンサー周りにもパテを塗布しました。
これで音質に変化はあったのですが、音量が変化した印象はなく、パテはあくまで応急処置、エキゾーストマニホールドを車載状態ではパテを塗布できる部分も限られている、そもそもクラックが入っているので他にも排気漏れが存在する可能性がある・・・とか疑い出したら切りがないので、意を決してエキゾーストマニホールドを交換することにしました。サードパーティ製のエキゾーストマニホールドも検討したのですが、熱の問題をクリアできる自信がなかったので純正品で行くことにしました。
部品の到着後、さっそくいつものウンザリ感とワクワク感の入り混じった気持ちのまま、シートを外してメンテナンスハッチを開けました。
部品名 | 依頼品番 | 着荷品番 | 単価 | 発注数量 |
マニホールド,エキゾースト | 14111-54A50 | - | \13,400- | 1 |
ガスケット,エキゾーストマニホールド | 14141-54A50 | - | \2,000- | 1 |
ボルト,エキゾーストマニホールド | 14118-54A50 | 14118-73G01 | \490- | 1 |
ボルト,8x20 | 09106-08022 | - | \540- | 1 |
スタッドボルト | 14118-81400 | 14119-81402 | \130- | 2 |
ナット | 09159-08056 | - | \80- | 2 |
ガスケット,エキゾーストマニホールド | 14181-54A50 | 14181-54A51 | \1,050- | 1 |
ボルト,エキゾーストマニホールド | 14119-54A50 | - | \790- | 2 |
ボルト,8x35 | 09103-08118 | - | \440- | 1 |
ガスケット,エキゾーストパイプ | 14182-67B00 | - | \410- | 1 |
スタッドボルト | 01411-10253 | 01411-1025A | \100- | 2 |
ナット | 14152-69DA0 | - | \430- | 2 |
スクリュ | 02142-06103 | 02142-0610B | \50- | 2 |
ガスケット,エキゾーストパイプ | 14182-85550 | 14182-85551 | \290- | 1 |
ボルト | 01517-06103 | 01550-0610B | \50- | 6 |
ガスケット,8.2x14x1 | 09168-08016 | - | \80- | 2 |
※発注したものの交換しなかった部品、今回のコンテンツとは無関係な部品も含まれています。
※品番はすべてスズキ自動車の品番です。

まずはインタークーラーに接続されているゴムパイプを2本とも外します。
余談ですが、このゴムパイプの取付時に、ゴムパイプにストレスが掛からないように取り付けた時とパイプを少しネジって取り付けた時でブーストの立ち上がりのフィーリングが変わるようです。ホースバンドの締付けだけでは漏れが発生する取付角度があるってことなんだと思います。ブーストが二段ロケットになっている人は漏れているのかもしれません。

次にターボチャージャーのアウトレットパイプのボルトとブローオフバルブへのゴムパイプを外します。私はブローオフバルブがテイクオフのプッシュンRになっていますが、純正のブローオフバルブでも同じです。

そして、エキゾーストマニホールドの上部遮熱板を外します。今回の件で取り付けた排気温度センサーもセンサー部分だけ取り外しておきます。センサーに傷が付かないようにセンサーのカプラも外して作業空間から離しておいた方がいいです。センサーのアタッチメントから異物が入らないようにガムテープなどで塞いでおきます。

エキゾーストマニホールドとターボチャージャを3本のボルトを緩めて切り離します。三角形のガスケットがあるのでこれも外しておきます。この辺りのお話は「
排気温度計の取付」を参照してください。
今回の作業で知ったのですが、各パーツを外した際の開口部に紙のガムテープを貼っています。作業が1日で終わるならあまり気にする必要がないのですが、土日で終わらずに作業が翌週に持ちこしになった時、貼り付けたままで放置しておくと剥がすのに苦労します。特にこのターボチャージャの口はエキマニが邪魔をするので、異物が入らないように考慮したものが異物となって入り込む可能性がありますので注意が必要です。
また、前段の内容と矛盾しますが、仮にガムテープを使う場合には、しっかりと貼り付けましょう。インタークーラーのインレット側にガムテープを貼ったのですが、サイズが小さいのとブローバイの油分でしっかりと着いてなくてインタークーラーパイプの中に落ちてしまい、それに気付かずに組み上げた後、エンジンを掛けたらアフターファイヤーが出ました。すぐに剥がし忘れたことに気付いたのでパイプの中を覗いてみると、しっかりとそこにガムテープが入っていました。こんなヘマをするのは私以外いないとは思いますが念の為。

ここまでくれば、あとはエキゾーストマニホールドのボルトを外すだけと思っていたのですが、ターボチャージャーを外さないとエキゾーストマニホールド取付ボルト(排気ポートの2番と3番の間にあるボルト)へアクセスできません。また、この状態でエキゾーストマニホールドの下部遮熱板を外そうとするとアクチュエータのステーが邪魔をし、遮熱板を取り付けているプラスねじをナメることになるのでここは後回しにしましょう。私はナメてしまったので、ポンチを打って少しづつ回して外し、ねじは追加で発注することになりました。こういうところでセンスの無さが露呈してしまいます。クルマいじりは絶対に急がば回れですね。

ターボチャージャを外すには、冷却水のゴム配管を2本、ターボインレットパイプのゴムパイプ、タービンブレードのシャフトへオイルを供給する為のユニオンボルト、そのオイルをオイルパンに戻す為のリターンゴムパイプ、そして触媒につながる部分の4本のボルトを外します。
今回はターボチャージャをずらせればいいのでオイルリターンの配管は外しませんでした。オイルリターンの配管はホースバンドで留っていますが、遮熱の為のパイプ状カバーで覆ってありますので、遮熱カバーをずらせばホースバンドにアクセスできます。
この冷却水の配管はタイミングベルトカバーと共締めされていますが、これも外しておきます。
触媒部分にはガスケットが入っています。入っていたものは1枚でしたが、買ったものは2枚となっており、2枚が分離しないように一部に溶接で貼り付けてあるものに変更になっていました。

この状態から知恵の輪のようにしてターボチャージャをずらしましたが、触媒がかなり邪魔をします。お勧めは触媒とマフラーを切り離し、触媒が下に落ちないように木材などで当て物を当てて触媒をズラす方が結局は早いと思います。ターボチャージャを外すのに苦労して、今度は戻すのに苦労することになりますので。
この辺りはあやしい車のなかだページの
なかだ号キャラ タービン交換が参考になります。

いよいよ、エキゾーストマニホールドを外しますが、下側遮熱板がプラスねじ2本で留っていますので外します。熱の影響が大きなところですので、サイズのあったドライバーを使い、ボルトに対して垂直に当てて回してください。
マニホールド本体は4箇所で留まっています。左右両側がスタッドボルトにナット、中2つがキャップボルトです。左右両側のスタッドボルト部分が、ひどい錆でどうやって外せばいいのか悩みましたが、ワイアブラシで擦ったら錆はきれいに落ちて、普通にナットを回せました。このナットは銅製です。

エキゾーストマニホールドを外しましたらエンジン側のガスケットのカスを清掃します。カムカバーから漏れたオイルなどもついでに清掃しておきましょう。

なお、今回買った純正のエキゾーストマニホールドは品番は変更されていませんでしたが、排気温度センサーを取り付けるに当たって穴を開けてみたところ、かなり肉厚が増えていました。砂型鋳造品の精度だとこんなものなんですかね。従来の1mm厚では不安だったので渡りに船でした。
新しいエキゾーストマニホールドとガスケットを付けて、逆の手順で組み上げて行けば完了です。
組み上げる時の注意点ですが、ユニオンボルト部分のオイル供給パイプのバンジョーには銅のガスケットを2枚両側から挟んで取り付けます。私は不自然に感じながらも下側のガスケットの存在に気付かずに一度組んで、クルマを動かしたところでガスケットを見つけたので、取付ようとしたところ、落としてしまって紛失しました。下側のガスケットを入れるのが意外と面倒ですので気を付けてください。たぶん、触媒の遮熱板の中に入ってしまったのだと思いますが、触媒の遮熱板のボルトがレンチに掛からないので捜索は諦めて、代替品を作って一時的に凌ぎました。銅ガスケットやユニオンボルト、ボルト取付面は取付前に必ず清掃しましょう。
冷却水のパイプを外すと少し冷却水が出てきます。組み上げ後にエア抜きが必要となりますので忘れないようにしましょう。私はスロットルボディにあるエア抜きボルトから行いました。
触媒とターボチャージャの接合面のガスケットを挟んでボルトを留めるのがそこそこ苦労しました。まずはガスケットの穴を手前のボルト穴だけに合わせてネジを通します。ガスケットを回転させて他の穴に合わせてから、ゆっくりとガスケットにボルトが引っかかってないことを確認しながらボルトを通します。無理にボルトを貫通させるとガスケットを傷つけることもありますので注意しましょう。

さて、ターボチャージャをズラしただけで作業したと書きましたが、1度目に組み上げた後にマフラーからの白煙が止まらないので、またバラすハメになりました。二度目はターボチャージャを交換するならリビルトなので、コア返却で絶対に外す必要あるということで外したついでに写真を撮りました。
ターボチャージャーはIHI製のRHB31FW/VZ25(A/R:9)となります。

およそ45,000km走行ですが、タービンホイールはだいぶ白っぽくなっています。指で触った限りではラジアル方向にもスラスト方向にもガタは感じられず、何か異物を噛みこんだ様子もありません。最初はタービンホイールのナットが六角形でないので、ここが欠けているのがダメなのかと思いましたが、ネットで画像検索するとみんなそうなっているので一安心。原因らしいことも分からないので、また組んで白煙が出たら潔く交換しようと思って組んでみたら、今度は白煙は出なくなっていましたので作業完了しました。
交換してみて、ドライバーズシート後方からのエンジン音の音量が下がったのは体感しましたが、そもそもマフラーもだいぶ音が大きくなってきているようです。今回の件でさらに後方からの音がうるさいのがわかるようになりました。
残務は外れなくなった触媒の遮熱板のナット交換と代替品となっているターボチャージャオイル配管のガスケット交換です。