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2008年01月12日 イイね!

ホイールベース・トレッド比(Part1)

ホイールベース・トレッド比(Part1) ホイールベース長を前後トレッド長の平均で割った値。1に近づく程機動性重視で2に近づく程安定性重視となる。1.5がちょうどいい具合かというとそうではなく、1.6~1.7の間を境に機動性寄り、安定性寄りに分かれるようだ。




LengthWidthHeightWheelBaseTred:FTred:RWeightW/T Ratio
MAZDAAZ-1PG6S3295139511502235120011957201.866
HONDABEATPP13295139511752280121012107601.884
SUZUKICAPPUCCINOEA-11R3295139511852060121012107001.702

 まずはAZ-1/CARAとSuzuki Cappuccino、Honda Beatとの比較。軽自動車枠(3.30×1.40×2.00(現在は3.40×1.48×2.00))いっぱいの車体のどこにタイヤを配置するかということになるが、もとのサイズが小さく、エンジンや人の大きさがほぼ固定されていることを考えると、どうしてもタイヤは四隅に行かざる得ないので、ロングホイールベースになるのが見て取れる。この値からでもわかるように、Suzuki Cappuccinoが3気筒とはいえエンジン縦置き、トランクもあり、ダブルウィッシュボーンのサスペンションなどをがよく考えられたパッケージなのかがわかる。Honda Beatは安定指向であると評価されているから順当だが、まっすぐ走らないと言われるAZ-1/CARAはかなり安定性寄りなのが興味深い。すなわちAZ-1/CARAが悪いのではないことが解る。

LengthWidthHeightWheelBaseTred:FTred:RWeightW/T Ratio
MAZDARX-7SA22C43201670126524201420140010351.716
MAZDARX-7FC3S43351690127024301450144012301.682
MAZDARX-7FD3S42801760123024251460146012501.661

 次に同じメーカーのスポーツカーであるMAZDA RX-7との比較。パッケージングの考え方・処理の仕方が同じなのではないかと想像してみるが、コーナリングマシンのイメージとは裏腹に平均的な値に収まっている。モデルチェンジ毎にホイールベースは変化はないが、トレッドが広くなって機動性寄りに振っているのがわかる。極端な値に振らないところがメーカーの良心か。それともサスペンションジオメトリとセッティングで十分カバーできるだけなのか、重量増加の結果なのか。

LengthWidthHeightWheelBaseTred:FTred:RWeightW/T Ratio
TOYOTAMR-2AW1139501665125023201440144510901.608
TOYOTAMR-2SW2041701695123524001470145011601.644
TOYOTAMR-SZZW3038951695123524501475146010101.670

 そして、FF用パワートレーンから生まれたミッドシップということで、TOYOTA MR2/MR-S。AW11が際立つが、ジムカーナで活躍したことから納得の値である。車格をセリカベースとしたSW20はデビュー当時は危険なクルマと評されたが、W/T Ratioだけではそれほど極端には見えない。マイナーチェンジで足回りは大幅な見直しが行われて、そのピーキーな性格は姿を消したとのことなのでW/T Ratioが1.65前後ではセッティング次第で性格は変えられるのか、それとも本質は変わらず、一般的な扱いの中ではおとなしく感じるトリックなのかもしれない。

LengthWidthHeightWheelBaseTred:FTred:RWeightW/T Ratio
LOTUSEUROPE SP 4000163810792337135813467301.729
LOTUSELISE 3800172011302300145515058801.554
LOTUSESPRIT 43691883115024201520152013801.592
PONTIACFIERO 40721750119123721516152711761.559
FERARRIF430F43045151925121526001670161515101.583
FORDGT 46431953112527101600161715681.685
PORSCHECAYMAN 43401800130524151490153513901.597
LANCIASTRATOS 3710175011152180143014609801.509

 それでは海外に目を向けてみると、Lotus Elise、Lancia Strato'sはご存知の通りのかなり尖った値。勝手なイメージとは大きく異なったのがPotiac Fielo。GTカーらしいのはやはりPorsche、Ferrari、Fordか。ミッドシップから気になるクルマを気分に任せて選択したのだが、全体的に値が小さいのは偶然か。

HONDANSXNA244301810117025301510154013401.659
NISSANGT-RR3546551895137027801590160017401.743

 ここで日本を代表するスポーツカーにもう一度目を向けると、やはり前述のクルマより値が大きい。これは日本の「小型乗用車」「普通乗用車」のサイズに原因があるのだろうか。日本の乗用車は全長:4,700mm×全幅:1,700mm×全高:2,000mm×総排気量:2,000ccの枠に収まっていれば、「小型乗用車」。これらの条件を一つでも逸脱すれば「普通乗用車」である。2シーター、4シーター、2ドア、4ドア、クーペ、セダン、FF、FR、MRも区別無くこの枠に納める必要があるとスポーツカーとしては十分な全長を確保できるはず、もしくは不要な長さは切り詰めることが可能なので影響がないと考えられる。しかし、すべてのカテゴリをこの全幅に収めることになると幅を基準に長さが決まることにはならないだろうか。すなわち幅が最初に決まってしまい、理想的な全長を決める。必要なものをパッケージして行くと規格上、余裕があるのは前後方向なので結果伸びてしまう。
 現在は5ナンバーと3ナンバーと税金の隔たりが小さくなったので自由度が増したはずであるが、一つのレジスタンスラインであることには変わりがない。蓄積してきたKnowHowが1700mmという幅に縛られて進化・推進してきたわけだ。1700mmという値に縛りが入ったのは道路幅からであると思うが、道路が先か、クルマが先かと言えば、クルマなのでこの値で十分だったのだろう。

 話が脱線したが、AZ-1/CARAは「普通車」に当てはめるとどのクルマなのかというのがこれ。

NISSANSKYLINEV3647551770145028501520153015601.869
TOYOTAMark-XGRX12047301775143528501525152515101.869
TOYOTACROWN ROYALGRS18248401780147028501525152516101.869

 4ドアセダンです。

 こんなカッコをしているのに4ドアセダン並のホイールベース・トレッド比なのかということを非難しているつもりはまったくない。メリットとデメリットは常に表裏一体である。この与えられた資質をメリットとしてこのAZ-1/CARAというクルマを見て行くべきだろう。Formula 1にいたっては2.1xxだ。なお、フロントトレッドの方が広いのはロングホイールベースの特性(安定性重視)を弱める為の措置である。

 このクルマが何処まで行っても「未体験ハンドリング・マシン」であることに変わりがないのは、オーナーなら誰でも知っている事実である。

ホイールベース・トレッド比(Part2)へつづく

【追記】

LengthWidthHeightWheelBaseTred:FTred:RWeightW/T Ratio
TOYOTAiQDBA-KGJ102985168015002000147514608901.363

Posted at 2008/01/12 23:36:03 | コメント(0) | トラックバック(0) | キーワード | クルマ
2008年01月12日 イイね!

スケルトンモノコックフレーム

スケルトンモノコックフレーム AZ-1/CARAの「価値」はどこにあるのか。ガルウィングドア、オールアウタープラスチックボディ、ミッドシップレイアウト、DOHCインタークーラーターボエンジン、ステアリングのLockToLock2.2回転のクイックなハンドリング、軽自動車という世界的に見て特殊なカテゴリに存在することなど幾つかのキーワードが浮かび上がる。

 AZ-1/CARAに取ってどれも失うことのできない価値であるが、その中でも最も価値があるのは間違いなく「スケルトン・モノコックフレーム」である。

 一般的にクルマの世界で言われているモノコックボディは、主となる力を受け止める為のフレーム構造を持たず、ピラーやルーフ、フェンダーなども応力を受け持つことで剛性の確保と軽量化、生産性をバランスさせている。本来の狙いどころはすべて閉じた形とするのが理想であるが、窓やドアを必要とするクルマではそういうわけにもいかないことから、正しくはセミモノコックと呼ばれる。

 スケルトンは骸骨のことで、ジャングルジムのような構造で応力の発生を鋼管で受け止める構造である。乗用車の世界ではスペース鋼管フレーム、マルチチューブラーなどと表現されることが多い。モノコックより剛性の確保が容易で、製作もモノコックと比較すれば容易である。ただし、作業工数が増えるので大量生産には向かない。

 AZ-1/CARAはこのセミモノコックとスケルトンの合わせ技のボディを持つ。スーパーレジェッラとも表現できそうだが、こちらはスケルトン(パイプの骨)に対して応力を受け持つ面を加えたものであり、スケルトン・モノコックはモノコックに骨を加えたと構造となる。大量生産向きのセミモノコックに一手間かけてビーム材を補強しているわけである。

 15%の高張力鋼板で大断面のサイドシルとセンタートンネルに5本のビーム材を加えることでフロアの剛性を確保し、Aピラーやルーフ前後のフレームを一般的なセミモノコックが見栄えの考慮から施工できないスポット溶接を行っている。またBピラーとCピラーを寄せてリアヘッダーに結合することでロールオーバーバー構造としピラー部の強度・剛性を得ている。プランニング時点で大量に販売するものではないということから可能となった構造だろう。なお、重量は120kg(ホワイトボディで151kg)である。

 スケルトン・モノコックを採用したことによって得たものは大きく、ガルウィングドアを現実のものとしたことや、ピラー部のスポット溶接によって剛性を確保できた為、フロントウィンドウ端部のきついカーブが可能となり、まやかしでないガラスtoガラスのガラスキャノピー。応力を外板に持たせる必要がなくなった為の着せ替え可能なオールアウタープラスティックボディ。ボディがプラスチックだから可能となったフロントフードやボディサイドのエアスクープの造型も見逃せない。マツダスピードバージョンやM2 1015などの容易なバリエーション展開もこの構造のおかげであろう。もちろん、高剛性ボディによるクルマの挙動をドライバーへ正確にフィードバックできることは言うまでもないことである。そして何よりも大切な安全性の確保も、強固なキャビンがある故のフロントのクラッシャブルゾーンであろう。

 なお、AZ-1/CARAの「スケルトンモノコックフレーム」という表現はカタログに記載もあることからオフィシャルな名称だと思うが、実際にはフレーム構造と区別する為にも「スケルトン・モノコックボディ」もしくは「スケルトン・モノコックシャーシ」の方が適切だと思われる。

 
Posted at 2008/01/12 23:20:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | キーワード | 日記
2008年01月12日 イイね!

ガルウィングドア

ガルウィングドア 1954年のメルセデス・ベンツ・300SLが初めて採用。
ガルウィング式ドアの本来の導入意図は、クローズドボディの車体でボディ剛性を確保するためにサイドシル部を非常に太く設計すると、通常の横開きドアでは、乗降性が非常に悪化する。そのため、ルーフ部まで開口する、ガルウィング式ドアが採用された次第である。

 ルーフ部まで開口する事で、低車高の車に乗りやすくするというメリットもあり、通常の横開きドアだが、高いサイドシル、低車高でルーフまで開くというとFord GTが有名である。デメリットとしてはルーフを下にして車体が裏返ると、物理的にドアが開かなくなるという点がある。

 AZ-1の採用に当たってはデザイナーの作ったプロトタイプが乗り込めない為にガルウィングドアに決定したという。しかし一般的には最初から商品マーケティングとしてガルを採用したのではないかと勘ぐられている。どちらでもよいが、AZ-1/CARAの大きな特徴を位置づけているのは間違いない。派手ではあるが、ドアを開ける為に必要とするスペースは控えめで、その空間はわずか320mmである。

 取り付けはルーフ部に支点を設ける純然たるガルウィングドアであるが、見た目の構造の簡単さとは裏腹に、工場での組み立てでは非常に苦労したという。二人がかりの作業でも位置決めが難しく、専用の治具の開発して対応したが約1年がかりだったとのこと。

 AZ-1/CARAのガルウィングドアはガスダンパーによって支えられているが、このダンパーはカヤバ製のAZ-1専用品で-20℃~40℃の範囲で安定して動作するように設計されている。しかし、温度調整バルブは持たないので、気温による開閉感覚が大きく異なる。また、ガスダンパーは消耗品の為、劣化してくるとドアを支えることがでなくなり、乗降には苦労することになるが、経験的にドアの開閉頻度の多い運転席側の方が劣化が早い印象がある。屋根付きガレージを持つオーナーの中には、ガレージ内ではドアを開けて保管している人もいるほどだ。

 このダンパーは現在では1本11900円(マツダ部品番号 P10058720A ステーフロント ドアダンパー スズキ部品番号 81850-69DA0 ドアダンパ)程で純正部品が手に入る。2本、もしくは4本必要となると金額的な問題も大きいが、冬に苦労したことも春と共にドアが開閉しやすくなる為、なかなか交換に踏み切らないオーナーが多い。冬はヒーターを付けることで車室の温度が上がり、走行後はダンパーが暖められたことによって復活することも交換を後回しにする理由だと思われる。ドアは片方23kg(ダンパー含まず)の重量があるので、ダンパーが支えきれなくなってドアが落下すると非常に危険である。オーナーの中にはドアを軽くすることで対応しようと、大きなサイドシルを持つゆえ他車より必要性は低いとの判断からサイドインパクトビームを取り外す人もいる。なんにしても「ドアに食われた」オーナーは相当数に上るはずである。

 このダンパーはアフターマーケット品や代替品は存在せず、過去に4ローターRX-7で有名なスクートスポーツにて、ガスダンパーにバルブをつけてガスの補充が可能となる加工を行っていたが現在は受け付けていない。

 ボディ側ダンパー取り付け部のボールジョイント部分は、ボディ側に点付け溶接で止まっているナットによってネジ込まれている。前部のこのナットはドアを開けた状態でショックを与えると溶接が取れる可能性があり、取れてしまうとダンパー交換時に共周りしてしまい、最悪はフレームの中へナットが落ちてしまうことになる。できるだけドアを開けた状態でクルマを動かすことは避けたい。特にバックで駐車する時にドアを開けて行うオーナーは衝撃を与えないように気を配るに越したことはない。

 なお、AZ-1/CARAのオーナーはオフラインミーティングなどで駐車場にクルマを止めた際、ドアを開けっ放しにするオーナーが多いが、あれは自慢しているわけでも、目立とうとしているわけでもなく、開閉が面倒だからである。
Posted at 2008/01/12 23:19:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | キーワード | 日記
2008年01月12日 イイね!

ミッドシップ

ミッドシップ 国産初のミッドシップという視点では、1966年、BrabhamのBT8(レーシングスポーツカー)のフレームをお手本としたプリンス自動車・R380プロトタイプレーシングカーが最初となるが、国産市販車初では1984年6月発売のToyota MR2(AW10系)がそれにあたる。

 それ以前では「ミッドエンジン・リアドライブ」のレイアウトはレーシングカー、もしくは高級スポーツカー用としての意識が強く、一般市販車への応用は居住スペース・収納スペースなどの問題から採用されることは現実的ではなかった。

 しかし、量産車で前輪駆動のパワーユニットが量産されると、FF車の前半分を後ろにもってくることでミッドシップのスポーツカーを造るという手法がFiat X1/9によって生まれた。これらの流れを組むモデルは基本的にエンジンは横置きとなり、AZ-1/CARAもSuzuki Alto Worksからの流用ということでその流れを組む。

■AZ-1が生まれるまでの国産ミッドシップ車
1984/06TOYOTA MR2(AW10)
1989/10TOYOTA MR2(SW10)
1990/01HONDA STREET(HH1)
1990/09HONDA NSX(NA1)
1991/09SUZUKI EVERY(DE51V)
1991/05HONDA BEAT(PP1)
1992/01TOYOTA ESTIMA(CXR10G)
1992/10AUTOZAM AZ-1(PG6SA)
※SUZUKI EVERYのOEMであるAUTOZAM SCRAM(1991/10)を除く
※FFベースではAZ-1は5番目

 エンジンの横置きミッドシップというと、Lamborgini Miuraが有名である。設計者であるジャン・パオロ・ダラーラは横置きミッドシップはMiura以外では採用していないことを考えると問題点も多いのかと想像してしまうが、ホイールベースを短くできるのは大きなメリットだと考える。Miuraとは無関係だがAZ-1/CARAでは整備性の悪さとエンジンの前後の揺れがとても気になることがある。個人的には人間の都合は後回し感いっぱいなのは惹かれる要素だが、何か手を入れようとその深部にアクセスする時には間違いなく呪詛の言葉をつぶやく。

 AZ-1のカタログに透視図があるが、ミッドシップの定義である前輪車軸と後輪車軸の間にエンジンがあるとはいえ、ほとんど後輪車軸の上であることが見えることから、中央に重たいものを寄せるという発想は採用したものの、その本質からは少し遠いような印象を受ける。

例えば、もう1台のエンジン横置きミッドシップで、なんとなくAZ-1/CARAと似たようなパッケージのクルマにLancia Strato'sがある(ジャン・パオロ・ダラーラはStrato'sにも関わっているが、パッケージ決定後の参加で、シャーシ、サスペンション、ブレーキを担当した)が、これで比較するとわかりやすい。
※「似たような」と表現したが、比べてみるとあまり似ていないこともわかる。

Lancia Strato's


Autozam AZ-1/Suzuki CARA


 明らかにAZ-1/CARAは車軸寄りである。ただし、Strato'sのエンジンは65度V型6気筒エンジンなので必然的にこの搭載位置になったとも取れる。実際、前後車軸の重量配分はAZ-1/CARAが44:56、Strato'sは37:63なのでAZ-1/CARAが極端にリア寄りなわけではない。なお、Strato'sは当初2400mmのホイールベースから検討が開始されたが、2350mm→2250mm→2180mmと切り詰められていった経緯を持つ。そこまでして中央にエンジンを載せたかったのだろう。

 限られた空間に隙間無く詰め込んだStrato'sもすごいが、エンジンを横置きミッドに配置し、ホイールベース短縮に振るか、居住空間に振るかでAZ-1/CARAも大きな決断があったに違いない。結局、居住空間とメカを半々に振り分けたのは落し所としては絶妙ではないだろうか。その後にスペアタイアの空間としてさらにキャビンを明け渡たすことになるのだが。MiuraはV型12気筒エンジンのミッドシップだが横置きにすることで居住性の良さをアピールしていたことを考えると、小さなクルマには人間の大きさが変わらない限り、ハードウェアに明け渡さざる得ないということか。
 
■前後重量配分と前後車軸⇒Z軸距離と重心高
NameWheelBaseWeightDistributionF:Z LengthR:Z LengthCenterOfMass Height
AZ-12235mm44% : 56%1251.6mm983.4mm426mm
BEAT2280mm43% : 57%1299.6mm980.4mm440mm
CAPPUCCINO2060mm51% : 49%1009.4mm1050.6mm450mm


 ミッドシップには、必ず添え物のように「Z軸周りのヨー慣性モーメント」という言葉がが漏れなく付いてくる。その物体を回転させようとした時に、回転しやすい、回転し難いを表しているが、物体の回転軸中心を重心とした場合、その中心に近ければ近いほど慣性モーメントは小さくなる為、クルマの構成物の中でもっとも重いエンジンが中央にあるミッドシップ形式車には必ず併設される言葉となる。

 AZ-1/CARAでは前述の横面図でいうと人間の腰の辺りにある白と黒の丸いマークがZ軸上の重心点である。人間を中心にコーナリングすることを意図しての設計となる。Honda Beatも同じような位置で、Suzuki Cappuccinoは横から見るとちょうと人間のヒザの辺りに来る。3車の中ではAZ-1/CARAの重心高の低さが目立つ。これはあくまでも静止状態での重心位置で、加速すれば後方へ移動するし、減速すれば前方へ移動する。

 AZ-1/CARAはノーマルのサスペンションだと前輪が浮いているような感覚がある為、スペアタイアを当初の設計通りにフロントフード内へ移設するオーナーが多い。この方法でずいぶんと不安感は消えるが、慣性モーメントから見ると不利になる。余談だが、スペアタイアを前に置くとタイヤが運転席に飛び込んでくると表現している人がいるが、正確には押されたタイヤがハンドルポストを押すのが正解。タイヤがバルクヘッドを突き破ってくるような衝撃は、スペアタイヤがどこにあろうとあの世行きだ。

 またAZ550がリトラクタブルヘッドライトを採用していたが、市販化にあたって固定ライトとなったことを嘆く声も多いが、これよって衝突時にヘッドライトが破壊される可能性の低減、エンジンが660ccとなったことによるラジエーターの大容量化、フロントセクション剛性の確保など多くの恩恵を得ている。もちろん、Z軸から遠いところにあるヘッドランプの軽量化は慣性モーメントも小さくなり、車体中央部を大きく軽量化したことと同等となる。この「車体中央部を軽量化した」ことによる恩恵はあくまでコーナーリングなどのヨー・ピッチ、ロールの回転に対してであって、クルマの加速、減速ではない点に注意。(ホイールナットの軽量化もこれと同じ理由)

 このように「カート感覚」を絶対の目標としてきたにも関わらず、なぜかバッテリーだけはリアオーバーハングのしかも高い位置への設置となったのは、設計者の苦労をが伺える。車体中央を考えた場合、運転席の後ろに空間があるが、ガソリンタンクの横であることや整備性の悪さ、設置環境の悪さ、左右重量バランスの悪さから候補から外れたと想像する。車体左エアインレット内にも空間があるが、エンジンルーム内の換気の阻害と整備性、ガソリンタンクに近いことなどからやはりここもダメだったのかもしれない。そもそも左スクープ内に設置した場合、バッテリーへのアクセスは、左インレットをリッド状にして開閉可能となる必要があるだろう。フロントフード内のタイヤが無くなった時点で前へ持ってこれたら開発者は大きな満足があったと思われるが、その空間が空いたのは開発も大詰めで、ただでさえ遅れていたAZ-1/CARAに、その変更を受け入れる余裕は限りなくゼロに近かったのだろう。

 軽自動車という特殊なセグメントに、スポーツカーを名乗ることを許されなかったミッドシップ車。その向こう側には、メーカーだけでなくユーザー側にも大きな期待があったはずだ。しかしパーソナルカーというジャンルもシティコミューターだけが生き残った。必要とされないものは生き残れない。しかしモデルチェンジという進化を見てみたかったと思うのは私だけだろうか。
Posted at 2008/01/12 23:18:18 | コメント(0) | トラックバック(0) | キーワード | 日記

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「@HighMACS 今回、何が悔やまれるかと言えばこのストッパーを使ってればガラスは割れなかったはずな点。何のために作ったんだ(笑)」
何シテル?   09/30 23:21
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