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2018年02月24日

File.248 ランドクルーザープラド

File.248 ランドクルーザープラド  どうしてこう、クロカンSUVというものは、ややこしいわかりづらいネーミングになっているんだか。未だに、ランドローバー、レンジローバーどっちが社名なんだかわからなくなることが多々あるし、レンジローバーも、どれが"ただの"レンジローバーなのか、ラインアップリストを見ると迷ってしまう。今でこそシンプルになったが、パジェロも、そしてこのランドクルーザーも然り。70系、200系、ヘビー系、ライト系、ステーションワゴン。日本で最も長い歴史を持つ名前なだけに、歴代車はおろか、現行車ですら、どれがどれだか、わからなくなることの方がむしろ、多い。

1.ランドクルーザー

 そもそものランドクルーザーというクルマの歴史を紐解くと、第2次大戦中に製造され、軍用輸送車として誕生した四式小型貨物車というクルマにたどり着く。鹵獲された軍用車にしてクロカンの代名詞、ジープを模して製造した過程で得られた知見は、その後戦後になって、"ジープBJ型"へ活かされた。
 そして、そのジープBJ型。商標上の問題から改名の必要を迫られて、名付けられたのが"ランドクルーザー"。同時期に頭角を現していた"ランドローバー(丘の海賊船)"を駆逐するという意気込みをもって、"ランドクルーザー(丘の巡洋艦)"となったという。
 もっとも、軍用車やパトカーとしても使用されるのは両車共通だが、反政府武装組織やゲリラ組織に利用されてしまっているのはどちらかといえば、ランドクルーザーの印象が強い、というのは、名前に込められた意味から考えれば皮肉なものだが。
2.ランドクルーザー"プラド"

 ランドクルーザーに"プラド"のサブネームを持つモデルが誕生したのは、70系の時代。ランドクルーザーの独擅場だったこのセグメントに現れた、パジェロに対抗するべく70系をベースに軽量化・簡素化が図られ、そして1990年のマイナーチェンジで、プラドというサブネームが与えられることとなった。
 現行ランドクルーザープラドは、そこから数えて4代目。2代目以降は欧州向けSUVという位置づけも大きくなり、デザインも、上位モデルのランドクルーザーとは異なる意匠となっている。既に登場から10年が経過しようとしているが、3度のフェイスリフトを行っている事から既に複数回のフルモデルチェンジを受けたかのような印象すら、受けてしまう。
 顔が変わった最新型を目の前にしてみれば、フロントヘッドライトとグリルの大きさが流麗なのが印象的だった前期型と中期型よりも、歴代のランドクルーザーに近づいた正統派的な印象を受ける。ところどころにある整流フィンは、トヨタ車の特徴ともいえる。
3.クルーザーの実力

 さて、最新ランドクルーザープラド。正直に言ってしまえば、ある一つの性能を除いて、このジャンルのクルマは好みじゃない。目線の位置は高いし、ダイレクトなハンドリングというものは望めないし、何よりもフワフワしてつかみどころがない乗り心地。スポーツカーが一番好みの自分からしてみたら、まず、愛車として選ぶことは無い一台である。
 もし、このクルマでただ単純に高速道路を走る、街中の買い物に使うだけなんだったら、何もこのクルマを選ぶ理由は全く見当たらない。ボンネットが独立している分、ミニバンよりもさらに車両感覚はつかみづらいし、さらに言えばリアオーバーハングが長いから、バックの時だってかなり気を遣う。
 今回使ってみて、駐車場にこれほどまでに難儀したクルマも珍しい。今や死角の取り回しを気遣えるカメラ装備は当たり前になりつつある中、オプションで設定されているカメラを選択しないのは、よほどチャレンジャーだろう。よっぽど運転に自信がある人だけが駐車は任されるべきで、間違っても軽自動車でブラインドビューモニターを使っている人に任されていいものではない。
 高速道路にさえ出てしまえば、後はクルーズコントロールを付けてゆったりのんびりと走る、という実力に関してはそれなりの実力ともいえる。100km/h付近の速度でも、全く風切り音を感じないというのも、柔らかくて快適な乗り心地と合わせれば、乗っている分にはかなり快適にとれる。
 もっとも、運転するドライバーにしてみれば、常にステアリングには気を遣うような直進安定性の薄さと、反応の鈍さには付き合わないとならない。クルーズコントロールも、渋滞時の0km/h迄対応するのが珍しくない中、50km/h以下では使えないというのも、装備に古さを感じてしまうところ。わざわざこのクルマを買う理由、どこかにあるだろうか?
4.本格オフローダー

 当然、買う理由はある。どこでも走破できるとも思えるような、オフローダーとしての性能だ。わざわざ今回借りた理由も、八千穂レイクという極寒の氷雪路を走破する事を目的として。なにも、長野までの長距離をひたすら淡々と走るための足を求めていたからではない。
 道中の間、雪が混ざった道を走る事は実はほとんどなかったが、八千穂レイクに至る最後の道すがら、山道に入った後にこそ、真価が発揮される絶好の機会。使う必要もなかった4WDのロックアップダイヤルを4WDモードへ。
 最上級グレードであれば、マルチテレインセレクトという、運転支援システムが装備されているが、通常グレードはただのロックアップスイッチのみ。もっとも、本格的な道なき道を走破するわけでは無くとりあえず凍結と雪の積もった一般道を走るだけなので、そこまでの機能は正直に必要ない。
 さすがの4WDのお蔭で、急勾配の凍結した路面であっても全く不自由なく、滑る事もなく登れるのは当然として、比較的急なブレーキ操作をしてもスパッとすぐに止まるのは、車重の恩恵も多分にあるだろう。さすがに今回、このクルマで氷上走行は行っていないが、仮に行っていたとして、むしろモーグルとか段差とかを乗り越えるような荒っぽい走りができてしまうのではなかろうか。
5.ファブリック調インテリア

 インテリアに関しては、最廉価グレードという事もあって高望みは全くできない。最廉価モデル、という事を忘れていれば、このクルマがランドローバーとも比肩できることをすっかり忘れてしまいそうだ。そもそも、今では珍しくなってしまったファブリック調のインテリアというのに、少しばかし古さを感じてしまうところもある。
 廉価モデルでも、このクルマを選ぶのが、ウィンタースポーツや、山、渓谷、釣り等々、アクティブに使う人が大多数なんだろうから、そこは少々撥水シートを標準装備するだとか、何かしらもう少し施策はあっても良さそうなものだが。
 高級感、というものに関しては、およそ印象にほど遠いが、一つ上のグレードになって本革シートが付いて、そして間接照明も選べるようになってようやく、このクルマがそれなりの価格帯に設定されている事を思い出すし、それだったらまあ、値段相応の質感といってもいい。
 余談だが、レンタカーだから、廉価グレードでも我慢というのはちょっと今の時代にはあまりそぐわない気がしてならない。とりあえず借りる、足として利用する、という目的が多数を占めるのは当然だが、特にメーカー系列のレンタカー店舗ならば、販売促進の機会としても重宝する機会。ならば、最上級グレードではないにしても、それなりの好印象を与えられるような標準グレードに少しオプションを設定した程度の車両を用意するべきだろう。少なくとも、今回乗った限りでは、プラドを買う気には全くならない。むしろ、値段の割に質感が低いクルマ、という印象しか受けなかったほどだ。グレード構成を理解していれば、その気も少しは変わるのかもしれないが、好印象を与える機会をこういった場面で逃してしまう可能性もある。
6.手が届くオフローダー

 ただし、一つ忘れてならないのは、低い質感だろうが欲しい装備がオプションだろうが、とりあえず400万円出せば、ランドローバーとも互角に渡り合える、7人乗りのオフロード性能を手に入れられるという事。
 自分がスポーツカー好きなものだから、質感は低くてオプションも少ない素の状態でも安けりゃ良しと思うように、本格的オフローダーが必要で、それ以外は必要なし、と思うような人には最適な一台といえるだろう。さらに言えば、新興国市場を始めとした廉価だがしっかりと走破できるだけの実力が欲しい市場では、むしろこの標準グレードの必要性が高いと言えるだろう。
 日本を始めとした成熟国の基準で行ってしまえば、レザーパッケージが当たり前にも思えるし、それでもなお、レンジローバーよりも安く手に入る。どうせ選ぶならレザーパッケージ、必要なオフロード装備があるのならば、トップモデル。ただし、必要かどうかは考えて選ぶようにしよう、でなければ、ただの燃費の悪いSUVを買っただけになってしまいかねない。
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Posted at 2018/02/25 17:38:28

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