
久々に富士SWへレース観戦に行って来ました。
ちょっと事情があって、自ら封印していた訳で
調べてみると実に3年ぶり。
開催されるレースはスポーツカー世界耐久選手権、
通称WEC(World Endurance Championship)。
シリーズ常連のアウディに対し、
今年ルマン24時間から参戦を開始した
トヨタが挑みます。
尚、今回はマニアックな話題なので、
興味のない方はそろそろ離脱の準備をお願いします。
(笑)
前述した通り、僕自身も久々の富士行きの為、何処となく緊張感漂う中、
地元開催の利を生かし金・土・日の3日間通い詰めさせて頂きました。
そもそもこのWEC、富士SWでは「WEC IN JAPAN」として1982年から1988年までの間、
Gr.Cカーによる世界選手権の1戦として開催されていて、今回の開催は実に24年ぶり。
当時はポルシェ、ランチア、ジャガーそしてメルセデス等の海外勢を
日本のトヨタ、ニッサン、マツダが迎え撃つレースが見られた事と、
その様子がテレビ中継されていたので、僕にとっては年に1度の楽しみでした。
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耐久レースなので、走行距離も長めです。
以前の開催では6時間レースとして始まり、後に1000kmで争われていましたが、
今年のWECシリーズはセブリング、ルマンを除いては6時間耐久として行われている為、
今回はそれを踏襲した6時間レースとなります。
参加する車両は全部で6つのクラスに分かれています。
まずはLMP1ハイブリッドエンジンクラス。
こちらにはアウディとトヨタが参戦。
アウディはディーゼルエンジン+モーターの仕様で、
排気量3.7リットルエンジン+ターボ+モーターと言う組み合わせ。
アウディR18 E-TRONクワトロ。
市販車のエレガントな印象は微塵の欠片もなく、相当無骨なイメージ。
ヨーストレーシングがオペレーションする1号車、2号車の2台がエントリー。
対するトヨタはガソリンエンジン+モーターの仕様となっており、
排気量3.4リットル+モーターと言う組み合わせ。
F1撤退後のTMGがオペレーションするトヨタTS030ハイブリッド。
こちらも負けず劣らず無骨。
トヨタは7号車1台でエントリー。
モーターに関してはアウディがフロント、トヨタはリアに組み込まれている様で、
結果的に4WDとなってしまうアウディは120km/h以上の速度域とならない内には
モーターアシストが禁止されています。
LMP1ガソリンクラス
トヨタやホンダエンジンのマシンが参戦。
このクラスには佐藤琢磨選手がカーナンバー15、OAKレーシングより参戦。
LMP2クラス。
こちらはマシンに使用出来る予算に上限設定が設けられたプライベーター参戦用のクラス。
こちらのクラスには井原慶子選手、中野信治選手が参戦。
LMGTE、プロ&アマクラス。
こちらはドライバー全てがプロであるプロクラスとプロドライバー1名までのアマクラスがあり、
ドライバーの中にはF1界で有名だったジャンカルロ・フィジケラの姿も!
今回はこれらのクラス合計で27台がエントリー。
金曜日1日と土曜日の午前中には、練習走行が計3回行われ
予選に向けてのセットアップや確認に費やされます。
各セッションともにアウディとトヨタの一騎打ちとなりましたが、
どちらも譲らずと言った感じでその差は正に僅差。
何より印象的だったのはアウディのエンジン音。
噂では聞いてましたが、本当に静か!
目の前を通過する際にもターボの回転する「シュ~~ン」と言う音と
タイヤの転がる音くらいしか聞こえません。(驚)
これだと街中でR18が後ろから迫って来ても、EV状態のプリウスなんかと全く遜色ないだろうな。
対するトヨタは普通にレース用V8エンジンの音がしちょります。
ここで突然、同時開催されていた全日本F3登場。
1/8で撮影するのが猛者達の間では絶対の様なので真似してみた。(笑)
↓土曜日な霊峰。
天気は最高で若干汗ばむ様な陽気。
お陰でまた日焼けした・・・。
この日は午後から予選が行われ、トヨタがポールポジッションをゲッツ。
レース自体は6時間もの長丁場なので、ポールの意味合いも薄れますが、士気は上がりますよね。
↓画像はパルクフェルメ内での再車検の様子。
これは吸気口(リストリクター)に球状の物を突っ込んで酸欠状態にし、
エンジンが確実に停止するかの確認を行っているところ。
仮に吸気口が制限値よりも大きければ空気がエンジンに継続して供給出来るので、
エンジンが停止する事はないのだ・・・。
スタンド裏では久々に開催される耐久レースと言う事で、
かつてシリーズに参戦していた日本の3メーカーが
当時のマシンを持ち込んで展示を行っていました。
トヨタは92年にSWCに参戦したTS010、99年ルマン出場のTS020GT-1、
そして今年のWECに参戦中のTS030が揃い踏み。
また別のブースでは・・・。
歴代トヨタGr.Cカーで、僕の中で一番のお気に入りであるエッソトヨタ91CVの雄姿が!!
久々の目撃でしたが、やっぱ超格好いい~。
この年トヨタはシリーズ中盤から後半戦に掛けて調子が良く
あわやシリーズチャンピオンと言う所まで行ったのが思い出されます。
ニッサンはこの手のイベントですっかり定番になっているR92CPを展示。
当時最強エンジン、VRH35Zを開発した林義正氏の姿もパドックで目撃。
そしてマツダはいつもの787Bではなく、
91年ルマン優勝以降JSPCに参戦した787B逆レナウンカラーバージョンが登場。
こいつは当時のマツダがルマン優勝に敬意を表し、
優勝時のカラーリングを保存すると言う意味合いから生まれたものと記憶。
でもあまり格好良くないのも特徴。 (笑)
しかも今回は走行枠が設けてあり、実際にサーキットを走行。
メインスタンド前を通過するロータリーエンジンの甲高い音は何度聞いても鳥肌もんッス。
↓画像はヘアピン通過の様子を撮影。
そんなこんなで迎えた決勝当日。
ピットウォーク中とは言え、スタンドへの人の入りはイマイチな印象。
やっぱ前週に鈴鹿でF1があった事も影響しているかと・・・。
でも僕はF1よりも断然耐久レース派ですが。
パドックより望むグリッド。
アウディは1号車の担当エンジニアが何と女性!!
仕事の出来る女性のオーラ出まくりだす。(笑)
そして午前11時、いよいよレーススタートです。
レース中は見る事に集中するので、いつも通り撮影は一切なしで~す。
(デジイチも重いので持って行きまへん)
序盤からトヨタ、アウディとも互角の展開ですが、実はトヨタは燃費の関係からか
ルーティーンでのピットイン回数がアウディよりも1回多くなる事が戦前から囁かれており、
同じ様なペースで周回していては勝利出来ない状況。
確かにピットに入って来るタイミングがアウディのそれよりも早いので、
実際に厳しいんだな~と言うのも見て取れます。
そんな中、ある程度築いたリードが縮まり始めた矢先、
2番手でトヨタを追従する1号車アウディにアクシデント発生。
周回遅れのマシンと接触し、想定外の作業の為にピットインを余儀なくされます。
ここでトヨタとの差が広がり、3番手を走行中の遅れていたアウディ2号車にも先行を許します。
更に接触した事によりコース上に散乱したパーツの回収の為、セーフティカー導入!
この直前にピットでルーティーンワークをこなしたトヨタには良い流れが舞い込みます。
セーフティカーのポジションも幸いし、レース再開後には更なるマージンを築くベく中嶋選手が快走。
ここで築いたマージン、更には先のアクシデントで1号車にペナルティーストップがあった関係で
リードしたままの状態で迎えた残り18分、トヨタが最後の給油ピットイン敢行。
作業後にコースに戻った際、再び2位に上がっていた1号車アウディとの差は僅か5秒!!
このまま最後の闘いに挑みます。
なかなか時間が進みません。
でもなかなかアウディも差を詰められません。
そして17時を迎えました。
優勝したのはトヨタTS030ハイブリッド。
中嶋選手の冷静なドライブで、ブラジルサンパウロで行われた第5戦に続く勝利です。
2位は最後の最後までトヨタを追い詰めた1号車アウディR18。
3位は序盤からちょっぴり精彩を欠いた2号車アウディR18が入りました。
表彰台に向けピットに侵入するTS030。(小さいけど)
その後行われた表彰式の模様。(遠いけど)
プレゼンタ~は静岡県知事が務めてます。
止めはパルクフェルメでの上位3台の様子。(暗いけど・・・・・と最後まで言い訳をしてみる)
他クラスのレースリザルト。
まずはLMP1ガソリンエンジンクラス。
カーナンバー12のレベリオン・レーシング。
総合順位は4位。
ちなみにこいつのエンジンもTMGが提供しています。
シャーシはローラ製。
同クラスにエントリーした期待の佐藤琢磨選手は総合17位、クラス5位。
LMP2。
カーナンバー25のADRデルタは中野信治選手もドライブし見事クラス優勝。(総合8位)
井原慶子選手は総合13位、クラス6位に終わりました。
LMGTEプロクラスは
カーナンバー77、フェルバーマイヤー・プロトンのポルシェ。
LMGTEアマクラスは
カーナンバー50、ラルブル・コンペティションのコルベットが勝利しました。
詳細のレース展開や結果はモータースポーツサイトを参照してね~。
上位リザルトと霊峰。
そして勝者TSと霊峰。
そんな訳で3日間があっと言う間に過ぎました。
毎回感じる、レースが終わった後の何とも言えない寂しげな雰囲気を味わいながら
富士SWを後にした訳ですが、久々に観戦したレース、応援していたトヨタの勝利等を考えると、
大いに楽しめました。
耐久レースの世界選手権って、実は生で観戦したのは今回が初めて。
この様な選手権は、過去の例からも大抵メーカーによる過剰な開発やコスト上昇により
撤退→衰退→廃止に繋がる訳です。
そう言った意味で今年プジョーが撤退してしまったのが残念ですが、
今後何処ぞのメーカーが参戦表明して(ポルシェは2014年から参戦するらしい)
少しでも長くシリーズが継続してくれる事を祈りたいところです。
そして来年もまた富士SWで開催されるなら、是非とも見に行きたいですね。
関連画像はダブリもあるけど↓ここから。
トヨタTS030ハイブリッド
アウディR18E-TRONクワトロ
LMP1の車両達
LMP2の車両達その1
LMP2の車両達その2
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