
1月11日 この日はゆっくり起きて、飼っている熱帯魚の水槽掃除をして、出発が11時半。
本日泊まる宿の金湯館へは、関越自動車道 練馬ICから最寄りの松井田妙義ICまで1時間ちょっとという距離にあって都心からのアクセスも良い。
金湯館へ行くには、駐車場から30分の登山コースを歩くか、宿の人に車で迎えに来てもらうかの2択になる。歩くのは苦手なのでお迎えをお願いするため前日に宿に電話している。
その際、駐車場手前のドライブインへ何時に着くか伝えた。チェックインが14時からなので、13時半ころにドライブインにつけばよいかなと思ったが、その日は駅まで他のお客さんを迎えにいくので、その帰りがけに拾ってもらうことになった。
すると、ドライブインを14時過ぎころの頃合いがよいということだった。
ならば、やはり13時半にドライブインへ着いてそこで昼食をとれば14時過ぎになると思い、予定通りの時間で出発した。
途中目立った渋滞もなく、13時半前に玉屋ドライブインに到着。
店内に客はいなくて、おばちゃんたちがお昼ごはんを食べ終わっておしゃべりをしているところだった。
いらっしゃいませ。
そういうとおばちゃんは食器を片付けた。
店内にはいまさっき食べたのだろうカレーの香りがしていた。
事前の調査でこの店はソースカツ丼がおすすめらしい事は知っていたのだが、
カレーの香りがしたのでカレーが食べたくなった。
すみません、かつか…
いや、ちょっと待ってください。
少し悩んでやっぱりソースカツ丼にした。

噛み切れる柔らかさのカツが3枚。会津ソースカツ丼に慣れた福島県民からすると味付けは薄めだが万人受けしそうな加減であった。
テイクアウトで、碓氷峠の力餅も頼んだ。
頼んでから作るようなので、昼食と同時に注文しておいて良かった。
食べ終えて店を出たのが14時。
宿に電話して、これからドライブインを出発すると連絡した。
なぜドライブインから連絡するのかというと、この先携帯電話の電波がないエリアとなり、金湯館の駐車場では一切の連絡ができないからだ。
少なくとも私の使っているソフバン系の電波は一切入らないが、ドコモは多少入るらしい。
金湯館へ向かう道は細くくねっている。
枯れ木が道路にはみ出していてボディに触れないか気をつけながら走る。すれ違いはできない道幅で、たまに広くなったカーブがあるくらい。対向車に目立つように前照灯をつけて慎重に走り、20分ほどで駐車場に着いた。
すると、すでに5台が駐車してあった。
人の影はなく、あたりは裏手にある川の流れる音と、時折、落ち葉が風にふかれて鳴る乾いた音だけが響いていた。
この車の持ち主たちはすでに宿に向かったのだろうか。

静かな山奥。

ヘリコプターが着陸できそうな開けた広場がある。

霧積館はすでに閉館したようだ。
ニフティには2010年ころまでレビューがあった。
前回金湯館に来た時に、金湯館以外の宿は大雨で流されてしまったと聞いた。
しばらくすると、山の奥から人の気配がした。
登山者たちのパーティが
ほいほい坂を下ってきたようだ。

5台すべての持ち主が降りてきて、賑やかになった。
14時半頃、宿のワンボックスが迎えに来てくれた。車内には8名〜9名くらいのお客さんが乗っていた。
よろしくお願いします、と声をかけて
私は一番後ろの席に腰を下ろした。

20分くらい走ると、金湯館が見えた。
宿を見下ろす位置で下車。
金湯館につづく車道はなくて、
歩いて階段を降りていくのだ。

手すりは見かけよりも頑丈にできている。

水車につながる水路の下には
ものすごく分厚いつららがずーっとできていた。

水路に水は流れていて凍ってはいない。

やっと到着した。時刻は15時前頃。
入った順から、次々と帳場で宿帳を書いてチェックインしていく。
私の前の前に案内されていった男性客が、
女将さんに骨酒を頼んでいたのを見て、
のんべえの私も骨酒をオーダーした。
今回のお部屋は101、わりとお風呂に近い部屋でよかった。
案内してくれたスタッフは、
前もきてくれましたよね。
と声をかけてくれた。

部屋からは金湯館に降りてくる階段と、物置が見える。

室温は4℃で、設定温度はECOなLoとなっていた。控えめに言ってもかなり寒い。
前日に電話で積雪状況を確認し、積雪はほとんどないということでその通りであったが、イコール寒くないということではなく、気温はとても低い。
すぐに風呂に行きたい気持ちを抑えて、部屋でしばし休憩してから風呂にいくことにした。
メニューをチェックした。
先ほどオーダーした骨酒(2合)は2200円ということだ。

玉屋ドライブインでお土産に買った力餅を開封。さっそくビールといっしょに食べた。

季節限定の栗餡が入っているバージョンにした。
栗餡はあまくて、栗の香りがとてもよく本当に美味しい。力餅のほうは甘さ控えめのあっさりこし餡だ。2つ3つほど食べて、あとは夜の楽しみにした。
携帯電話の電波も、WiFiもない、ネット界隈との繋がりがまったくない世界に来たのだと改めて確認できた。
撮った写真を見返したりして、やっぱり我慢できずお風呂へ向かう。
10名近くが一気にチェックインしたので風呂が混んでいると思ってすこし時間を空けるつもりでいたのだが、やはり我慢することはないなと風呂へ向かった。

廊下を降りて、ずっとまっすぐ進んでいく。

女湯の入り口前に飲泉所がある。

幸運なことにだれも居なかった。
いそいそと身体を洗い、念願の風呂へ。
しばし、ゆったりとぬる湯に浸かる。

低張性弱アルカリ性温泉。
泉温39℃で長湯しやすい風呂。

わずかに硫黄臭がする。
炭酸が結構入っているのか身体に気泡がたくさんつく。

不思議な構造の蛇口。
他の人が左右どちらの口を捻るか見ていたけど、どちらもお湯がでているのかもしれない。

コップが置かれていれば、それは飲泉可能という目印なのだ。癖の少ない飲みやすい温泉である。
ぬる湯でも1時間も浸かるとじっとりと汗をかく。しっかり身体が温まって若干の心地よい疲れを感じたため、風呂から上がった。
汗をかいたので喉が乾いた。
風呂場の向かいにある、岩清水と書かれた洗面所に行く。冷たくて美味しい清水がなんと飲み放題なのだ。

とくに栓はなくて、常に勢いよく水が湧き出ている。とても美味しい清水が贅沢に注がれている。このタライはなんのためにあるのだろう。水を汲むのにずらす必要があって多少面倒である。

洗面所の隣は生簀になっている。
湯気がでているから温泉がすこし混じっているのかもしれない。

今夜の料理に出されるのだろうか。
たくさんの岩魚が泳いでいた。
しろい魚もいたが、同じ種類なのだろうか。

奥に大きな水車があるが、凍りついていた。この地域の寒さどれほどのものかを表しているようだ。

風呂上がりなので、氷点下のなか薄着でもわりと動けた。

あらためて、入り口の写真を撮った。

氷の厚みが半端ではない。

帳場にあった、これはなんだろうか。
部屋に戻る途中、無料で貸し出している本の背表紙を一通り眺めた。ゆびでなぞってタイトルを読みながら、どれを借りようか吟味していた。
ひなびた温泉、とてもそそられるタイトルだ。日本全国から筆者選りすぐりの50温浴施設を紹介している。
それと、ミステリー小説の誘拐児を借りた。
昭和に大人気だったミステリー小説の「人間の証明」にでてくる有名な一節に霧積温泉が登場する関係で、ここ金湯館では人間の証明の文庫本を何冊も売っている。
作者の森村誠一氏もなんどかこの旅館に来たことがあるらしい。
今回、こちらの宿に来るにあたって人間の証明について少し予習してきた。そんな訳あってか、ミステリー小説を読みたい気持ちが多いにあって、貸し出し本の中から気になるタイトルの本を手に取ったという経緯。
先に言っておくと、実はまだ読みおわっていない。420ページのおよそ半分程度は読んだが、続きが気になって帰宅してからAmazonで古本を注文した。まだ読むつもりなので誘拐児の続きや結末や感想は秘密にして欲しい。(願)
さて、本を読んでいると食事の時間となった。戸がノックされて、失礼しますと声が掛かると、食事が運ばれた。
季節の天ぷらの盛り合わせ。
10種以上が山盛りになっていて見た目にとてもインパクトがある。
夏前に来た時は山菜や葉っぱがメインであったが、冬はネギや芋、きのこの天ぷらだ。

そして大きなどんぶりの豚汁も具材がたくさん入っていて、これだけでもとても満足感が高い。

群馬といえばこんにゃく。

煮しめ、漬物、あえもの。

岩魚。生簀にいたやつだな。

ご飯はたっぷり!

これが骨酒。2合サイズ。

なんと中に岩魚が1匹まるごと入っていた。
岩魚をつまみに熱燗が楽しめるようになっている。

箸袋に、有名なフレーズが書かれている。
夕飯を食べて、しばらく食休み。
食休みの間に、ひなびた温泉本を読破。
気になっていたけど、まだ行ったことのない温泉や、お気に入りの宿、ぜんぜん知らない温泉も載っていて大変興味深い内容だった。
いくつか絶対行ってみたい温泉があったのでメモしておいた。かならず行こうと思う。
また風呂に浸かって、そして部屋で小説を読み、また夜中に風呂に浸かって、そして就寝したのは午前2時前頃だった。
朝、目が覚めたら7時半を過ぎていた。
寝る前にこたつもストーブも消していたので部屋はとても冷えていた。
なんとかストーブをつけるために布団から腕を伸ばして、こたつに入って読書の続き。
8時を過ぎたころ、戸をノックする音がして、
おはようございます、お待たせしましたと声がけがあって、朝食が運ばれた。

お正月バージョンなのか、黒豆や伊達巻、かまぼこもあった。
ごはんのおかずがちょっとずついろんな種類が盛り付けられているこのスタイルの朝食が本当に大好きなのだ。ごはんがすすむ。

味噌汁も美味しい。

ごはんは、朝からたっぷりで嬉しい。
朝食後にまた風呂に入って、
そして帰り支度をはじめた。
電波の届かない、時が止まったような素晴らしい宿での時間もあと僅か。
10時に送迎の車に乗り込んで、
山道を下って駐車場へ。
夏前にきたときは、かえりの車は2台体制になるほどお客さんがいたけど、
今回泊まったのは、来る時に乗り合わせたお客さんだけだったみたい。
駐車場につくと、愛車S1が静かに待ってくれていた。

線路に続く階段が気になって車を止めたが立ち入り禁止となっていて、線路を覗くことは出来なかった。遮断機のない踏切かもしれない。
玉屋ドライブインで、お土産にまた力餅を買った。
栗餡が大変おいしくて、栗餡だけのが欲しかったが、栗餡のは3つまで詰められるということだった。
くりと、きなこと、こしあんの組み合わせで詰めて貰った。あと、辛みも合わせて購入した。昨日の昼にソースカツ丼を食べているあいだに2組のお客さんがきて、そのいずれも辛みを買っていたので気になっていたからだ。
このあと碓氷峠の遊歩道の散策と、
もう一軒素晴らしい温泉に寄ったがそれは別のブログに書くことにして。
帰りがけ、高速道路のPAでお昼ご飯のかわりに辛み餅を食べた。
おかずに珍しいBIGコロッケを買ったが、本当に大きくて、食べ応えがあった。味も美味しかった。
辛み餅はごはんのかわりになった。

大きさ比較。わらじのように大きいコロッケ。
すっかり碓氷峠の力餅のファンになってしまった。
好みの味は、栗餡がいちばん。
栗餡>>>>きなこ>>辛み=力餅

特別に3種盛りにしてもらった!
霧積温泉の一軒宿、金湯館。
静かな山の中で味わう非日常の世界に
最高のぬるゆと、美味しい食事、旨い酒を楽しみに、またきっと訪れたいと思うのだった。
帰宅してからAmazonで途中となってしまった本と、同じ作者の評価の高い本を購入した。

なんだかすごくお買い得なお値段。